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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1485【臨時号】2017.3.28 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1485 です
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2017年2月下旬から3月上旬にかけてベトナムで開催された、APRICOT 2017/
APNIC 43カンファレンスのレポートを、vol.1480から連載にてお届けしてい
ます。本号からは、技術関連の動向を2号に分けてご紹介します。

まず[第4弾]となる本号では、ピアリング、ネットワークオペレーション、
IPv6の三つのトピックについて、議論の動向などをご紹介します。

これまでに発行したAPRICOT 2017/APNIC 43カンファレンスに関するその他の
報告については、バックナンバーを公開しておりますので下記のURLをご参照
ください。

 □APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンス報告
   [第1弾] APNIC Executive Councilメンバーとしてのご挨拶(vol.1480)
   https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2017/vol1480.html
   [第2弾] 全体概要報告(vol.1482)
   https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2017/vol1482.html
   [第3弾] アドレスポリシー関連報告(vol.1483)
   https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2017/vol1483.html

なお、連載の最終回となる次号では、引き続き技術関連の動向紹介として、
ルーティング、NTP (Network Time Protocol)、IoT (Internet of Things)に
関連した、三つのトピックを取り上げます。

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◆ APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンス報告 [第4弾] 技術動向報告(1)
   ~ピアリング、ネットワークオペレーション、IPv6~
                                                 JPNIC 技術部 佐藤秀樹
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APRICOT 2017/APNIC 43カンファレンスでは、ポリシー提案やAGM (APNIC
General Meeting; APNIC総会)、SIG (Special Interest Groups)などのセッ
ションだけではなく、多種多様な技術セッションが開催されています。アジ
ア太平洋地域でのインターネット運用者による情報交換の場となるAPOPS (The
Asia Pacific OPeratorS forum)のほか、ピアリング、DNS、ネットワークオ
ペレーションやセキュリティなど、テーマごとの個別のセッションに加え、
多くのチュートリアルセッションも開催されました。

本稿では、4日間の技術関連セッションから、ピアリング、ネットワークオペ
レーション、IPv6の、三つのトピックをピックアップしてご紹介します。


■ ピアリングフォーラム

ピアリングフォーラムは、ピアリングトラック、テクニカルトラック、IXト
ラックの三つのトラックに分け、全体としてほぼ1日かけ開催されました。各
トラックではそれぞれのテーマに沿ったセッションが行われ、また、セッショ
ンの終わりの時間にはピアリングパーソナルとIXパーソナルが行われ、事業
者からの紹介がありました。

特に、IX事業者の紹介では20を超える事業者からの紹介があり、多くのアジ
ア太平洋地域のIXを、一度に把握できる資料となっていました(*1)。

(*1) IX Peering Personals
     https://2017.apricot.net/assets/files/APIC674/20170228-ixp-updates-apricot2017-v4_1488273402.pdf

ピアリングトラックでは、まず「太平洋諸島のピアリング戦略(A Peering
Strategy for the Pacific Islands)」として、NSRC (Network Startup
Resource Center)のJonathan Brewer氏より、太平洋諸島におけるオペレー
ション上の課題が紹介されました。突然トラフィックの経路が変動すること
があるようで、回線についてレイテンシーの変化を観測していると、普段は
70msなのが、ある日突然経路が変わって200msになってしまったといった事例
が紹介されていました。この調査には、RIPE NCCが実施している計測プロジェ
クトである「RIPE Atlas」のトレースルート機能が利用されているため、計
測用プルーブの設置が呼びかけられていました。また、トランジットのレイ
テンシー状況やコミットを重視することや、ローカルなピアリング推進の呼
びかけがあり、加えて地域特性としてインフラ設備構築の必要性から、ペイ
ドピアリングについても許容する意見が述べられていました。しかしペイド
ピアリングについては、会場から否定的なコメントもありました。

続いて、Hurricane Electric社のAnurag Bhatia氏より、BGP Routing Table
Reportとして、2006年から2016年までの経路情報の動向変化を、年ごとの上
位五つのASに注目した紹介があり(*2)、トラックの最後にはAsteroid社の
Andy Davidson氏より「BGP Peering Strategy and Data」として、ピアリン
グを行っていく上で有効なトラフィック可視化の実施と分析、そしてBGPでの
トラフィックエンジニアリングの方法として、BGP属性の利用方法を紹介する
セッションがありました(*3)。これらは、BGP運用を行う上では基本となる事
項かと思われますが、体系立てた紹介となっており、参考となる資料と言え
ると思います。

(*2) BGP Routing Table Report
     https://2017.apricot.net/assets/files/APIC674/bgptablereport2006-2016_1488015387.pdf

(*3) BGP Peering Strategy and Data
     https://2017.apricot.net/assets/files/APIC674/adpeeringdatastrategy_1488016359.pdf


■ Network operation

ネットワークオペレーションに関連する話題として、2日に分けて、三つの
セッションが開催されました。

セッションの内容は、ログ情報の集中管理、BGP経路情報観測プロジェクト
Isolarioについてや、株式会社日本レジストリサービスの野口昇二氏と九州
通信ネットワーク株式会社の末松慶文氏によって紹介された、TLDエニーキャ
ストDNSサーバの運用に関するセッションなど多岐にわたりました。ここで
は、3月1日のNetwork operation (3)にて行われた、Linkedin社、Facebook
社、Arista社のセッションを紹介します。

