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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.891【臨時号】2011.9.26 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.891 です
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2011年8月28日から9月1日にわたり、韓国の釜山でAPNIC32カンファレンスが
開催されました。この会議のレポート第2弾として、本号では「IPv6導入に関
するAPNIC地域の動向報告」をお届けします。

なお、第1弾の「全体およびアドレスポリシー動向報告」については、以下の
URLからバックナンバーをご覧ください。

□APNIC32カンファレンス報告 
  [第1弾] 全体およびアドレスポリシー動向報告(vol.887)
  http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2011/vol887.html

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◆ APNIC32カンファレンス報告 [第2弾]
   ~ IPv6導入に関するAPNIC地域の動向報告 ~
                                                 JPNIC 技術部 小山祐司
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APNIC32カンファレンスの3日目に当たる8月30日(火)は、IPv6への移行技術に
ついて議論を行うIPv6 Transition Plenaryが終日開催されました。IPv4在庫
枯渇やIPv6移行技術、および2011年6月8日に実施されたWorld IPv6 Dayに関
する議論が行われました。

このIPv6 Transition Plenaryのプログラムは四つのセッションから構成され
ており、それぞれのセッションでは、アジア太平洋地域での各国組織とISP
などのIPv6の普及や取り組み状況に関する紹介の他、World IPv6 Dayにおけ
るGoogle社、Facebook社、Yahoo社およびLimelight Networks社での事例紹介
などが行われました。
 
本稿では、世界規模で行われたIPv6のトライアルであるWorld IPv6 Dayに関
して、データ解析を中心としたプレゼンテーションのあった、四つ目のセッ
ションについてご紹介します。


◆IPv6 Transition Plenary Session 4
 
このセッションの前半ではライトニングトークがありました。その中では、
クララオンライン社の白畑真氏より、Tokyo 6to4プロジェクトの紹介、およ
びWorld IPv6 Dayにおけるトラフィックの観測について報告が行われました。

Tokyo 6to4プロジェクトが開始する前は、日本には6to4リレールータがなく、
日本の6to4ユーザーのトラフィックはアメリカやヨーロッパを経由していて
パフォーマンスや安定性があまり良くない状況が続いていました。しかし、
プロジェクトの開始後、6to4ユーザーのトラフィックは東京を経由すること
になり安定し、RTT(Round Trip Time)も200msから10msへ改善したとのことで
した。また、World IPv6 Dayのあった6月8日のTokyo 6to4のネットワークト
ラフィックは普段とあまり変化が無く20~30Mbpsだったこと、逆に、TCP
failure rateは以前は4%程度だったのが、6月8日は48%ほどに増加したこと
などが紹介されました。これらの理由として、World IPv6 Dayでは6to4を利
用するユーザーが増加したものの、その接続になんらかの問題が発生してい
るのではないかと推測されるとのことでした。

セッションの後半では、World IPv6 Dayおよびその前後での技術調査につい
て、APNICのGeoff Huston氏、RIPE NCCのEmile Aben氏、Hurricane Electric
社のMartin Levy氏より報告がありました。

まず始めに、APNICのGeoff Huston氏より、ここ1年ほどのインターネットユー
ザーのIPv6接続状況に関する動向調査について報告がありました。Huston氏
の調査は、WebページにJavascriptコードを埋め込むことにより、ユーザーの
Webブラウザ環境がIPv6に対応しているかを試験することで行われました。

その結果は、IPv6ネイティブ環境のユーザーは0.4%、6to4トンネルが利用可
能なユーザーは4%、Teredoも含めたIPv6が利用可能なユーザーは28%程度だっ
たとのことでした。ただし、これらの各環境について、IPv6接続が失敗する
割合についても調査したところ、IPv6ネイティブ環境のユーザーでは2%、6to4
環境では12%、Teredo環境では45%も接続に失敗することが観測されたとの報
告があり、トンネルによるIPv6接続環境にはかなり問題があるという見解が
示されました。

次に、RIPE NCCのAben氏より、RIPE NCCにおけるWorld IPv6 Dayの状況調査
結果に関する報告がありました。RIPE NCCでは、2011年6月1日から6月11日に
かけて、40ヶ所の拠点から53のサイトに対してDNSのAおよびAAAAレコードの
状況、ping、tracerouteおよびHTTPの接続状況などについて観測を行いまし
た。大部分のサイトではWorld IPv6 Day開始と同時にAAAAレコードを追加し、
終了と同時にAAAAレコードが削除されたことが観測されましたが、一部のサ
イトにおいてネガティブキャッシュ(*1)が発生したことが報告されました。

またあるサイトでは、World IPv6 Day終了後IPv6によるサービスが停止した
にもかかわらず、しばらくの間AAAAレコードが消去されなかったため、エラー
が発生するなどの事象も観測されたそうです。さらにWorld IPv6 Day終了後
のAAAAレコードの登録状況も調査され、終了後も削除されずに残っているサ
イトがいくつかあったことから、World IPv6 DayをきっかけにIPv6でのサー
ビスも利用できるようになった可能性があるサイトも散見されるとの報告が
ありました。

 (*1)ネガティブキャッシュ
    「存在しないDNSレコードである」という情報の蓄積。DNSの名前解決に
      失敗したときに、短期間に何度も再検索しないよう間隔を空ける負荷
      軽減のための仕組み。ネガティブキャッシュが有効な間はDNSレコード
      が引けなくなるため、例えばサイト名からIPアドレスを検索すること
      が不可能になります。

最後に、Hurricane Electric社のLevy氏より、World IPv6 Day前後での経路
情報や、同社のIPv6トランジット網のトラフィック量について報告がありま
した。IPv6アドレスを広告するASNの数はIANAのIPv4在庫枯渇をきっかけに増
加傾向が強まり、World IPv6 Dayでも若干の増加が見られたとの報告があり
ました。トラフィック量については、World IPv6 Day開始前まではほぼ横ば
いで推移してきたものが、World IPv6 Day当日に急増、終了とともに減少し
たものの、開始前と比較してトラフィック量は増え、終了後は開始前の約2倍
になったとの報告がありました。

                  ◇              ◇              ◇

次回のAPNIC33カンファレンスは、2012年2月27日よりインドのニューデリー
で予定されています。この頃には、RIPE NCCのIPv4アドレス在庫枯渇も近づ
き、国際的なIPv6の導入が本格化すると考えられます。今後も、APNICなどの
RIRのミーティングでの国際的な調査や導入状況などについて、報告してまい
りたいと思います。

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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
            http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.891 【臨時号】

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