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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.785【臨時号】2010.9.30 ◆
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◆ News & Views vol.785 です
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現在ICANNで検討が進められている新gTLDの追加導入に併せて、RRDRPと呼ば
れる新しい紛争解決の仕組みが導入されます。

RRDRPは通常のgTLDを対象としたものではなく、今回新しく導入されるコミュ
ニティベースgTLDというやや特殊なgTLDを対象としているため、普通の方が
耳にすることはあまり無いかもしれません。

本号では、このRRDRPが作られた経緯とその仕組み、またRRDRPの適用対象と
なるコミュニティベースgTLDについて解説します。

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◆ レジストリ制限事項に関する紛争解決手続き(Registry Restriction
   Dispute Resolution Procedure; RRDRP)について
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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■本稿執筆の背景

RRDRP(レジストリ制限事項に関する紛争解決手続き)については、ICANN報告
会などにおいても、今まで明示的には取り上げてきませんでした。というの
もこの仕組みが「コミュニティベースgTLD」を対象としたもので、影響の範
囲も比較的限定的されていると考えられたためです。しかしながら、取り上
げずにいれば、今後も本手続きに関する情報が十分提供されないままとなっ
てしまうため、今回、テーマとして取り上げることとしました。


■RRDRPとは

次のgTLD募集ラウンドで募集されることになる、いわゆる新gTLDの申請受け
付け開始が、スケジュールは確定はしていないものの、近づいてきていると
見られています。

RRDRPとは、新gTLDのうちコミュニティベースgTLDを対象としたサービス開始
後の紛争解決メカニズムです。コミュニティベースgTLDとは、特定のコミュ
ニティにおいて利用されることを前提とするgTLDのことで、既存のTLD では、
.museum、.aero、.proなどのスポンサ-(*1)付きgTLD(sTLD)(*2)が、これに
類似したものと言えます。

RRDRPは、コミュニティベースgTLDにおけるドメイン名割り当てプロセスにお
いて、「申請者の要件合致についての判断に関する事後紛争解決手段が必
要」、という考えに基づき導入されるものです。

コミュニティベースgTLDは、誰でも自由に登録できる通常のgTLDとは違い、
レジストリ制限事項(Registry Restriction)と呼ばれる、レジストリによっ
てドメイン名登録希望者に要求される、登録要件などの制限事項が存在しま
す。コミュニティベースgTLDのレジストリがサービスを開始した後に、この
制限事項が適切に遵守されていない場合に、RRDRPを利用して登録者などから
異議申し立てを行うことが可能となります。

(*1) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-sa.html#13-sponsorsoshiki
(*2) http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-kz.html#03-sTLD

RRDRPは、新gTLD申請者ガイドブック案(現在第4版)がICANN理事会により正式
に承認された段階で確定することになります。RRDRPでは他のDRPと同様、独
立した外部の専門家に紛争処理の判断を任せることが想定されます。その理
由は、ICANNが登録者レベルでのドメイン名の内容について判断することは、
"技術的なことの委任"を受けるという、ICANNの使命を逸脱するためとされて
います(*3)。

(*3) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/rrdrp-clean-28may10-en.pdf


■RRDRPの想定例

RDRPの想定利用例として、次のようなものが考えられます。

  ペット(動物)愛好者団体が.petというgTLDを申請し、ドメイン名の登録要
  件にペット愛好家団体であることを定めてICANNの審査・評価を通過しサー
  ビスを開始した後、ペットボトル製造業界団体がbottle.petというドメイ
  ン名を申請して登録が認められた場合に、正しく要件を満たして申請・登
  録している、その他のペット(動物)愛好家団体が不服を申し立てるケース
  等です。


■RRDRPにおける手続きの流れ

当該TLDレジストリへのTLD委任開始後、個人もしくは組織が申し立てを行い
ます。ICANNは紛争の当事者になれないので、ICANN自身による申し立てはで
きません。申し立ての際には、WHOISの苦情申し立てフォームに類似したオン
ラインフォームが用意されるので、それを利用します。申し立てにあたって
利用する言語は英語となり、RRDRP紛争処理機関(以下、紛争処理機関)とのや
り取りはメールなどにより電子的に行います。申し立て時には、紛争処理機
関が定める登録費用を申し立てから10日以内に、紛争処理機関に対して支払
う必要があります。

