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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.417【臨時号】2006.12.21 ◆
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◆ News & Views vol.417 です
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本号では、vol.415、vol.416に引き続き、第67回IETFのレポート[第3弾] とし
て、IPv6関連WGの動向についてお届けします。
□第67回IETF報告 特集
○[第1弾] 全体会議報告 (vol.415)
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol415.html
○[第2弾] DNS関連WG報告 (vol.416)
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol416.html
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◆ 第67回IETF報告 [第3弾] IPv6関連WG報告
JPNIC IPアドレス検討委員会メンバー/
NTT情報流通プラットフォーム研究所
藤崎智宏
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2006年11月5日(日)から11月10日(金)まで、アメリカのサンディエゴにて、第
67回IETFミーティングが開催されました。
本稿では、IPv6に関連したトピックスとして、v6ops、shim6 の各ワーキング
グループ(以下、WG)の動向について紹介します。
◆v6ops WG (IPv6 Operations WG)
IPv6のデプロイメントに関する話題を扱うv6ops WGのミーティングは、11月6
日(月)の午前、9:00~11:30という、ミーティング初日の朝一番の枠で開催さ
れました。当初、ミーティング会場として小さめの部屋が予定されていたので
すが、開始直後に部屋がいっぱいになり、急遽別の広い部屋で実施していた別
のWGミーティングと部屋を入れ替えるという、IETFでも珍しい事態となりまし
た(参加人数を予測して部屋を割り振っているはずなのですが)。最終的には、
150名程度という多くの参加者によって、議論が実施されています。
まず、会場から、NAT-PTの後継プロトコルについての提案がありました。IPv6
とIPv4間のプロトコル変換を実施するNAT-PT(RFC2766)は、運用上・セキュリ
ティ上の問題の多さから、その文書のステータスをHistoricに変更することに
なっています(当初、Experimentalステータスにしよう、ということになって
いましたが、IETFの文書ステータスの関係から、Proposed Standard ステータ
スからはExperimentalステータスへの移行ができないため、Historicにする方
向で検討が進んでいます)。
NAT-PTに関する問題は、draft-ietf-v6ops-natpt-to-exprmntl-03.txtに詳述
されています。しかしながら、IMSネットワークでのアドレス変換の必要性が
あるとの意見があり、再度提案/議論が実施される予定になっています。
この後、RFC化に向けた、ラストコール(WGLC:Working Group Last Call)を目
指す五つのWGドキュメントのレビューと、WGとして取り組んでいる二つのト
ピックについての議論がありました。
レビューされたドキュメントは、以下の五つです。
- 802.16ネットワーク(WiMAX等)におけるIPv6デプロイメントシナリオ
(draft-ietf-v6ops-802-16-deployment-scenarios)
- IPsecを用いた、IPv6トンネルのセキュア化
(draft-ietf-v6ops-ipsec-tunnels)
- IPv6ユニキャストアドレス割り当て
(draft-ietf-v6ops-addcon)
- キャンパスネットワークにおけるIPv6移行シナリオ
(draft-ietf-v6ops-campus-transition)
- IPv6におけるポートスキャン
(draft-ietf-v6ops-scanning-implications)
これらのドキュメントは、関連WGへの意見照会後に、WGLCへと進むことになっ
ています。
これらのドキュメントについての議論に続いて、IPv6ネットワークのリナンバ
リングについてと、複数アドレス選択に関するドラフトについて、議論されま
した。
後者は、NTTとIntec Netcoreの共同提案です。IPv6ノードは同時に複数のIPv6
アドレスを持つことがあります。このような環境で通信を開始する際、一つの
アドレスを選択する必要がありますが、アドレスの選択を間違えると通信がで
きない可能性があります。そこで正しいアドレスを選択するためのアドレス選
択ポリシーを、ノードに提供できるようにしよう、というものです。v6ops WG
として取り組みを進めていくことが合意され、今後、アドレス選択の手法を含
めて議論が実施されることになっています。
v6opsの文書についての議論が終わった後、オープンな議論として、IPv6のマ
ルチホーミングについての議論が実施されました。今回は、特に、ルーティン
グの観点からの問題提起として、現状、IPv4ネットワークはマルチホーム関連
