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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1771【臨時号】2020.5.27 ◆
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◆ News & Views vol.1771 です
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2020年3月上旬に、オンラインのみでICANN会議が開催されました。この会議
のレポートを、前後編に分けてお届けします。
前半となる本号では、引き続き検討が行われている新gTLD関連やWHOIS/RDSに
絡む議論の動向、DNS AbuseやDNSトラフィックの暗号化に関する話題につい
てご紹介します。
後半となる次号では、インターネットコミュニティで大きな話題となった.org
のレジストリであるPIRの売却提案に関するセッションや、ICANNでは非常に
珍しい地政学に関するセッションでの議論などを取り上げる予定です。
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◆ 第67回ICANN会議報告 [前編] ~WHOIS/RDS、次期新gTLD、DNS関連の話題~
JPNIC インターネット推進部 山崎信
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元来、第67回ICANN会議(以下「ICANN67」とします)は、メキシコ合衆国キン
タナ・ロー州カンクンで開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染
症(COVID-19)の世界的な流行のため、2020年3月7日(土)~12日(木)にかけて、
全面オンラインで開催されることとなりました。開催時間はカンクン時間
(UTC-5)で、日本では深夜早朝の時間となりました。
オンライン開催となった経緯などを、次のブログ記事にまとめてありますの
で、ご興味のある方はご参照ください。
ICANN67―初の遠隔参加のみのICANN会議
https://blog.nic.ad.jp/2020/4441/
参加者数は1,752名で、前年同時期に神戸で開催され、かつ同形態(Community
Forum)のICANN64が1,759名でしたので、ほぼ同数ということになります。た
だし、セッション数がICANN64では275あったのに対し、ICANN67では65と少な
くなりました。
ICANN64 By the Numbers Report
https://meetings.icann.org/en/kobe64/icann64-technical-report-09apr19-en.pdf
ICANN67 By the Numbers & Survey Report
https://meetings.icann.org/en/remote67/icann67-technical-report-24mar20-en.pdf
ICANNの会議種別とは
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/icann-meeting-strategy.html
以下、セッションのうち関心が高かったと思われるものを、いくつかご紹介
します。
■ WHOIS/RDSにおけるデータ保護
迅速ポリシー策定プロセス(EPDP)チームでは、2019年5月よりフェーズ2の検
討が開始されています。まずは優先順位1として、非公開登録項目への標準化
アクセス/開示システム(SSAD)について検討されてきましたが、ICANN66の少
し前、2019年10月より並行して、フェーズ1から先送りされた優先順位2の事
項について議論がなされています。その後、ICANN67の約1ヶ月前の2020年2月
7日~3月23日まで、初回報告書への意見募集が行われていました。
ICANN67では、EPDPチーム会合が3月10日と12日の2回開催され、次の内容につ
いて議論されました。
3月10日:
- 提携または認定プライバシー/プロキシサービスプロバイダーの連絡先情
報表示
- 登録データの保持期間
- 自動化された開示を支援するユースケース
- 目的2(合法的なデータ開示要求への対応を可能とすることを通じた、ドメ
イン名システムのセキュリティ、安定性、復元性の維持への寄与)
3月12日:
- 匿名化された電子メールアドレスを持つ、一意の連絡先の実現可能性
- 都市項目の改訂
- 登録データの正確性とWHOIS正確性報告システム(ARS)
- SSADに関する費用面の検討
- 自動化された開示を支援するユースケース
本稿執筆時点では、これらの論点に関する議論を終え、最終報告書の内容が
確定するのは、ICANN68の直前という予定になっています。
■ 次期新gTLD募集手続き検討
ICANN67会期中には、セッションが9日、10日、12日の3回開催され、主にGAC
が関心を持つ、次のトピックについて議論されました。
- 排他的(closed)なgTLDの認可/制限/禁止
- グローバルな公益:必須PIC(公益のための誓約)、任意PIC
- DNS Abuse
- GAC助言に関する勧告案
- GAC早期警告
- 申請者サポートプログラム(主に途上国からの申請者向けの申請費用軽減策
など)
本稿執筆時点では、上記トピックが確定し最終報告書が公開されるのが、
ICANN68の直前という予定となっています。
■ DNS Abuse
ICANN67では、次のセッションにて、DNS Abuseについて触れられました。
DNS Abuseの定義については、以下のメールマガジンをご参照ください。
第66回ICANNモントリオール会議報告 (News & Views vol.1732)
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2019/vol1732.html
- 政府諮問委員会(GAC)公共安全部会(PSWG)アップデート
- GNSOレジストラステークホルダーグループ会合
- DNS Abuseに関するAt-Largeポリシーセッション
- 契約遵守に関するAt-Largeポリシーセッション
- ICANN理事会とGNSO商用ステークホルダーグループ合同会合
- GNSOレジストリステークホルダーグループ会合
- ICANN理事会とSSAC合同会合
- ICANN理事会とALAC合同会合
GAC PSWGでは、2020~2021年度の戦略目標の一つに、DNS Abuseとサイバー犯
罪の軽減能力開発を挙げており、PSWGアップデートセッションの大半がDNS
Abuseに関するものでした。主な内容は、次の通りです。
- ICANN67で開催されたDNS Abuseに関するすべてのセッションの紹介
- 「DNS Abuseへの対処の枠組み」への参加状況紹介(レジストリ・レジスト
ラ56組織が署名済み)
- ICANNとVerisign社との.com gTLDレジストリ契約中にセキュリティ脅威に
関する報告および分析に関する要求事項の追加が提案された
- ICANNとVerisign社との.comのセキュリティの脅威軽減に関する契約上の義
務、ツールおよび計測に関連した最良の事例集の策定に向け、趣意書を取
り交わした
DNS Abuseに関するAt-Largeポリシーセッションでは、「DNS Abuse入門」の
映像を観てから質疑応答、最後にオンラインクイズという流れになりました。
同映像は、以下で視聴可能です。
DNS Abuse 101 - EN
https://youtu.be/idaVG7nv32Y
セッションURL
https://67.schedule.icann.org/meetings/1152522
3月12日に開催された2回目のパブリックフォーラムにおいても、DNS Abuseに
関するコミュニティからの質問や、コメントがありました。
■ DoHおよびDoT
DNSトラフィックを暗号化する技術である、DNS over HTTPS (DoH)およびDNS
over TLS (DoT)に関するセッションが、At-Largeのポリシーセッションとし
て3月10日に開催されました。
DoHおよびDoTがどのようなものかについて、プロトコル提案者のPaul Hoffman
氏からの説明の後、参加者からの質疑応答となりました。現状ではDoH/DoT
は、エンドユーザー(スタブリゾルバー)からエンドユーザーが利用する再帰
DNSサーバーの間のみで利用可能で、再帰DNSサーバーから権威サーバー間に
ついてはまだプロトコルで定められていないものの、議論は行っているとの
ことです。
セッションURL
https://67.schedule.icann.org/meetings/1152526
発表スライドへのリンク
https://community.icann.org/download/attachments/124847128/alac-encrypted-DNS.pdf?version=1&modificationDate=1583854524000&api=v2
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