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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1463【臨時号】2016.12.22 ◆
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◆ News & Views vol.1463 です
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2016年12月上旬にメキシコ・グアダラハラで開催されたIGF 2016のレポート
を、昨日発行したvol.1462より2号に分けてお送りしています。後編となる本
号では、JPNICの活動に関連する資源管理やその他技術動向に関するレポート
をお届けします。
なお、IGF 2016全体の様子を紹介した前編については、下記のURLよりバック
ナンバーをご覧ください。
□IGFグアダラハラ会合(IGF 2016)報告 [前編] ~全体概要~ (vol.1462)
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2016/vol1462.html
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◆ IGFグアダラハラ会合(IGF 2016)報告 [後編] ~資源管理・技術動向~
JPNIC インターネット推進部 奥谷泉
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IGFは200を超えるセッション数とテーマも多様なため、多くの参加者は興味
のあるテーマをいくつか絞り、セッションや議論に参加しています。このメ
ルマガの前編では、こういう特長を持つIGF 2016に関して、全体の概要を簡
単にご紹介いたしました。
JPNICは番号資源の管理を担うレジストリとして、資源管理や技術動向に関わ
る議論を軸に参加しましたので、後編となる本号ではそれらを中心にご紹介
します。
■ IPv6の導入に向けた経済要因に関する取り組み
(BPF-IPv6:IPv6 Best Practices Forum)
2015年より継続しているIPv6に関する最適事例を文書化する取り組みで、
2016年は経済的モチベーションに重点を置き、ケーススタディを公募して
20を超える事例を集め、文書化しました。(「IPv6 Summit in TOKYO
2016」でも紹介)
誰もが参加できるプロセスを通じ、RIRのコミュニティメンバーが中心と
なって、今年の春からこの文書の策定が始まりました。そのため、IGFで
のBPF-IPv6セッションにおいても、各RIR地域からパネリストが登壇しま
した。
セッション終了後には中国およびホスト国メキシコの参加者から自国に持
ち帰って普及促進を進めたいと個別に反応がありましたが、実際どの程度
の効果につながるのかは、IPv6-BPF文書に関する今後の継続的な周知活動
次第と思われます。
・対象:技術的なBest Practices文書ではなく、政府や企業の関係者を読
者として想定しています。
・主なメッセージ:
・ユーザー側の環境は、CDNも含めて整っており(Cloudflare社に加え、
Akamai社も新規ユーザーへのデフォルト提供を発表している)、主な
グローバルコンテンツがIPv6化しているため、ISPがデフォルトでIPv6
を提供すれば一定のトラフィックが見込める
・IPv6に対応しているWebブラウザの比率が伸びており、現在は15%、今
後も現在の伸びが継続した場合は2019年末には35%となる
・モバイルではT-Mobile社(米国)、Verizon Wireless社(米国)、
Reliance Jio社(インド)等の事業者において、70%以上のトラフィッ
クがIPv6
・IPv6導入率とGDPに相関関係は無い
・政府、企業がIPv6導入促進に向けてできることのまとめ(今後文書に
反映)
https://schd.ws/hosted_files/igf2016/e6/IGF2016%20BFP-IPv6.pdf
・今後の対応:現在は意見募集を2016年12月9日に終了し、政府関係者、
企業へのメッセージを反映した最終的な文書を策定中で
す。最終的な文書は今後、政府間機関も含めた関係者への
周知が行われます。
■ その他技術動向に関わるセッション
◇ IoTとインターネット
(Day 1 WS170: The Network of Networked Things: Finding the Internet
in IoT)
IETFチェアJari Arkko氏、APNICの事務局長Paul Wilson氏に加え、IEEE、
GSMA (GSM Association)の代表者等が登壇し、IoTを取り巻く検討課題に
対して、別の仕組みで検討するのではなく、既存のインターネットにおけ
る決めごとの枠組みの中で対応していくこと、IoTベンダーはインターネッ
トのエコシステムを認識してその中で対応していくこと、複数の標準化活
