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JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です
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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1492【定期号】2017.4.17 ◆
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◆ News & Views vol.1492 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌日)に、定期号を発行しています。定期号で
は特集記事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届
けしています。

2017年3月下旬に米国・シカゴにて、第98回IETFミーティングが開催されまし
たが、本号の特集では全体会議の様子をご紹介します。このIETFミーティン
グのレポートについては連載でお届けする予定で、次号以降では、IPv6、ト
ランスポート、セキュリティ、DNSと、各分野の動向を順次発行する予定で
す。

特集以外の記事としては、News & Views Columnでは、一般財団法人日本イン
ターネット協会の大久保貴世氏に、インターネットに関するトラブル相談時
の体験談を語っていただきました。また、インターネット1分用語解説では、
経路情報の正確さを検証するための技術である「BGPsec」を取り上げていま
す。

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◆ 目次
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【 1 】特集
       「第98回IETF報告 [第1弾]  全体会議報告」
【 2 】News & Views Column
       「インターネットのトラブル相談から学ぶこと」
         一般財団法人インターネット協会 主幹研究員  大久保貴世氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「BGPsecとは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「第98回IETF報告 [第1弾]  全体会議報告」
                                NTTコミュニケーションズ株式会社 西塚要
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第98回IETFミーティング(IETF 98)は、米国・シカゴのスイスホテルで行われ
ました。本記事では、IETF全体に関するトピックとして、全体会議や各ワー
キンググループ(WG)、BoF (Birds of a Feather)での議論から、以下につい
て報告します。

・参加者傾向
・IETFにおけるプロセスの改革
・開催地の選定に関する議論
・プロトコルと人権
・IETFチェアの交代

米国での政権交代に伴い、入国制限の波紋が広がる中での開催となりました。
入国審査が厳しくなるのではないか、などの心配をしておりましたが、私を
含む日本人参加者は全員無事に入国することができました。しかし、米国へ
の入国制限および入国時の情報収集については、IETFミーティング開催地の
選定に関する問題として、今回のIETFにおいて度々議論になりましたので、
その点についても報告いたします。


■ 参加者傾向

今回の参加者は、1,086人と1,000人を超えました。1年前の同時期に開催され
た、IETF 95(ブエノスアイレス)での1,043人と比較すると微増しました。ま
た、リモート参加者の数は266人とのことで、実に参加者の2割に達しようと
しています。

リモートを除く日本からの参加者は42名で、前回、前々回のIETFよりもさら
に少なくなりました。国別内訳の上位は、米国、中国、カナダ、ドイツ、日
本、イギリス、フランス、スウェーデンの順となっており、参加者数では5番
目となっています。


■ IETFにおけるプロセスの改革

多数の人が有機的に関わるIETFにおいては、効率的に物事を進めるために、
常にいくつかのプロセス改革が並行して進められています。全体会議におい
て、進行中のプロセス改革について報告がありましたが、その中から3点取り
上げて報告いたします。

1. GitHubの利用に関するBoFの開催

文章策定をサポートするシステムとしてIETFでは従来、IETF tools(*1)や
IETF datatracker(*2)が使われています。

しかし、いくつかのWGでは、文章管理・イシュー管理にGitHub、インターネッ
トドラフト執筆にMarkdownを導入し始めています。文章の提案受付や変更追
跡のための便利なツールとして導入されている現状に対して、IETFとして
GitHubとの付き合い方はどうしたらよいのかを議論するために、Working
Groups Using GitHub BoF (WUGH BoF)が開催されました。ちなみに、全体会
議にて実演がありましたが、「WUGH」は犬の鳴き声のように「ワフ!」と発
音します。

BoFでは、アクセシビリティの点でIETFでの議論はあくまでメーリングリスト
(ML)で行われるべき(GitHubにアクセスできない国がある)、GitHubで障害が
起きたときに文章を元通り回復できるかといった懐疑的な意見もあり、GitHub
導入の利点は認められつつも、MLで継続議論となっています。

(*1) https://tools.ietf.org/
(*2) https://datatracker.ietf.org/

2. 要求レベルを示すキーワードを定めたRFC2119の改定が提案される

RFCを特徴付けるものとして、RFC2119(*3)に定められた"SHOULD"や"MUST"な
どのキーワードがあります。これは提案された仕様の要求レベルについて、
解釈の違いをなくすためのもので、インターネットドラフトのテンプレート
に含まれているため、新規に発行されるほとんどのRFCがRFC2119を参照して
います。しかし、大文字で書かれているか否かで受け取り方の曖昧さが残る
ことを指摘し、改定を提案するドラフトが提出されています。こちらのドラ
フトがRFCとして発行された際には、今後RFCやドラフトを書かれる方・読ま
れる方は注意した方がよいでしょう。

