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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1932【定期号】2022.7.15 ◆
_/NIC
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◆ News & Views vol.1932 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい
ます。
本号の特集では、2022年6月中旬にオランダ・ハーグの現地会場とオンライン
のハイブリッドで開催された第74回ICANN会議について、プレナリーセッショ
ンと分野別ドメイン名支持組織(GNSO)に関する動向を中心にお届けします。
その他、News & Views Columnでは、サイバーセキュリティの国際連携に携
わっておられる一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターの登山昌恵
さんに、登山さんの日常生活における気付きや、それがきっかけともなって
始まったブログでの情報発信についてお書きいただきました。
また、インターネット用語1分解説では、アジア太平洋地域における、国コー
ドトップレベルドメイン(ccTLD)の登録管理組織(レジストリ)による連合組織
である「APTLD」について解説しています。
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◆ 目次
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【 1 】特集 「第74回ICANN会議報告」
【 2 】News & Views Column
「ブログの中の人の話」
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター 登山昌恵氏
【 3 】インターネット用語1分解説
「APTLDとは」
【 4 】統計資料
1. JPドメイン名
2. IPアドレス
3. 会員数
4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー
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【 1 】特集 「第74回ICANN会議報告」
JPNIC インターネット推進部 山崎信
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第74回ICANN会議(以下、ICANN 74)は、2022年6月13日(月)から16日(木)まで、
オランダ・ハーグで開催されました。新型コロナウイルス感染症のパンデミッ
ク発生以来、初の現地開催となります。ICANN会議は元来、パンデミック以前
から遠隔参加できるようになっていましたので、その意味ではハイブリッド
会議であるということも言えるかと思います。
ICANN 74へは、101の国・地域より1,817名(*1)の参加がありました。うち現
地参加は917名、遠隔参加が900名となりました。地元である欧州からの参加
者の割合が45%と最も多く、次いで米国が29%、アジア太平洋地域が12%と続い
ています。アフリカ地域は8%、ラテンアメリカ・カリブ海地域は6%となりま
した(*1)。
(*1) https://www.icann.org/en/blogs/details/preview-of-icann74-participation-metrics-17-06-2022-en
本稿では、主にプレナリーセッションと分野別ドメイン名支持組織(Generic
Names Supporting Organization, GNSO)に関する動向についてお伝えします。
■ プレナリーセッション
○ICANNの優先順位は誰が設定するのか
ICANNでは、誰が優先順位を設定し、何を優先順位とするのかが明確でないこ
とに懸念が高まっていました。ICANNコミュニティとICANN理事会およびICANN
org(事務局)との話し合いは継続されていましたが、さまざまなICANNコミュ
ニティグループが、異なる解釈で異なる優先順位を主張しているというリス
クが認識されていました。
2017年のICANN59において、同名のセッションがありました。その時の結果は
次の通りです。
1. ICANN全体で優先順位を設定する必要がある
2. ICANNの業務に参加するための学習曲線は減らさなければならない
a. 政府諮問委員会(GAC)は、2017年10月のICANN60期間中にセッションを
開催し、GNSOおよび国コードドメイン名支持組織(ccNSO)のポリシー策
定への参画について議論した
3. 燃え尽き症候群は引き続き問題である。ICANNコミュニティのメンバーは
時間が限られており、トレーニングの要求がある
4. ICANNには、政策立案、運営、ガバナンス業務など、複数の優先事項があ
り、競合している
5. 仕事量は減っていない
6. ICANN事務総長、ICANN理事会議長、支持組織・諮問委員会(SO/AC)委員長
による協調的な議論が必要
それを受けて、SO/AC委員長円卓会議が情報共有ならびに優先順位調整のため
