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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1260【臨時号】2014.12.16 ◆
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◆ News & Views vol.1260 です
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2014年10月中旬にロサンゼルスで開催された第51回ICANN会議を受けて、2014
年11月19日(水)に第41回ICANN報告会を、Internet Week 2014の同時開催イベ
ントとして開催いたしました。本号では、昨日発行したInternet Weekの全体
報告に続いて、その報告会のレポートをお届けします。
今回の報告会では、前回に続いてICANNの担当者が来日し、ICANNの状況につ
いて発表いただくとともに、日本のユーザーとの意見交換を行いました。
なお、ICANNロサンゼルス会議自体の報告については、vol.1251、1252でお届
けしていますので、そちらも併せてご覧ください。
□第51回ICANNロサンゼルス会議報告
○[前編] IANAの監督権限移管およびICANNの説明責任に関する話題
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1251.html
○[後編] 新gTLDとWHOISに関する議論
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1252.html
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◆ 第41回ICANN報告会レポート
JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2014年11月19日(水)、東京・秋葉原の富士ソフトアキバプラザにて、一般社
団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)と一般財団法人
インターネット協会(IAjapan)の共催で、第41回ICANN報告会を開催しました。
これは、2014年10月12日(日)から16日(木)までの5日間にわたり、ロサンゼル
スにおいて開催された、第51回ICANN (The Internet Corporation for
Assigned Names and Numbers)会議の内容をご報告するものです。
今回の報告会は、当該週に開催されたInternet Week 2014との同時開催プロ
グラムの一つであったこともあり、会場はほぼ満席となりました。今回もま
た、シンガポールにあるICANNアジア拠点のKelvin Wong氏にご登壇いただき、
ICANNスタッフと日本のユーザーが直接意見を交換する、貴重な機会ともなり
ました。
■ プログラム
第41回ICANN報告会のプログラムは、次の通り(話者敬称略)です。
1. ICANNロサンゼルス会議概要報告
JPNIC 奥谷 泉
2. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
総務省総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 山口 修治
3. 新gTLD関連報告
株式会社日本レジストリサービス 遠藤 淳
4. ICANN APAC Hubとジャパン・リエゾンについて
ICANN Kelvin Wong
5. ICANN国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
ICANNルートサーバー諮問委員会(RSSAC)関連報告
株式会社日本レジストリサービス 堀田 博文
6. ICANNのアカウンタビリティに関するパネルディスカッション
モデレーター:JPNIC 前村昌紀
パネリスト(角括弧内は所属ICANNコミュニティ名):
奥谷泉 [アドレス支持組織(ASO/GNSO ISP部会)]
北村泰一(ISOC-JP) [At-Large]
Kelvin Wong [ICANN]
堀田博文 [ccNSO、GNSO gTLDレジストラ部会]
村上嘉隆(株式会社ブライツコンサルティング)[GNSO 知的財産部会]
山口修治 [GAC]
以下、プログラム順に簡単にご報告します。
■ ICANNロサンゼルス会議概要報告
JPNICの奥谷より、IANA監督権限の移管およびICANNの説明責任に関する検討
状況、新gTLD関連動向、gTLD WHOISの見直しについて主に報告しました。内
容については、vol.1251(*1)およびvol.1252(*2)で既にご紹介していますの
で、ここでは省略します。
(*1) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1251.html
(*2) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1252.html
■ ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
総務省の山口氏より、GACの動向に関して、主に以下の点についてご報告いた
だきました。
・新gTLD関連のGACロサンゼルス助言(次項で詳説します)
・次世代WHOIS:課題(正確さ、国内法との関連、プライバシー/プロキシー
認定の課題、言語サポート、理事会での扱いなど)との関連性と、今後必要
となる作業を並べたスケジュール表を要請
・GAC議長・副議長選挙結果:議長はスイス、副議長はアルゼンチン、ナミビ
ア、スペイン、タイ、トルコよりそれぞれ選出
・IANA監督権限移管およびインターネットガバナンスの今後の展開:GACとし
て理事会に助言すべく、包括的な原則を作成することで合意
これまでコンセンサスにより選出されていたGAC議長・副議長は議長候補が2
名、副議長候補が6名となったため、GAC設立後初めて投票が行われました。
副議長に関して、当初選出の3名では地域のバランスを欠くとして、GAC運用
原則に基づきタイ・トルコの候補者が指名されました。
○新gTLD関連のGACロサンゼルス助言
主に次の4点について議論され、最終的に理事会に対して助言されたとのこと
です。
- 消費者保護の観点等からセーフガード助言を行った文字列
金融・医療などの規制業種や、免許・資格に関する文字列などのうち、配
慮が必要とされた文字列(例:.bank)などについて、ICANN側は、登録者の
申請要件(例:証明書などの提示)を、現状のレジストリ規約に追記するこ
ととしています。しかしこれに対し、GACは証明書の正当性等が不十分とし
