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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1047【臨時号】2012.12.26 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1047 です
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IPv6自動トンネル技術である6to4を使用して、本日からちょうど4年前の2008
年12月26日より2012年9月までIPv6インターネットへの接続を提供し、この度
活動を終了したTokyo6to4 プロジェクトをご存知でしょうか。

このTokyo6to4 プロジェクトの代表として活動を牽引してこられた白畑真さ
んに、活動の経緯、成果等について、IPv6のさらなる普及に向けた思いを交
えてお話しいただきましたので、本号でお届けします。

なお、本号が2012年最後の発行となります。今年もご愛読いただきありがと
うございました。これからもみなさまのお役に立つ情報をお届けできるよう
努力して参りますので、2013年も引き続きJPNIC News & Viewsをよろしくお
願いいたします。

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◆ Tokyo6to4 プロジェクトの終了 ~IPv6の明日に向けて~
                                         Tokyo6to4 プロジェクト 白畑真
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■はじめに

筆者が代表を務めるTokyo6to4 プロジェクトは、これまで「すぐに使える
IPv6環境」の提供を目的に活動してきましたが、2012年11月末でインフラの
運用を終了しました。今回は、プロジェクト発足の経緯、これまでの歩み、
成果などを簡単にお話しします。


■プロジェクト発足の目的

Tokyo6to4 プロジェクトは、IPv4アドレスの在庫枯渇が進む中、恒久的な対
策として個人レベルで簡単に利用できるIPv6インターネット接続サービスが
ない状況を改善するために若手エンジニアの有志が集まり、2008年10月にス
タートしました。というのも、当時は、法人向けIPv6インターネット接続サー
ビスはありましたが、個人向けの接続サービスはかなり限られており、高い
ハードルがあったためです。
 
そこで注目したのが6to4技術です。6to4はIPv6自動トンネル技術の一種なの
ですが、IPv4グローバルアドレスさえあれば、プロバイダーとIPv6サービス
の契約をせずともIPv6インターネットに接続できます。このマジックのよう
な技術は、

・IPv6アドレスの「128ビット」という長さを活かして、IPv6のアドレスの一
  部にIPv4アドレスを埋め込んでいること
・広いインターネット上の「どこかに」IPv4とIPv6を相互に変換しているルー
  タ(リレールータと言います)があること

によって成り立っています。


■プロジェクト発足の経緯

筆者は2008年9月、IPv6普及・高度化推進協議会のIPv4/IPv6共存WGの活動で
あるテストベッド環境構築合宿に参加しました。その際、IPv4オンリーのモ
バイル環境からIPv6サーバまで接続してみたところ、6to4を使ってつながる
ことにはつながるものの、実用に耐えないレベルの遅延が発生していました。
調査したところ、IPv4とIPv6を変換しているリレールータがドイツにあるこ
とが原因だと判明しました。物理的には目の前にあるサーバへの通信なのに、
わざわざ日本からドイツまで往復していたので、非常に遅くなっていたので
す。
 
そこで、日本国内に6to4リレールータの環境を整備すれば、6to4を実用的な
スピードで利用できるようになると考えました。実際には日本での前例もあ
り、2003年からKDDI研究所が日本で6to4リレールータを運用していたのです
が、2006年に運用を終了していたのです。

そのような経緯を経て、何人かの友人とプロジェクトをスタートすることに
なりました。幸運にも、WIDEプロジェクト(WIDE)の協力により、東京・大手
町のコロケーションスペースと、WIDEが運営する日本で最も歴史のあるIXで
あるDIX-IEへの接続、インターネット接続回線をご提供いただけることにな
りました。ちなみに、Tokyo6to4という名前はWIDEの加藤朗先生が名付け親で
す。

そんなこんなでプロジェクトをスタートすることになったものの、メンバー
は誰一人として6to4リレールータの構築、運用経験はありません。そこで、
ある大学の部屋をお借りして6to4リレールータやクライアントの設定、動作
などの検証を行い、準備を進めました。

開始当初からインターネット全体に対して6to4のサービスを提供した場合、
不具合があった時に影響範囲が大きくなってしまうことを懸念し、最初は特
定のネットワークに対してのみサービスを提供することにし、ちょうど4年前
の今日、2008年12月26日の日本時間14時頃から、正式に経路広報を始めまし
た。ちなみに、12月26日は奇しくも英連邦などで祝われているボクシングデー
で、クリスマスカードやプレゼントを配送してくれた郵便配達員などに箱に
入ったプレゼント(Boxing)を贈る日になっています。
 
