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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1289【臨時号】2015.3.24 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1289 です
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昨日発行したvol.1288より、10年ぶりの日本開催であり、またAPAN会合との
同時開催ともなった、APRICOT-APAN 2015の会合に関するレポートを連載にて
お届けしています。

本号では、連載の[第2弾]として、APNIC 39カンファレンスにおけるアドレス
ポリシーに関する議論の動向をご紹介します。次号では、技術動向について
お伝えする予定です。

なお、APRICOT 2015/APNIC 39カンファレンスの全体会議に関するレポートに
ついては、下記のURLよりバックナンバーをご覧ください。また、その他の
APRICOT-APAN 2015関連の記事についても、同様にまとめています。

□APRICOT 2015/APNIC 39カンファレンス報告
  [第1弾] 全体報告(vol.1288)
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2015/vol1288.html

□APRICOT-APAN 2015関連記事
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/apricot-apan-2015.html

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◆ APRICOT 2015/APNIC 39カンファレンス報告 [第2弾]
   アドレスポリシー関連報告
                                               JPNIC IP事業部 川端宏生
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APRICOT-APAN 2015では、さまざまなプログラムがあります。プログラムの一
つであるポリシーSIGでは、丸一日かけてアジア太平洋地域のIPアドレス・AS
番号の、分配ポリシーについての議論が行われました。本号では、ポリシー
SIGでのアドレスポリシーに関する提案内容と、各提案での議論の様子を中心
にご紹介します。


■ SIGについて

特定の話題について議論を行うために、APNICではSIG (Special Interest 
Group)という仕組みが設けられています。

APNICカンファレンスでは、ポリシーSIGのほかに、JPNICのような国別イン
ターネットレジストリ(NIR)に関連する話題について議論を行うNIR SIGの、
二つのSIGがこれまで設けられていました。今回新たに、公共政策やインター
ネットガバナンスなど、APNICコミュニティにとって関連のある事項をさまざ
まな関係者で議論するための、Cooperation SIGが設けられることになりまし
た。

SIGでは、メーリングリスト(ML)上での議論のほか、年に2回開催されるAPNIC
カンファレンスでは顔を合わせての議論を行います。最近では、ストリーミ
ングによる議論の中継や、発言をリアルタイムに画面やスクリーン上に映し
出すトランスクリプト、チャットによるコメント受け付けなど、会場以外か
らミーティングに参加するための手段も多く設けられています。


■ ポリシー提案について

今回は4点のポリシー提案がありましたが、議論が行われた結果、コンセンサ
スとなった提案はありませんでした。3点の提案が継続議論となり、残る1点
の提案は棄却となりました。

以下では、提案の内容と結果をご紹介します。

(1) 'legacy IPv6 address blocks'から割り振りを受けている組織へのIPv6
    アドレス割り振りサイズ拡張 (提案番号:prop-112)

    提案者:藤崎智宏氏

    概要:該当する範囲から割り振りを受けている組織に対して、追加割り
          振りのための利用率を満たしていない場合にも、希望があれば将
          来の需要予測の提出なしに、最大で/29となるよう割り振りを行
          う。
          (提案の詳細) http://www.apnic.net/policy/proposals/prop-112

    結果:棄却

現在、APNIC地域におけるIPv6アドレスの割り振りは、2400::/12の範囲から
行われています。2400::/12の範囲から割り振りを行う際には、複数回のIPv6
アドレス割り振りを受けた場合にも、連続した範囲になるよう考慮された管
理が行われています。一方、2400::/12の範囲から割り振りを開始する前に、
2400::/12とは異なる範囲からIPv6アドレスの割り振りを受けた組織に対して
は、連続した/29の範囲となるようアドレスは予約され、他の組織に割り振り
を行わないよう管理されています。

提案者からは、他の組織に割り振りが行われず、利用されないままとなって
いるこのアドレスブロックの、有効利用を目的とした提案である旨が紹介さ
れました。MLや当日の議論では、効率的な利用に賛成するコメントが出され
る一方で、アドレスの割り振りは実際の需要に基づき行われるべきだ、との
コメントも出されていました。

挙手およびオンラインで本提案に対する賛否を確認した結果、本提案はコン
センサスには至りませんでした。この提案は、APNIC 37カンファレンスより
3回にわたり議論が行われましたが、いずれにおいてもコンセンサスに至らな
かったことから、ポリシーSIGチェアより、提案を棄却とすることが発表され
ました。

(2) 小規模ネットワークへのIPv4 PIアドレス割り当て基準変更
    (提案番号:prop-113)

