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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1222【臨時号】2014.8.20 ◆
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◆ News & Views vol.1222 です
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2014年7月20日(日)から25日(金)までカナダのトロントで開催された、第90回
IETFミーティングのレポートを、本号より連載にてお届けします。
第1弾となる本号では、全体会議の内容をお伝えします。次号以降では、ワー
キンググループ(WG)の動向について、IPv6関連WG、DNS関連WG、セキュリティ
関連WGの順にご報告していく予定です。
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◆ 第90回IETF報告 [第1弾] 全体会議報告
JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司
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第90回IETFミーティングは、オンタリオ湖のカナダ側、北西の湖岸にある都
市トロントにある、フェアモント・ロイヤルヨークホテルで行われました。
■ 開催規模
第90回IETFミーティングの参加人数は、1,175名でした(*1)。ここ数回を振り
返ってみると、1,200名前後で推移している模様ですので、通常と大きく変わ
らない人数であると言えます。日本からの参加人数は、以前のように具体的
な数字が公表されていないものの、IETFチェアの報告資料では、100名前後で
推移しているようです。ワーキンググループ(WG)のリスト(*2)にあるWG議長
の中には、日本人の名前が見られますので、日本人はミーティングに参加し
ているだけではなく、IETFにおける活動の中で活躍されていることがわかり
ます。
IETFには、120ほどのWGがあります。WGでは、技術の仕様や課題に関する検討
結果などを、RFCとして取りまとめて公開するための活動が行われています。
RFCの編集を行うグループであるRFCエディターによると、2006年以降、RFCが
公開された数は毎年300前後とされています。2014年は、7月の時点でRFC化に
向けて提出された文書が200ほどと多く、想定されていた作業量を超えていま
す。
RFC Editor Report, IETF 90
http://www.ietf.org/proceedings/90/slides/slides-90-iesg-opsplenary-0.pdf
(*1) IETF 90 Administrative Plenary, IETF 90
http://www.ietf.org/proceedings/90/slides/slides-90-iesg-opsplenary-7.pdf
(*2) Active IETF Working Groups
http://datatracker.ietf.org/wg/
■ ジョン・ポステル賞
今回は、2014年のジョン・ポステル賞の発表があるIETFミーティングでした。
今年のジョン・ポステル賞は、ネパールにおける無線LANのネットワーク敷設
に尽力した、Mahabir Pun氏に贈られました。
Mahabir Pun Receives 2014 Jonathan B. Postel Service Award
http://www.internetsociety.org/news/mahabir-pun-receives-2014-jonathan-b-postel-service-award
■ 第90回IETFミーティングのBoFに見られる新たな活動
IETFでは、新たな技術や議題が出てきた時や、WGを作成する必要があるかど
うかがわからない状態の時には、Birds of a Feather (BoF)というミーティ
ングが開かれて議論されることがあります。IETFにおいて、新たに立ち上が
りつつある活動の動向を見ていくには、BoFのミーティングに参加するのが
手っ取り早いと言えます。BoFの中には、発案者を中心として少人数で行われ
る非公式のBoFもあり、正しい数はわからないながらも、今回のIETFでは10ほ
どのBoFが開かれました。ここでは、そのうちのいくつかを紹介します。
IETF-90 BoFs
http://www.ietf.org/blog/2014/06/ietf-90-bofs/
○UCAN (Use Cases for Autonomic Networking)
ネットワークの設定や最適化、障害からの復旧といった運用が、自動的
に行われる自動ネットワーク(Automatic Networking)の技術に関するBoF
です。その用語や概念は、IRTFのNetwork Management Research Group
(NMRG)で検討されてきました。
