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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1607【臨時号】2018.7.20 ◆
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◆ News & Views vol.1607 です
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第34回JPNICオープンポリシーミーティングが、2018年6月19日(火)に開催さ
れました。このミーティングは、JPNICとは独立したボランティアメンバーで
構成される、JPOPF運営チーム(2017年12月に、ポリシーワーキンググループ
から名称変更)が主催するものです。
今回のミーティングでは、ポリシー提案3件の議論が行われました。現在、各
ポリシー提案の意見照会が行われています。本報告でご興味を持たれた方は、
ぜひご意見やコメントをお寄せいただければと思います。
その他、IPv4アドレスの在庫枯渇や移転制度が、インターネット上のIPv4経
路数に影響があったのかを考察した発表など、これまでに無い切り口での情
報提供プログラムもありました。当日の発表資料や議事録は、本ミーティン
グのプログラムページから参照いただけます。
第34回JPNICオープンポリシーミーティングプログラム
http://jpopf.net/JPOPM34Program
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◆ 第34回JPNICオープンポリシーミーティング報告
JPOPF運営チーム 鶴巻悟
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2018年6月19日(火)に、東京都千代田区のJPNIC会議室にて、第34回JPNICオー
プンポリシーミーティング(JPOPM34)を開催いたしました。
JPOPMは、日本におけるIPアドレスおよびAS番号の管理に関するポリシーを検
討し、コミュニティにおけるコンセンサスを形成するための議論の場です。
年2回の開催で、JPNICとは独立した組織であるJPOPF運営チーム(JPOPF-ST)が
主催し、開催しています。JPOPF運営チームは、以前ポリシーワーキンググ
ループ(ポリシーWG)と呼ばれていました。2017年6月21日(水)のJPOPM32にお
いて、関連するポリシー提案が行われ、コンセンサスに至り、2017年12月
20日(水)に名称変更となりました。JPOPM32での提案内容や経緯は、次のペー
ジもご参照ください。
032-02:JPNICにおけるIPアドレスポリシー策定プロセスの改定の提案
http://jpopf.net/p032-02-v2
JPOPMのプログラムは、ご応募いただいたポリシー提案や情報提供のプレゼン
テーションを中心に構成していますが、今回はポリシー提案が3件、情報提供
が8件ありました。
■JPOPM34開催概要
日時 :2018年6月19日(火) 13:15~18:00
場所 :JPNIC会議室(東京・神田)
主催 :JPOPF運営チーム
出席者:オンサイト出席者:14名 (関係者含まず)
映像ストリーミングののべ視聴者数:28
その他:Jabberチャット、Twitterによるリモート参加が可能でした
資料・議事録:http://jpopf.net/JPOPM34Program
JPOPMでは、前回に引き続きプログラムを2部構成とし、第1部では初心者向け
の日本におけるポリシー策定方法の解説や、番号資源やポリシーにまつわる
最新トピックをまとめた、インターネット番号資源ホットトピックスなどの
発表が行われました。第2部では、ポリシー提案を中心に議論を行ったほか、
JPOPF運営チームで企画した今回の目玉となる情報提供プログラムも行われま
した。本稿では、ポリシー関連のプログラムと、それ以外のプログラムの二
つ分けてレポートします。
■ポリシー関連のプログラム
JPOPM34では、ポリシーに関連するプログラムとして、ポリシー提案が3件と
情報提供が2件ありました。それぞれの内容を報告します。
□ポリシー提案
○[034-01] Final /8 (103/8) ブロック枯渇対応
提案者:藤崎 智宏(日本電信電話株式会社)
現在、APNICおよびJPNICでは、最後の/8 (Final /8とも言われ、103/8 のブ
ロックから分配が行われます)相当のIPv4アドレスプールからの割り振りと、
IPv4アドレス返却プールからの割り振りの二つを受けることが可能です。
本提案は、約2年後と予測されている最後の/8相当のIPv4アドレス(103/8)在
庫枯渇後の対応について、
- 最後の/8相当のIPv4アドレスプールに待機リストを新設し、103/8アドレ
スの返却があった際に待機リストの順に割り振り・割り当てを実施する
- 上記アドレスプールおよびその他のIPv4アドレス返却プールからの割り
振り・割り当てサイズを、枯渇後には現在の/22から/24に変更する
と定めるものです。
本提案は、APNIC Policy-SIGにおいて継続議論となっているもので、提案者
より過去のAPNICでの提案や議論の経緯について説明がなされました。会場か
