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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.436【臨時号】2007.3.28 ◆
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◆ News & Views vol.436 です
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2007年3月18日~23日の6日間にわたり、チェコのプラハで開催された第68回
IETFのレポートを、本号より連載でお届けします。
まず[第1弾]として、本号では全体会議の報告をお送りします。
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◆ 第68回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告
JPNIC IPアドレス検討委員会メンバー 廣海緑里
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◆概要
毎日摂氏0度を行ったり来たり、寒風吹きすさび、3日目の夜にはみぞれも降る
など、暖冬の東京でぬくぬくすることを覚えた体にはちょっぴり厳しいプラハ
が開催地となったIETF68の「全体会議」についてレポートします。
中世の町並みを残す旧市街や新市街からも外れ、ビジネス街を抜けた静かな区
域に位置するヒルトン・プラハを会場に、1,000名以上の研究者やオペレー
ターが参加して熱い議論が交わされました。
会期 :2007年3月18日~23日
会場 :Hilton Plague(Czech Republic)
参加費 :600USD(Early Bird Registration)
750USD(Regular Registration)
セッション数:112(Tutorial、Training、Plenary sessionを除くWGやBoF
セッション数)
ホスト :NeuStar社
参加登録者数:1,129(前回より135人減)
参加国数 :45(前回より9カ国増。US、JPが2強は変わらず)
相変わらず、来る日も来る日もたくさんのセッションがあり、当然ながら全て
の議事進行は英語なので、時差ぼけと戦いながらの議論参加となります。しか
し、最先端の技術動向がわかること、そして、それに参加できることは、非常
に喜ばしいことです。
今回、Operation and Management Area Open Meetingでは、通常WGになる前の
BoFのさらに前段階の状況を含む、mini-BoFがいくつか開催され、データモデ
ルの提示やそれに基づくオペレーションやマネージメント手法への展開論など
が議論されました。また、“Harnessing IP for Critical Communications
Using Precedence (HICCUP)”というタイトルで、Ad-HOC meeting の呼びかけ
などもされていました。
このような公式、非公式な意見交換から、新しい技術が生まれるのを実感でき
ることも参加する意義の一つと言えます。
◆ IETF Operations and Administration Plenary
いつも通り、Operations and Administration Plenaryは、4日目の夜(3月21
日、17:00-19:30)に行われました。
会期中は、IPv4/IPv6のコネクティビティの他、jabber、wiki、参加者用メー
リングリスト、tools-webといった付帯サービスも提供されます。毎回その運
用に携わる人達が新しく組織されますが、今回はホストをNeuStar社、協力組
織CZ.nic & CESNET、スポンサーDial Telecom社、NOC-NW運営VeriLAN社、会議
運営NeuStar Secretariat Servicesという体制で実施されました。
参加者への接続は、無線LAN(802.11a/b/g+802.1X)で提供され、運用状況の詳
細はNOCレポートとして、プレナリセッションで報告されます。1フロアでも広
大な会場を4フロアで利用できるように多数のアクセスポイントを設置し、初
日はトラブルシュートなども大変だったようです。
ホストを務めたNeuStar社からは、HOST Presentationがあり、会議運営で利用
されたNeuStar Secretariat Servicesのサービスが紹介されましたが、今やイ
ンターネットへのコネクティビティだけではなく、会議運営のためのファシリ
ティサービスへのIP技術の利用も当たり前のようになっているのだということ
をあらためて認識しました。
今回のIETFでは、NomCom(Nomination Committee)の選出結果の発表がありまし
た。IETFチェアは、Braian Carpenter氏から、Russ Housley氏に交代となりま
した。また、IABチェアも、Leslie Daigle氏からOlaf Kolkman氏に交代となり
ます。Russ Housley氏からの所信表明は、先代チェアの功績を時にジョークを
交えながら讃え、見習いながらリーダーシップを発揮するというもので、これ
からの活躍に期待が持てます。
Olaf Kolman氏は「Bertを連れている人(*)」というとおなじみかもしれませ
ん。
(*)Bert meets the Stars
http://bert.secret-wg.org/Stars/
前回のIETF67からの活動として、新設されたWGが3、終わったWGが6で、現在合
計120ものWGが活動中であることが報告されました。また、441もの新しいドラ
フトが提出されており、更新も1,020もあったそうです。そのうち、IETF Last
Call にあるものが119、スタンダード/BCPトラックとして認められたものが67
とのことでした。RFCとなったものは、95文書あり、キューもわずかに減って
きているそうです。2006年の1年間で459の文書がRFCになっています。
IANAの活動報告では、IETF関係では1,160のリクエスト(796のprivate
enterprise number申請、81のport申請、16のMIME type申請)処理があったこ
とや、300を超える文書のレビューがあったこと、平行してIAOC/IETF trust
actionに従った契約が完了したことが報告されました。
定常業務発表の後は、前回発表のあった「Routing and Addressing」について
の状況報告と議論がありました。
まず、問題意識の共有として、現在までの技術の発展、展開の末、scaling/
trans-parency/multihoming/renumbering/provider independence/traffic
engneering/IPv6 impactについて対処する必要性が説明されました。これは、
前回のIETF67でも発表されていた事柄ですが、その後もIABでは、オペレー
ターグループやレジストリの会合に参加してワークショップを開き、議論する
など活動を続けており、これらの活動成果についてのレポートも作成されてい
ます。結果として、新しいアーキテクチャの検討を開始することになり、メー