の仕組みとして始まりました。
その後、2021~2025会計年度におけるICANN戦略計画で掲げられた目標の一つ
として、マルチステークホルダーモデルの有効性向上が含められました。
ICANN理事会が、同計画の策定中にコミュニティから意見を求めた結果、マル
チステークホルダーモデルを阻害する要因が特定されました。ICANNコミュニ
ティは、その中の「業務の優先順位付けと資源の効率的活用」が最も緊急性
が高いと判断し、ICANNの優先順位付けフレームワークの開発と、パイロット
プロジェクトのきっかけとなったとのことです。2021年に同フレームワーク
案の初版がICANN orgによって作成され、2022年初頭にICANN orgがパイロッ
トプロジェクトを実施しました。パイロットプロジェクトの成果は、2023年~
2027年の運営・財務計画の資料として発行されます。
本セッションでは、その後の変化をカバーした上で、文書化可能な優先事項
を特定することをめざして議論されました。ICANN orgのXavier Calvez氏は
セッション中に、今後コミュニティからの意見募集の機会を設ける予定と発
言しています。
○緊急事態下におけるインターネットガバナンスとマルチステークホルダー
主義
本セッションはプレナリーではなく、欧州地域At-Large組織(EURALO)による
ポリシーセッションとして開催されました。
以前At-Large選出理事を務めたことのあるSebastien Bachollet氏による開
会挨拶の後、ゲストスピーカーとしてウクライナのAt-Large組織(ALS)の指導
者の1人であるOksana Prykhodko氏から発表がありました。
まず、ICANNからの支援について感謝の意を述べた後、ウクライナで起こって
いる戦争について言及しました。具体的には、重要電気通信インフラが占領
者に破壊されたこと、(ロシア)占領地域では偽情報が拡散されていること、
などです。これらがインターネットガバナンスとマルチステークホルダー主
義に与える影響は何か、ということについて技術や法律の専門家に聞いてみ
たが答えはなく、本セッションへの招待以外に反応はなかったということで
す。
次いでアジア太平洋地域の代表としてJennifer Chung氏から、アジア太平洋
地域は地理的にも政治的にも非常に多様であること、2022年1月に起きたトン
ガの火山噴火による海底ケーブルの切断および5週間後の再接続、ミャンマー
で2021年に起きたクーデター後にインターネットサービスが停止されたこと、
などについて話されました。同じくアジア太平洋地域のCheryl Langdon-Orr
氏からは、通信が最も重要であり、災害発生時にアイデンティティを失い、
銀行口座だけでなくすべてを失った被災者に、モバイル技術を使って身元不
明者の身元を確認する方法があり、そういった対処を計画し、ストレステス
トを実施できれば、災害の性質に関わらず、マルチステークホルダーモデル
の優れた成果となるだろう、「人類のために貢献する」という視点で物事を
見れば、この悲劇的な状況下で我々はもっとうまくやっていける、といった
話がありました。
アフリカ地域からは、アフリカではまだまだインターネットへのアクセスが
十分でなく(総人口の32%だけがアクセス可能)、新型コロナパンデミックでは
生活がストップし格差が広がったこと、本地域でのデジタルリテラシーの問
題はインターネットに接続できない人々にとって最大の課題の一つつである
こと、社会から疎外されている=ネットに接続できず声を上げることができ
ない人々の生活を何とかして変える必要がある、といった課題を共有したい、
といった旨の話がありました。
北米地域からは、プエルトリコにおける2017年のハリケーン・マリアの経験
が共有されました。ハリケーン通過後はラジオ局は1局になり、携帯電話の電
波塔の9割が消滅し、電力網が全壊し再開まで4、5ヶ月かかり、空港のレー
ダーはなくなりといった、甚大な被害を受けたとのことです。復旧後はイン
ターネットが光ファイバーとなり、携帯電話の電波塔もより災害に強いもの
になり、電力網もより耐障害性の高い管理しやすいものになり、といったポ
ジティブな変化があり、NGOをはじめとするコミュニティは被災者や政府を支
援する上で大きな役割を果たしたということです。
ICANN理事(At-Large選出)のLeon Sanchez氏からは、非常時のインターネット
アクセス支援はICANNの使命において重要な役割を果たし、核心的価値の範囲
内でもあること、ICANN理事会はICANN orgに対して安定性、安全性、復元力
およびそのための資金援助の分配に関する提案書の作成を指示したこと、
ICANN orgがEmergency Telecommunications Cluster (ETC)(*2)と1年間のパー
トナーシップを締結したこと、理事会はまた、インターネットアクセスを妨
げるような、例の世界的な緊急事態に対する支援に資金を提供するプロセス
を設定する方法を模索するよう、ICANN orgに要請したこと、などについて話
がありました。
(*2) https://www.etcluster.org/
最後に、Bachollet氏より、インターネットはさまざまなことに必要だが、特
に平和構築に必要不可欠である旨が述べられて締めくくられました。
○地政学、立法、および規制の策定に関する討論
