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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1078【臨時号】2013.4.8 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1078 です
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2013年3月10日から3月15日の6日間にわたり、米国フロリダ州のオーランドに
て第86回IETFミーティングが開催されました。この会議の様子を、本号より
連載でお届けしてまいります。

まず連載の第1弾として、本号では全体会議報告をお送りします。次号以降で
は、DNS関連、IPv6関連、セキュリティ関連の各WG報告を順次お届けする予定
です。

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◆ 第86回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告
                                           株式会社インテック 廣海緑里
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第86回IETF Meetingは2013年3月10日(日)から3月15日(金)の間、米国フロリ
ダ州オーランドにて、米国のCATV会社コムキャスト社と子会社でメディア企
業のNBCユニバーサル社のホストで開催されました。

フロリダといえば、1年中暖かでTシャツで過ごせるような印象でいましたが、
訪問中は1日の寒暖差が10度くらいあり、朝晩は東京と同じくらい寒く、雨の
そぼ降る寒い日もありました。

ディズニーワールドやユニバーサルスタジオもバスなどで行ける距離にあり、
合間に楽しんだ人も多いようでした。個人的にはスギ花粉から逃れられると
喜んでいたのですが、開催地でも別の種類の花粉が飛んでいたようで、かゆ
みや鼻炎に悩まされました。

さて、全体報告ですが、前回は「One Plenary」として1回にまとめる試みが
されていましたが、今回は従来通りの「IETF Operation and Administration
Plenary」と「Technical Plenary」に戻して開催されました。その両Plenary
について、簡単にご報告します。


■Technical Plenary

3月11日(月)の夕方から2時間の枠で開催されました。IRTF、IABチェアレポー
トに続いて、テクニカルトピック二つ、RFC編集者レポート、新規のIABメン
バの紹介、最後に会場から自由に意見や質問を述べるオープンマイクという
流れで議事進行がされました。

 - IRTFチェアレポート

   IRTFチェアレポートでは、11ある研究グループの状況報告がありました。

    (1) ASRG:Anti-Spam Research Group
    (2) CFRG:Crypto Forum Research Group
    (3) DTNRG:Delay-Tolerant Networking Research Group
    (4) ICCRG:Internet Congestion Control Research Group
    (5) ICNRG:Information-Centric Networking Research Group
    (6) NCRG:Network Complexity Research Group
    (7) NMRG:Network Management Research Group
    (8) P2PRG:Peer-to-Peer Research Group
    (9) RRG:Routing Research Group
    (10) SAMRG:Scalable Adaptive Multicast Research Group
    (11) SDNRG:Software-Defined Networking Research Group

   P2PRGは活動終了し、ASRGとSAMRGの二つが活動終了に向けて動いているこ
   と、NCRG、NMRG、RRGの3グループはあまり活動がなく、CFRG、DTNRG、
   ICCRG、ICNRG、SDNRGは活発に活動されているとのことです。Applied
   Networking Research Prize (ANRP)という研究活動に対する賞の受賞者の
   1人であるGonca Gursun氏のスピーチが、第86回開期中のIRTFオープンミー
   ティングでされることが告知されました。2014年のノミネーションは、今
   年の秋に行われるそうです。筆者は今回久しぶりのIETFへの参加で、IRTF
   の活動に疎かったため、SDN (Software Defined Network)について、IETF
   の中では調査段階にあるということを新鮮に感じました。


 - IABチェアレポート

   IABチェアレポートでは、第86回開期中に行われるITU-Tの状況について総
   括する"The World Conference on International Telecommunications
   (WCIT) 2012: What Happened, What's Next?"の予告や、IAB内の活動の
   進捗報告の他にIABメンバーの交代の話がありました。

   これまでIETFチェアだったRuss Housley氏が次期IABチェアとなります。
   また、David Kessens氏、Danny McPherson氏、Jon Peterson氏の3人が退
   任し、新しくEliot Lear氏、Xing Li氏、Andrew Sullivan氏が加わりま
   す。また、Bernard Aboba氏、Jari Arkko氏、Marc Blanchet氏、Ross
   Callon氏、Alissa Cooper氏、Spencer Dawkins氏、Joel Halpern氏、
   Dave Thaler氏、Hannes Tschofenig氏の9人は、残留です。

   既にIABのWebページは更新されており、IABメンバーの経歴などは詳しく
   紹介されています。

   - http://www.iab.org/about/iab-members/

   IABは、IETF内の監督業務の他に、対外組織との連携業務など内外に活動
   をしていますが、取り扱う内容がWCITのようなガバナンスや、プライバ
   シー考慮など高次の内容になり、多様化しているとあらためて感じまし
   た。また、IABはwikiなどのWebベースのツールを持っていますが、今後の
   活動予定に「IPv6 for IAB internal website」というのがあがっていて、
   これからIPv6対応するというのも意外でした。