動間の連携の重要性等が語られました。
IoTについてはDynamic Coalitionのセッションも開催され、そちらはVint
Cerf氏も登壇しています。IoTの分野は、ベンダーやサービス提供者のみ
ではなく、消費者にも、製品のセキュリティレベルへの認知度向上を促す
取り組みも必要との意見も出ており、安全・安定した環境を提供する上で
さまざまな関係者による連携が重要となってきます。
◇ DNSの分断化
(Day4 WS75: Domain Name System fragmentation? Risk and reality)
Yeti DNSの目的とRoot DNSとの関係および影響について、IABチェアの
Andrew Sullivan氏、L-rootの運用者であるRIPE NCCのCIO Kaveh Ranjbar
氏、Yetiに関わっているPaul Vixie氏が議論を行いました。
Yeti DNSは、IANAの管理するすべてのTLDデータをYeti DNSシステムに反
映し、実際のルートDNSへの影響に関する各種実験を実施しています。し
かしこの実験は、技術的にAlternative Rootとなり得る可能性があるた
め、その影響についてさまざまな意見があることから、登壇者それぞれの
立場から議論が行われました。
Yeti DNS:
https://www.yeti-dns.org/
Paul Vixie氏によるYetiの目的を説明した執筆記事:
http://www.circleid.com/posts/20160330_let_me_make_yeti_dns_perfectly_clear/
◇ IXPおよびCDNを利用したコンテンツデリバリーのあり方
(Day 3 WS47: Content delivery alternatives: intertwining of IXPs
and CDN, Hartmut Glaser)
Cloudflare社、Ams-IX、ISOC、CGI.br等のパネリストが、途上国における
中小ISPによるコンテンツソースとして、IXPに接続してCDN cacheとその
コストを共有する利点と課題を議論しました。
◇ その他
CGNの利用に伴う法執行機関とIPアドレス利用者の特定における課題、国
際化ドメイン名や国際化電子メールアドレスについて議論するセッション
も開催されました。
■ IGF 2016におけるJPNICの活動
IGF 2016において、JPNICは筆者がMAGメンバーとしてプログラム全体の検討
およびセッションの選定に参画したことに加え、以下の活動を行いました。
・セッションの企画・開催
- WS243: Accountability in Internet related policies
・IPv6-BPF活動のCoordinator (奥谷)
- 文書策定に向けた活動のリード・調整(最終文書は2017年1月公開予定)
- IGF IPv6-BPFセッションの企画・司会
- 「IGF Best Practice Forums (BPFs) and Policy Options for
Connecting the Next Billion(s)」セッションへのIPv6-BPFを代表した
登壇
・三つのセッションへの登壇(奥谷)
- WS37: Internet Fragmentation: Getting next 4billion online
- WS64: A Post IANA Transition
- WS132: NetGov, please meet Cybernorms. Opening the debate
■ 最後に
インターネットガバナンスは多様なテーマを取り扱っており、このように技
術コミュニティにも関わりがある議論も行われています。
RIRやIETF、その他I*団体のリーダー達は、これらの分野における課題や必要
な取り組みにおいて、専門家以外に対して正しい理解が深まるよう、情報を
発信し、議論に参加しています。そしてJPNICも、引き続きこれらの関係者と
方向性を協調しながら、適宜議論に参加し、日本の皆様にも動向を共有して
いければと思います。
必ずしもこれらの議論に直接参加することはないとしても、普段関わってい
る分野が、政策や経済社会活動の場ではどのように語られているのかを知る
機会として、興味がありましたらIGFでの議論をご確認ください。
■ 参考情報
個々のセッションのアーカイブ(動画、発言記録)は以下に順次掲載されます
のでより詳しく議論を追いたい場合は開催日時とセッションタイトルよりお
探しください。
http://www.intgovforum.org/multilingual/content/igf-2016-transcripts
またIGFミーティングの全体報告は、前号のNews & ViewsとJPNICブログもご
参照ください。
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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