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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.758【臨時号】2010.7.2 ◆
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◆ News & Views vol.758 です
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2010年6月に米国カリフォルニア州で、Google社主催の「Google IPv6
Implementors Conference 2010」が開催されました。本号では、IPv6導入経
験などを共有する本イベントで発表を行った、ソフトバンクBB株式会社
山西正人氏による「カンファレンス全体概要報告」をお送りします。

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◆ Google IPv6 Implementors Conference 2010報告
                                       ソフトバンクBB株式会社 山西正人
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2010年6月10日、11日の2日間、米国カリフォルニア州マウンテンビューにあ
るGoogle本社にて、「Google IPv6 Implementors Conference 2010」が開催
されました。

本カンファレンスは、IPv6導入(製品への実装だけではなくネットワークや
サービスへの導入も含む)経験を共有することを目的に、Google社が主催し
て2008年から毎年行われています。今年はVint Cerf氏からのビデオメッセー
ジで幕開けとなりました。

参加者は約170名、うち米国からが8割程度、ヨーロッパからが2割弱、日本
からは10名強でした。また東日本電信電話株式会社(NTT東日本) 水越一郎氏、
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)松崎吉伸氏、NECビッグローブ
株式会社 川村聖一氏、筆者の4名が発表を行いました。

過去2回のカンファレンスでは、IPv6実装技術全般および欧米アクセス系ISP
におけるIPv6への取り組み紹介がメインでしたが、今年は、

  (1)コンテンツプロバイダーやCDN(Contents Delivery Network)における
     IPv6導入状況
  (2)携帯電話におけるIPv6実装状況
  (3)ホームネットワーク内のIPv6実装技術

が紹介されたことが大きな特徴です。本稿では上記3点に、

  (4)アクセス系ISPにおけるIPv6導入状況

を加えた4点について、簡単ですがご紹介させていただきたいと思います。

(1)コンテンツプロバイダーやCDNにおけるIPv6導入状況

Google社、Yahoo!社、Facebook社、Limelight Networks社から発表があり、

  (a)既知の問題(パフォーマンス、コスト、レイヤ4ポート番号の不足、
     abuse対応)に加えて、Geo-location(クライアント側IPアドレスなどを
     元に位置情報を特定する技術)の精度が低下することもCGN(Carrier
     Grade NAT)の大きな問題であること

  (b)サーバ側のコードすべてをIPv6対応にすることが困難な場合には、ま
     ず負荷分散装置、リバースプロキシー、CDNなどのフロントエンドを
     IPv6対応させる手法も有効であること

  (c)Google社およびYahoo!社ではIPv6への対応が不充分なユーザーへの対
     策としてDNS Whitelistingを使っていること

が紹介されました。

またNECビッグローブの川村氏からも、同社ポータルサイトおよびホスティ
ングサービスにおけるIPv6導入時の経験について発表があり、ルータ、負荷
分散装置、監視ソフトの間で仕様整合性が一部取れていないこと、クライア
ントソフトやクライアント側ネットワークに依然として問題が隠れているこ
と、運用ツール(監視ソフトや各種解析ツール)でのIPv6対応が遅れているこ
とが指摘されました。

この中で特筆すべきは、「DNS Whitelisting」の採用です。一般にクライア
ントとサーバがIPv6を使って通信するかは、クライアントがDNSのAAAAレコー
ドに対する問い合わせを行い、かつサーバ側のDNSがそのAAAAレコードに
IPv6アドレスを返すかどうかで決まります。しかしこのDNS問い合わせは現
時点では、IPv6ではなくIPv4パケットを使って行われているため、実際には
IPv6での到達性が無かったり、不十分なクライアントであったりしてもAAAA
レコードに対する回答を得ることができます。そのようなクライアントが、
一つのFQDNにIPv4/IPv6双方のアドレスを持っているサーバにアクセスする
と、IPv4に通信がフォールバックするまで数分待たされたり、タイムアウト
してアクセスできなくなったりする問題が起きます。

Google社やYahoo!社での実測値によると、この問題は約0.05~0.1%のユーザー
に発生しているようです。DNS Whitelistingはこの問題を防止するための手
法で、IPv6対応を行っていると確認できたISPのDNSサーバからAAAAレコード
問い合わせを受けた場合のみ、サーバのIPv6アドレスを返すようサーバ側
DNSを設定します。本手法は確かに有効ではありますが、「IPv6に伴う諸問
題を先送りにしているに過ぎない」「原因はホームネットワーク内にあるこ
とも多く、ISPがIPv6に対応してもそれらは問題として残る」「ISPがIPv6対
応したときに、DNS Whitelistingを採用しているコンテンツプロバイダーす
べてに連絡することは運用上困難」との議論も行われました。なおIPv6対応
したISPからコンテンツプロバイダーへの連絡に関しては、DNSの逆引きの
TXTレコードに特定文字列を登録するという手法が、Google社から提案され
ました。