(*3) https://www.ietf.org/rfc/rfc2119.txt

3. 部屋の使い方

変わったところでは、今回のIETFにおいて、椅子をUの字型に並べて発表者が
参加者に囲まれる形での、部屋の使い方が試されました。私が出席したWGは
該当しませんでしたが、発表者とより密な位置関係となるため、議論の進め
方に影響があったかどうか、IETFとして意見を集めています。


■ 開催地の選定に関する議論

IETFミーティング開催地の選定に関する議論は、今回のホットトピックです。
全体会議だけではなく、Meeting Venue WG (MTGVENUE WG)でも議論された他、
今でもIETF全体のMLで活発な議論が進行中です。

開催地の選定に関する議論は古くからありますが、今回特に盛り上がった原
因は、いくつかの国から米国への入国が難しくなったことです。今回のIETF
98開催直前にも、主に中近東の国からのフライトについて、PCなどの電子機
器の機内持ち込みが制限されるというニュースがありました。また実際に、
IETF 98に参加予定だったにもかかわらず、ビザの発行に時間を要した、また
は発行されなかったなどの理由で、参加できなかった人がいたとの話があり
ました。そのため、今回のIETF 98に関して、米国への入国問題があったかど
うか、あったとすればどのようなものであったのかの情報をIETFでは募集し
ています。

このことは、将来のIETFミーティング開催地を選定する際に大きな影響を及
ぼします。出身国によってIETFミーティングに参加できないということは、
オープンなインターネットの仕様を定めるIETFの理念に一致しないからです。
この議論の行方によっては、IETF 102(ホスト:Juniper社)の開催地が、サン
フランシスコから変更になる可能性もあります。米国開催の代わりとして、
カナダの都市が挙げられています。

MTGVENUE WGでは、開催地に求められる基準について議論されました。IETF
ミーティングは年に3回ですが、春開催は北米地域、夏開催は欧米地域、秋開
催はアジア・パシフィック地域という慣例があります。しかし、ホスト企業
探しの問題や、会場ホテルの設備・インターネットコネクティビティなどの
ファシリティの問題だけでなく、入国制限の問題や、IETF 100がシンガポー
ル開催に決まったときに議論になったLGBTに関する法制度の問題など、すべ
ての問題がクリアな開催地を毎回探すとなると、今後のミーティング開催が
不可能となってしまうかもしれません。そのため、どの基準を必須とするか、
どのように優先順位をつけるかという、現実的な落とし所について議論が進
められました。

優先順位の問題として、ニュージーランドのオークランドで開催予定だった
のが、最終的にはカナダのバンクーバーでの開催となった、IETF 88の事例が
あります。通常はアジア・パシフィック地域で開催される回であったため、
「"バンクーバーはアジア"問題」として言及されましたが、果たして開催地
のローテーションはどのような基準に対して優先されるのか、そもそも「"バ
ンクーバーはアジア"問題」と呼称すること自体が問題ではないか、などの議
論がありました。

日本からの参加者および貢献を増やす上で、IETFミーティングの開催地は重
要な要素だと思いますので、引き続き注目していただければと思います。


■ プロトコルと人権

技術全体会議(Tech plenary)では、「プロトコルと人権」というテーマで、
二つのプレゼンテーションが行われました。

一つ目のプレゼンテーションでは、IRTF (Internet Research Task Force)の
Human Rights Protocol Considerations Research Group (HRPC RG)での議論
が総括して紹介されました。インターネットプロトコルと人権は、一見無関
係に思えるかもしれません。

しかし、「中立的な技術は存在しない」という立脚点から、プライバシーや
表現の自由が阻害されるような、人権問題が存在することの理解から始めよ
うというメッセージが伝えられました。実は、IETF以外のIEEE (The
Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)や国際標準化
機構(ISO)などの標準化団体では、システムデザインにおける倫理的規定や社
会的責任についての文章が明確に存在します。そのため、IETFにおいても今
後、ガイドライン策定の議論をすべき時機がきたのではないか、と投げかけ
て発表を終えました。

二つ目のプレゼンテーションでは、サイバースペースでの争い(Tussle in
Cyberspace)(*4)という著名な論文を執筆した、マサチューセッツ工科大学
(MIT)コンピュータ科学研究所のDavid Clark氏が登壇しました。

