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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.353【臨時号】2006.5.12 ◆
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◆ News & Views vol.353 です
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国際的なSIP機器の相互接続イベント「SIPit18」が、初めて日本で開催されま
した。本号では、本イベントの様子をお伝えするとともに、運営に多大なるご
尽力をされたお二方からご寄稿いただきましたのでご紹介します。
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◆ SIPの相互接続イベントに寄せて ~SIPit18 開催報告~
JPNIC インターネット基盤企画部 根津智子
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2006年4月17(月)~21日(金)の5日間、東京・秋葉原コンベンションホールにて
開催した、SIP機器の相互接続イベント「SIPit18(Session Initiation
Protocol Interoperability Tests)」は、盛況のうちに閉幕いたしました。
SIPitは、SIPを実装したネットワーク機器間における相互接続性の確立を目的
とする、国際的な相互接続イベントです。このイベントの場で、参加者同士が
自社の機器を持ち寄って接続実験をすることにより、参加者はその機器の実装
を強化することができます。また、イベント全体で判明した事実や傾向をIETF
に持ち寄ることで、SIPの標準化と技術の確立を支援・推進しています。
SIPitは、今までに世界各地で17回開催されています。当初は欧米地域での開
催が主でしたが、ここ何度かは、アジア→アメリカ→ヨーロッパの順になるよ
うに、主催のSIP Forum(*1)が調整しているとのことです。18回目の今回、初
めて日本で開催する運びとなりました。70超の組織が参加し、参加者の割合と
して、アジア地域・アメリカ地域・ヨーロッパ地域がそれぞれ約3割ずつとな
り、本当にグローバルな様相を呈していました。登録締め切り後も、席のキャ
ンセル待ちが相次ぎ、SIP機器の実装に対する関心の高さがうかがわれました。
相互接続試験は、SIP Forumが用意したWikiサーバに参加者自身が行いたいテ
ストの内容をあらかじめ載せてアピールし、直接相手と交渉して実施する形態
が基本となります。こうしたSIPitならではの特徴により、参加者は実施した
いテストを自分の好きなようにアレンジできる反面、このSIPitのバックボー
ンを運営するネットワークチームには、製品になっていない機器やソフトウェ
アの通信を維持するために、大きな負担がかかることになりました。
以下に、本イベントの一番の立役者であったSIPitネットワークチームリーダー
の大江将史氏と、このSIPitに以前から参加している吉田良雄氏の所感を紹介
します。
(*1) SIP Forum:http://www.sipforum.org/
……………………………………………………………………………………………
◆SIPit18におけるネットワーク運用
VoIP/SIP相互接続検証タスクフォース副主査
国立天文台 大江将史
……………………………………………………………………………………………
SIPitにおけるネットワーク運用は、IETFなどの国際会議における運用とは異
なり、安定性が最重要視されました。この背景は、参加者間で事前に定められ
た試験スケジュールに対する障害の影響を最小限とすることが求められている
からです。SIPitでは、各参加者が用意する機器に対して、IPv6/v4グローバル
アドレスの割り当てが必要とされます。今回は、IPv4として、/22および/27、
IPv6として、/48のアドレスブロックを使用し、インターネットへの接続を提
供しました。
会期中の運用では、IDSシステム、パケットモニタリングなどを通して監視を
行い、IDPシステム、ファイアウォール、FDBフィルタなどによって、内部・外
部を問わずテストやパフォーマンスに影響を与える通信に対して、遮断を実施
しました。これらの監視と対応によって、テストに持ち込まれた機器の問題点
が顕在化する事例が、多数存在しました。たとえば、ARP(*2)パケットのストー
ムを発する機器や、通話切断に失敗し音声パケット(UDP/RTP)を送信し続ける
機器など、中にはインフラに影響を与えるものもありました。