申し立て後5営業日以内に、裁定を行う主体である紛争処理機関が指名するパ
ネリストにより事前審査が行われた後、紛争処理機関からレジストリに対し
て申し立てがあったことと、申し立て内容について通知されます。

申し立て後30日以内に、レジストリは申し立てに対する答弁書を紛争処理機
関に提出します。紛争処理機関は申し立て者に対し、答弁書を送付します。
紛争処理機関が答弁書を受領してから10日以内に、レジストリは紛争処理機
関に対し申請費用を支払います。

紛争処理機関は、1名の専門家パネルを、答弁書受領より21日以内に選定およ
び指名します。申し立て者もしくはレジストリからの要望があったときは、
3名パネルとなることもあります。その後、紛争処理機関は手続きに要する費
用を見積もった上で、申し立て者およびレジストリの両方に費用の全額を請
求します。これら費用については、紛争に勝った方が支払った分については
後で返却されます。迅速に紛争処理を行うため、および費用を抑えるため、
申し立て書および答弁書の内容に基づいた書類による審理のみで、通常は証
拠開示や聴聞は行われません。

RRDRPを定めた文書において、裁定の期限については、裁定書が専門家パネル
の指名から45日以内に提出されるよう努力すること、および正当な理由なし
に60日を越えないようにすることとなっています。また、専門家パネルはレ
ジストリに対して、当該gTLDでの新規ドメイン名登録の停止、レジストリ契
約への改善措置の追加、レジストリ契約の終了などを勧告することができま
す。

■まとめ

コミュニティベースgTLDは、gTLDの文字列がコミュニティのアイデンティティ
を示すことから、そのドメイン名をインターネット上で利用する登録者が、
そのコミュニティを構成する者としての要件を満たしていることが担保され
ることは重要です。

既にサービスが開始されているsTLDでも、いくつか類似の紛争解決手続きが
用意れていますが、今回新たなgTLD募集ラウンドの施行にあたり、統一した
手続きがRRDRPとしてまとめられ実装されることは、コミュニティベースgTLD
の価値を高める観点で、意義深いものだと考えられます。

                 ◇                ◇                ◇

[参考] 導入検討の経緯

2009年2月18日に発行された(新gTLD)申請者ガイドブック案第2版(DAGv2)(*4)
と、同日付公開のレジストリ契約書案(*5)では、RRDRPという名称こそ使われ
ませんでしたが、初めて「コミュニティベースTLD運営者の義務」という条項
が追加され、登録ポリシー遵守についての紛争解決手段の制定も、レジスト
リが守るべき義務の一つとなっています。続いて2009年5月30日には、ICANN
がRRDRP導入の背景と詳細について記載された、単独の説明文書(*6)を公開し
ました。

(*4) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-rfp-clean-18feb09-en.pdf
(*5) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-agreement-clean-18feb09-en.pdf
(*6) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/rrdrp-30may09-en.pdf

2009年10月2日には、申請者ガイドブック案第3版(DAGv3)(*7)が発行され、そ
の中の「Module 5: 委任への移行」という項目には、レジストリ契約書案(*8)
およびRRDRP手続き文書案(*9)が付属しました。2010年2月15日にはICANNが手
続き文書案を公開し、4月1日まで意見募集を行った後、コメントのまとめと
分析(*10)が5月31日に公開されました。

(*7) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-rfp-clean-04oct09-en.pdf
(*8) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-agreement-specs-clean-04oct09-en.pdf
(*9) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-rrdrp-04oct09-en.pdf
(*10)http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/summary-analysis-agv3-15feb10-en.pdf

ICANNナイロビ会議会期中の2010年3月12日には、ICANN理事会にて、RRDRP最
終案を申請者ガイドブック案第4版(DAGv4)で公開するよう求めた決議(*11)が
なされました。これを受け、2010年5月31日にはRRDRP最終案を含める形で、
DAGv4(*12)が発行されました。DAGv4に含まれるRRDRP最終案(*13)は、2月15
日から4月1日までの間に寄せられたコメントを受けて変更されていますが、
変更はそれほど大規模なものではありません。

(*11) http://www.icann.org/en/minutes/resolutions-12mar10-en.htm#8
(*12) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-rfp-clean-28may10-en.pdf
(*13) http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/rrdrp-clean-28may10-en.pdf


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