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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.840【臨時号】2011.4.21 ◆
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◆ News & Views vol.840 です
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2011年3月27日から4月1日の6日間にわたり、チェコのプラハで第80回IETFミー
ティングが開催されました。これを受けて、ご好評をいただいている恒例の
IETFレポートを、本号より連載でお届けします。
まず連載の第1弾として、本号ではIPv6関連WGの動向についてお送りします。
なお、今回のIPv6関連WG報告は、前後編に分けての発行となります。
前編となる本号では6man WGの動向をご紹介します。
また、次号以降では、IPv6関連WG報告の後編としてv6ops WGの動向や、セキュ
リティ関連WG報告をお届けする予定です。
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◆ 第80回IETF報告 [第1弾] IPv6関連WG報告 [前編]
NTT情報流通プラットフォーム研究所 藤崎智宏
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2011年3月27日から4月1日まで、チェコのプラハにて第80回IETFミーティング
が開催されました。東欧の古都であるプラハでの開催は2007年春に続き、2回
目となります。会期中のプラハは日本より暖かかったため、帰国後、日本が
かなり寒く感じられました。参加人数については、49ヶ国より1,229名(新規
参加173名)と発表されています。国別の参加人数内訳では、従来は日本から
の参加者は人数の多い順で、2番目であることが多かったのですが、今回の震
災の影響と、年度をまたがるという事情もあってか、日本からの参加者は減
少し、米国、中国、ドイツに続いて日本、フランスという順番でした。
本稿では、会期中における、IPv6に特化した内容を議論するワーキンググルー
プ(WG)のうち、「6man WG」での議論内容を中心に紹介します。
◆6man WG (IPv6 Maintenance WG)
6man WGは、IPv6のプロトコル自体のメンテナンスを実施するWGです。今回
は、会議開始直後の3月28日(月)の朝に開催されました。
議事録担当、アジェンダ確認等の後、6man WGで取り組み中である以下の文書
のステータス報告がありました。
1. P2Pリンク上におけるIPv6プリフィクス長/127の利用
→ RFCエディタによる発行順番待ち(その後、RFC6164として発行済)
2. RPL(低電力高損失ネットワーク用のIPv6ルーティングプロトコル)用の情
報伝達オプション、RPL用経路制御ヘッダ
→ Proposed Standard(標準化への提唱)に向け、IESG (Internet
Engineering Steering Group)に送付
3. IPv6ノードの要求仕様改版、トンネルにおけるECMPとリンクアグリゲー
ションでのIPv6フローラベルの利用
→ WGラストコール終了
4. IPv6フローラベル仕様、IPv6フローラベル仕様更新理由
→ WGラストコール中(現在は終了)
また、今回の議論されたアジェンダの中から、いくつかのトピックについて
ご紹介します。
1. フローラベル仕様の更改について
draft-ietf-6man-flow-3697bis
draft-ietf-6man-flow-update
draft-ietf-6man-flow-ecmp
IPv6の特徴の一つとされているフローラベルの利用について、現在の仕様で
あるRFC3697を改版し、より使いやすいようにしようという提案です。IPv6ト
ンネルを利用してECMP (Equal-Cost Multi-Path routing)やLAG (Link
AGgregation) を実施する場合の、フローラベルフィールド利用方法も併せて
提案しています。ドラフト中の文言の見直し、およびラストコールコメント
を反映して改版をすることになりました。
2. IPv6拡張ヘッダの統一フォーマットについて
draft-ietf-6man-exthdr
議論が続いているIPv6拡張ヘッダの標準フォーマットを決めようという提案
です(6年間も議論しているという紹介もありました)。前回からの差分とし
て、文書としてはIPv6拡張ヘッダのフォーマットに関する記述のみに特化し
たこと、新しい拡張ヘッダを定義する際には、終点オプション(destination
option)の利用を推奨し、そうでない場合には明確な理由を必要とするという
規定を加えたとの説明がありました。これは、新しい拡張ヘッダの追加は既
存実装へのインパクト(特に性能面)が大きいという意見があったため、この
文書は新しい拡張ヘッダ定義の追加を推奨するものではなく、既存の拡張ヘッ
ダの枠組み内で新規機能の追加を勧めるためです。特にコメントはなく、WG
ラストコールを実施することとなりました。
3. RFC3484 IPv6デフォルトアドレス選択の更新について
draft-ietf-6man-rfc3484-revise
draft-ietf-6man-addr-select-opt
IPv6ノード、および、通信相手が複数のアドレスを持つ場合に、通信に使う
アドレスペアを選択する仕様であるRFC3484に関する改版提案です。前回の議
論を受けた改版の後、ULA(ユニークローカルIPv6アドレス)とプライバシー拡
張の扱いが残課題となっているとの説明があり、この2点が議論になりまし
た。プライバシー拡張を制御しようとする場合にはセキュリティに十分気を
つける必要があることや、ULAのプライオリティを制御する必要性などについ
てのコメントがありました。コメントを反映後、WGラストコールを実施する
ことになりました。
4. IPv6ノードの要求仕様 RFC4294の改版について
draft-ietf-6man-node-req-bis
IPv6ノードが持つべき機能(実装が必要な機能)を定義した仕様であるRFC4294
の改版です。WGラストコールを受けて修正した点の確認、MLD (Multicast
Listener Discovery)に関して追加した部分に対する意見照会がありました。
RFC化された文書のみ取り込むことにしていますが、現在取り組んでいるドラ
フトなどをどこまで取り込むかの議論がありました。しかし、ドラフトまで
取り込むときりがないと判断され、現在RFC化された文書のみを取り込み、現
時点で次のステップ(IESG送付、IETFラストコール)に進めることとなりまし
た。
5. IPv6ステートレスアドレス自動設定におけるプライバシー拡張機能の管理
について
draft-gont-6man-managing-privacy-extensions
提案者が不在で、急きょ、代理人(Tim Chown氏)によるプレゼンテーションが
実施されました。現在、IPv6ステートレスアドレス自動設定(SLAAC)により
ノードが自動生成するアドレスがまちまち(EUI64ベース、プライバシー拡張
ベース、ランダム、その他)なため、それを制御する方式についての提案で
す。ルータ広告(RA)を利用した制御を想定しています。コメントとして、プ
ライバシー等のセキュリティに関連する制御を実施するのに、RAは完全には
信用できないので問題であるという点や、SLACCのみの変更では不十分である
こと、問題の本質はどこにあるのか検討する必要があること等が挙げられま
した。
前回の北京では、ミーティング時間に対して議題が非常に多く、十分に議論
しきれなかったのですが、今回は議題の数が少なく、予定時間よりかなり早
くWGが終了しました。
□6man WG
https://datatracker.ietf.org/wg/6man/
□第80回 IETF 6man WGのアジェンダ
http://www.ietf.org/proceedings/80/agenda/6man.html
次号では、v6ops WGの活動をご紹介します。
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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