各位
一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター
ICANN通常理事会(2025年9月14日開催)決議概要
1. セキュリティと安定性に関する諮問委員会(SSAC)メンバー再任
理事会はSSACの勧告を受け入れ、Gabriel Andrews氏、Jeffrey Bedser氏、Warren Kumari氏、John Levine氏、Danny McPherson氏、Peter Thomassen氏、Tara Whalen氏を、 2026年1月1日に開始し2028年12月31日に満了する3年の任期で再任いたしました。
2. 第2次IANA名前機能レビュー(IFR2)最終報告書と勧告
理事会は、IFR2チームの献身と最終報告書の取りまとめに対し謝意を表明いたしました。 また、スコアカード「Board Action: Second IANA Naming Function Review (IFR2) Final Report」に記載されたIFR2最終報告書の四つの勧告をすべて受け入れ、 ICANN事務総長兼CEOまたはその指名する者に対し、 当該スコアカードに確認された行動の実施を指示いたしました。 さらに、最終報告書に含まれる4件の付随所見およびパブリックコメントでIFR2チームから理事会に付託された2件の提出物について、 当該スコアカードに定める通り、ICANN事務局として対応可能か否かおよびその方法を検討し、 その結果を理事会に報告するよう、ICANN事務総長兼CEOまたはその指名する者に指示いたしました。
3. 2012年ラウンドで不調に終わった残存申請の終了手続
理事会は、2012年の新gTLDプログラムにおける残存申請のうち不調に終わったものについて、 以下の終了手続を実施するよう、ICANN事務総長兼CEOまたはその指名する者に指示いたしました。
- 現在係属中の独立審査(IRP)に影響されていない申請で、ステータスが「Will Not Proceed」「Not Approved」「Applicant Support (Not Approved)」のものについては、最終通知を送付し、 当該通知の受領から90日以内に申請撤回を行った場合に限り、 申請者ガイドブックの返金スケジュールまたは関連理事会決議に従った返金の対象とすること。
- 90日以内に撤回と有効な返金請求がない場合は返金資格を放棄したものと見なし、 当該申請を「Withdrawn(撤回)」ステータスに移行すること。
- 90日以内に撤回が行われず、有効な返金請求が提出されなかった場合には、 当該申請に関連する返金資格を放棄したものと見なすこと。
- 申請者が90日以内に申請を撤回しなかった場合、 ICANNは当該申請を「Withdrawn(撤回)」ステータスに移行すること。
なお、現在IRPの影響下にある申請についても、 当該影響が解消された場合には同一の終了手続を適用することを確認いたしました。
4. SAC126「DNSSEC Delegation Signer (DS) Recordの自動化」への対応
理事会は、SAC126の勧告1を、ICANN事務局による追加行動を要しないものとして受け入れました(.07)。 また、勧告2を受け入れ、ICANN事務総長兼CEOまたはその指名する者に対し、 レジストリ事業者がDS自動化を実装できるよう、 セキュリティ・安定性上の問題が特定されないことを前提に、 迅速手続き(Fast Track) RSEPプロセスを整備するよう指示いたしました。 レジストラについては、ICANNの承認を要さずに本サービスを展開可能であるため、 当該勧告の履行にあたりICANNの行動は不要であることを確認いたしました(.08)。 さらに、勧告3を受け入れ、運用ガイダンスの策定はIETFにおいて試みるべきものと理解した上で、 ICANN事務総長兼CEOまたはその指名する者に対し、レジストリ事業者、レジストラ、 登録者およびDNSオペレーターを想定読者とする当該運用ガイダンスの作業を促進するため、 関連するIETFプロセスに積極的に関与するよう指示いたしました(.09)。
5. GAC助言--ICANN83プラハ・コミュニケへの対応採択
理事会は、GACとの対話およびGNSO評議会からの情報提供を踏まえ、 GACの助言に対応するためのスコアカード「GAC Advice - ICANN83 Prague Communiqué: Actions and Updates (14 September 2025)」を採択いたしました。
6. ICANNコミュニティ参加者の行動規範(利害関係の申告に関する)
理事会は、更新版の「ICANNコミュニティ参加者の行動規範(利害関係の申告に関する)」(以下「行動規範」)を採択いたしました。 また、ICANN事務総長兼CEOまたはその指名する者に対し、 コミュニティによる当該行動規範の実装を支援するために必要なあらゆる行動を取るよう指示いたしました。 さらに、当該行動規範の運用開始から少なくとも2年経過後に、 最初の評価をICANNの支持組織および諮問委員会と調整して実施するよう、 ICANN事務総長兼CEOまたはその指名する者に指示いたしました。 最後に、当該行動規範の策定におけるコミュニティの主導、参加、指導に謝意を表し、 この新たなコミュニティ倫理ポリシーの成功は、 ICANNコミュニティのすべての参加者が当該行動規範を受け入れることにかかっている旨を確認いたしました。
7. コミュニティ・アンチハラスメント・ポリシーの改定と理事会アンチハラスメント作業部会の廃止
理事会は、 改定版の「ICANNコミュニティ・アンチハラスメント・ポリシー;通報・支援のための手続」を承認いたしました。 あわせて、所与の任務を完了した理事会アンチハラスメント作業部会を廃止いたしました(.16)。
8. エグゼクティブ・セッション:役員報酬
理事会は、ICANN事務総長兼CEOに対し、 2026会計年度(2025年7月1日から)における以下3名の役員の基本給について、 現行水準から年率3.5%を上限として調整する裁量を付与いたしました: (i) Theresa Swinehart (SVP, Global Domains and Strategy)、 (ii) John Jeffrey (General Counsel and Secretary)、 (iii) Xavier Calvez (SVP, Planning and CFO)(.17)。 また、本決議または本決議の特定項目は、人事事項に関しICANN定款第3条3.5(b)に基づき、 ICANN事務総長兼CEOが当該機密情報の開示が可能と判断するまで非公開とすることを確認いたしました。
決議事項の詳しい内容は、以下の原文をご覧ください。
Approved Resolutions | Regular Meeting of the ICANN Board | 14 September 2025
以上