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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.942【臨時号】2012.3.8 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.942 です
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2012年2月16(木)~17日(金)に、岩手大学情報メディアセンターとJPNICの共
催により、岩手大学にて「IPv4アドレス在庫枯渇とIPv6への対応セミナー」
を開催しました。本号ではこのセミナーの様子をお届けするとともに、2011
年3月11日に東日本大震災が発生した際の岩手県の様子、そして、震災対応に
ソーシャルメディアがどのように役立てられたかなどついてご紹介いただき
ます。

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◆ ソーシャルメディアによる東日本大震災時の緊急対応
                                                     岩手大学 吉田等明
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2012年2月16(木)~17日(金)の2日間にわたり、私ども岩手大学情報メディア
センターとJPNICの共催により「IPv4アドレス在庫枯渇とIPv6への対応セミ
ナー」を岩手大学で開催しました。

岩手の盛岡市のような小さな一地方都市で開催されることは稀と聞いていた
ため、最初にご提案をいただいた時にはどうやって人を集めようかとだいぶ
心配してしまいました。一つには私の専門はソーシャルネットワークなど、
もう少しレイヤが高い方なためでもありました。しかし、岩手県立大学の村
山優子先生や岩手大学内の協力者のおかげを持ちまして、1日目は一般参加者
50名(Web視聴者17名を含む)、2日目は14名というまずまずの参加状況となり
ました。特に2日目のハンズオンセミナーは、東京開催の半額という料金設定
にしていただいたおかげと感謝しております。

IPv4アドレス在庫枯渇とIPv6への対応セミナー(岩手・盛岡)開催のご案内
http://www.iwate-u.ac.jp/isic/news/news120216.html

東京からたくさんの機材を搬入して実施していただいたJPNICの皆様、本当に
お疲れさまでした。東日本大震災の復興に力を注いでいる岩手のネットワー
ク環境の向上に、大変役立つ勉強ができたのではないかと思います。

東日本大震災直後の岩手の状況と言いますと、沿岸部への光ファイバー網は
ずたずたで、しかも停電というひどい状況でした。内陸部にある盛岡市の被
害は、それほど甚大ではなく、停電の復旧後は被害が大きかった沿岸地域の
支援の基地になった感がありました。ガソリンも食料も手に入らない時で、
情報通信による情報共有はとても重要でした。沿岸部のIP接続に関しては、
岩手県立大学の村山先生を中心とした「岩手震災IT支援プロジェクト」が動
き始めており、私も参加しました。そこには、WIDEプロジェクト、シスコシ
ステムズ社、インテル社などさまざまな組織の方が集結していました。そし
てシスコシステムズ社の無線インターネットキット(衛星通信版、携帯版)な
どを設置することで、避難所のIP接続がなされていきました。ここでの衛星
回線は、THAICOM社系列のIPSTARが使われていたようです。設定が簡便なこと
と、格安の定額料金を設定できたことがポイントと聞いております。このプ
ロジェクトの情報交換で使われていたのは、最もベーシックなソーシャルメ
ディア(Social Media)であるメーリングリストでした。一晩に180通以上のト
ラフィックがあったと記憶しております。
 
一方で、盛岡市の地域ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「モリオ
ネット」(*)は、震災発生からおよそ2日後には回復し、ソーシャルメディア
を使った安否確認、ライフラインに関する情報発信などをSNS内および、イン
ターネットに向かって開始しました。情報は必要であれば、SNS外にも発信可
能で、全国のOpenSNP (Open Social Network Platform)系の地域SNSとの情報
共有も可能になっています。

(*)モリオネット
    http://sns.city.morioka.lg.jp/community/?bbs_id=300

実際、被災地への文房具等の支援を募った「学び応援プロジェクト」などで
は、全国規模のご支援をいただきました。多くの温かいご支援をいただいた
皆様に、ここであらためて深く感謝の意を表したいと存じます。

また他にも、Facebook、Twitter、YouTubeといったソーシャルメディアが活
用されていたことについては、皆様もよくご存じのことと思います。

さてここで、ソーシャルメディアという言葉について、英語版Wikipediaなど
を元におさらいしておきましょう。さまざまな使い方をされている用語です
が、いくつかキーポイントがありそうです。

  ・ソーシャルメディアとは、インターネットを利用したメディアであって、
    ユーザー自らがコンテンツを作ることができ、また情報発信することが
    できるものである。モバイル技術やWebベースの技術等によって、どこか
    らでもアクセスが可能な点も重要である。
  ・ソーシャルネットワークやソーシャルグラフのような社会的インタラクシ
    ョンを通じて、広がっていく場合もあるし、また、それらのネットワーク
    を越えた情報発信も可能である。

最近のSNS等は、直接インターネットへ情報発信もできるようになってきてい
ますし、RSSによる発信(syndication)が可能なものも出てきています。ソー
シャルメディアと言っても、社会的インタラクションを通じるものに限定は
できないようです。

いずれにしても、震災直後の活動は組織の決済を取って進めていたのでは間
に合いません。今回の経験では、キーパースン同士で迅速につながることが
重要でした。ここでのキーパースンは、

  (1)ソーシャルメディアを活用でき、ソーシャルネットワーク内でハブの機
     能を持つ人(ネットワーク科学の用語で、ハブは多くの情報交換可能な
     つながりを持っている人)
  (2)組織内で決済を取らずに事を素早く進められる人

でした。
 
東日本大震災時には、このソーシャルメディアによる情報交換・情報発信が大
活躍したわけですが、社会的なインタラクションを通じた質の高い情報発信も
行われました。具体例を挙げてみますと、モリオネットの情報発信では信頼性
を高めるとともに有用な情報を絞り込む、古い情報を除外する、有用な情報に
たどりつき易いようにまとめサイトを作成するといったことが、ボランティア
の手によって自主的に行われました。携帯の電池が切れそうな時には、価値の
低い情報の氾濫も障害になり得ます。

参照:モリオネット緊急コミュニティ「東北地方太平洋沖地震に関する情報共
      有」便利帳
      http://www.ki-net.jp/morio_net/ji/

また、被災地のニーズと提供される物資のリアルタイムでのマッチングが重
要でした。例えば、衣料の募集窓口は物資の集まり過ぎで閉じているのに、
実際には被災者に冬物衣料が十分届いていないといった状況がありました。
雪の降る寒い時にです。そんな時に、ソーシャルメディア上の情報に反応し
た方からの迅速な連絡によって、ピンポイントで必要な冬物衣料を避難所へ
運んで、大変喜ばれた経験があります。

大災害時の情報発信・共有における今後の重要な課題としては、大規模災害
発生直後の「生死を分ける時間帯」における精度の高い避難情報の提供、救
援物資のマッチング情報や安否情報のリアルタイムでの共有が挙げられると
思います。IPv6の普及やスマートフォン等におけるモバイル系アプリケーショ
ンの展開、GPSの精度の向上や地理情報の提供、ソーシャルメディアのさらな
る活用といったことによって、個人へのピンポイントでの精度の高い情報提
供・情報共有といったことが今後、可能になっていくのではないかと期待を
寄せているところです。


■著者略歴

吉田 等明(よしだ ひとあき)

1995年に岩手大学助教授、2004年に岩手大学の法人化に伴い准教授、1999年
には研究代表者として盛岡地域の地域IX (COZMIX)を構築、盛岡市や岩手県の
地域情報化計画や地域SNSの運営に深く関わるとともに、地域でのオンライ
ン・コミュニティ活動に中心的に参画してきた。現在は総務省の地域情報化
アドバイザーとしても活動している。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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 JPNIC News & Views vol.942 【臨時号】

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