Autonomic Networking - Definitions and Design Goals
http://tools.ietf.org/html/draft-irtf-nmrg-autonomic-network-definitions
BoF開催の背景となる文書
- Autonomic Networking - Definitions and Design Goals
http://tools.ietf.org/html/draft-irtf-nmrg-autonomic-network-definitions-02
○TCPINC (TCP Increased Security)
TCPの拡張(extensions)を利用して、TCPで転送されるデータを暗号化し
たり、その完全性を確認できるようにする技術のBoFです。第88回IETF
ミーティングで大きく取り上げられた、大規模なネットワークの盗聴
(pervasive monitoring)への対策技術として位置付けられています。
BoF開催の背景となる文書
- Gap Analysis for Autonomic Networking
http://tools.ietf.org/html/draft-irtf-nmrg-an-gap-analysis-00
○IANAPLAN (IANA Plan)
米国商務省電気通信情報局(National Telecommunications and
Information Administration:NTIA)の発表したIANA機能の監督権限移管
について、IETFにおける対応を検討するためのBoFです。IANA機能につい
て言及されているRFCの更新が必要なことがわかっており、WG設立の方向
になっています。
メーリングリストの情報
- http://www.iab.org/mailman/listinfo/internetgovtech
○VNFPOOL (Virtual Network Function Pool)
ファイアウォールやロードバランサーといった、ネットワーク機能を仮
想化するVirtualized Network Function (VNF)を使ったネットワークに
おいて、ソフトウェア障害などに対する信頼性を向上させる仕組みを検
討しているグループのBoFです。第89回IETFミーティングでもBoFが開か
れていました。WG設立の方向で検討されているようです。
WG設置前のWebページ
- https://datatracker.ietf.org/wg/vnfpool/charter/
これらの他に、BoFのWikiには下記のBoFに関する最新情報が掲載されていま
す。
Birds of a Feather Meetings (IETF Pre-WG Efforts)
http://trac.tools.ietf.org/bof/trac/wiki/WikiStart
- Application Enabled Collaborative Network (AECON)
- Transport Independent OAM in Multi-Layer network Entity (TIME)
- Network Function Virtualisation Configuration (NFVCon)
- Abstraction and Control of Transport Networks (ACTN)
- Delay Tolerant Networking Working Group (DTNWG)
- Transport Services (TAPS)
- Application-based Policy for Network Functions (APONF)
- RFC Format Update (RFCFORMAT)
■ IETFの活動のための、ネットワークやアプリケーションの活用
IETFチェアのレポートによると、Webページ「http://www.ietf.org/」の、コ
ンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)を使った提供が始まりました。そ
の結果、東京からアクセスした時のページの読み込み時間は、3.2秒から0.8
秒に短縮されたとのことです。
IETFミーティングでは、SNSやさまざまなツールも活用されています。Twitter
アカウント@IETFでは、#IETFというハッシュタグで全体会議(プレナリー)の
アナウンスや中継の情報などが流されています。#IETF90というハッシュタグ
は1,186ツイートで使われ、新たにフォロワーが578増えました。技術に関す
る全体会議(テクニカル・プレナリー)は、YouTubeで中継されており、301ア
クセスがありました。なお、初めて中継が行われて、"Hardening The
Internet"というセッションが話題となった第88回IETFミーティングのテクニ
カル・プレナリーは、11,000回以上再生されたと報告されていますが、それ
以降は300ほどであるようです。
@IETF on Twitter
https://twitter.com/ietf
2011年頃からAppleのApp Storeで配布されている「IETFers」は、WGの発表資