の経路情報の多さが問題になっていますが、IPv6も同じ方向に進み始めている
ことが指摘されました。この問題は、IETFのプレナリセッションでも提起され
ており、今後、解決に向けての議論が加速されそうです。
□v6ops WG
http://www.ietf.org/html.charters/v6ops-charter.html
http://www.6bone.net/v6ops/
□第67回IETF v6ops WGのアジェンダ
http://www3.ietf.org/proceedings/06nov/agenda/v6ops.txt
◆shim6 WG (Site Multihoming by IPv6 Intermediation WG)
shim6 WGは、従来のルーティングによるマルチホームではなく、エンドホスト
間でのインタラクションによって、IPv6におけるマルチホームを実現するプロ
トコルを策定するWGです。今回のセッションでの主なトピックは、基本スペッ
クのWGLCと実装状況の紹介等でした。
基本スペックは、下記の三つのドキュメントから構成されており、プロトコル
自体を記述したものと、ハッシュを用いてアドレス情報を安全に交換するHBA
という方式について記述したもの、そして通信障害検出とアドレスペア選択の
方式を記述したもの、となっています
1. Level 3 multi-homing shim protocol
2. Hash Based Addresses (HBA)
3. Failure Detection and Locator Pair Exploration Protocol
for IPv6 multi-homing
いくつかの小さな問題に関するディスカッションがありましたが、結局ドキュ
メントのレビューワーが少なく、その場ではWGLCには至らず、メーリングリス
トで継続審議ということになりました。
基本スペック以外のいくつかの提案について更新状況を紹介した後、ソウル大
学とETRI(韓国電子通信研究院)が共同で進めている実装の進捗状況について発
表がありました。OSはLinuxで、現在はユーザーランドのデーモンとして実装
を進めているとのことでした。他にも全部で四つ程進行している実装はあるよ
うですが、まだ基本スペックの実装が完了しているものは無いようです。
最後に、WGのネクストステップとしては、基本スペックをIESGに提出し、次の
IETF68ではセッションを持たず、IETF69にて実装から得られた知見等も含めて
基本スペックや拡張モジュールの検討を行ってはどうか、という提案がチェア
からなされました。
一時はIETF全体から多くの注目を集めていたshim6 WGですが、メーリングリス
トや今回のセッションでもあまり多くのレビューワーを集められないという状
況になっているようです。トラフィックエンジニアリングに対するオペレー
ターからの要求に応えられていないことや、IPv6でもPIアドレスが利用可能に
なったことから、興味関心を無くしてしまった人が少なからずいるように思わ
れます。
□shim6 WG
http://www.ietf.org/html.charters/shim6-charter.html
□第67回IETF shim6 WGミーティングのアジェンダ
http://www.ietf.org/proceedings/06nov/agenda/shim6.txt
◆intarea meeting (Internet Area Open Meeting)
Intareaのミーティングでは、Internetエリアの各WGのトピックの紹介や、ど
のWGにも属さないトピック、またエリア全体のトピック等が扱われます。今回
は、認証関連のトピックや、アドレス詐称の防止などについて議論が実施され
ました。
IPv6には直接は関係ありませんが、このミーティングの最後の話題として
Geoff Huston氏より、インターネットにおける「名前」についてのプレゼン
テーションが実施されました。DNSをはじめとして、インターネット上ではい
ろいろな「名前」が定義され、それぞれの層(インターネットのプロトコル階
層)での「アドレス」とのマッピングが実施されています。IPアドレスについ
ても、IPアドレスそのものに意味を持たせようという提案や、IPアドレスの持
つ位置特定機能と、ノードの識別子としての機能を明確に分離する提案などが
現在も議論されています。また、マッピングも、同じ目的のマッピングが違う
階層で実施されていたり(モバイルIPとshim6、HIP など)等、統一性が無く、
プロトコルも百花繚乱となってしまっています。
特に提案や結論のあるプレゼンテーションではなかったのですが、インター
ネットの利用に大きく関わってくる、「名前」のあり方について、今後検討を
進めていく必要があると感じました。
□第67回IETF intareaミーティングのアジェンダ
http://www.ietf.org/proceedings/07nov/agenda/intarea.txt
第67回IETFミーティングの各種情報は、以下のURLより参照可能です。
全体プログラム
https://datatracker.ietf.org/public/meeting_agenda_html.cgi?meeting_num=67
WGアジェンダ、発表資料
https://datatracker.ietf.org/public/meeting_materials.cgi?meeting_num=67
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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