このように、SIPitが求める要件を満たす環境を維持することには、多大な労
力を必要としましたが、各社の機材や技術協力、NOCクルーの昼夜を問わない
献身的な活動により、無事運用を終えたことに多大な感謝をしたいと思います。
(*2) ARP :Address Resolution Protocol
http://www.ietf.org/rfc/rfc826.txt
……………………………………………………………………………………………
◆国内で初開催のSIPitについての感想
エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 吉田良雄
……………………………………………………………………………………………
今回のSIPitは国内外合わせて73団体が参加しており、多くの団体との相互接
続実験を実施することができました。日本での開催であるため、国内団体から
のIPv6実装が多く持ち込まれることを期待していましたが、予想に反して少な
いのが残念でした。しかし、セキュリティについては非常に高い関心があるこ
とが認識できました。現在の商用サービスでは使用されていないTLS(*3)の実
装が徐々に増えてきており、今回のSIPitでは多くの参加機器が実装していた
ため、TLSを使った相互接続検証を実施できました。さらに、SRTP(*4)の実装
も少しずつ増えてきており、今後取り組まなければならない課題であると認識
することができました。
また、アジア企業の勢いが目立ちました。製品化を見据えた多くの実装が持ち
込まれており、かなりしっかりした実装も多く見受けられました。SIPitのよ
うに実装者の観点で多くの企業との相互接続を実施できることは、実装者の相
互接続についての意識、スキルの向上が期待でき、さらには自身の実装を相対
的に理解する場としても非常に有効なので、今後も継続的に参加していきたい
と考えています。
(*3) TLS :Transport Layer Security
http://www.ietf.org/rfc/rfc4346.txt
(*4) SRTP:Secure Real-time Transport Protocol
http://www.ietf.org/rfc/rfc3711.txt
◇ ◇ ◇
仕様は、実装され、動作し利用されなければ意味がありません。実運用を通じ、
様々な技術課題の抽出を行い、実装や標準化へのフィードバックをすることが
大変重要になります。日本でのVoIPサービスは世界でもトップクラスと言われ
ていますが、今回のイベントを通じて、まだまだ改善すべき余地があることが
わかったベンダーの方も多いのではないでしょうか。また、日本国内のSIP関
連サービス・製品の認知度をグローバルに向上させる良い機会になったのでは
ないかと思います。
下記のスポンサーをはじめとした多くの方々に、このような本イベントの精
神をご理解、ご賛同いただけたことに対し、一堂深く感謝すると共に今後もま
すます、このVoIP/SIPの相互接続の活動に力を入れていこうと決意を新たにし
ています。
参加者並びにご協力いただきました皆様に、この場を借りて厚くお礼申し上げ
ます。
◇ ◇ ◇
◆開催概要
・ 日 時 2006年4月17日(月)~21日(金)
・ 会 場 秋葉原コンベンションホール
・ 主 催 SIP Forum<http://www.sipforum.org/>
・ 日本での主催 (社)日本ネットワークインフォメーションセンター
・ 共 催 WIDEプロジェクト
VoIP/SIP相互接続検証タスクフォース
・ 後 援 総務省
社団法人 情報通信技術委員会
社団法人 テレコムサービス協会
情報通信ネットワーク産業協会
HATS推進会議
日本VoIPフォーラム
IPv6普及・高度化推進協議会
ENUMトライアルジャパン
・ 協 賛 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
沖電気工業株式会社
KDDI株式会社
シスコシステムズ株式会社
株式会社ソフトフロント
西日本電信電話株式会社
日本テレコム株式会社/ソフトバンクBB株式会社
日本電気株式会社
日本電信電話株式会社
株式会社ネットマークス
株式会社三菱総合研究所
三菱電機情報ネットワーク株式会社
東日本電信電話株式会社
株式会社フラクタリスト
フュージョン・コミュニケーションズ株式会社
ラドビジョンジャパン株式会社
・ 詳細URL http://www.nic.ad.jp/ja/sipit18/
http://www.sipit.net/
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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