 - テクニカルトピックI

   テクニカルトピックIでは、"The End of Plain Old Telephone Service
   (POTS)"と題して、前回85回ミーティングのプレナリで計測についての話
   者の1人だった、FCC(米国連邦通信委員会)チーフテクニカルオフィサーの
   Henning Schulzrinne氏が今回も登壇しました。

   米国では、2018年に電話網(日本でいう所の加入者電話回線網)を引退させ
   ることが予定されており、それに向けた整備が行われています。
   Schulzrinne氏によると、「それはtechnical + economics + policyの問
   題である」ということで、多面的に現状分析と問題点が話されました。
   FCCでは、タスクフォースを作って取り組んでいますが、携帯電話とその
   技術の登場によって固定電話の役割は終焉を迎えても良い状況になってい
   ます。3段階の移行が考えられており、「copper → fiber, wired →
   wireless, circuit → packet」と表現されていました。

   しかし、固定電話には悪い部分(品質やビデオ送信などができないことや
   セキュリティ)もありましたが、良い部分(緊急時の通話や可用性や低コス
   トやグローバルな接続性)もあり、特にユニバーサルな展開の維持などを
   携帯電話で行うことに課題があるとしています。また、これまでの電話網
   における番号体系が、IPベースでは変更になることから、番号の問題も取
   り上げられていました。

   IPアドレスは通信先の特定以外にもIDとして利用されたり、名前体系と
   紐付けられたりといった運用がされています。一方、電話番号には、地域
   コード(局番)などの管理階層があります。IPアドレスと電話番号それぞれ
   の管理体系を踏まえた移行計画が必要そうです。今回の発表を受けて、
   IETF内でも電話網の終焉に関係した必要技術の提案が増えていきそうで
   す。

 - テクニカルトピックII

   テクニカルトピックIIでは、IEEE Registration Authority Committeeチェ
   アのGlenn Parsons氏より、"IEEE 802 Proposed OUI Registry
   Restructuring"と題して、イーサネット技術で利用される番号である
   Organizationally Unique Identifiers (OUI)の拡張について話がありま
   した。

   OUIをはじめとするイーサネット技術で利用される番号は、IEEEのRAC
   (Registration Authority Committee)が登録管理をしています。昨今のス
   マートフォンの増加などで物理デバイスが急増したことによるOUIの枯渇
   問題があり、拡張せざるを得ない状況になってきたことを受けた管理機構
   の改訂に向けた発表でした。既存のOUIとOUI-36は維持しつつ、MACアドレ
   スなどに使われるEUI-48の管理体系を新設し、MACアドレスとは分離した
   企業IDを登録すること、新設する企業IDを使った仮想マシンのアドレスを
   作るようにすることなどが提案されています。2014年には登録開始したい
   意向のようで、2013年半ばまで意見を募集するそうです。この再編につい
   ては、draft-ieee-rac-oui-restructuring-00.txtとしてドラフト文書が
   提出されています。

 - RFC編集者レポートとオープンマイク

   RFC編集者レポートでは、RFC文書のフォーマット変更の準備作業状況報告
   がありました。現在のRFC文書のフォーマットはRFC2223で規定されていま
   すが、規定への変更要望が、"RFC Series Format Requirements and
   Future Development"(draft-iab-rfcformatreq-03.txt)というドラフト
   文書にまとめられています。この文書はまもなくRFCとして発行する承認
   過程に入るようで、2013年はドキュメントに従った文書フォーマットの変
   更作業に入るそうです。

   会期の始まりだからか、テクニカルトピックの発表が終わると徐々に人が
   減っていき、最後のオープンマイクの頃にはかなり人が減ってしまい、
   オープンマイクの質問もそれほどなく終了しました。


■IETF Operation and Administration Plenary

こちらは、3月13日(水)の夕方から2時間半の枠で開催されました。従来通り、
ホスト企業のプレゼンテーションから始まり、IETFチェア、IAOCチェア、
IETFトラストチェア、Nomcomチェアからのレポート、IAOCオープンマイク、
IESGオープンマイクという流れで議事進行されました。今回、IETFチェアを
はじめ、IAB/IAOC/IESGメンバーの交代の時期で、新しいチェアやメンバー
の紹介が合間に議事として行われました。テクニカルプレナリに比べると、
発表資料にも面白い画像が入っていたり、くだけた感じで進められました。