    提案者:Aftab Siddiqui氏
            Skeeve Stevens氏

    概要:「プロバイダ集成可能(PA; Provider Aggregatable)アドレスで既
          にマルチホームしている」または「1ヶ月以内にマルチホームする
          予定がある」というIPv4プロバイダ非依存(PI; Provider 
          Independent)アドレスアドレスの割り当て基準を、「PAアドレス
          で既にマルチホームしている」または「PAアドレスで相互接続し
          ている」または「3ヶ月以内にアドレスを経路広告する計画があ
          る」に変更する
          (提案の詳細) http://www.apnic.net/policy/proposals/prop-113

    結果:ポリシーSIG MLでの継続議論

IPv4アドレスは、APNICやJPNICなどのレジストリからプロバイダ等に分配さ
れ、プロバイダはエンドユーザーに分配するという、階層構造により管理が
行われています。ただし、特定の条件を満たす小規模ネットワークや、イン
ターネットエクスチェンジポイントなど一部のケースにおいては、レジスト
リからエンドユーザーに対して、直接分配が行われています。

この提案は、特定の条件を満たす小規模ネットワークに割り当てる目的で、
レジストリからエンドユーザーに対して直接分配を行う際の、基準を変更
するものです。

インターネットの普及が目覚しい地域では、レジストリからプロバイダへの
割り振りアドレスに限りがあるため、エンドユーザーが希望する数のIPアド
レスの分配を受けることも難しい、といったケースもあるようです。現在の
基準が緩和されることで、IPv4アドレスの分配を受ける機会の増加につなが
るとの意見が表明されていました。また、提案には、「3ヶ月以内に割り当て
アドレスの25%、1年後までには割り当てアドレスの50%を利用する計画がある
こと」という条件も、併せて撤廃すること含められていましたが、割り当て
アドレスの利用予定を確認する条件は必要であるとの意見が、複数表明され
ていました。

会場から出された意見を踏まえた改定案が、ポリシーSIGの最中にMLに投稿さ
れ、それをもとに議論が行われるなど、状況は刻々と変化し、目を離せない
状況となっていました。一通りの議論が終了した後に、本提案に対する賛否
を確認しましたが、本提案はコンセンサスには至らず、MLで継続議論を行う
こととなりました。MLでは、ポリシーSIGの終了後も議論が続きましたが、改
定案に賛同する意見が多く寄せられています。

(3) AS番号割り当ての基準変更(提案番号:prop-114)

    提案者:Aftab Siddiqui氏
            Skeeve Stevens氏

    概要:「マルチホームする」かつ「上流プロバイダの外部経路制御ポリ
          シーとは異なり、明確に定義された単一のものである」というAS
          番号割り当て基準を、「6ヶ月以内にAS番号を利用する予定があ
          る」に変更する
          (提案の詳細) http://www.apnic.net/policy/proposals/prop-114

    結果:ポリシーSIG MLでの継続議論

AS番号は、上流接続先のルーティングポリシーに依存せずに、自律ネットワー
クと定義されるネットワークに対して割り当てられます。

提案者からは、上流接続先より提供されるサービスの選択肢が限られる地域
では、AS番号の割り当てを受けて、上流接続先に依存しない状況にしておき
たいと考えるケースがあると紹介されていました。そのようなケースでは、
AS番号の割り当て要件を満たすよう、虚偽の申請を行っているケースもある
ため、実態に合うよう割り当て基準を変更したい、という背景があったよう
です。

提案がMLで紹介された当初は、現行ポリシーの解釈や、具体的な例を挙げた
上で、現在有効なポリシーを変更せずともAS番号の割り当てを受けられるケー
スかどうかという議論が、多くを占めていました。APNIC審議担当の責任者も
参加して、APNICでの判断例やポリシーの解釈について、さまざまな議論が行
われました。

議論の結果、提案者からは、マルチホームであること(マルチホームする計画
であること)は基準から削除せず、マルチホーム実施時期は定めない、とする
基準を盛り込んだ改定案が発表されました。しかしながら、本提案への賛否
の確認したところ、本提案は提案番号:prop-113と同様にコンセンサスには
至らず、MLで継続議論を行うこととなりました。その後のMLの議論では、多
くが賛成を表明する意見となっています。

(4) WHOISでのフィルタリング情報提供(提案番号:prop-115)

    提案者:廣海緑里氏
            藤崎智宏氏

    概要:IPv4では「ポート番号」を、IPv6では「割り当てアドレスサイズ」
          の情報をWHOISに追加し、これらの情報でも登録情報を検索でき
          るようにする。
          (提案の詳細) http://www.apnic.net/policy/proposals/prop-115

    結果:ポリシーSIG MLでの継続議論

IPv4アドレスの通常在庫枯渇以降、グローバルIPアドレスとポート番号との
組み合わせを利用して、複数の機器やユーザーがグローバルIPアドレスを共
有する技術を採用する組織が多くなってきています。また、IPv6による不正
行為なども多くなってきているようです。

