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2025年7月25日

JPNICでは継続的にAFRINICの状況に関して注視し、情報提供しています。 2025年7月16日付けでICANNからモーリシャス政府およびAFRINIC管財人に宛てた公開書簡

https://www.icann.org/sites/default/files/documents/lindqvist-to-ramtohul-dabee-16jul25-en.pdf

が、今の状況を網羅的に示しているため、参考のために和訳を提供します。

2025年7月16日付けICANNからモーリシャス政府及びAFRINIC管財人に宛てた公開書簡(和訳)

モーリシャス共和国
情報技術・通信・イノベーション大臣
アヴィナシュ・ラントフル閣下
AFRINIC(アフリカ地域インターネットレジストリ)
管財人 ゴウタムシン・ダビー氏(FCCA, ADIT, MBA)様

件名:AFRINICに関するICANNからの公開書簡

閣下、ダビー様

ICANNは、 インターネットの一意な識別子のシステムの安定的かつ安全な運用を担う非営利組織として、 本書簡をお送りします。 ICANNは、 インターネットプロトコル番号および自律システム番号の最上位層における割当・割振の調整を行っており、 アフリカおよびインド洋地域を担当する地域インターネットレジストリ(RIR)として、 2005年4月8日付でAFRINICを正式に認定しました。

また、ICANNは、 RIRがICP-2「新地域レジストリ設立のための基準」に適合していることを確認する責任も有しています。 AFRINICが遵守すべき事項は、 ICP-2適合のための実施・評価手順(Implementation and Assessment Procedures for ICP-2 Compliance)に定められています。

ICANNはAFRINICの認定機関として、 かつグローバルインターネットコミュニティから付託された公式の立場として、 本件に関与しています。 かつてICANNは、当時任命されていた管財人ヴィラサミ氏の要請に応じ、 中立的・独立的な支援を申し出ました。 そして、現管財人ダビー氏に対しても、同様の支援を申し出てきました。 また、ICANNの役割についての説明も継続して行っています。

ICANNは、2025年6月25日および7月3日付で、 AFRINICの管財人であるダビー氏宛に、 最近の選挙実施に関する質問への完全な回答を要請する書簡を送りました(本書簡に添付)。 ダビー氏は、6月25日付の書簡に対し、 各質問への回答を列記した返信を寄せましたが、内容は乏しく、 「選挙は無効とされたので、詳細は不要」との主張にとどまっていました。 7月3日付の書簡に対しては、簡潔な受領確認があったものの、 求めた情報の詳細は提供されていません。

ダビー氏の要望により、ICANNは氏からの返信書簡を公開しておりません。 ICANNは7月8日までにすべての質問への完全な回答を求めていましたが、 それ以降、追加の情報提供は受けていません。

ICANNは、 AFRINICがRIRとして公共の信託を担っていることをあらためて指摘します。 割り当てられた番号資源は、 グローバルなインターネットコミュニティおよびAFRINICが奉仕する地域のためのものであり、 AFRINICの資産ではありません。 むしろ、RIRの価値は、 その地域で策定されたポリシーに従ってこれらの資源を配分する能力にあります。 この配分機能は、特定の債権者、会員、 または会員グループの利益のために使われてはならないと、 2025年5月16日の電話会談でもダビー氏は理解を示しました。

ICANNの第一義的目標は、AFRINICがICP-2に準拠した、 適切なガバナンスのもとで運営されるRIRであり続けることです。 ICP-2準拠には多様な要素があることは、以前の書簡でも言及してきました。

会員の支持を得ること、会員を公平に扱うことに関して、 AFRINICは、特定会員の影響力の偏重、 情報への不平等なアクセスなどに関する指摘に、 意味のある対応を示していません。 ICANNはあらためて強調します。 選挙が無効とされた事実は、それに至った経緯を公的に評価し、 新たな選挙で同様の問題が繰り返されないようにする必要性を無効にするものではありません。 選挙の無効化に至った要因や、 候補指名・選挙プロセスにおける問題点とその教訓について、 AFRINICが説明責任を果たしていない現状は、極めて問題です

また、 2025年6月26日にダビー氏が「確認中」と述べたAFRINICの記録およびバックアップの状況についても、 2週間以上たっても新たな情報は提供されていません。

ICANNは、 2025年7月9日付の「第三者からの通信に関する助言」も注視しました。 特に、AFRINIC会員から広範な委任状(PoA)を取得しようとする動きについて、 会員自身の意思決定権が移譲される可能性があることを、 管財人である管財人が警告するのは当然のことです。 ICANNもこの注意喚起に賛同します。

