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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.55【臨時号】2002.12.27 ◆
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┃◆ News & Views vol.55 です
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本臨時号では、12月16日から20日から開催されたInternet Week 2002を特集い
たします。JPNIC主催のメインプログラムを中心にご報告してまいりますので、
参加された方も参加されなかった方も、ぜひご覧ください。
なお、本号が2002年最後の発行となります。本年もご愛顧いただきありがとう
ございました。来年も情報もりだくさんでお届けしてまいりますのでどうぞよ
ろしくお願いいたします。
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┃◆ 目次
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◇ Internet Week 2002レポート ◇
【 1 】全体概要
【 2 】メインプログラム報告
◇ 1. 第3回JPNIC Open Policy Meeting
◇ 2. ドメイン名に関する最新動向
◇ 3. DNS DAY
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【 1 】全体概要
JPNIC 広報教育課 岡部ちぐさ
2002年12月16日(月)から20日(金)までの5日間にわたり、パシフィコ横浜にて
Internet Week 2002が開催されました。Internet Weekの形態になって今年で
6回目を迎え、年々12月の恒例行事として定着化してきているのは運営してい
る側として、大変うれしくまた励みになります。
ご参加いただきました皆さま、どうもありがとうございました。またこの記事
を読んで「Internet Week」がどのようなイベントかがなんとなくつかめた、
という方、ぜひ来年のInternet Week 2003にご参加ください。
では、終わったばかりでまだ湯気の出ている(?)開催報告をお送りします。
◆チュートリアルの充実
全体的な印象としては、チュートリアルが大変好評であったことが挙げられま
す。やや初心者向けのビギナーズ5セッション、一般のチュートリアルが23セッ
ションの計28セッションが行われ、うち3つのセッションが満席になりました。
セキュリティ関連はチュートリアルに限らず他のプログラムでも事前申込の段
階でほぼ満席の状態で、技術者の意識の強さを感じました。また、DNSに関す
るプログラムも昨年に引き続き大変好評でした(JPNICのメインプログラム
「DNS DAY」 については【 2 】メインプログラム報告で詳しくお伝えします)。
参加者のニーズに応えた内容のセレクトはとても難しいものですが、今回はプ
ログラム委員会が時間をかけて議論した甲斐があったのではないかと思います。
今後も皆さまに「参加してよかった」と実感していただける内容を提供してま
いりたいと思います。
なお、今回はチュートリアル資料の販売数も非常に多かったことも特徴の一つ
です。資料につきましては1月中旬にJPNICのWebサイトに掲載する予定ですの
でどうぞおたのしみに。
過去のチュートリアル資料
http://www.nic.ad.jp/ja/materials/iw/index.html
◆受付システムの一新
今年から受付システムを、ICチップ内蔵のネームカード形式に変更しました。
受付用端末をカードに近づけるとカード持参者がプログラムに申し込んでいる
かどうか、受付を済ましているかどうかなどのデータが読み取れるようになっ
ているものです。これによって名簿との照合の必要がなくなり、受付時間が短
縮されるとともにスムーズになりました。また、以前は参加プログラムごとの
ネームカードを参加者に送付してましたので、参加プログラムが多い場合は混
乱を招く元となっておりましたが、これも1枚のカードで済ませられるように
なりました。
◆無線LAN導入
今年初めて会場内に無線LANを敷設しました。従来は有線のアクセスコーナー
でしかインターネット接続ができませんでしたが、現状の接続利用状況から検
討して無線も導入しました。皆さまご利用いただけましたでしょうか。
◆来年の予告
来年は 12月1日(月)~5日(火)の5日間、同じくパシフィコ横浜にて開催する予
定です。詳細は2003年9月頃にWebやこのメールマガジンなどでお知らせいたし
ます。来年も多くの方のご参加を心よりお待ちしております。
さて総括はこの程度にとどめ、いよいよJPNICが開催した3つのプログラムの報
告に移りましょう。
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【 2 】メインプログラム報告
◇ 1. 第3回JPNIC Open Policy Meeting
JPNIC IP事業部 奥谷泉
日時:2002年12月16日(月) 9:30-17:00
参加者数:98名
JPNIC Open Policy Meetingは、参加者からのプレゼンテーションをもとにIP
アドレスの管理・運用について議論を行い、日本国内でのコンセンサスを形成
していくミーティングです。また、このミーティングでは上位組織である
APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)での状況等も紹介してい
ます。
今回のミーティングでは提案が2件、報告が4件行われ、また「IPアドレス管理
コミュニティから見たICANN改革」および「IPv6ポリシー」についてのパネル
