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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.359【臨時号】2006.5.23 ◆
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◆ News & Views vol.359 です
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北米地域を中心としたRIRであるARINのミーティングに、JPNIC IP事業部の奥
谷泉が参加してきました。本号では、そのレポートをお届けします。
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◆ ARIN XVIIミーティングレポート
JPNIC IP事業部 奥谷泉
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年2回のARINミーティングのうち、いつもは秋のNANOGと併せて開催されるもの
に参加しているのですが、注目すべき提案がいくつか提出されていたことから、
今年はARIN単独開催の春のミーティングに参加してみることにしました。
2006年4月9日~12日、モントリオールで開催されたARIN XVIIは、ミーティング
ロゴの両脇に"Goodbye Winter"と"Bonjour le Printemps"の文字が対になって
記されており、モントリオールの特色とこの時期の気候をうまく表していたよ
うに思います。
出席者は140名と秋のミーティングとさほど変わりない印象でしたが、今回は
「IPv6におけるPIアドレス新設」の提案が大きな注目を集めており、その議論
を見届けるために出席した参加者もいたようです。これは日本国内でも別途検
討が進められていることから、JPNICとしても注目していた議論でした。
この他、IPv6アドレスにおける割り当てポリシー変更等、アジア太平洋地域
(AP地域)に関わりのある提案を含め、ARIN XVIIでの主な議論をご紹介いたし
ます。
◆IPv6アドレスの割り当てポリシー変更
この提案は、適用にあたって全RIRコミュニティによるコンセンサスを必要と
することから、AP地域と全く同じ内容の提案が行われ、ARINではコンセンサス
が得られました。
内容としてはIPv6の割り当てサイズを/48に固定せず、「ネットワークの規模
に応じて適切なサイズを分配できるよう可変的な割り当てを認めよう」という
ものです。また、提案では割り当てサイズの判断はLIRが行うとしており、こ
のポリシーが適用された場合、今よりもよりIPv4に近いかたちで割り当てが行
われる方式となります。
なお、現在のポリシーではエンドユーザーへの接続用としても認められている
/48の割り当ては、/64のアドレスブロックを65,536個収容できる規模のサイズ
あることから、参加者の多くは「すべてのネットワークに対して無条件に/48
の割り当てを認める必要はない」との見解でした。また、IPv4のように「歴史
的な経緯」による割り当てサイズの格差を防ぐためにも、「今の段階からネッ
トワークの規模に応じて割り当てサイズを定めることのできる可変的な割り当
てを行っておく必要がある」との提案者の主張にも多くの人が納得したようで
す。
なお、JPNICからは、国内では可変的な割り当てを懸念する声も出ていたこと
をコメントしましたが、ARINコミュニティによる議論を尊重すべく、参考情報
という位置付けで紹介しました。
このようなARINミーティングでの状況もご紹介のうえ、7月に開催を予定して
いる次回のJPNICオープンポリシーミーティングでは国内での議論も進めて行
きたいと思います。
原文タイトル:
Policy Proposal 2005-8: Proposal to amend ARIN IPv6 assignment and
utilisation requirement
提案者:
Thomas Narten、Lea Roberts
URL:
http://www.arin.net/policy/proposals/2005_8.html
◆IPv6におけるPIアドレスの新設
この提案はミーティングの数週間前からメーリングリストで白熱した議論が展
開されており、多くの参加者にとって議論の行方の気になる提案だったようで
す。
IPv4では認められているエンドサイトに対するPIアドレス(以下、PI)の割り当
てを、IPv6でも認めようとしたもので、ARINでは2005年秋から議論が進められ
ています。
IPv6におけるPI新設については日本でも提案を検討していることから、JPNIC
はこの度のミーティングで提案者やその他関係者と個別に話し合う機会を作
り、情報交換を行ってきました。
なお、LIRで集約せずに個々のエンドサイトへ直接アドレスの分配を行うPIの
割り当ては、割り当てを行った数だけグローバルな経路数が増えるためインター
ネットの安定性に影響を及ぼす経路増加につながるとの考えがあり、この提案
における議論の焦点も経路増加への考慮でした。
ミーティングでの議論としては、経路増加への考慮は確かに必要ではあるけれ
ど、一定の基準を満たしたネットワークに対してのみPIの割り当てを認めるこ
とにより大幅な増加は抑えられること、IPv4においてもPIを認めているが、大
きな問題にはなっていないこと、そして、IPv4においてPIを利用しているネッ
トワークはIPv6にPIが新設されないと移行できないこと等から賛成を表明する
意見が懸念を表明する意見よりも優勢でした。
結果としては、ミーティングでの参加者によるコンセンサスが確認され、通常
のARINのプロセスに従えば、このままポリシーとして適用されることがほぼ確
実な段階にあります。
しかし、その後、RIPE地域を中心とした人々よりPIの新設に懸念を示す声がグ
ローバルIPv6メーリングリストとARINのメーリングリストで表明されているた
めARINでの最終的な判断にあたってはこれらの意見がどの程度考慮されるかが、
ポイントとなりそうです。
原文タイトル:
Policy Proposal 2005-1: Provider-independent IPv6 Assignments
提案者:
Policy Proposal 2005-1:Owen DeLong、Kevin Loch
URL:
http://www.arin.net/policy/proposals/2005_1.html
◆その他
・AP地域では既にコンセンサスが得られているAS番号4バイト化への移行準備
の提案はARINでもコンセンサスが得られました。
http://www.arin.net/policy/proposals/2005_9.html
・内部のインフラ用として、割り振りアドレスとはまた別の一意のIPv6アドレ
スが必要との提案が行われ、提案自体はコンセンサスが得られませんでした
が、必要性については認知されていました。この対策として、一時期IETFで
検討が中断されていたユニークローカルIPv6ユニキャストアドレス(ULA)も
一案として出ており、検討の復活につながりそうです。
http://www.arin.net/policy/proposals/2006_2.html
◆参考情報
・ARIN XVII Public Policy Meeting Report
http://www.arin.net/meetings/minutes/ARIN_XVII/ppm.html
・次回のARINミーティング
http://www.arin.net/ARIN-XVIII/index.html
次回のミーティングは西部開拓の前進基地であったセント・ルイスで開催され
ます。NANOGと併せての開催なので日本からも参加される方がいらっしゃるか
もしれないですね。
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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