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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.371【臨時号】2006.7.28 ◆
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◆ News & Views vol.371 です
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インターネットの普及に伴い、コンピュータの所在を示す単なる識別子である
ドメイン名が、ビジネス上で価値を持つものとして扱われる機会も増えてきま
した。このような状況において、ドメイン名を先取りして、商標権を持つ人に
対して高額で転売しようとする行為などが見られるようになりました。こうし
た不正目的でのドメイン名の登録・使用により起こる紛争の解決のために、日
本ではJPNICが策定したJP-DRP(JPドメイン名紛争処理方針)に基づき、紛争処
理機関において手続きが進められています。
本号では、JPドメイン名紛争処理に関して行われたワークショップについて
JPNICインターネット推進部の高山由香利によるレポートをお届けします。
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◆ ワークショップ報告: 日本のドメイン名紛争処理手続の批判的考察
~ADRの運用に関する実証的研究~
インターネット推進部 高山由香利
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2006年7月8日(土)、京都大学百周年時計台記念館・国際交流ホールにて「日本
のドメイン名紛争処理手続の批判的考察~ADRの運用に関する実証的研究~」
と題したワークショップが開催されました。そこでは、JP-DRP(JPドメイン名
紛争処理方針)裁定例検討専門家チーム(2004年11月~2006年3月)による研究成
果(*1)が報告されましたので、概要をご紹介します。
■はじめに
日本では、ADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争処理)につい
て学問的な研究はされてきたものの、運用の研究が進んでいないという実態
があります。今回のワークショップでは、運用されているADRの実例として
JP-DRP(JPドメイン名紛争処理方針)(*2)が紹介され、その運用についての研
究内容の報告が、前述の専門家チームで活動いただいた早川吉尚氏(立教大
学教授)と横山久芳氏(学習院大学助教授)から行われました。また、コメン
テーターとして久保次三氏(鹿児島大学教授)と佐藤安信氏(東京大学教授)
が加わりました。
■裁定例の特徴
JP-DRPは、JPドメイン名の紛争処理を目的として、ICANNのUDRP(*3)をモデ
ルに制定されています。JP-DRPとUDRPは、ほぼ同様の条件で運用されている
と想像されますが、両者の裁定の勝敗率を見ると、UDRPの場合は申立通りの
裁定が出る率が8:1から7:1であるのに対し、JP-DRPの場合はほとんどのケー
スで移転・取消の申立が認められていることに気付きます。そこで、JP-DRP
は申立通りの裁定が下りやすい傾向があるのではないか、という分析に至り
ます。
■特徴を形成する要因についての考察
JP-DRPの裁定に見られる特徴について探るべく、裁定例を検討した際の考察
が発表されました。発表内容の中で印象的であった、次の2点の特徴につい
て記します。
- 類比判断
JP-DRPの適用対象となるには、申立人が同第4条a.(i)~(iii)の三項目
すべてについて申立書で主張する必要があります。(i)については、類
似性の存否の判断を必要とされ、この判断基準の置き方が結論に差をも
たらす1つの要因ではないかと思われる、との内容で報告されました。
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参考: JP ドメイン名紛争処理方針
第4条 JP ドメイン名紛争処理手続
(中略)
a. 適用対象となる紛争
第三者(以下「申立人」という)から、手続規則に従って紛争処理機
関に対し、以下の申立があったときには、登録者はこの JP ドメイン名
紛争処理手続に従うものとする。
(i) 登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有
する商標その他表示と同一または混同を引き起こすほど類似
していること
(ii) 登録者が、当該ドメイン名の登録についての権利または正当
な利益を有していないこと
(iii) 登録者の当該ドメイン名が、不正の目的で登録または使用さ
れていること
このJPドメイン名紛争処理手続において、申立人はこれら三項目のす
べてを申立書において主張しなければならない。
(下略)
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そもそもUDRPは、サイバースクワッティングのようなドメイン名の濫用
的な登録に対処すること(ミニマルアプローチ)を目的としており、裁定
の場でもそのような登録であるか否かを客観的に判断しています。対し
て、JP-DRPでは標識法の類比判断にまで踏み込んだ形で裁定が行われて
いるように見て取れる傾向があり、当初の目的と異なっている点で類比
判断の在り方を再検討する必要性が感じられます。
- 専門家アプローチ
先述の如く、UDRPはミニマルアプローチを目的に設計されています。し
たがって、それに準ずるJP-DRPも、事後的に登録者が濫用者か否かを
チェックの上、濫用度の高い使用を排除するシステムであるはずです。
ところが、JP-DRPの裁定例からは、専門家的なアプローチで裁定が行わ
れ、知的財産権を有する側の申立通りの裁定が下りやすいように見て取
れます。これは、仲裁機関が知的財産を専門にしているために起こりや
すい傾向と言えるのかもしれない、と報告されました。
この傾向については、既判力がないDRPの性質からすると、むしろ専門
家的アプローチで包括的に紛争処理が行われ裁判所に出訴する余地を残
さない方が、当事者にとって好ましいのではないかとの質問が参加者か
らありました。これに対しては、ドメイン名登録者は申立があった際に
はJP-DRPに従うものとされており、またDRPが敢えて1回きりの簡便な手
続で行えることとしている以上、ドメイン名紛争処理を目的とするDRP
はミニマルアプローチが適当であると判断できるとの回答がありました。
ドメイン名紛争では登録者が答弁書を提出してこないケースが多く、ミ
ニマルアプローチでもサイバースクワッティングなどのケースには有効
であることが説明されました。
■これからのJP-DRP
以上の考察をもとに、ADRを運用する上で検討が必要となる次の点が述べら
れ、今後のJP-DRPの在り方を考える上でも重要であることが伝えられました。
・制度設計の際に重視する特徴の確認
ADRは裁定する人によるイメージの差に裁定が影響を受けやすいため、
どのようなADRを実現しようとするのか、内部での不断の検討が必要
であること。
・パネリスト研修
ADRの趣旨を個々のパネリストやパネリスト候補者に徹底させるため
に定期的な研修の機会が必要であること。これは、ADRの当初の目的
が見失われないようにする上でも重要と考えられます。
最後の質疑応答では活発な意見交換が行われ、JP-DRPの当初の目的を再確認し
改善していくことが、日本のインターネット環境改善にとっても大切であると
考えられる、とのメッセージもいただくことができました。今後の取り組みを
考える上で非常に参考となる、大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。
(*1)JP-DRP裁定例検討最終報告書
http://www.nic.ad.jp/ja/drp/index.html#finalreport
(*2)JPドメイン名紛争処理方針
http://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-00816.html
(*3)UDRP
http://www.icann.org/dndr/udrp/policy.htm
□参考:ドメイン名紛争処理方針(DRP)
http://www.nic.ad.jp/ja/drp/index.html
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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