ディスカッションも行われました。
会場からは家電等、従来のISP事業ではないサービスへのIPv6アドレスの割り
当てについて特に多くの質問やコメントが寄せられました。今後も継続してさ
まざまな方のご意見をいただくため、JPNICがワーキングループの設立を検討
してまいります。
また、LIR(Local Internet Registry)による再割り振りの実装方法や課題に
ついてはIP-USERSのメーリングリストで議論を行うことが決定し、日本のアド
レスコミュニティの皆様にポリシー実装までの過程に参加していただくことに
なりました。
今回のミーティングでIP指定事業者の業務に直接影響を及ぼす決定事項として
は以下の2点が挙げられます。
・AS情報におけるAS-IN/AS-OUTの項目の公開について
JPNICによる「第14回 APNIC Open Policy Meetingのご報告」後、APNICと
異なったポリシーでJPNICが運用していることについて議論となりました。
結論:
APNICとポリシーを合わせ、AS情報におけるAS-IN/AS-OUTの項目を登録時
には空欄とします。
・JP地域でのダウンストリームアロケーション
APNICでは2002年12月より、LIRがその配下のISPに対して割り振りを行う
ことを可能とするポリシーを適用しています。ポリシーの概要、IP指定事
業者へのアンケート結果、実装に伴う課題等がJPNICより紹介され、今後
の方向性について参加者の意見が求められました。
結論:
実装に伴う課題をIP-USERSのメーリングリストで継続議論を行い、課題が
解決したら実装します。
その他決定事項および議論の詳細につきましては以下のURLをご参照ください。
2002.12.16 JPNIC Open Policy Meeting(IW 2002)
http://www.nic.ad.jp/ja/materials/ip-users/200212/ip-users-index-2002.html
なお、ポリシーについての議論はJPNIC Open Policy Meetingのみではなく、
IP-USERSのメーリングリストでも行っています。興味のある方は是非ご登録く
ださい。
IP-USERSメーリングリスト
http://www.nic.ad.jp/ja/profile/ml.html#ip
また今後のミーティングでは、たとえば事前にプレゼンテーションを公開する
等、より多くの参加者からコメントをいただける仕組みを継続して検討してい
く予定です。
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◇ 2. ドメイン名に関する最新動向
JPNIC ドメイン名事業部 大橋徹
日時:2002年12月16日(月) 9:30-17:00
参加者数:140名
12月16日からスタートしたInternet Week 2002の初日、JPNICによるメインプ
ログラムである「ドメイン名に関する最新動向」が開催されました。朝早くか
ら多くの方に参加していただき、会場からは多くの質問が寄せられて、プログ
ラムは活気のあるものとなりました。
以下、プログラムの内容について、簡単にご紹介したいと思います。
1) ccTLDの動向
JPNICの是枝祐から、ICANNと各ccTLD管理組織との間で締結されるccTLDスポン
サ契約の形態やその契約状況についての説明が行われ、続いて株式会社日本レ
ジストリサービス(以下、JPRS)の長谷川早苗氏から「.JP」の動向として、
登録数50万件を目前にしたJPドメイン名の現状や地方公共団体向けに新設され
た「LG.JP」についての解説が行われました。
2) 国際化ドメイン名(IDN)について
JPRSの森健太郎氏および宇井隆晴氏から、IDNのプロトコルに関する議論やそ
の標準化、アプリケーションの対応、活用事例などについての説明がなされま
した。日本語JPドメイン名の登録数は全JPドメイン名の10%を占めており、会
場からの質問も、その標準化に対する期待の高さがうかがえるものでした。
★最新情報★
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12月25日にIDN WGの派生成果である、STRINGPREPがRFC 3454(Proposed
Standard)として発行されました。
http://www.ietf.org/rfc/rfc3454.txt
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3) WHOISによる情報提供
引き続いて宇井氏から、WHOISによる登録情報公開の原則と情報公開による弊
害、個人情報保護に対する社会的要請など、各国での議論や法制化の情勢を交
えての解説が行われました。各国のインターネットユーザーから利用される
WHOISだけに、情報公開および情報保護に関する国際的コンセンサスと各国の
実情とのバランスが今後の課題といえそうです。
4) ICANN改革の動向
このプログラムの前日、ICANN年次総会理事会で新付属定款の移行条項が採択
され、ICANN改革も大きなマイルストーンを迎えました。そのICANN改革の経緯
や新体制についての大橋からの説明に続いて、JPNIC IPv6担当理事の荒野高志
から、IPアドレスコミュニティから見たICANN改革に関して、地域IPアドレス
レジストリ(RIRs)からの提案内容を含めての説明がなされました。ドメイン
名の側面からインターネットを見ている人にとっては、IPアドレスの側から見
たICANNの姿に触れるよい機会でした。
5) gTLDの動向
Duane Connelly氏(PSI-Japan)によるgTLD全般の解説に続いて、Jeongjun
Seo氏(VeriSignGRS)からVeriSignのIDNに対する取り組みについて、Roland