らも活発な議論が展開されましたが、考慮すべき事項が多く提案内容全体の
コンセンサスを取ることが困難だったことから、
1. 枯渇時のポリシーを明確にしておくべきか
2. 返却用アドレスプールと103/8アドレスプールをマージすべきか
3. 2.でマージするとなった場合、枯渇後にIPv4返却アドレスの待機リスト
を引き継ぐべきか
4. 枯渇後の割り振りサイズを縮小させるか
の4点について採否を実施しました。その結果、1.の枯渇時のポリシーを定め
ることについてはコンセンサスとなり、2.以下の具体的な内容については継
続議論となりました。
○[034-02] 割振・割当 IPv6アドレスの広告
提案者:藤崎 智宏(日本電信電話株式会社)
本提案は、IPv6アドレスの分配(割り振り・割り当て)を受けた組織が、分配
を受けたIPv6アドレスを分割して経路広告をする場合に、分配を受けたサイ
ズ(経路長)での経路広告も行うことを推奨するというものです。
賛成反対双方の意見や、経路広告という運用課題をアドレスポリシーで定義
すべきか、過去の事例などを踏まえて明確にすべきといった意見が会場より
出されました。採否の結果、賛成反対が拮抗し、コンセンサスに至らず継続
議論となりました。
○[034-03] IPv6の逆引き設定
提案者:藤崎 智宏(日本電信電話株式会社)
IPv6アドレスを割り当てたコンシューマーユーザーから逆引き委譲の請求が
無い場合には、割り当て元のアドレス保持者が逆引きDNS登録を実施すること
を必須とする提案です。
会場からは、逆引き委譲がされていないプリフィクスに対して、割り当て元
事業者が一律に逆引きを設定することに対する懸念などが表明されました。
採否の結果、賛成反対は拮抗しましたが賛否の意見を持たない参加者が過半
数を占め、継続議論となりました。
□ポリシーに関連する情報提供プログラム
○前回のJPOPM33で提案されたポリシーについて
JPNICより「JPOPM33以降に実装勧告を受けた提案への対応」と「APNIC 44でコ
ンセンサスとなった提案への対応」についての報告がありました。2017年11月
29日に開催したJPOPM33以降に実装勧告が行われた提案は、下記1件です。
033-01:JPNICにおけるIPアドレスポリシー策定プロセスの改定の提案(期間)
http://jpopf.net/p033-01
これはJPNICにおけるIPアドレスポリシー策定プロセス(JP-PDP)において、提
案の募集期間、オンサイトフォーラムまでの公開期間を定義する内容となり
ます。提案の詳細については、上記の、JPOPM33のWebページもご参照くださ
い。
本提案内容を反映した「JPNICにおけるIPアドレスポリシー策定プロセス」が
2018年2月19日に公開され、1ヶ月の意見募集期間の後、3月19日に施行された
ことが報告されました。
また、2018年2月19日(月)~28日(水)に開催されたAPNIC 44でコンセンサスと
なった以下の提案についても、同様の意見募集期間を経て3月19日に施行と
なったことが報告されました。
prop-116:APNICにおける最後の/8相当のIPv4未割り振り在庫の移転禁止提
案
prop-121:IPv6アドレス初期割り振り基準の変更提案
prop-122:IPv6アドレス追加割り振り基準の変更提案
詳細については下記を参照ください。
IPアドレス管理業務に関するJPNIC文書施行のお知らせ
~最後の/8在庫のIPv4アドレス移転受付中止、
IPv6アドレス分配基準変更とポリシー策定プロセスの改定~
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2018/20180319-01.html
2018年3月19日から有効となったJPNIC公開文書
https://www.nic.ad.jp/ja/ip/doc/20180319.html
○APNIC 45以降に提案されたアドレスポリシーについて
APNIC 45以降にAPNIC Policy-SIGに提案されたポリシーについて、JPOPF-ST
から情報提供を行いました。ポリシー提案の紹介だったため、意見照会およ
び日本のコミュニティでの賛否確認も行いました。
prop-124:Clarification on IPv6 Sub-Assignments
IPv6アドレスの再割り当ての定義の明確化
本提案は、APNIC IPv6ポリシー文書の割り当て(Assignment)の定義において、
ホットスポットの利用者への割り当てやVPNのリンクアドレスなどは割り当て
とみなされないことを明示的に記載する提案です。
会場からは、そもそも現在の文面で問題ないのではないか、詳細な例外事項
を列挙する方法では、今後も都度追加が発生することが予想され、運用に耐
えないのではないか、といった意見が出されました。採否の結果、多くの参
加者から賛否の意見を持たないことが表明されました。本結果については、
JPOPF-STよりAPNIC Policy-SIGへのフィードバックを行う予定です。
■ポリシー関連以外のプログラム
ポリシーに関するプログラムの他に、6件の情報提供プログラムがありまし
たので、ダイジェストで報告します。興味がおありのものは、ぜひ発表資料
も併せてご覧ください。
○IPv4アドレスの枯渇・移転制度開始前後で経路はどう変わった?