料などが閲覧できるiPhone用アプリケーションです。PCを広げなくても、WG
のミーティングの参加に必要なプレゼンテーションスライドなどが閲覧でき
るようになっています。
IETFers
http://www.itunes.com/app/ietfers
■ テクニカルトピック ~ネットワーク・トポロジーと地理的な情報~
技術に関する全体会議であるテクニカル・プレナリーでは、最新のホットな
話題や技術的なインターネットの仕組みのあり方が議論できるような話題が、
テクニカルトピックとしてプレゼンテーションされます。今回のトピックは、
「Network topology and geography(ネットワーク・トポロジーと地理的な情
報)」と題して、三つのプレゼンテーションが行われました。
○IXmaps.ca
カナダでIX (Internet Exchange)の位置情報を可視化している、IXmaps
プロジェクトの紹介です。データセンターにあるルータの位置情報を、
オペレーターの協力の下に集積して、Google Mapsなどを使って可視化し
ています。カナダの国際トラフィックはアメリカ国内を通ることがわかっ
ており、アメリカ国家安全保障局(NSA)による通信傍受の対象となってい
るかどうかを調べられるといった用途の紹介もありました。
○Internet Exchange Point (IXP) - Global Development Work
IXPの設置についての情報提供など、国際的に協力してIXPの発展を支え
ている、ISOCのWebサイト「IXP Toolkit&Portal」の紹介です。
- IXP Toolkit
http://www.internetsociety.org/ixptoolkitguide
- IXP Portal
http://www.ixptoolkit.org
○CAIDA Tools, Data and Research on Internet Topology and Geography
カリフォルニア大学にある、インターネットトラフィックの分析を行っ
ているグループのCAIDA (Center for Applied Internet Data Analysis)
による、地理的な情報を含めた計測プロジェクトArchipelagoの紹介で
す。小型で安価なコンピューターであるRaspberry Piを使って、計測ノー
ドを実現しています。
- Archipelago Measurement Infrastructure
http://www.caida.org/projects/ark/
会場では、「利用者の観点では、地理的な場所よりもIXPがどれほど混んでい
るのか、すなわち、トラフィック量に興味を持たれるのではないか」「発展
途上国では、IXPの遅延やコストを知るために、(地理的な計測は)効率的だと
思う」といったコメントが寄せられていました。
◇ ◇ ◇
会場となったフェアモント・ロイヤルヨークホテルは、内装がクラシックで
趣のあるホテルでした。フロントの中二階には回廊があって、創業当時から
撮られてきた白黒写真が飾られています。写真の説明を読んでいくと、エリ
ザベス女王やオバマ大統領をはじめとする著名人の宿泊に使われただけでな
く、映画の撮影などにも使われてきたことがわかります。第90回IETFミーティ
ングの全体会議が行われたホールには、テラス席がありました。ここで晩餐
会が開かれたとするならば、主催者が、もしくは主賓が、フロアを一望する
姿が目に浮かぶようです。WGミーティングが行われた部屋には、シャンデリ
アや天井画があって豪華な印象でした。しかし、われらがIETF参加者の関心
事は、別のところにあります。まず、座った席で電源が確保できるか、Wi-Fi
とインターネットへの接続性に問題はないか、議論はWGの時間内に終わるの
か、といったところです。そんなIETF参加者のおかげもあって今のインター
ネットがあり、会場にある歴史的な黒電話の時代には想像もできなかったよ
うなコミュニケーション手段が世界に広がっていることを思うと、会場の趣
とかけ離れた服装の参加者に愛着を覚えなくもありません。
次回の第91回IETFミーティングは、2014年11月9日から14日まで、アメリカ合
衆国ハワイ州オアフ島、ホノルルで行われます。オアフ島といえば、インター
ネットの技術としては欠かせない、イーサネットの基礎である「ALOHA」シス
テムの生まれたところです。ここでALOHAの歴史を語ると、長くなってしまう
ので別の機会に譲りますが、アメリカ西海岸に、エンジニアの悩みを忘れさ
せると言われる広く美しい空があるように、ALOHAが生まれたハワイには何が
あるのか。そして何より、いつも予算と開催規模の兼ね合いで、開催地がシー
ズンオフの土地になってしまうIETFミーティングが、常夏のハワイで開催さ
れたら一体何が起きるのか、参加人数は大幅に増加するのか、それとも出張
申請が通りにくくて減少するのか、興味深いところです。再び何らかの形で、
ご報告できればと思います。
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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