またIIJの松崎氏からは、IPv6インターネットへの到達性が不十分なクライ
アントの一例として、IPv4の場合と同様にPath MTU Discoveryがうまく働い
ていないケースが紹介され、対策としては

  (a)CPE(Customer Premises Equipment)からRA(Router Advertisement)を
     使ってMTU(Maximum Transmission Unit)サイズを各ホストに通知する
     こと

  (b)IPv4の場合と同様、CPEにMSS(Maximum Segment Size)hackを実装する
     ことのいずれかが有効であること

が述べられました。

(2)携帯電話におけるIPv6実装状況

Nokia Siemens Networks社、T-Mobile社、Verizon Wireless社、go6.si、
Ericsson社から、携帯電話におけるIPv6への移行動機および現在の実装状況
について発表がありました。

IPv6への移行動機については、

  (a)携帯電話事業者においては以前からNAT44の利用が一般的であるが、
     NAT内部のプライベートアドレスが不足するため、プライベートネッ
     トワークを複数に分割するようになっており(Verizon Wireless社の場
     合、40以上に分割)その運用負荷が大きいこと

  (b)データ通信の利用率向上やプッシュ型アプリケーションの普及により
     NAT44を使ってもIPv4グローバルアドレスが不足しそうなこと

  (c)プッシュ型アプリケーションではNAT対策としてTCPセッションを長時
     間保持することが行われているが、これが端末の電池を浪費する原因
     になっていること

が挙げられていました。

次に現在の実装状況については、3GPP(Third Generation Partnership
Project)での標準化状況や各社製品の実装状況の紹介に加えて、go6.siおよ
びEricsson社から米国の携帯事業者網(=IPv6未対応)にローミングしている
携帯端末に、ホーム網側からIPv6アドレスを割り当て、通信を行うという大
変興味深いデモも行われました。

(3)CPE&ホームネットワークにおけるIPv6実装状況

Cisco社、Arris社、Iskatel社、D-Link社から標準化動向、各社製品の実装
状況が紹介されました。その中でも、ホームネットワークに対して複数アッ
プストリームがある構成(マルチホーム)や複数プリフィクスが割り当てられ
る構成(マルチプリフィクス)における、CPEに求められる機能について多く
の時間が割かれ、「各アップストリームから到達できるサービスや機能に基
づいて、アップストリームやプリフィクスを使い分ける機能が必要」「セキュ
リティポリシーとの連動も必要」「追加機能を実装していないCPE との互換
性確保も重要」との指摘がありました。日本でもフレッツ光ネクスト上での
IPv6インターネット接続は、まさに上記の構成にあたるため、非常に興味深
い議論でした。

また携帯電話端末がホームネットワークのゲートウェイとしても機能してい
る構成が、他の発表を含めて何度か紹介され、ホームネットワークの典型的
な構成例の一つとなっていくであろうことを予感させました。

(4)アクセス系ISPにおけるIPv6導入状況

Comcast社、AT&T社、NTT東日本、ソフトバンクBB株式会社からIPv6の導入状
況および今後のロードマップについて紹介がありました。

Comcast社からは、今年1月から6rd(IPv6 rapid deployment)、デュアルスタッ
ク、DS-Liteを使ったトライアルを開始し、5,400人のボランティアが参加し
ていること、デュアルスタックは地域限定だが、他のソリューションの場合
は地域に対する制限は無いとのことでした。

またAT&T社からは、6rdを使ってIPv6サービスを提供予定であること、ネッ
トワークアドレスを固定で割り当てる企業向けサービスと組み合わせるため
には、現在の6rdの仕様では足りないこと、6rdを実装できないCPEを交換す
る費用やVoIPやIPTVなどのサービスをIPv6対応させていくためのコスト捻出
が難しいこと、が紹介されました。

NTT東日本の水越氏からは、フレッツ光ネクストの概要、その上でのIPv6イ
ンターネット接続サービス形態として案2(トンネル方式)と案4(ネイティブ
方式)が進められていること、フレッツ光ネクスト上ではIPTVサービスに
IPv6を使っており、ピーク時にはトラフィックが50Gbpsに達していることが
紹介されました。

筆者からは、ソフトバンクBB株ではADSLやフレッツユーザーに対しては6rd
を用いてIPv6サービスを順次提供し始めていること、フレッツ光ネクストユー
ザーに対しては、案4を用いて2011年春から提供予定であることを説明させ
ていただきました。

最後は主催者Google社からの「できればIPv6 Implementors Conferenceは来
年で終わりにしたい(再来年にはIPv6が当たり前になっていて欲しい)」との
冗談本気半々の挨拶で、2日間にわたった本カンファレンスは終了しました。

なお、各プレゼンテーション資料および大半のプレゼンテーションビデオが、
下記URLに掲載されていますので、ご参照ください。

□Google IPv6 Implementors Conference 2010 Agenda 
  http://sites.google.com/site/ipv6implementors/2010/agenda


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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