発表者:吉田 友哉(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社)
IPv4アドレスの在庫枯渇やアドレス移転制度が制定されたことによる、イン
ターネット上のIPv4経路数への影響に関する調査結果が発表されました。
JPNICでは2011年8月より国内での移転が、また2013年6月より国際移転が可能
になりましたが、結論としてこの前後で経路数の増減に大きな変化は見られ
ませんでした。つまり、移転が実施されたことによる経路増大への影響は軽
微であったということです。
しかし、移転されたプリフィクス数とそれらが広告されている経路数を比較
すると3倍超となっており、APNIC地域全体の経路数の伸び(約1.1倍)と比べ
大きくなっているため、今後移転されたプリフィクスが増加すると全体の経
路数増加の要因になることが懸念されます。
また、APNIC地域で/24のプリフィクス長で広告されているアドレスレンジの
内訳を見ると、最後の/8相当のIPv4アドレス(103/8)から/24で広告されてい
る数が、約2万経路と他のレンジより圧倒的に多いことがわかりました。今後
当面の間は、103/8からの広告が経路の増加要因となりそうですが、103/8自
体の残数が少ないことから、最大で3万経路程度までの増加にとどまるのでは
ないかとの見解が示されました。
○初心者向けプログラムについて
インターネット番号資源ホットトピックスでは、RIPE NCC地域における最後
の/8 IPv4アドレスの割り振り終了についてのアナウンスや、昨今話題となっ
た 1.1.1.1 DNS、グローバルインターネットレジストリ設立に向けた議論の
動向、ロシア政府による特定SNSのブロッキングについて紹介されました。
○定番セッション
第1部では「JPNICアップデート」として、JPNICとAPNICでの、IPアドレス分配
とAS番号割り当ての状況、IPv4アドレス移転の状況など、各種統計情の紹介が
ありました。
第2部ではAPNIC 45および2018年5月14日(月)~18日(金)に開催されたRIPE 76
の報告がありました。
APNIC 45では二つのポリシーが新規に提案され、いずれもコンセンサスに至
らず継続議論となりました。またAPNIC 44で継続議論となり今回修正提案が
なされなかった二つの提案について、提案者を変更した上で次回2018年9月
6日(木)~13日(木)に開催予定のAPNIC 46で議論されることとなりました。
そのうちの一つ、WHOIS上で不正利用の問い合わせ先情報として登録される
abuse-cについて、登録内容の正確性確認を行い、不正確な内容であった場合
は、RIPE NCCが正確な登録を促すことを定めるというポリシー提案でした。
同様のポリシーはARIN地域では既に実装されており、APNIC 46においても同
様のポリシー提案がなされそうです。
■全体を振り返って
今回は多くのポリシー提案がなされた他、情報提供セッションでも、IPv4ア
ドレス在庫枯渇や移転と、IPv4アドレスの経路増大との関係性を調査した発
表など、非常に興味深い内容で、有意義なフォーラムが開催できたのではな
いかと感じています。会場およびリモートで参加いただいたみなさま、発表
を行っていただいたみなさま、大変ありがとうございました。次回以降もご
参加いただき、積極的にご意見をいただけますと幸いです。また、会場提供
やストリーミング配信環境を提供いただいたJPNIC様に御礼申し上げます。
今回のポリシー提案でコンセンサスに至った「[034-01] Final /8 (103/8)
ブロック枯渇対応」は、2018年7月13日(金)までIP-USERSメーリングリスト
上でコンセンサス確認を行いました。提案内容への本質的な反対の意見が無
かったため、IP-USERSメーリングリスト上でもコンセンサスとなりました。
ポリシー提案については、現在IP-USERSメーリングリスト上での意見照会を
行っています。コメントやご意見がございましたら、2018年7月末頃までに
IP-USERSメーリングリストに投稿いただければと思います。
今回新しい試みとして、発表者の募集と並行して、発表内容のみの募集を実
施してみました。残念ながら今回は応募がありませんでしたが、次回以降も、
よりみなさまの興味のある内容や分野の情報を提供できるよう、試行錯誤し
ていきたいと思います。
あわせて次回JPOPM開催の際は、引き続きプレゼンテーションの募集も行って
いきますので、みなさまからのご応募をお待ちしております。
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