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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1772【臨時号】2020.5.28 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1772 です
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2020年3月上旬に、オンラインのみでICANN会議が開催されました。この会議
のレポートを、vol.1771より前後編にてお届けしています。

後編となる本号では、世間の注目を集めた.orgのレジストリであるPIRの売却
提案に関するセッションに加えて、ICANN会議で初の開催ではないかと思われ
る、地政学についてのセッションでの議論をご紹介します。

なお、昨日発行した前編については、以下のURLからバックナンバーをご覧く
ださい。

□第67回ICANN会議報告
  [前編] ~WHOIS/RDS、次期新gTLD、DNS関連の話題~(vol.1771)
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2020/vol1771.html

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◆ 第67回ICANN会議報告 [後編] ~PIR売却提案および地政学に関する議論~
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2020年3月7日(土)~12日(木)にかけて、全面オンラインで開催された第67回
ICANN会議のセッションのうち、後編となる本稿では、PIR売却提案および地
政学に関する議論についてご紹介します。


■ .orgレジストリ売却提案に関するセッション

3月9日に開催された1回目のパブリックフォーラムは「Public Interest 
Registry (PIR、.org gTLDのレジストリ)の所有権移転提案に関するコミュニ
ティの対話」と銘打ち、議題を本件のみに絞って開催されました。参加者数
は、ICANN67のセッション中最大の896名となりました。

まず、オンブズマンであるHerb Waye氏より、ICANNの行動規範を守るように
との注意の後、ICANN事務局法務担当幹部のJohn Jeffrey氏より、本件に関す
る経緯の説明がありました。

続いて、参加者からの質問に移りました。初の完全オンライン会議とあって、
手を挙げてICANNから指名されたにも関わらず、質問できなかった(おそらく
技術的問題があったと思われます)参加者が散見されました。また、ICANNで
は答えられず、Internet Society (ISOC)、PIRもしくはEthos Capitalでない
と答えられない質問もあり、それらに対しては、直接これらの団体に聞いて
欲しい旨の回答のみとなっていました。質問を分類した結果は、以下の通り
です。

- 2002年の.org TLD再委任に関するコミュニティへの公約関連
- PIRの収入予測について(ICANNは範囲外と返答)
- 公益のための誓約(PIC)関連
- ICANNによる価格規制(ICANNは範囲外と返答)
- 営利企業が.orgの運営を行うことへの倫理的可能性
- ICANNが従うべきプロセスと基準
- 「影の投資家」の存在可能性
- ICANNにおける意思決定に関する公益上の役割
- ISOC、PIR、Ethos Capitalと.org登録者間での議論を促進するために、
  ICANNおよびICANN理事会が実行できること

  2002年のISOCによる.orgスポンサーシップ提案
  第7章--非営利インターネット利用者コミュニティ
  https://archive.icann.org/en/tlds/org/applications/isoc/section7.html

このセッションでは、正確を期すため参加者からの質問にその場ではICANNが
回答しないこととし、後日まとめてICANNからの返事が書かれたものが公開さ
れました。

  3月9日開催のパブリックフォーラム1で提示された質問への返答
  https://static.ptbl.co/static/attachments/237792/1583976880.pdf?1583976880

  セッションページ
  https://67.schedule.icann.org/meetings/1152519


■ 地政学セッション

3月11日に「世界は一つ、インターネットは一つ?マルチステークホルダー環
境におけるサイバーセキュリティと地政学」が、At-Largeのプログラムとし
て開催されました。

まず、At-Large諮問委員会(ALAC)副議長のJoanna Kulesza氏から登壇者の紹
介が行われた後、次の質問が提示されました。

1. 「インターネットの断片化」は何を意味するのか?インターネットを断片
   化させることは技術的に可能なのか?可能な場合、経済的および政治的に
   実現可能なのか?ICANNはこれらの議論にどのように関わるのか?

2. 断片化はコンテンツ層のみにとどまるのか、それともそれ以上に波及する
   のか?

3. ICANNのDNS Abuseは各国のサイバー犯罪およびサイバーセキュリティ法お
   よび政策、とりわけ迷惑メール、テロリスト関連コンテンツ、児童ポル
   ノ、知的財産権保護にどのように結びつくのか?

4. DoH/DoTプロトコルはローカルネットワークと利用者を守るのに役立つ
   か?

5. 「世界は一つ、インターネットは一つ」ポリシーは、国際安全保障の文脈
   での、サイバースペースにおける責任ある国家の行動の促進に関する国連
   (UN)政府専門家会合(GGE)、および国際安全保障の文脈での、情報通信分
   野での進展に関する国連オープンエンド作業部会(OEWG)の枠内に適合する
   か?これらの二つの会議体は、同調するのか対立するのか?

     国連「国際安全保障の文脈での情報通信分野における進展」ページ
     https://www.un.org/disarmament/ict-security/

6. ネットワークの分割に関する、現在進行中のグローバルな議論における各
   ICANNステークホルダーグループの役割は何か?

7. 本議論が、ICANN理事会が採択した次の5ヶ年戦略計画における、地政学
   テーマにどのように適合するか?