本セッションでは、ICANNを取り巻く状況について、政府や政府間組織(IGO)
によるDNSへの注目の高まりといった課題、ICANNのエコシステムへの影響、
その軽減策が共有されたのち、以下のIGOの状況がICANN orgの政府エンゲー
ジメント部門(GE)より共有されました。
◇2022年の国際電気通信連合(ITU)
・世界電気通信標準化総会(World Telecommunication Standardization
Assembly, WTSA):3月1日~9日
・理事会:3月21日~31日
・世界電気通信開発会議(World Telecommunication Development
Conferences, WTDC):6月6日~16日
・全権委員会議(Plenipotentiary Conference, PP):9月26日~10月14日
◇国連総会委員会審議(両委員会とも情報通信関連のセキュリティを対象
とする)
・Ad Hoc Committee (AHC):2021年~2024年
・Open-Ended Working Group (OEWG) :2021年~2025年
◇欧州評議会(Council of Europe, CoE):サイバー犯罪に関する条約 第2
追加議定書(電子証拠に関するもの、法執行機関がWHOIS登録データを求
めることができる条項が含まれる)
◇経済協力開発機構(OECD):「ドメインネームシステム(DNS)のセキュリ
ティ:政策立案者向け紹介」および「ルーティングセキュリティ」に関
する報告書を作成中
次いで、各国で検討されている、もしくは立法された法律についてGEから紹
介がありました。
◇ 中国サイバーセキュリティ法、データセキュリティ法(PIPL)
・レジストラが非公開の登録データを開示できることを定めた法律
◇ロシア個人情報保護法:現在審議中
・ 同法に付随する解説では、個人情報保護法の治外法権を導入し、国民
の個人情報が外国で処理される場合、政府機関の介入の可能性あり
◇「インドIT法2000」の改正
◇米国サイバーインシデント通知法
◇有害コンテンツ対策にDNSブロッキングを活用できる可能性がある、オン
ラインでの安全性に関するカナダの議論
◇EUのデジタルサービス法(DSA):2022年6月に委員会で採決見込み、同年9
月に本会議と理事会で承認予定、2024年のEU議会選挙前に施行の可能性が
高い
◇EUのNIS2指令:2022年9月中には委員会で採決見込み、同月月に本会議と
理事会で承認見込み、承認後18ヶ月以内に加盟国が国内法を制定して実
施予定
◇EUの工芸品および工業製品(Craft and Industrial, CI)向け地理的表示
(Geographical Indication, GI)保護規則案:EU域内に設立されたレジス
トリはCI GIの不正利用に対する警告システムを構築し、域内ccTLDレジ
ストリは同システムの運営に必要なデータを欧州連合知的財産庁
(European Union Intellectual Property Office, EUIPO)に提供する必
要あり
■ gTLD関係
ICANN 74で開催されたセッションのうち、注目すべきと思われるものの状況
を記載します。単一セッションとは限らず、複数のセッションをまとめてい
る場合もあります。
○EPDPフェーズ2(SSAD)
GNSO評議会を支援(具体的には次の2点)するために、関心のある理事会および
EPDPフェーズ2メンバー(GNSO、ALAC、GAC、SSAC)から構成される、
EPDP-TempSpecフェーズ2小チームが設立されました。
・運用設計評価(Operational Design Assesment)がSSADの意図を正しく解釈
しているかどうか、SSADに関する勧告の意図を正しく解釈し、いかなる側
面も見落としていないか
・ICANN理事会により特定された懸念事項、および検討される可能性のあるオ
プションに関する見解
小規模チームは予備報告書を提出し、仮定を評価・テストするためのツール
としての「概念実証」を推奨しました。GNSO評議会は、ICANN理事会に対し、
SSAD勧告の検討を一旦停止し、ICANN orgに「軽量版SSAD」の設計コンセプト
の策定を依頼することを推奨しました。
ICANN orgはこのセッションで、「軽量版SSAD」をWHOIS Disclosure System
という名称で提案しました。その取り組み方は次の通りです。
・既存のICANNリソースを利用
・開発および立ち上げにかかる時間を短縮
・既存または類似のユーザーインタフェースの再利用により、すべてのユー
ザーが取り入れやすくする
参考資料:
https://community.icann.org/display/gnsocouncilmeetings/EPDP+Phase+2+%28SSAD%29+-+ICANN74
○排他的一般名詞(Closed Generic) TLD
Closed Generic TLDは2012年に募集が開始されたgTLDラウンドでは、明確な
ポリシーが策定されませんでした。2020年にICANN理事会は次期新gTLDポリ
シー策定の際にClosed Genericに関するGNSOからのボトムアップによるポリ
シー策定プロセス(PDP)を通じた情報提供が必要とし、コミュニティによるポ