(*4) Tussle in Cyberspace: Defining Tomorrow’s Internet
     http://david.choffnes.com/classes/cs4700fa14/papers/tussle.pdf

彼は、IETFにおけるプロトコル設計について、ゲームに例えて以下のように
わかりやすく語りました。「ゲームの結果をデザインしているのではなく、
ゲームのフィールドを設計しているのだ。なので、フィールドを傾けること
もできる」

実は、IETFでは過去(1999年ごろ)、法執行機関がネット上の通信を傍受する
のを容易にするプロトコルを開発する必要があるかどうかについて、熱く議
論された時期がありました。結果として、IETFは傍受をプロトコル設計時の
考慮事項に入れることに対して"NO"と結論を下しました。その顛末は、
RFC2804:傍受に関するIETFのポリシー(IETF Policy on Wiretapping)(*5)に
まとまっています。

(*5) https://www.ietf.org/rfc/rfc2804.txt

対して、3GPP (Third Generation Partnership Project)では、SA WG3
(Security)サブWGにて、合法的傍受の要件を満たす仕様を定めるとしていま
す。これらの過去の経緯を踏まえ、彼は人権をプロトコル設計における基本
的な考慮事項に入れることを強く推奨すると同時に、バランスよく適切に
フィールドを設計することの難しさを指摘しました。会場からは、示唆に富
んだプレゼンテーションに対して称賛するとともに、各標準化団体の特徴も
あり結論は一概には言えないといった、慎重な意見が多く見られました。


■ IETFチェアの交代

今回のIETF 98をもって、Jari Arkko氏がIETFチェアから引退し、Alissa
Cooper氏が就任しました。Jari氏は5年間IETFチェアを務め、その間にハッカ
ソンの開始やブログの開設など、IETFのプレゼンスを高めるいくつもの施策
を実施しました。Alissa氏からは、Jari氏の功績をたたえるスピーチが行わ
れ、IANA機能の監督権限移管などのタフな交渉を続けるバイタリティを称賛
するとともに、プライベートのスキーで骨折したにもかかわらず、ブエノス
アイレスのIETF会場に現れたほどの仕事の虫であったエピソードが紹介され
ました。Jari氏自身は引退スピーチで、「私は変化のときに迎えられて幸せ
だった」と語り、会場全員のスタンディングオベーションで温かく送られま
した。Alissa氏は初の女性IETFチェアとなります。どのような舵取りをする
のか、注目が集まっています。


■ 資料について

全体会議を含めたIETF 98期間中のすべての資料は、「IETF 98 meeting
materials」のページで見られます。

  IETF 98 meeting materials
  https://datatracker.ietf.org/meeting/98/materials/

なお、IETF 98直後の現在(2017年4月11日時点)は、上記のURLで公開されてお
りますが、一定期間後には、公式ページ(IETF 98 Proceedings)が正式な公開
場所となります。

  IETF 98 Proceedings
  https://datatracker.ietf.org/meeting/98/proceedings

  ※ 記事執筆時点ではまだ「IETF 98 Draft Proceedings」となっています。


■ 最後に

IETFのブログにて、「Highlights from IETF 98」(*6)という記事が公開され
ています。新しいIETFチェアであるAlissa Cooper氏からの目線で、IETF 98
のハイライトをまとめたものですので、本記事を読んで興味を持たれた方は、
ぜひご一読されることをお勧めいたします。

次回のIETF 99は、2017年7月16日(日)から7月21日(金)まで、チェコのプラハ
で開催されます。

(*6) https://www.ietf.org/blog/2017/04/highlights-from-ietf-98/


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【 2 】News & Views Column
       「インターネットのトラブル相談から学ぶこと」
                  一般財団法人インターネット協会 主幹研究員 大久保貴世
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また中学生からの相談だ。

インターネットのトラブル相談の仕事を、かれこれ20年続けているが、青少
年のうち14歳頃の相談がとても多い。私たち相談員は“魔の14歳”と言って
いて、典型的な1件の相談を紹介してみたい。

---------------------------------------------------------
14歳女子中学生です。

Facebookを友達限定ではじめ、プロフィールに自撮り写真をあげました。誰
も見ないだろうって思っていたのに、クラスメイトに見られて、からかわれ
恐くなりました。不安になったので写真を消そうとログアウトしたら、再度
ログインできなくなりました。Facebook登録時のメールアドレスは今のもの
と違うし、パスワードは忘れてしまいました。写真が消えないままだと思う
と死にたくなります。
---------------------------------------------------------

