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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.415【臨時号】2006.12.19 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.415 です
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2006年11月5日~10日の6日間にわたり、アメリカ・サンディエゴで開催され
た第67回IETFのレポートを、本号より連載でお届けします。

まず[第1弾]として、本号では全体会議の報告をお送りします。

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◆ 第67回IETF報告 [第1弾]  全体会議報告
                           JPNIC 技術部/インターネット推進部  木村泰司
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◆概要

第67回IETFは2006年11月5日~10日、アメリカ・サンディエゴにあるSheraton
San Diego Hotel & Marinaで開かれました。サンディエゴはアメリカ西海岸の
カリフォルニア州の南部にある人口120万人程の都市で、南へ30km程行くとメ
キシコとの国境があります。町のすぐ近くにアメリカ海軍の基地があり、ダウ
ンタウンから徒歩圏内にある海沿いのマリーナパークからは、湾内に軍艦が停
泊している様子が見られます。

IETFが開かれたSheraton Hotelはダウンタウンから車で15分ほど離れた所にあ
ります。サンディエゴ空港とヨットハーバーに隣接していて眺めは良いのです
が、ショッピングセンターや飲食店はほとんど無く、また鉄道の駅が近くにあ
りません。そのためか、IETF開催中の夕方頃から夜にかけて、会場の裏手とダ
ウンタウンの中心地にあるGaslamp地区との間で、参加者のためにチャーター
されたバスが臨時運行していました。

オンラインのサービスとしては、前回と同様にミーティング参加者向けのメー
リングリストが提供されていました。更に今回は参加者が情報交換を行うため
のブログとWikiが設置されていました。メーリングリストではSheraton Hotel
のゲストルームにあるインターネット接続機器の不具合や、会場の無線LANに
関する情報交換が行われていました。

今回のIETFの参加登録者は1,199名で、41ヶ国からの参加がありました。日本
からの参加者は全体の10%強で、55%近くを占めるアメリカに次いで2番目の参
加者数です。全体の人数はここ3回程は大きな変化はないようです。

初日の11月5日(日)に各種チュートリアルとレセプションが、11月6日(月)~11
月10日(金)にWGとBoFが、8日(水)と9日(木)の夜にPlenary(全体会議)が行われ
ました。

◆IETF Operations and Administration Plenary

IETF Operations and Administration Plenaryは、IETFの運営全般に関する報
告と議論が行われる全体会議です。このPlenaryでは、NOC(Network Operation
Center)リポートやホストプレゼンテーション、IETFチェアの報告などが行わ
れました。

NOCリポートではIETF会場のネットワークの利用状況などについて報告されま
した。会場では毎回無線LANを使ったインターネットへの接続サービスが提供
されており、最近では無線チャンネルの有効利用と効率化のために、802.11a
の利用が推奨されています。IETF期間中に802.11aを利用していた端末は全体
の25%程で、前回に比べて徐々にその数が増えつつあるようです。

IETFチェアのBrian Charpenter氏からは、IASA(IETF Administrative Support
Activity)とIAD(IETF Adnimistrative Director)の活動報告が行われました。
前回の第66回IETF以降二つのWGが設立され、12のWGがクローズ、現在120程の
WGが活動しているとのことです。RFCは99出され、新規のInternet-Draftは440
程作成されたとのことです。ちなみに去年の同じ期間には100程度のRFCが出さ
れ、新しいInternet-Draftは435作成されていましたので、昨年と比べると若
干少なかった模様です。

また今回はJon Postel賞の受賞者の発表がありました。Jon Postel賞はRFCの
編纂やIANA(Internet Assigned Numbers Authority)としてIPアドレスの管理
などに貢献したJonathan B. Postel氏にちなんで1999年に設けられたもので、
技術的な貢献やリーダーシップの発揮といったコミュニティに対する継続的な
貢献のあった人物に対して贈られます。受賞者は毎年選ばれ、クリスタルグ
ローブと賞金2万ドルが贈られます。

今年の受賞者は、南カリフォルニア大学のISI(Information Sciences
Institute)におけるRFC Editorのco-leaderであったJoyce K. Reynolds氏と、
Bob Braden氏でした。Joh Postel氏より引き継いでRFCの編纂にあたり、RFCの
品質向上や現在に至るRFCの認知度向上に対する貢献が称えられました。

  □ Postel Awards
   http://www.isoc.org/awards/

会場での参加者の発言に基づいて議論を行うオープンマイクの時間には、主に
IETFで提供されてるツールに関して議論が行われていました。IETFによるツー
ルの提供は、IETFの予算の中で行われているにも関わらず、開発の際に参加者
が意見を出す機会が設けられていない、という指摘から議論が始まりました。
これについて、オープンソースにすることでノウハウがたまりやすくなる(と
同時に多くの人の考えを反映できる)、ツールの位置付けを知っているところ
でないと開発が難しいことから、事務局の契約が特定の会社に結びつきやすい
のではないか、といった意見が挙げられていました。その他にIETFの音声中継
は参加者でなくても聞くことができるが著作権の提示がないといった指摘が挙
げられていました。この件についてはIPR(Intellectual Property Rights) WG
で議論されていく模様です。

  □ IETF TOOLS
   http://tools.ietf.org/

  □ IPR(Intellectual Property Rights) WG
   http://www.ietf.org/html.charters/ipr-charter.html

