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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.848【臨時号】2011.5.17 ◆
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◆ News & Views vol.848 です
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日本時間の2011年6月8日(水)朝9:00から24時間、「World IPv6 Day」が実施
されます。World IPv6 Dayは、IPv6の円滑な導入を促すために開催される、
世界規模のIPv6トライアルで、Webサービス提供者はこの日一斉に自社のサー
ビスをIPv6対応させます。
本号では、このWorld IPv6 Dayの紹介と、日本におけるIPv6通信の問題点と
対策についての話題をお届けします。
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◆ World IPv6 Dayあります。
株式会社インターネットイニシアティブ 松崎吉伸
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◆はじめに
技術者というのは新しい技術を実際に見て触って、動かしてみることが大事
だなあと思っていたのですが、実はこれ、技術者に限らずいろいろな分野で
も同じではないかと考え始めています。例えば、彼女のお母さんに、「結婚
前に一緒に暮らして、きちんとやって行けるかどうかトライアルしてみなさ
い」とアドバイスされました。IPv6の導入は技術者のみならず、いろんな人
が関わってきます。新たな技術の導入という変化を、みんなが注意を払って
見ることで、これまでに気がつかなかった視点や課題、利用方法が見えてく
るのではないかと思っています。
◆World IPv6 Dayとは
既にニュース等でご存じかもしれませんが、日本時間の2011年6月8日(水)朝
9:00から、主にコンテンツ提供者が24時間のIPv6トライアルを行う「World
IPv6 Day」が行われます。World IPv6 Dayは24時間だけWebサイトをIPv6対応
にしてみるトライアルイベントです。この取り組みは、IPv4の在庫枯渇がい
よいよ差し迫った2010年に企画されました。サイトがIPv6対応した際の影響
や課題を明らかにするために、コンテンツ事業者が協調して大規模なトライ
アルを行うことが計画されたのです。
プロジェクトのWebサイトはInternet Society(ISOC)が協力を申し出て、ホス
トをしてもらえることになりました。日取りはIANAの在庫が枯渇した後で、
みんなが準備できそうな日ということで、6月8日が選ばれました。日本語で
の情報も欲しいということになったので、専用ページを開設して情報提供し
ています。
World IPv6 Day
- http://isoc.org/wp/worldipv6day/
日本でのWorld IPv6 Day
- http://www.attn.jp/worldipv6day/
現在、この取り組みに賛同した他のコンテンツ事業者やwebサイト管理者が、
次々に参加者リストへ名を連ねていっています。しかしここで少し残念なの
が、既に何年も前にIPv6対応を終わらせて、日常的に運用している人達です。
既に対応を終えているために参加者リストに名を載せるわけにもいかず、何
だか楽しそうなイベントをやるのに参加できないのです。そのため、このよ
うなサイトは既にIPv6対応済みのサイトとして、日本語のプロジェクトペー
ジで紹介することにしました。ついでに言うと、いまだ世の中に大規模な
IPv6 の利用実績が無く、World IPv6 Dayのようなイベントが、現状ではイン
パクトのあるイベントだという事実も哀しいのですが。
しかし、せっかくのイベントであるため、いろいろと有意義なものにしたい
と考えています。インターネットは広く普及してしまったが故に、さまざま
な端末や接続環境があります。無数の組み合わせで問題が無いかを検証して
いく必要があり、多くの人が検証に携わることで、より多くの環境を調べる
ことができます。これまでの調査で分かったのは、IPv6対応サイトへのアク
セスで問題が発生する場合もありますが、世界的に見て、どうもそれは特定
バージョン、特定環境、特定条件等とても限定的で小さな問題が多い、言わ
ばロングテールの様相を呈しているということです。つまり誰かがどこかで
頑張れば解決するわけではなく、問題のあるそれぞれの環境を直す必要があ
りそうだということです。
◆日本におけるIPv6通信の問題点と対策
日本ではNTT東西の提供する光サービスでIPv6閉域網が採用されていることも
あり、IPv6->IPv4のフォールバック(*1)が数多く発生する環境にあります。
既に何年も前から知られている事実であり、NTT東西の光サービスではIPv6閉