リングリスト(ram@iab.org)では活発な議論が繰り広げられています。
プレナリでの結論として、IABから、RoutingとAddressing 問題について、
(1)IETFの役目として、ベンダー、ユーザー、オペレーターを巻き込んだ問題
分析のオープンな議論の場を提供し、解決策をみつけ、対策すること。
(2)技術的には、短期的にはBGPなどのプロトコルに手を入れることのサポート
と、長期的な視点でアーキテクチャの再考を行うこと。
(3)付帯する事項に対する継続的な議論の継続を行っていくこと
が提示されました。
会場の参加者からは、「セキュリティも考慮したアーキテクチャを議論した方
がよい」、「市場や製造など経済的な事情は考慮しない点についての異論」
や、「新しいビジネスの可能性もある程度考慮すべし」、「IDとロケータを分
離しない方がいいのでは」といったさまざまな意見が出ていました。
IABからの提案を受けて、今回のIETFでは、プレナリセッションでの全体発表
の他、Internet AreaでのROuting & Addressing Problem discussion(ROAP)、
Routing AreaでのBGP tableの増大対策に焦点をあてた議論、Routing
Research Group での議論といったように個別の議論も行われました。
- IAB Report(http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-iab-raws-report-01.txt)
- summary
- RAM mailing list(https://www1.ietf.org/mailman/listinfo/ram)
- IETF Agenda&Materials(https://datatracker.ietf.org/public/meeting_materials.cgi?meeting_num=68)
◆ IETF Technical Plenary
最後にTechnical Plenaryですが、これも通例の5日目の夜(2007年3月22日、
17:00-19:30)に行われました。
「IAB update」では、新しいチェアであるOraf氏の紹介がありました。IABか
ら提出されている文書について、前述のRouting&Addressing Workshopのレ
ポートの他、前回のIETFで発表があった“ネットの透過性”や“Unwanted
Traffic”に関するレポートが発行間近であることの紹介がありました。発行
されたものとしては、RFC作成に関してのガイドなどの他に、マルチリンク・
サブネットに関するものがあります。
- transparency(draft-iab-net-transparent-04.txt)
- Unwanted Traffic(draft-iab-iwout-report-03.txt)
- Multilink Subnet Issues(draft-iab-multilink-subnet-issues-03.txt)
「IRTF Report」は、IRTFチェアのAaron Falk氏から、各リサーチグループの
最新動向の発表がありました。特記事項としては、Anti-Spam-RGでDNSをベー
スにしたブラックリストやspamの管理といったトピックスで活発な議論が見ら
れることや、Internet-Measurement-RGで、10月4日にワークショップを計画中
であることなどがありました。
続いて、Network-Management-RGのAiko Pras氏から、2006年10月に行われた
ワークショップの報告がありました。ワークショップでは、あらためて、現状
行われているマネージメントモデルの理解や、分散環境でのマネージメントな
ど難しい点の確認がなされたそうです。こうしたワークショップで得られた見
解は、文書化され、広く共有すべく現在準備中だそうです。
「Technical Discussion」では、“Internationalization Technical
Discussion”と銘打って、国際化についてのパネルディスカッション形式で実
施され、IABチェアのLeslie Daigle氏をモデレータに、Ted Hardie氏、
John Klensin氏、Xiaodong Lee氏、Patrik Faltstrom氏、Pete Resnick氏と
いった英語を母国語としない人がパネラーとなって、議論が進められました。
議論に先だって、ASCIIコードからUnicodeの登場、そしてUnicodeの拡張にい
たる多言語化の過程の説明があり、そうした多言語化の努力の一方で、プロト
コルのデータ形式は依然としてASCIIとなっているものが少なくないことなど
の問題点の指摘がありました。例えば、「Latin Small Letter A with
Diaeresis(ISO-646-SEの"0x7B")」(aの上に点が二つ付いたもの)というキャラ
クターについて、ASCII/ISO-646-SE/Unicode/UTF-8/UTF-16/UTF-32/XHTMLなど
での表現形式はどうなっているのかを例にした解説と、たくさんの表現形式が
生み出す混乱についての説明がありました。
Ted Hardie氏のIETFにおける国際化のプレゼンテーションでは、人間の理解の
仕方という観点からの解説になっており、認識や検索といった目的に対する
キャラクターの果たす役割は興味深い話でした。
最後に、現在の多言語化における問題意識を埋めるものとして、IDNAとして新
しい体系を作る活動が紹介されました。
- General mailing list(discuss@apps.ietf.org)
- IDNAbis mailing list(idna-update@alvestrand.no)
◆ おまけ
Social Eventは、slavonic island に建つ、「the Zofin Palace」という
neo-Renaissance様式の建物を貸し切って、traditional Bohemia料理がふるま
われたそうで、かなり盛況のうちにお開きとなったようです。その後の、参加
者メーリングリストでは、「素晴らしかった」というメールが多数飛び交って
いました。
以前に開催してから既に10年以上経っている上、急速に国内情勢も変わりつつ
ある見知らぬ東欧圏のプラハという事情からか、IETF68参加者メーリングリス
トは、プラハの現地情報や現地における生活の知恵などの情報交換で大活躍し
ていました。電子メールによるコミュニケーションは、依然重要なのだなぁと
認識させられました。
5日目の夜には、セッション(と各々食事)の後に、有志で、標準化の苦労話や
各国での技術展開への希望などを分かち合う集まりが恒例で行われています。
飲み物や食べ物を持ち寄って、深夜まで旧交が暖められていました。IETFで
は、大真面目な議論ばかりではなく、このようなくだけた雰囲気の
「extended BoF」も開催されます。
次回のIETF69は、2007年7月22日から27日まで、米国イリノイ州シカゴで、モ
トローラ社がメインホストで開催される予定です。
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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