また、ICANNがCloud Innovation Ltd (Cloud)のCEOにより資金提供されているメディア報道を歪めたとする主張は、 根拠を欠いています。 公平性を装いつつ、わずか2週間で50以上の記事を掲載し、 NRS(Number Resource Society)を通じた選挙活動を促すようなメディアに対しては、 慎重に見る必要があります。

CloudのCEOとNRSの関係は明白であり、 NRSはIPアドレスブロックを資産として扱うよう主張してきましたが、 これはAFRINICの正式ポリシーに反します。 AFRINICが担うのは、 アフリカ・インド洋地域で実際にネットワークを構築し、 サービス提供する事業者への応需の資源割り当てです。 ICANNは、 現在のガバナンス危機を利用してAFRINICを私的に支配しようとする動きに強い懸念を抱いています。

さらに、 Cloudが2025年7月11日付でAFRINICの解散をモーリシャスの裁判所に単独で申請したことも、 ICANNは確認しています。 ダビー氏は7月14日付のコミュニケでこれを認めています。 Cloudはこの動きを「アフリカのインターネットコミュニティの利益のため」と称していますが、 2000を超える他の会員の皆様には、自らの代表者として誰が適任か、 今一度見極めていただきたいとICANNは呼びかけます。 ダビー氏に対しては、 申立ての内容を含む追加コミュニケの速やかな発出を強く要請します

Cloudは、 AFRINICの解散申請がICANNの意向に沿ったものだと主張していますが、 これは完全な誤りです。 ICANNが一貫して求めてきたのは、 すべての資格のある会員が自らの意思で公平に参加できる自由で公正な選挙であり、 それがAFRINICの正統な理事会を選出する最良の道であるという点です。

再選挙に向けた提言

ICANNは、適切に設計された自由かつ公正な選挙の実施を通じて、 AFRINIC理事会が定足数を満たして選出されることをあらためて強く求めます。

また、ダビー氏より、 将来のAFRINIC理事会選挙における推薦委員会をめぐるICANNの支援要請を受け取ったことも確認します。 ただし、氏からの要請の詳細はまだ提示されていません。 本書簡では、現時点での状況理解、 およびAFRINIC定款や過去の事例を踏まえて、 信頼を回復するためにどのような選挙設計があり得るか、 その一例を提示します。 これはあくまで提案であり、AFRINICへの指図ではありません。

ICANNは、 2025年7月15日付でダビー氏が無効選挙と今後の選挙実施に関する通知を発出したことを確認しています。 無効とされた選挙プロセスについては、 何が問題だったのかを検証し、 是正する機会を設ける必要があります。 以下は、AFRINIC会員自身も指摘してきた無効選挙に関する主な出来事の一覧です:

  • 2025年4月、AFRINIC地域の代表が含まれていない推薦委員会の発表
  • 同月末、 Cloud社がAFRINICの会社登記簿に唯一のリソース会員として記載されていたことが判明(この問題は6月まで未解消)
  • 一部のAFRINIC会員から、投票登録の困難さに関する懸念
  • 会員が持つことを許されている代理投票(5件)とは別に、 無制限の委任状(PoA)の持ち込みが現場で許可された影響
  • 少なくとも1件の不正な委任状の発覚と警察への報告
  • 一旦発表された選挙停止の通知が数時間後に予告なく解除
  • 選挙の無効化の発表
  • • 裁判所命令などの根拠の説明なしに管財人任期の延長が発表

こうした状況を踏まえ、 AFRINICコミュニティとともに信頼を再構築するための建設的な道筋を模索すべきです。 以下は、その一助となり得る提案です。


1. 会員の信頼回復

以下のような対応は、 前回の選挙で会員が抱えていた情報やアクセスの不足を是正するために有効と考えられます:

  • AFRINICコミュニティが懸念や改善案を共有できる公開フォーラムの設置
  • 2025年6月選挙に関する調査報告書の完全な公開
  • Cloud社による申立ての現状や、 AFRINICの訴訟状況に関する明確な説明の公開
  • 管財人が任期延長を申請した理由および裁判所命令の内容の公開
  • 選挙期間中は、 少なくとも週1回程度の定期的な進捗報告と現状説明の実施。 その際、AFRINIC定款から逸脱する部分については明確な理由を説明すること
  • 選挙に関与する第三者(外部支援者を含む)が、 AFRINICや現在係争中の当事者と私的・職業的・金銭的な関係を一切有しない旨を公開で宣言すること

2. 将来の成功に向けた制度設計

今回の再選挙は、 理事会の任期を本来の輪番制に戻す機会と捉えるべきです。 無効となった選挙では、 8議席すべてが3年任期で提示されていましたが、 定款は3年の輪番を前提としています。 以下は一例です:

  • 北アフリカ(Seat 1)、西アフリカ(Seat 2)、 および地域外理事1名(Seat 7):任期1年(2026年年次総会まで)
  • インド洋地域(Seat 3)、中部アフリカ(Seat 4)、 および地域外理事1名(Seat 8):任期2年(2027年年次総会まで)
  • 南部アフリカ(Seat 5)、 東部アフリカ(Seat 6):任期3年(2028年年次総会まで)

3. 選挙設計における独立専門家の起用

特に無効選挙をめぐる疑念を受けて、 選挙制度設計の専門家を招き、 設計プロセスの完遂を委ねることが望まれます。 この専門家も、上述の通り、 いかなる関連団体とも無関係であることを公開で表明する必要があります。


4. 候補者資格および会員の定義の明確化

不正な委任状やプロキシ取得に関与したと疑われる会員は、 候補者推薦や投票の資格を一時的に失うべきです。 資源保持や会員資格の継続については、 将来の理事会またはCEOに委ねられるべきです。


5. 候補者指名プロセスの改善案

  • 再編された推薦委員会にアフリカ地域の代表を含めること
  • 委員全員が非関係性(個人的・職業的・金銭的利害)の公開表明を行うこと
  • 委員会が定める資格基準に基づき、再度候補者指名プロセスを実施すること
  • すべての候補者が、自らを推薦した人物・団体、 その他影響を及ぼし得る関係について、 公開の「関心表明書(Statement of Interest)」を提出すること
  • 候補者に対する面接やコメント期間の導入を検討すること(これは定款および過去のプロセスでも認められている)

6. 投票プロセスの見直し

現時点で管財人が電子投票のみの方式を検討していると理解しています。 以下のような安全策が考えられます:

  • 他のRIRや電子投票サービス提供者と連携し、 各会員において誰が投票権限を持つかの記録維持・検証方法を共有すること
  • 投票資格の検証に関する会員からの苦情を受け付ける仕組みの設置
  • 登録情報の訂正手続とそのスケジュールを明確にすること

7. 選挙実施に向けた体制

独立選挙専門家が電子投票システムの監督や観察役を務めることが望まれます。 発表済のスケジュールやプロセスを変更する場合は、 事前に適切な通知と説明を会員に提供すること。 例えば、緊急時に一時的な投票停止を行うことは可能ですが、 再開には十分な予告期間が必要です。


ICANNは、会員組織ではなく、選挙の専門機関でもありません。 上記はあくまで参考提案であり、 AFRINICが会員との関係を再構築するための一助となることを願っています。

ICANNの今後の対応

ICANNは、 ICP-2における重大な不遵守の可能性がある領域に関して、 AFRINICに対するコンプライアンス審査を開始する権利を引き続き留保します。 これには制限はありません。

またICANNは、AFRINICの管財人であるダビー氏および氏の代理人、 ならびにAFRINICの名のもとで行動するすべての者に対し、 関連文書・電子記録・通信・データ・その他関連資料を、 これらの問題、さらには選挙プロセス全体に関連するものとして、 例外なく誠実に保持・厳格に保存するようあらためて要請します。 これを怠った場合、今後の審査に対する重大な妨害行為と見なされ、 非協力の証左と解釈されます。

新たに提起されたAFRINIC解散申請に関して、ICANNは、 単一の会員が商業的利益のためにAFRINICの支配権を得ようとする、 さらなる試みであると深い懸念を抱いています。 ICANNは、AFRINICの管財人に対し、 2025年6月25日付で要請したAFRINICのバックアップ状況について、 即時にICANNへ最新情報を提供するよう求めます。 また、2025年7月3日付書簡で要請した登録データのエスクロー(保全)に関する質問にも、 即座に回答するよう求めます。

ICANNは、本書簡、 および2025年6月25日・7月3日付書簡に記載したその他の質問に関して、 2025年7月17日(業務終了時)までに、 ダビー氏より完全な回答を得ることを要請します。

敬具

カート・エリック・リンドクヴィスト
President and Chief Executive Officer
Internet Corporation for Assigned Names and Numbers (ICANN)


写送付先(cc)

  • トリプティ・シンハ 氏(ICANN理事会 議長)
  • RIR CEO各位
  • キシュナ・ドンディー 氏(AFRINIC 法務責任者)
  • AFRINIC 2025年推薦委員会
  • AFRINIC 2025年選挙委員会
  • ジョン・ジェフリー 氏(ICANN 総顧問 兼 書記)
  • ジョン・クレイン 氏(ICANN 上級副社長 兼 CTO)

以上

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