不正利用の際には、連絡先の確認やフィルタリングを行うための情報収集手
段として、WHOISが利用されています。対象を限定した形で的確に対応を行え
るようにするためには、現在のWHOIS登録情報にさらなる情報の追加が必要で
あると、提案者は考えているようでした。

MLや当日の議論では、現在の状況や提案者の問題意識については理解されて
いましたが、WHOISで提案者が考える情報提供を行うことについて、疑問や懸
念を示す意見が表明されていました。

他の提案と同様に、本提案でも賛否を確認しましたが、本提案はコンセンサ
スには至りませんでした。しかしながら、ポリシーSIGチェアからは、この提
案はWHOISデータベースに関する問題であり、実装の影響などを慎重に考慮す
る必要があるとの判断が示されました。その結果、問題意識を深く掘り下げ
て提案者だけではなく、関係する人とともに議論を進めていく必要があるた
め、MLで継続して議論ことが発表されました。


■ APNIC Annual General Meetingについて

APNIC 39カンファレンスの最終日には、APNIC Annual General Meeting 
(AGM)が開催されました。これまでは、APNIC Member Meeting (AMM)と呼ばれ
ていましたが、APNICの定款に合わせ、AGMに変更されました。

AGMでは、APNICの活動内容に関する報告、APNIC 39カンファレンス期間中に
開催されたSIGや各種セッションの報告、次回のAPNIC 40カンファレンスの紹
介が行われました。

その他にも、APNIC理事会メンバー(EC)を選出するための選挙が行われまし
た。候補者のプロフィールは、APNICのWebサイト(*)で事前に公開されますの
で、会員の多くはその内容を参考にして、前日までに専用ポータルサイトか
らオンライン投票を済ませます。その一方で、AGM当日は候補者自身が抱負を
述べる機会が設けられますので、その内容を確認して、投票用紙での投票を
行う会員も多く見受けられました。

(*) http://conference.apnic.net/39/elections/

ECの任期は2年となっており、1年ごとに半数が改選となります。今回の選挙
では6名の候補者の中から、4名が選出されました。この4名に加えて、今回
の改選対象には含まれない3名、およびAPNIC事務局長Paul Wilson氏の8名で、
新APNIC理事会がスタートしています。

新しいAPNIC理事会の体制は以下の通りです(括弧内は現在の所属および出身
国・地域)。2014年3月より議長を務めていたJPNICの前村が、今回の新体制に
おいても引き続き、議長を務めることになりました。

  ・前村昌紀(JPNIC:日本)
  ・Ma Yan氏(CERNET:中国)
  ・Che-Hoo Cheng氏(The Chinese University of Hong Kong:香港)
○・Gaurab Raj Upadhaya氏(Limelight Networks:ネパール)
○・James Spenceley氏(Vocus Communications Limited:オーストラリア)
○・Kenny Huang氏(TWNIC:台湾)
☆・Jessica Shen氏(CNNIC:中国)
  ・Paul Wilson氏(APNIC事務局長:オーストラリア)

    ※ ○は今回の選挙で再任されたEC、☆は新任のEC


■ 最後に

ポリシー提案は、ポリシーSIG当日の議論に先立ち、まずはMLで議論が行われ
ます。ML上で今回のポリシー提案が紹介された直後から、それぞれの立場か
らの意見を述べるメールが多く飛び交い、関心の高さがうかがえました。ま
た、ポリシーSIG当日には、マイクの前に質問者が途切れることなく並ぶだけ
ではなく、関係者が休憩時間にも会場内外で熱心に議論を行うなど、時間を
かけてじっくりと議論を行うスタイルになったことが特徴的でした。

APNIC管轄地域内であっても、地域によって事情が大きく異なっています。各
地域からの参加者それぞれが持つ、IPアドレス・AS番号の分配ポリシーに対
する考え方を議論の中ですり合わせていくことが、今後はより重要になって
くるのではないかと感じました。

今回出された提案のうち、提案番号:prop-113とprop-114は、MLでの継続議
論という結果になりましたが、議論の動向からは、今後のカンファレンスで
開催されるポリシーSIGでコンセンサスとなる可能性が高い、と考えていま
す。

ポリシーSIGでコンセンサスとなった提案は、その後のプロセスを経て、APNIC
のポリシーに反映されます。APNICポリシーが変更された場合には、原則とし
てJPNICポリシーにも反映されることになります。ポリシーSIGでの議論の動
向はJPNICでも注視しており、今後も情報提供を行っていく予定です。


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             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1289 【臨時号】

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