◆Technical Plenary

Technical Plenaryは、IETF全体に関係した技術に関する議論を行う全体会議
です。IAB(Internet Architecture Board)のチェアレポート、IRTF(Internet
Research Task Force)の活動報告、テクニカルプレゼンテーションなどが行わ
れました。

IABのチェアレポートはIABチェアのLeslie Daigle氏によって行われました。
IABではインターネットのアーキテクチャの観点で、WGとは独立したドキュメ
ント作成を行っており、中にはRFCになっているものがあります。最近作成さ
れたドキュメントは以下の三つです。

  □ draft-iab-iwout-report-00.txt
   "Report from the IAB workshop on Unwanted Traffic March 9-10, 2006"

  □ draft-iab-multilink-subnet-issues-00.txt
   "Multilink Subnet Issues"

  □ draft-iab-net-transparent-00.txt
  "Reflections on Internet Transparency"

はじめのInternet-Draftは、2006年3月に行われた"IAB Unwanted Traffic
Workshop"の報告です。Technical Plenaryの後半でサマリー報告も行われまし
た。質疑応答の際のLeslie Daigle氏の補足によると、このワークショップは
主に(コミュニティの)意識向上を図ることが目的であったようです。

インターネットの利用者に対する脅威はCode RedやBlasterワームが流行した
2001年~2003年頃に比べて深刻になりつつあります。ワークショップでは"ア
ンダーグランドエコノミーの発展"を主な要因と位置づけ、現状の問題を明文
化して今後の活動の方向性を探るための議論が行われた模様です。

あるWebサイトではクレジットカード情報や銀行口座に加えて、ISPで稼動して
いるルータのアカウントやボットネットが売り買いされています。このような
経済活動の結果、スパムメールやDDoS攻撃といった"Unwanted Traffic"を生み
出す基盤が維持され、またマルウェア(不正な挙動をするソフトウェア)の発達
を促すような競争が行われている、と言われています。一方でさまざまなデー
タが全てHTTPの中でやりとりされていたり不正行為を隠すためのIPアドレスの
詐称や、インターネットの経路広告の交換をハイジャックできてしまうことな
ど、"Unwanted Traffic"を止められない現状が指摘されています。

これに対して、中長期的な対策と短期的にできる活動が挙げられていました。
中長期的には、まずルーティングのセキュリティ向上を図る点が挙げられてい
ました。そのため、IRR(Internet Routing Registry)の登録情報をクリーン
アップして、経路情報の検証ができるようにすることが必要だと指摘されてい
ました。次にボットネットを止めること、そしてTCPのMD5オプションやパケッ
トフィルタリングのBCP(Best Current Practice)といった既存の技術の普及を
図ること、といった提案がなされていました。

短期的にできることとしては、既にRFCになっているhost requirement、route
requirement、ingress filteringに関するドキュメントを更新することや、
IABによる啓発活動、IRTFにおける効果的な対策に関する調査などが挙げられ
ていました。Security Area DirectorのSam Hartman氏によると、このワーク
ショップのリポートは興味深く、一読することが薦められていました。

  □"Report from the IAB workshop on Unwanted Traffic March 9-10, 2006"
   http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-iab-iwout-report-00.txt

Technical Plenaryの後半では、IABのInternet-Draftである"Reflections on
Internet Transparency"とIAB Routing and Addressing Workshopの報告が行
われました。

  □ Reflections on Internet Transparency
  http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-iab-net-transparent-01.txt

このドキュメントはインターネットの原則的な考え方である「透過性」に関す
るもので、これまでのIABの見解を見直し、新たな透過性の考え方に関する議
論を紹介したものです。プレゼンテーションでは、TCP/IPの階層モデルの中
で、様々なプロトコルが透過性に影響する要素を持っているという点が紹介さ
れていました。

IAB Routing and Addressing Workshopは、2006年10月18日にオランダのアム
ステルダムで開かれたもので、近年の経路情報の増大にどのように対処すべき
かについて、主にバックボーンオペレーターを対象として行われたものです。
現在、Tier-1レベルのISPでは交換されている経路情報が20万経路に達してい
るという報告があります。もし現在のままIPv6とのdual stack(IPv4とIPv6を
同時に使える構成)にすると50万経路に達するという予測が立っており、イン
ターネットのアーキテクチャとしては規模拡張性に欠けるのではないか、と指
摘されています。会場では現在最も普及しているBGPにこだわらず、この問題
を解決するための議論を行うBoFを今後開くことの提案がありました。試しに
会場で挙手をしてもらったところ、多くの人が賛成に手を挙げていました。そ
の他にIPv6は今後様子を見ながら検証すべき、(ルーティングにおける)セキュ
リティに関する議論も必要である、といった意見が挙げられていました。

  □ The IAB Workshop on Routing and Addressing
  http://www.iab.org/about/workshops/routingandaddressing/index.html

このワークショップは第53回RIPEミーティングの後、同じアムステルダムで行
われていました。今後も、ISPのコミュニティとIETFのコミュニティの情報交
換が進んでいくと思われます。

       ◆        ◆        ◆

次回の第68回IETFは、2007年3月18日~23日、チェコ共和国のプラハで開かれ
る予定です。


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