域網側にユーザーからの接続要求があった場合には、フォールバックの速度
を速めるためにTCP RSTを返信しています。それでもフォールバックのため1
秒程度の時間がかかったり、実装によっては期待したフォールバックを行わ
ない場合もあります。ユーザーにIPv6のインターネット接続が提供できてい
れば、IPv6でアクセスできるためにこうした問題は発生しないのですが、
NTT NGNを利用したIPv6接続サービスはサービス開始が遅れているために、題
が大きくなっています。
(*1) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/ipv6-ipv4-fallback.html
では、このような状況下でインターネット接続サービス提供者としてはどの
ような対策を採る必要があるのでしょうか。
1) IPv6接続の提供
2) ポリシーテーブルの変更推奨(ユーザーサポート)
3) AAAA filter
4) 問題ない実装への移行推奨(ユーザーサポート)
1)の「IPv6接続の提供」は、安定したIPv6インターネット接続をユーザーに
提供してしまうという方針です。現状ではIPv4/IPv6のデュアルスタック接続
を提供するのが妥当です。IPv6対応ということで将来へつながる取り組みに
なるので、とても前向きです。ただし、6to4等の自動トンネリング技術は品
質が悪く、ユーザーへ提供するサービスとしては不適切であるため、できれ
ばきちんと品質を担保できる接続サービスを提供することが好ましいです。
2)における「ポリシーテーブル」とは、端末が通信に利用するIPアドレスを
選択する際に、参照するルールテーブルです。詳細はRFC3484等を参照してく
ださい。IPv6対応の端末であればサポートしているはずです。これを利用す
れば、IPv6閉域網からIPv6アドレスが払い出されても、それはIPv6閉域網と
通信する時にのみ利用するようになり、不要なフォールバックが発生しなく
なります。もちろん、別途インターネット側からIPv6アドレスが割り当てら
れれば、インターネットにアクセスする際にはそのIPアドレスを利用します
ので、悪影響もありません。ただ、ユーザーに端末の設定を変更してもらう
必要があります。現在、これを簡単に設定できるツールを提供できるように
関係各所と調整中です。
- http://www.attn.jp/maz/p/i/policy-table/
3)の「AAAA filter」は、インターネット接続サービス提供者が、これら無用
なIPv6->IPv4のフォールバックが発生すると分かっているユーザー向けの
キャッシュDNSサーバでAAAAレコード、つまりIPv6アドレスを応答しなくする
方策です。これにより、ユーザーからIPv6のインターネットを隠し、無用な
IPv6->IPv4のフォールバックの発生を避けることができます。BIND9.7以降な
ど、既にこの機能を搭載しているDNS実装もあります。この実装ではAAAAレ
コードのみ、つまりIPv6のみで提供されているホスト名であればIPv6を応答
するため、万が一ユーザー側で独自にIPv6の接続性を確保していた場合には、
IPv6のみのサイトにアクセスできます。なお、IPv6での接続サービス向けに
は、これまで通りのAAAA filterを適用しないキャッシュDNSサーバを維持し
なければならないため、サーバ運用の手間は少しかかってしまいます。
4)の「問題ない実装への移行推奨」は、問題があると分かっているソフトウェ
アのバージョンアップやパッチの適用、他のソフトウェアへの移行をユーザー
に推奨するものです。ユーザーには最低限、サイトがIPv6対応してもびっく
りして固まってしまわないソフトウェアを利用してもらわないと、今後のイ
ンターネット利用が不便になってしまいます。また、できれば新しめのソフ
トウェアを利用してもらった方が比較的フォールバックの実装が良かったり、
セキュリティ上の問題も解消されていたりして良いこともあるのですが、一
方でユーザー側にもそのソフトウェアを利用しなければならない理由がある
かもしれないため、一概に移行して問題ないと言い切れるわけではないのが
難しいところです。
◆おわりに
今回のWorld IPv6 Dayに限ってみても大きな影響が予見されますが、実は
IPv6->IPv4のフォールバック問題は、既にIPv6に対応したサイトでも発生し
ている問題です。World IPv6 Dayに限らず、今後世界にIPv6対応サイトが増
えるに連れて否応無く出て来る問題ですし、これにうまく対応することで、
より多くのコンテンツ事業業者が安心してIPv6対応サイトを提供できるよう
になれば良いなあと考えています。楽しいインターネットが維持できるよう
に、みんなと協力しながら頑張っていきたいと考えています。
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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