リシー策定を奨励し、方法を模索してきました。2020年に次期新gTLDポリシー
策定PDP WGがClosed Genericに関する三つの提案について意見募集を行った
ところ、コミュニティの見解が大きく分かれることが明らかになり、最終的
に同WGはClosed Genericについていかなる具体的な勧告についてもコンセン
サスに至りませんでした。ICANN 72以降毎回開催されてきた、本件に関する
At-Largeのポリシー・セッションにて、構想文書によって組み立てられた
GNSOとGAC間での議論の提案、およびGNSO評議会の小チームによる検討内容の
報告、などが行われました。
参考資料:
https://community.icann.org/display/atlarge/At-Large+Meetings+-+Wednesday%2C+15+June+2022
○DNS Abuse
ICANNの報告によれば、DNSの不正利用(主に迷惑メール)は減少傾向にあるこ
と、およびマルウェア、フィッシング、ボットネットも減少傾向にあること
が示されました。ccNSOでは、セッション:DNS AbuseにおけるccTLDの役割が
開催され、.HKからの共有がありました。ICANN外でレジストリ・レジストラ
が立ち上げた、DNS Abuse Instituteからは、NetBeacon(DNSの不正利用報告
サービス)の立ち上げについて報告されました。
GNSO評議会の小規模チームは、gTLDポリシー策定を通じて特に対処すべき
DNS不正利用関連の問題があるかどうかを検討することを任務としています。
ICANN 74のセッションで、本チームは作業の進捗に関する最新情報を提供し、
審議を継続しました。
○移転ポリシーの見直し
移転ポリシー(Transfer Policy)は、以前レジストラ間移転ポリシー
(Inter-Registrar Transfer Policy, IRTP)と呼ばれていたもので、2004年
11月に施行され、それから間を置かず一度評価されています。2021年2月に、
GNSO評議会はポリシーを見直すPDPを開始することを決議し、翌3月にその作
業を行う作業部会(WG)のチャーターを承認しました。WGの使命は、「登録機
関間および登録者間の移転の容易性、安全性および有効性を向上させるため
に、移転ポリシーの見直しを行い、ポリシーの変更が必要であるかどうかを
決定する」こととなっています。セッションでは、登録者変更の要求事項に
焦点を当てる、フェーズ1Bについて主に共有されました。
○EPDP-IDNs
GNSO評議会は、国際化ドメイン名に関するEPDP-IDN (Expedited PDP on
Internationalized Domain Names)を開始し、以下について政策提言を行いま
した。
・すべてのトップレベルドメイン(TLD)の定義と、ルートゾーンのバリアント
gTLDの委譲を促進するためのバリアントラベルの管理
・IDN実装ガイドラインを将来どのように更新すべきか
EPDP-IDNsは、そのチャーター質問の半分近くについて、第1段階の審議をほ
ぼ終了しています。ICANN 74の期間中、チームは2つのセッションを開催しま
した。最初のセッションでは、予備勧告案のプレビューや未解決項目の注意
喚起を含む進捗状況のアップデートが行われました。2番目のセッションでは、
ICANN orgがIDNテーブルとセカンドレベルでのIDN実装について発表しました。
レジストリとレジストラのメンバーも、それぞれの会社でIDNテーブルがどの
ように実装されているかについて、経験を共有しました。
■ 最後に
ここで触れていないccNSOやGACなど、会議全体を理解していただくために、
2022年7月28日(火)に第64回ICANN報告会をオンラインで開催します。申込受
付を開始していますので、ぜひご参加ください。
第64回ICANN報告会開催のご案内
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2022/20220705-01.html
次回第75回ICANN会議はマレーシア・クアラルンプールでの現地開催ありのハ
イブリッド形式で、2022年9月17日から22日まで開催される予定です。まだ新
型コロナの状況は予断を許しませんが、状況が好転して現地に行ける方々が
多くなることを願っています。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ◆◇◆◇◆ 本特集のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃
┃良かった ┃
┃ https://feedback.nic.ad.jp/1932/a9f5e82cd9313a96bab61b48803c9f0d ┃
┃ ┃
┃悪かった ┃
┃ https://feedback.nic.ad.jp/1932/843e25c850ea9bee3e3ea2beafd1e297 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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【 2 】News & Views Column
「ブログの中の人の話」