経路広報の開始後には、意図した通りに6to4を使った接続において日本国内
のIPv6サイトへの遅延が大幅に短縮される結果となりました。例えば、IPv6
で接続すると亀が踊ることで有名なKAME Projectのページ(*)の場合、WIDEと
接続している東京都内のネットワークからKAMEプロジェクトのサイトまで、
遅延が約190msから10ms以下へと大幅に短縮されました。

(*) http://www.kame.net/


■IXとの接続

1ヶ月ほどの運用を経て、6to4リレールータの安定性が確認できたため、より
多くのネットワークに対して6to4の経路を広報することになりました。2009
年1月には、DIX-IEで他のネットワークとピアリングを開始し、さらに同年8
月には日本最大の顧客数を持つIXであるJPIXと接続し、ピアリングを始めま
した。この結果、多くのプロバイダーのネットワークから直接Tokyo6to4 プ
ロジェクトのリレールータに接続できるようになりました。

さらに、6to4での運用が好調だったため、6to4以外のプロトコルに対応する
ことにしました。6to4の利用に当たっては、グローバルIPv4アドレスが必要
になりますが、日本の多くの環境ではNATを使ってインターネットに接続する
ことが一般的です。そこで、NAT環境下でもIPv6インターネットに接続できる
プロトコルであるTeredoにも対応することになりました。実際には、2010年
6月から、日本最大のトラフィック量を持つIXであるJPNAPに接続すると同時
に、6to4とTeredo両方のサービスを開始しました。

このようにして、Tokoy6to4のサービスは6to4とTeredoの合計で、ピーク時に
は100Mbpsを超えるトラフィックが流れる規模になりました。今でこそGbps単
位を超えるIPv6トラフィックが見られるようになりましたが、当時のIPv6ネッ
トワークとしてはそれなりの規模だったように思います。


■実験的な6to4の提供から商用IPv6接続への移行に向けて

このように一定の成果をあげた6to4やTeredoでしたが、そもそもこれらはあ
まりビジネス向きの技術ではありません。通常のインターネット接続サービ
スでは、料金を払ったユーザーだけがサービスを利用できるようになってい
ますが、6to4やTeredoでは通常、IPエニーキャストという仕組みを用いて経
路広報をし、届いたパケットのプロトコルを変換しています。いわば、全世
界に対して無償で、仮想的にインターネット接続サービスを提供しているよ
うなものなのです。

Tokyo6to4プロジェクトでは、ビジネスとしてIPv6インターネット接続サービ
スを提供されている事業者の商機拡大を妨げることは避けたいと考えており、
当初から「IPv6商用接続サービスが普及するまでの間、暫定的にIPv6インター
ネットアクセスを提供すること」をミッションとしてきました。

2011年に入ってから、個人向けのサービスが続々と登場するようになりまし
た。2011年4月には KDDIのauひかりがIPv6に対応したほか、同年6月にはNTT
東西がNGN上でPPPoE方式によるIPv6接続サービスを開始、翌7月にはIPoE方式
のサービスが開始されるなど、個人がIPv6接続できる環境が整備されてきま
した。
 
さらに、2012年6月には多くのWebサイトを恒久的にIPv6対応にする、"World
IPv6 Launch"が行われ、多くのサイトがIPv6に対応しました。そのような状
況下において6to4やTeredoの利用状況を注意深く見守ってきましたが、多く
の実装が改善され、ネイティブのIPv6の利用が伸びる一方、6to4やTeredoは
役割を終えつつありました。そのような状況を鑑み、Tokyo6to4 プロジェク
トでは、2012年9月12日、経路広報を終了しました。
 
とはいえ、今後6to4やTeredo自体が使えなくなるというわけではありません。
先ほど説明した通り、6to4やTeredoはIPエニーキャストをしているため、他
のリレールータもTokyo6to4 プロジェクトと同じIPアドレスを使ってサービ
スを提供し続けています。リレールータまでの通信の遅延など、問題はある
かもしれませんが、引き続き6to4やTeredoを利用してIPv6インターネットに
接続できます。


■謝辞

このようなTokyo6to4 プロジェクトですが、振り返ってみると、本当に多く
の方々の寛大な寄付と協力で活動を続けることができました。ここでは、個
別のお名前を挙げることはできませんが、とても恵まれたプロジェクトだっ
たと思います。なにより、仕事の傍らで一緒にプロジェクトの推進に尽力し
てくれた仲間に感謝しています。


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 JPNIC News & Views vol.1047 【臨時号】

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