A.LaPlante氏(Afilias)からgTLDのマーケット情勢や「.INFO」「.ORG」につ
いて、Allan Van Buhler氏(Global Name Registry)からは「.NAME」の特色
についてなどの説明がなされました。各gTLDレジストリの取り組みや着眼点の
違いにそれぞれの特色があり、比較的なじみの薄い「.NAME」については、多
くの質問が寄せられました。
6) ドメイン名紛争処理の動向
ドメイン名紛争処理の歴史やJPドメイン名紛争処理方針(JP-DRP)の現状など、
JPNIC DRP担当理事の丸山直昌からの解説に続いて、ドメイン名紛争の事例紹
介として、「IYBANK.CO.JP」事件の被告側訴訟代理人弁護士である下河邊由香
氏と、「MP3.CO.JP」事件の原告側訴訟代理人弁護士である小倉秀夫氏から、
それぞれの事件の経緯や判決に至るポイントについての解説がわかりやすく行
われました。
このプログラムは、以上のようにドメイン名に関連のあるさまざまなテーマを
取上げて行われました。JPNICでは、アンケートで寄せられたさまざまなご意
見を参考にさせていただきながら、今後もこのような情報提供の場を設けてい
きたいと思います。
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◇ 3. DNS DAY
(株)日本レジストリサービス(JPRS)
開発部 技術研究グループ 森下泰宏
日時:2002年12月19日(木) 9:30-17:00
参加者数:212名
昨年開催した「DNS meeting」は大変ご好評をいただきました。そこで本年は
プログラム名を「DNS DAY」とし、午前・午後の2部制による終日開催といた
しました。
◆午前の部(司会進行: 森下泰宏)
1) DNS関連最新トピックス
・ENUM(Telephone Number Mapping) 藤原和典氏(JPRS)
・IDN(国際化ドメイン名)
米谷嘉朗氏(NTTソフトウェア(株)/JPNIC IDN-TF)
2) DNS運用レポート
・Root DNS update 加藤朗氏(WIDE Project/東京大学)
・JP DNS update 佐藤新太氏(JPRS)
・DNS measurement 白井出氏(JPRS)
3) 活動報告
・DNSQC-TF(DNS運用健全化タスクフォース)report
石田慶樹氏(メディアエクスチェンジ(株)/JPNIC DNSQC-TF)
午前の部ではまず、DNSに関連する技術であるENUMおよびIDNについて、それぞ
れの分野の専門家の方々に発表いただきました。
ENUMについては、その背景・動機、実際のENUMで使用されるNAPTR(Naming
Authority Pointer)やDDDS(Dynamic Deledation Discovery System)に関す
る技術解説、およびENUMが実際に運用された場合にDNSに与える影響範囲につ
いて解説いただきました。
IDNについては、IDNを実現するための技術解説と標準化の現状、およびRFC発
行後に必要となる、DNSサーバの設定の並行運用の手順について解説いただき
ました。
続いてルートサーバ、JPサーバ等の重要なDNSサーバに関する技術運用レポー
トを、各サーバを管理運用されているオペレータの方々に報告いただきました。
ここでは、各サーバにおける最近のトラフィック量やその傾向の現状、今年1
月から2月にかけて起こったBIND 8.3.0によるDNS storm、10月に起こったroot
serverへのDoS攻撃、11月のJ root serverのIPアドレス変更等が話題となりま
した。
またJP DNS serverのトラフィック傾向から読み取れる各種事項、および世界
各地からみたJP DNSサーバの見え方の現状について解説いただきました。
続いて、DNSQC-TFの活動報告を行いました。本タスクフォースはJPドメインに
関するDNS運用の健全化を目的として、2002年5月にJPNIC、JPRS、WIDE
Projectの3者が共同して活動を開始したものです。
DNSQC-TFの活動内容につきましては、以下のWebページもあわせてご参照くだ
さい。
ネームサーバの適切な設定に向けて
http://www.nic.ad.jp/ja/dnsqc/
◆午後の部(司会進行: 石田慶樹氏)
1) 特集「よりよいDNS運用のために」
・DNS再入門 森下泰宏(JPRS)
・DNS設定におけるよくある間違い&DNS設定チェックリスト
伊藤高一氏((株)インターネット総合研究所)
・DNSを「きちんと」設定しよう
民田雅人氏(WIDE Project/松井証券(株))
午後の部では「よりよいDNS運用のために」と題し、DNSQC-TFの目的でもある
DNS運用の健全化に向けて、DNSの管理運用を長年にわたって経験されている専
門家の方々に、チュートリアル形式でご発表いただきました。
まず、普段何気なく行っているDNS設定が実際にどういうことを意味している
のかについて解説し、現在のDNSの運用・実装上におけるいくつかの問題につ
いて解説しました。
そのうえで、DNSを設定するにあたってのよくある間違いやチェックすべき注
意点について、Q&A形式で解説し、最後に実際にDNSサーバを設定する場合の適
切な設定方法について、実際の設定ファイル例を示しながら、具体的に解説い
ただきました。
◆まとめ
今回のDNS DAYでは、昨年のDNS meetingを大幅に上回る大変多くの方々のご参
加をいただき、午前・午後を通じて大変活発な議論・質疑応答をいただきまし
た。当日ご参加いただいた方々には、この場を借りて再度お礼を申し上げます。
今後もこのような、実際に最先端の研究や大規模サーバの運用にかかわってい
る担当者の方々と情報交換ができる機会を積極的に開設していければと考えて
います。
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