Linkedin社のMichael Kehoe氏の発表では、ディザスタリカバリーを念頭に置
いた、冗長性の確保と性能確保のための、POP (Point of Presence)の構成に
ついて解説がありました。アジア太平洋地域における挑戦としては、地理的
な近さがパフォーマンスに結びつかないケースの紹介がありました。また、
IPv4とIPv6の比較として、特に裏づけなどの紹介はありませんでしたが、
LinkedinユーザーについてはIPv6を利用している場合の方がパフォーマンス
がよいこと、現在では12%程度がIPv6を利用しているということも紹介されて
います。

Facebook社のSrivatsan Balasubramanian氏からは、POPの設計として、IPト
ポロジーだけではなく、オプティカル領域までの複数のレイヤーでのそれぞ
れの要素を総合して検討し、全体としてのクオリティの維持とコストの低減
をめざした設計を行っていることの紹介がありました。

具体的な設計として、三つの拠点をそのまま接続するのではなく、一つ拠点
を増やし四つの拠点として、6本のファイバーで接続し、冗長構成を構築する
というデザインの利点と、コスト分析について紹介がされていました。その
詳細をここでご紹介するのは難しいため、ご興味がありましたらぜひセッショ
ンの配信をご参照いただければ幸いです(*4)。

(*4) APRICOT 2017 - Network Operations (3)
     https://www.youtube.com/watch?v=gfrpAIuTnoc

セッションの最後には、Arista社の土屋師子生氏から、「Beyond 100GE -
What will be happen to Ethernet?」と題し、25GEの仕様解説と、200GEおよ
び400GE (IEEE 802.3bs)の仕様の紹介がありました。

25GEは、「SFP (Small Form Factor Pluggable)28」規格の利用により、10GE
と同じケーブルを利用することができることや、レーンの利用数などの差に
より40GEへの移行が容易になると、仕様上の利点が挙げられていました。
注意点として、25Gコンソーシアム仕様のものと、2016年6月にIEEE802.3byと
して標準化されたものの二つの仕様があり、FEC (Forward Error Correction)
において差があることが紹介されています。400GEについては、IEEE802.3bs
として2017年に標準化活動が完了見込みであり、2018年末には製品化がされ
始めるであろうこと、現状三つの物理形状が検討されていることとそれぞれ
の分析がありました。また、100GEであったような、複数規格の製品化がされ
ないことを望むというメッセージが示されました。


■ IPv6 Deployment

IPv6 Deploymentセッションでは、NAT64/DNS64の動向、設定の注意点と試験
ツールの紹介、バングラデシュ、スーダンおよびベトナムの固定電話系通信
事業者であるFPT Telecom社から、展開事例の紹介が行われました。

まず、ISOCのJan Zorz氏からNAT64/DNS64についてのセッションがあり、Tモ
バイル社などのオペレーターではNAT64/DNS64技術および464XLATの利用によ
るIPv6の展開が進んでいる一方、Web製作者やコンテンツ事業者などにはツー
ルや試験環境などが整っていないことが問題として挙げられ、DNS64を設定す
る上での注意点の紹介や、試験を容易にするために設置されたGo6labのPublic
テストベッドの紹介がありました。これは、四つのNAT64ソリューションを誰
でも利用できるように設置されたテスト環境となっており、以下のWebサイト
に利用可能な設定内容が記載されています(*5)。

(*5) NAT64/DNS64 public test
     https://go6lab.si/current-ipv6-tests/nat64dns64-public-test/

また、WebサイトのNAT64への対応状況をチェックできるWebサイト(*6)も紹介
されています。

(*6) NAT64 Check
     https://nat64check.go6lab.si/v6score/

続くセッションとして、バングラデシュ、スーダン両国のIPv6導入について
現在の状況が伝えられたほか、FPT Telecom社からは、PPPoEを利用したネッ
トワーク構成、パケットフローの紹介と、実際に遭遇した問題として、DUID
(DHCP Unique Identifier)を同じにしてしまうDHCPv6クライアントがあった
ために、障害となった事例の共有がありました。

このように問題を持っているCPE (Customer Premises Equipment)が存在する
ため、特定の問題を抱えていないCPEを利用しているユーザーのみにIPv6アド
レスを配布することができるよう、BNG (Broadband Network Gateway)と
RADIUS (Remote Authentication Dial In User Service)との連携において、
モデル名をベースにした登録ができるようになっているという紹介がありま
した。

                       ◇        ◇        ◇

各プログラムの内容や資料の多くは、Webサイト(*7)から参照することが可能
です。発表資料や質疑応答をまとめた発言録、当日の発表風景の映像・音声
などが公開されています。

(*7) APRICOT 2017/APNIC 43 Program
     https://2017.apricot.net/program

次号では、引き続き技術関連の動向紹介として、ルーティング、NTP (Network
Time Protocol)、IoT (Internet of Things)に関連した、三つのトピックを
取り上げます。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1485 【臨時号】

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