この相談でわかることは何でしょう。

鉄壁の護身術二つである。『SNS登録時のパスワード情報は記憶に頼らずノー
トにメモしておくこと』『SNSにあげた情報の削除方法を知っておくこと』で
ある。

スマホでずっとログイン状態でいると、ログアウトして再度ログインをする
という行為をしなくなり、あれ?パスワードって何だっけとなってしまう。
また、相談者はログアウトすれば削除できると思っていた。パスワードを忘
れていても、ログイン中に削除できることがわかっていればよかったのにと
思う。こうなると、Facebookへ問い合わせするしかないのだが、利用規約違
反の不適切な写真でない限り削除できないであろう。とても残念だが静観す
るしかない。

そして、もっとわかることは何でしょう。

「インターネットに載せたものは、見られている」ということ。検索やSNSの
繋がりをたどっていけば見つけることができる。

そして、そして、もっとわかってほしいことは何でしょう。

「悪口を言う人がいけないのであって、悪口を言われる人は全然悪くはない」
ということ。相談者は自分の好きな写真をあげた。自分に自信をもって毅然
とした態度でいればよい。何年か経てば過去の写真と思える日まで時間が解
決してくれるもの。

最後に相談者へ「今、このタイミングで相談してくれたことが本当によかっ
たです。大きなトラブルではないですよ。今回のことをきっかけにいろいろ
勉強になりましたよね。いつかその写真を素敵だと言ってくれる人があらわ
れることを期待しましょうね」と伝える。

こうなってくると、インターネット相談というより心理相談のアドバイスと
なってくる。これまで心理学の先生や、臨床心理士、小児科医の研修を受け
てきたが、これからもどんどん勉強していきたい。

このような相談事例により、インターネットの啓発活動に大いに参考にさせ
てもらっている。失敗から解決策と予防策がわかってくるのだ。今回の相談
者は、『パスワードを管理する』こと、『削除方法を知る』こと、が大切だ
と痛感したことだろう。

インターネット協会では、特に初心者がトラブルに遭わないように、スマホ
の基本設定や、主要なSNSの利用方法や注意方法などを説明したマニュアル
「知っておきたいその時の場面集(*1)」を公開している。ぜひ皆さまの啓発
活動にご利用ください。また、インターネットにまつわる体験談を募集して
優秀作品を表彰する「コンクール(*2)」も実施しています。

  (*1) インターネットを利用する際に、知っておきたい 『その時の場面集』
       http://www.iajapan.org/bamen/

  (*2) 第3回インターネット利用手記『コンクール』(4部門)発表
       http://www.iajapan.org/contest/

■筆者略歴

大久保 貴世(おおくぼ たかよ)

一般財団法人インターネット協会 主幹研究員。
メーカーお客様相談室等を経て、現職。インターネットのルール&マナーの
普及啓発、主要SNSやフィルタリングの 安全対策マニュアル「その時の場面
集」の作成公開、東京都が開設した「東京こどもネット・ケータイヘルプデ
スク『こたエール』」での相談対応などに取り組んでいる。相談事例から見
えてくるトラブルの事前予防策やトラブル後の対処法を広く周知するため、
保護者・青少年・教職員向けの講演や教育映像DVDなどに出演もしている。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
         「BGPsecとは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

BGPsec (Border Gateway Protocol Security)は、インターネット経路制御を
行うルータにおいて、間違った経路情報を検出する仕組みです。BGPsecはBGP
を拡張したプロトコルで、RPKI(リソースPKI)の電子証明書を使って経路情報
の正しさを確認します。

インターネットに接続している組織や通信事業者では、BGPを使って経路情報
を交換するルータが運用され、アドレスや経路が変化し続けているインター
ネットにおいて接続性を保っています。しかしBGPルータで、意図的に、もし
くは意図せずに誤ったネットワークの設定がされると、それが経路情報とし
て伝搬し、IPパケットが到達しなくなったり、IPパケットの転送先や経路が
変わったりすることがあります(*1)。

BGPsecは、このような誤った経路情報をオリジン検証(Origin Validation)と
ASパス検証(AS Path Validation)という、二つの仕組みで検出する仕組みで
す。オリジンとは経路情報の広告元のことで、あるIPアドレスの経路情報が
本来のオリジンによって経路広告されたものなのかどうかを、デジタル署名
が施されたROA (Route Origin Authorization)と経路情報を比較することで
検証します。ROAはRPKIの電子証明書を使って署名されているため、IPアドレ
スが正しく割り当てられたものであることも確認できます。一方、ASパス検
証とは、IPパケットが伝送される経路が正しいかどうかを確認する仕組みで
す。経路情報を伝搬する際にASの順列が分かるようにデジタル署名を施し、
正しいかどうかを確認します。