 - IETF チェアレポート

   IETF Chairレポートについて、3月でチェアがJari Arkko氏に交代するこ
   とが決まっているため、Russ Housley氏による最後のChairレポートとな
   りました。第86回の参加者は、51の国と地域から1,071人の参加となり、
   前回から20人ほど減少しています。新規参加者は182人と、全体の1割は
   新規参加者で新しい参加者層の取り込みがされているようです。国別の
   参加者数は、1位米国、2位日本、3位中国で、これは前回と変わらない状
   況でした。

   IETFに投稿するドキュメントの記述のために提供されている、xml2rfcツー
   ルのバージョンアップの告知がありました。1月からベータテストが開始
   され、いくつかの発見されたバグ修正版が3月からダウンロード可能となっ
   たそうです。古いバージョンのツールも半年間はダウンロード可能という
   ことです。

   また、IETFのミーティングのホストについて、シスコ社とジュニパーネッ
   トワークス社の両社と「Multi-year Host Agreement」という契約を結び、
   今後の9年間で開催されるミーティングのうちそれぞれ3回ずつについてホ
   ストとなることが決定したそうです。シスコ社はホストの他、会議システ
   ムや無線LANのシステム提供も行うそうです。

 - IAOCチェア、IAD、IETFトラストチェアレポート

   IAOCチェア and IADレポートは、IAOCチェアのBob Hinden氏から行われま
   した(ちなみにIADチェアは、Ray Pelletier氏です)。今回は、報告の前
   に、IETFチェア交代にあたりRuss Housley氏の功績を面白おかしく紹介
   し、IABメンバーから一言ずつ贈る言葉があり、メンバーのBert Wijnen氏
   からはオランダ語と思われる歌まで披露されました。意味はわかりません
   でしたが、栄誉を称えるような勇敢な曲調の歌でした。その後、記念品が
   授与されていました。

   その後、2012年の収支報告や2013年の予算(詳細は、
   http://iaoc.ietf.org/budget.html)やチェアの選挙の結果報告として、
   IAOCチェアにはBob Hinden氏が選出され、IETF TrustチェアにChris
   Griffiths氏が選出されたことが報告されました。

 - Nomcomチェアレポート、IAOCオープンマイク、IESGオープンマイク

   Nomcomチェアからは、IAOC 2名、IAB 7名、IESG 7名の選出結果発表があ
   りました。引き続き、Russ Houstley氏から「Passing The Baton To 
   Jari」(Jariにバトンを渡します)という発表があり、これに応える形で
   Jari Arkko氏からは「Accepting the Baton from Russ」(Russからバトン
   を受け取ります)という発表がありました。Russ氏は記念品として授与さ
   れたサッシュをつけてスピーチをしていました。Jari氏からは、「今日は
   ちゃんとジャケットを着るよ」という発言があり、新しいIETFチェアとし
   て、IETFのこれまでの活動の良い所は伸ばし、悪い所(結論がでるまでに
   時間がかかるケースがある等)を改善していくといった表明がありました。

   この後はIAOCのオープンマイクとIABのオープンマイクですが、この段に
   なると一層リラックスした雰囲気になり、IAOCのオープンマイクの際に
   は、Bob Hinden氏は、「フリースタイルで」といいながら、長いマントを
   羽織って登場しました(今回のソーシャルイベントはユニバーサルスタジ
   オのハリーポッターのアトラクションを貸し切って行われることに引っ掛
   けたようです)。

   しかし、IABのオープンマイクでは雰囲気は一転し、会場からはリーダー
   シップやダイバーシティの問題、マイノリティや英語を母国語としない人
   へのケア、若手などへのメンターの提案など多くの参加者で円滑に運営し
   ていくための話し合いが時間いっぱいされました。今回のオープンマイク
   では、非常に多数の女性がマイクに立って発言をしており、一層今までに
   ない雰囲気となっていました。ダイバーシティに関してはその後もIETFの
   全体メーリングリストで活発なやり取りが続いていますが、今回あったよ
   うな話は簡単に結論がでるものでもなく、継続してなされていくと思われ
   ます。

                  ◇              ◇              ◇

次回のIETF Meetingは、2013年7月28日(日)から8月2日(金)にかけてドイツの
ベルリンにて開催されます。


■リンク

今回の議題や資料は、こちらのURLで取得可能です。
   - https://datatracker.ietf.org/meeting/86/agenda.html

次回ベルリンでの第87回ミーティングの予定はこちらです。
   - https://www.ietf.org/meeting/upcoming.html

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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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