て、その再考を助言しました。
- 政府間機関(IGO)名称の保護、および赤十字/赤新月社の各国内関連名称等
の保護
IGOに関しては、名称・頭文字のトップレベルおよびセカンドレベルにおけ
る保護が、公共の利益の視点から暫定的なものだけではなく恒久的に実装
されるべきとの従来の助言を再確認し、GNSOおよび理事会との対話を継続
するとしました。各国赤十字等に関しては、各国内の関連名称等(例:日赤)
についても、当該文字列への暫定的な保護措置がとられたことを歓迎する
とともに、現状確約されていない恒久的な保護の必要性を助言しました。
- 新gTLDのセカンドレベルにおける2文字名称解放
新gTLDレジストリが国・地域名称の使用を希望する場合、ICANNが関係政府
に対してその旨の注意喚起を行う仕組みを要望しました。
- 将来の新gTLD申請に向けた、現行新gTLDプログラムのレビュー作業
1. レビュー作業を将来の新gTLD申請方針の策定前に終了すること
2. 途上国やコミュニティからの申請拡大に配慮すること
3. 今般の新gTLDの最終文字列の処理が終了し、関係者の過度な負荷となら
ないスケジュールでレビュー作業が実施されること
■ 新gTLD関連報告
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の遠藤氏からは、新gTLD募集の背景
および実績、現行新gTLDプログラムの最新状況、次回の新gTLD募集に向けて
の動向についてお話しいただきました。プログラム全体の進捗はもとより、
新gTLD全体の(セカンドレベルドメイン名の)登録数、登録数の多い新gTLD、
日本からの申請の状況など興味深い統計に加え、新gTLDに対してICANNから要
求されている事項をカバーいただきました。
次回の新gTLD募集に関しては、ICANNから活動計画書案が公開されており、ロ
サンゼルス会議では次回募集についてのセッションが開催され、活動計画の
内容が紹介されたとのことです。活動計画には、現行新gTLDプログラムのさ
まざまな面からの評価、および次期プログラム策定が含まれます。関連して、
GNSOでは次回募集について議論するグループが2014年6月のロンドン会議時に
設立され、ロサンゼルス会合では初の対面会合を開催して課題を分類したと
のことです。
■ ICANN APAC Hubとジャパン・リエゾンについて
ICANNのKelvin Wong氏より、まずはじめにICANNのグローバル化を実現するた
めの一環である、アジア太平洋オフィスの状況をご報告いただきました。続
いて、日本に対するエンゲージメント強化の一環として、これまで日本を含
むアジア地域のアウトリーチなどを担当しているWong氏に加え、大橋由美氏
がジャパン・リエゾンとして任命され、日本のコミュニティに特化した情報
提供を開始したことが紹介されました。当日は大橋氏も会場に来られており、
ご挨拶いただきました。その他には、2014年9月に東京にて新gTLDレジストリ
向け、およびレジストラ向けの会合を開催したことなどが報告されました。
■ ICANN国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告/ICANNルートサーバー
諮問委員会(RSSAC)関連報告
JPRSの堀田氏より、ccNSOおよびRSSACの動向についてご報告いただきました。
ccNSOではまずはじめに、DNSの構造とTLDの委任に関する既存ポリシーの解釈
(ccTLDの委任・再委任に関する判断経緯とポリシーとのマッピングなど)を実
施している、Framework of Interpretation (FoI) WGでの議論が紹介されま
した。続いて、ccTLDレジストリ間のインシデント情報連携に関する議論と、
IANA監督権限移管のうち、ドメイン名における提案についてのCWG (Cross
Community Working Group)での検討が報告されました。また、堀田氏からは
JPドメイン名に関する動向として、都道府県型JPドメイン名、なかでも漢
字ラベルが導入されたことが、併せて紹介されました。
RSSACについては、まず組織の構造をおさらいした後、ICANNコミュニティ活
動への参加状況、RSSAC独自の活動として、ルートサーバーのサービス仕様お
よびルートサーバーの品質・性能の測定方針の文書化について、ご報告いた
だきました。
■ ICANNのアカウンタビリティに関するパネルディスカッション
パネルディスカッションでは、ICANNのアカウンタビリティについて議論しま
した。ICANNのアカウンタビリティ機構の現状などについてJPNIC前村より説
明した後、各ステークホルダーより、ICANNのアカウンタビリティに対するお
考えをお話しいただきました。
パネリストからの主な発言は次の通りです(括弧内は所属コミュニティ)。
[Kelvin Wong氏(ICANN)]
コミュニティからのフィードバックをいただきたい。
[村上嘉隆氏(ビジネス/GNSO 知的財産部会)]
ICANNが規模が拡大した結果、アカウンタビリティに関する明確化の声がよ
り高まっている。
[堀田博文氏(ccTLDレジストリ/GNSO gTLDレジストラ部会)]
アカウンタビリティの定義の明確化が必要ではないか。
[奥谷泉(ASO/GNSO ISP部会)]
ICANNはマルチステークホルダーと言いながら、欧米中心で議論しており、
また、技術コミュニティからの意見があまり見受けられないなど、地域やス
テークホルダーが偏った議論になっているように思う。
[山口修治氏(GAC)]
複雑な状況の中で組織運営をよくやっており、徐々にではあるが改善もして
きていると思う。一方、ICANNにおける日本のプレゼンスは高いとは言えず、
これを改善していく必要がある。
少々時間が不足気味でしたが、活発な議論を行うことができました。
■ 最後に
もしかしたら「ICANNのアカウンタビリティ」というような大きなテーマをき
ちんと話すためには、もっとディスカッション時間が必要だったのかもしれ
ません。こうした重要なテーマについては、ICANN報告会という場にとどまら
ず、日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)の場なども利用し、今後、そ
うした議論が日本でもっと活発にできる土壌や雰囲気を生成していけるよう、
JPNICとしても努力してまいります。
日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)
https://www.nic.ad.jp/ja/governance/igconf/
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
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