BGPsecのオリジン検証はIETF SIDR (Secure Inter-Domain Routing) WG(*2)
で2006年頃から検討され、2008年には地域インターネットレジストリ(RIR)に
おいてリソース証明書の提供が開始されました。その後、オリジン検証ので
きるRPKI Tools(*3)などの実装が2013年頃に進み、Cisco社やJuniper社といっ
た大手メーカーのルータでサポートされるようになりました。JPNICでは2015
年からリソース証明書を試験提供しており、国内のIPアドレスでオリジン検
証ができるようになっています。ASパス検証は2011年頃から仕様の検討が行
われ、2016年に実装が現れました。

(*1) 故意に行われると、特定のWebサイトを閲覧できなくすることが可能な
     ほか、DNSサーバを含む各種サーバになりすます、攻撃パケットの送信
     元が分からないようにする、大規模な通信傍受を行うといった、さまざ
     まなことができてしまいます。

(*2) Secure Inter-Domain Routing (sidr)
     https://datatracker.ietf.org/wg/sidr/charter/

(*3) dragonresearch/rpki.net
     https://github.com/dragonresearch/rpki.net/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2016年11月~2017年4月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO   GA     GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
 11/1|260 3569 389234 589 33661 13876 6430 5106 1878 2320 865390 114203  9024 2617 1448157
 12/1|261 3575 390192 586 33780 13866 6414 5112 1878 2314 868279 114246  8835 2586 1451924
  1/1|261 3576 391089 585 33904 13821 6396 5124 1879 2312 870140 114130  8895 2524 1454636
  2/1|261 3577 391875 588 34016 13804 6367 5143 1878 2305 872851 114061  8913 2521 1458160
  3/1|261 3578 393013 586 34118 13765 6353 5157 1878 2300 876135 113855  8981 2428 1462408
  4/1|260 3589 394523 586 34202 13742 6349 5176 1882 2295 878628 113398  9026 2408 1466064
--------------------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語
 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
 PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
  (2016年10月~2017年3月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
  10 |        0 |        0 |   93089736
  11 |     2560 |        0 |   93092296
  12 |    10240 |        0 |   93102536
   1 |     3072 |        0 |   93105608
   2 |        0 |        0 |   93105608
   3 |    11264 |    14336 |   93102536
------------------------------------------


□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2017年4月11日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      1 |
  B会員     |      2 |
  C会員     |      2 |
  D会員     |     95 |
  非営利会員|     10 |
  個人推薦  |     33 |
  賛助会員  |     40 |
 ---------------------
  合計      |    186 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2017年4月13日 現在

   IPアドレス管理指定事業者数           414


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2017.4.19(水)                IPv6対応クラウドサービスワークショップ
                               (東京、ビジョンセンター東京)
  2017.4.20(木)                第48回ICANN報告会(東京、JPNIC会議室)
  2017.4.21(金)                初心者向け「インターネット入門」
                               (東京、アーバンネット神田カンファレン
                               ス)
  2017.4.24(月)~28(金)        JPNIC技術セミナー(東京、JPNIC会議室)
 ---------------------------------------------------------------------
  2017.5.8(月)~12(金)         RIPE 74 (Budapest, Hungary)
  2017.5.10(水)~12(金)        RIPE NCC General Meeting
                               (Budapest, Hungary)
  2017.5.12(金)                IETF報告会(98thシカゴ)
                               (東京、JPNIC会議室)
  2017.5.21(日)~6.2(金)       Africa Internet Summit 2017
                               (Nairobi, Kenya)
  2017.5.22(月)~26(金)        LACNIC27 (Foz do Iguacu, Brasil)
  2017.5.22(月)~30(火)        AfNOG-18 (Nairobi, Kenya)
  2017.5.27(土)~6.2(火)       AFRINIC-26 (Nairobi, Kenya)
 ---------------------------------------------------------------------
  2017.6.1(木)~2(金)          Internet Week ショーケース in 名古屋
                               (名古屋、中京大学名古屋キャンパス)
  2017.6.5(火)~7(水)          NANOG 70 (Bellevue, U.S.A.)
  2017.6.12(月)~16(金)        WSIS FORUM 2017 (Geneva, Switzerland)
  2017.6.22(木)~30(金)        JPNIC技術セミナー(東京、JPNIC会議室)
  2017.6.26(月)~29(木)        ICANN59 (Johannesburg, Republic of
                               South Africa)


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