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター 登山昌恵
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
平日の朝は、NHKのBSで放送しているワールドニュースを観ることにしていま
す。史上最大規模の干ばつや豪雨、立て続けに起こる銃乱射、終わらない戦
争。世界の放送局が報じた出来事の数々が、目覚めたばかりの私を痛みと虚
しさで満たすこともあります。そんなとき、賑やかで明るい情報番組にチャ
ンネルを変えたっていいのに、画面を観続けてしまうのです。
今の仕事に就いてからというもの、似たような胸のつかえを抱えています。
デジタル格差、言論の自由の軽視、情報操作。サイバー空間に存在する問題
の数々を、自ら経験せずに生きてきたという事実がまた苦しいのです。子供
のころからパソコンやスマホはいつでもそばにあって、インターネットの安
定や安全が保障されない生活のことなど考えたこともありませんでした。
アジア太平洋インターネットガバナンスアカデミー(APIGA)(*1)や、RightsCon
(*2)などの国際的な議論の場に参加し問題の当事者と出会うと、困っている
人や声を上げている人は世界中にいることを痛感します。知ってしまったの
に傍観者でいていいのだろうか、私に何かできることはないのだろうか。
日課のようにYouTubeを観て、友達とどうでもいい話をLINEする。Twitterで
どんな思いつきでもつぶやけるし、だいたいの得たい情報はInstagramと
Googleを通して知ることができる。こうした環境にある私は、言論の制限や
検閲に関して当事者とは言えず、ことの重大さを訴えたところで真実味に欠
け、耳を傾ける人は少ないでしょう。
朝、いつものようにワールドニュースを点けたとき、ふと気づいたのです。
私は知りたいことがわからないけれど、何か知るべきだと思うからこうして
観ている。何も知らないけれど何か知りたい、そんな人たちに届ける発信な
らできるかもしれない。こうした気づきもあり、機会を得て始まったのが
"Watch! Cyber World"というブログの連載です。
サイバー政策動向を知ろう Watch! Cyber World vol.2
https://blogs.jpcert.or.jp/ja/2022/03/cyberworld2.html
サイバー政策動向を知ろう Watch! Cyber World vol.1
https://blogs.jpcert.or.jp/ja/2021/12/cyberworld1.html
サイバーセキュリティ政策について動物たちが会話するという、JPCERT/CC公
式ブログ初めての楽しく読めるゆるい系記事です。見た目は明るくても、く
だらないと笑い飛ばせるようなネタはないはずです。何か知りたい読者のた
めに、私自身も学びながらこのブログを書いていきたいと思います。
(*1) APIGA
https://community.icann.org/display/GSEAPAC/Asia+Pacific+Internet+Governance+Academy
(*2) RightsCon
https://www.rightscon.org/
■筆者略歴
登山 昌恵 (とやま まさえ)
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター 国際部所属。アジア太平洋
地域を中心とした海外のCSIRTや国際CSIRTコミュニティとの連携を担当。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
「APTLDとは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
APTLD (Asia Pacific Top Level Domain Association)とは、アジア太平洋地
域における、国コードトップレベルドメイン(ccTLD; Country Code Top
Level Domain)の登録管理組織(レジストリ)による連合組織です。ccTLDレジ
ストリ間の連携を目的として、1998年7月にAPNG (Asia Pacific Networking
Group)を母体として設立され、2003年にマレーシアにおいて法人組織化され
ました。
APTLDでは、ドメイン名に関する技術や運用、ポリシーについてのccTLD間で
の情報交換のほか、ICANNをはじめとするインターネットのグローバルなポリ
シー策定プロセスへの参加などの活動を行っています。
APTLDは会員組織であり、アジア太平洋地域のccTLDである51組織が正会員、
その他のTLDレジストリやインターネット関連組織などの21組織が準会員とい
う構成となっています(いずれも2022年7月時点)。日本からは株式会社日本レ
ジストリサービス(JPRS)が正会員として参加していて、同社の高松百合氏が
2022年から2024年までの任期で理事を務めています。
■ 参考
APTLD Webサイト
https://aptld.org/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. JPドメイン名