次に、ICANN理事のLeon Sanchez氏より質問の7.に関連して、

-  5ヶ年戦略計画に地政学に関する課題が含まれること
- 地政学的および技術的リスクが、単一であるインターネットの相互運用性
  を脅かしていること
- そのために各国での法律制定・規制策定に対する早期警告システムを構築
  していること
- インターネットの生態系において、他ステークホルダーとの連合を引き続
  き構築すること
- 各国議員・規制当局・ステークホルダーに、ICANNの使命について認識して
  もらうための役割を果たして欲しい

などの話がありました。

次に、ICANN職員(国連エンゲージメント担当)のVeni Markovski氏より、質問
の5.に関係する、国連でのサイバーセキュリティおよびサイバー犯罪に関す
る検討状況について共有されました。これらの議論は公開ではないので、検
討に参加したいなら、各国政府代表の一員となるしかないそうです。GGEと
OEWGの他に、オープンエンド専門家委員会(Open-Ended Committee of 
Experts; OECE)でも議論されるということです。ちなみに、筆者が調べた限
りでは、日本はGGEとOEWGのどちらにも参加していますが、OECEについては不
明です。

  Markovski氏による、国連での検討状況に関する報告書
  https://www.icann.org/en/system/files/files/brief-overview-un-deliberations-cybersecurity-cybercrime-28feb20-en.pdf

次いで、米国のジョージア工科大学のMilton Mueller氏より、統合と断片化
(Alignment and fragmentation)と題して発表がありました。統合とは、サイ
バー領域が政治・法律に適合させられる、つまり領土のないサイバースペー
スに、各国政府が国家主権を主張しようと試みるプロセスであると述べまし
た。インターネットの断片化とは、技術、商業、または政府などによるもの
がありますが、最初に人々が想像すると思われる断片化の例を挙げ、整理を
試みました。

その次に、統合の手段および制約について言及しました。根本的には、サイ
バースペースはグローバルで、各国政府は領土に縛られるので、この問題を
解決するには、サイバースペースにおいて人々が主権を持つといった考えを
導入する必要があるとしました。その上で、サイバースペースが完全ではな
いにせよ多少とも自己統治を行い、国民国家から独立したものになる必要が
あるとの持論を披露しました。

その後に、国家主権と戦い、自己統治および最初に民衆主権を実現した例と
して、完了前に米国連邦議会議員などから横やりが入ったものの、跳ね返す
ことに成功した、IANA監督権限の移管を挙げました。

質疑応答の一つでは、ロシアが最近行った、インターネットから自国ネット
ワークを切り離すための実験について、米国により自国TLDが切断されること
に備えて、DNSのバックアップを行ったのだろう、という見方を示しました。

最後に、スウェーデンのインターネット重要インフラサービスを提供する
NetnodのPatrik Faeltstroem氏より、「オンラインで国家主権を守る際の技
術的な挑戦」と題して発表がありました。セキュリティを増すために暗号化
がなされ、電子証明書が使われるようになり、通信事業者がすべてに責任を
持つ、土管で例えられることの多かったインターネットも、今やラザニアの
ようにレイヤー分けされ、複数の事業者が違うレイヤーで関与するようになっ
ています。

また、HTTPS通信によって端末間をすべて暗号化する傾向にあり、DoH/DoTに
よりDNSのトラフィックも暗号化されようとしている中で、立法者はこのよう
な仕組みを理解する必要があり、さまざまな国々の間で立法に関する協調が
なされることになるだろうから、それによる圧力も発生するのではないかと
いう見立てを述べました。

質疑応答の一つに、DoHおよびDoTが導入された場合、各国はコンテンツのブ
ロッキングが可能か、およびどのようにニーズを扱うべきかというものがあ
り、回答はブロッキングのニーズおよび法規制は再評価されるべきだ、とい
うものでした。


■ 最後に

オンラインのみの開催となったことで、現地開催では問題になりにくい時差
の問題が生じ、SO/ACおよび部会によっては会期中の会合を断念したところも
ありました。今後もオンラインのみの開催となる場合は、開催時間帯の調整
は容易ではないでしょうが、重要だと思われます。一方、各SO/ACおよび部会
のICANN会期中以外の会合は、これまでもオンライン会議で(接続手段として
インターネットもしくは電話が選択可能)行われてきており、アジア太平洋地
域の参加者にとっては、往々にして参加しにくい時間帯の開催になることも
多いですが、完全オンラインのICANN会議は、その延長に過ぎないという見方
も可能です。

2020年6月22日から25日の日程で、元来マレーシア・クアラルンプールで開催
される予定であった次回ICANN68は、オンラインのみで開催されることが4月
9日に既に決定しています。ICANN67開催時は、ICANNの本拠地である米国カリ
フォルニア州ロサンゼルスでは在宅指令が出ていなかったため、オンライン
のみの会議とはいっても、ICANNのオフィスに職員が出勤して、映像・音響機
器などの設定ができました。しかし、5月12日にロサンゼルス郡の在宅指令が
3ヶ月延長されたため、ICANN68期間中に職員がオフィスに通勤できないこと
になり、運営の困難さが増すことが想像されます。COVID-19がいつ終息する
かは見当がつきませんが、ICANN会議が現地開催される日が来るのは、いつに
なるのでしょうか。

  ICANN68をオンラインのみでの開催とする決定の案内
  http://www.icann.org/news/announcement-2020-04-09-en

  在宅指令延長についてのLos Angeles Times 5月12日付の記事
  https://www.latimes.com/california/story/2020-05-12/coronavirus-beaches-reopen-los-angeles-county-move-toward-new-normal


なお、今回のICANN67についても、恒例となっている報告会を2020年4月21日
に、本会議同様にオンラインで開催しました。この報告会の模様につきまし
ても、後日皆さまにご紹介する予定です。

  第57回ICANN報告会(資料を掲載しています)
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20200421-ICANN/


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      わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1772 【臨時号】

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