o 登録ドメイン数(2022年2月~2022年7月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付| AD AC CO GO OR NE GR ED LG GEO GA GJ PA PJ TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
2/1|250 3788 457445 693 39114 12764 5510 6261 1896 2116 1055507 87747 10171 1642 1684904
3/1|250 3793 458545 706 39170 12754 5504 6270 1897 2112 1058143 87589 10155 1593 1688481
4/1|250 3804 459897 718 39264 12739 5495 6280 1898 2107 1062042 87176 10154 1588 1693412
5/1|250 3802 461059 726 39363 12735 5485 6292 1898 2105 1065008 86963 10122 1589 1697397
6/1|250 3800 461908 723 39436 12729 5465 6305 1897 2103 1067768 86641 10049 1637 1700711
7/1|250 3798 463414 732 39497 12690 5448 6304 1898 2099 1070203 86533 9906 1591 1704363
--------------------------------------------------------------------------------------------
GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
GJ:汎用ドメイン名 日本語
PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
PJ:都道府県型ドメイン名 日本語
2. IPアドレス
o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
(2022年1月~2022年6月)
------------------------------------------
月 | 割振 | 返却 | 現在の総量
------------------------------------------
1 | 1024 | 0 | 92235912
2 | 1024 | 4096 | 92232840
3 | 17920 | 18944 | 92231816
4 | 0 | 0 | 92231816
5 | 1024 | 0 | 92232840
6 | 512 | 0 | 92233352
------------------------------------------
□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/
3. 会員数 ※2022年7月12日 現在
---------------------
会員分類 | 会員数 |
---------------------
S会員 | 3 |
A会員 | 0 |
B会員 | 1 |
C会員 | 3 |
D会員 | 92 |
非営利会員| 9 |
個人推薦 | 28 |
賛助会員 | 43 |
---------------------
合計 | 179 |
---------------------
□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/
4. 指定事業者数 ※2022年7月4日 現在
IPアドレス管理指定事業者数 485
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2022.7.13(水)~15(金) JANOG50 (北海道、函館アリーナ)
2022.7.18(月)~22(金) SANOG 38 (Kathmandu, Nepal)
2022.7.22(金) JPNICトークラウンジ第8回(オンライン)
2022.7.23(土)~29(金) IETF 114 (Philadelphia, U.S.A.)
2022.7.28(木) 第64回ICANN報告会 (オンライン)
---------------------------------------------------------------------
2022.8.22(月)~26(金) APAN54 (Jinan, China)
---------------------------------------------------------------------
2022.9.8(木)~15(木) APNIC 54 (Singapore)
2022.9.12(月)~14(水) APrIGF 2022 (Singapore + オンライン)
2022.9.17(土)~22(木) ICANN75 (Kuala Lumpur, Malaysia)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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