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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1954【定期号】2022.10.17 ◆
  _/NIC
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■■■■       <Microsoft 365はなぜ遅い?>      ■■■■
□      「毎朝固まる」社内クレームに悩むIT担当者へ      □
■            3つの原因と解決策            ■
□      https://www.inap.co.jp/solution/detail33.html      □
■■■■■ INAP Japan(インターナップ・ジャパン株式会社) ■■■■■
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◆ News & Views vol.1954 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい
ます。

本号の特集では、2022年9月中旬にシンガポールで開催されたAPNIC 54カン
ファレンスの報告をお伝えします。2年半ぶりにオンサイト開催となった本会
合における、選挙結果やポリシー議論の動向について取り上げます。次回以
降はコロナ禍で凍結されていた開催地のローテーションが再開され、次々回
のAPNIC 56カンファレンスは日本開催の予定ということが発表されています。

その他、News & Views Columnでは、来月11月に開催する「Internet Week 
2022」のプログラム委員としてプログラム作りに参加していただいている、
ニフティ株式会社の佐竹茂さんに、「インターネットの信頼とは」と題して
コラムをお書きいただきました。Internet Week 2022では、インターネット
の信頼とは何であるのかを議論するセッションもございますので、ぜひご参
加ください。

また、インターネット用語1分解説では、IPアドレスを使ったパケット通信で
は不可欠である「経路表」について解説しています。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「APNIC 54カンファレンス報告
              全体概要およびアドレスポリシー関連報告」
【 2 】News & Views Column
       「インターネットの信頼とは」
         ニフティ株式会社  佐竹茂氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「経路表とは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「APNIC 54カンファレンス報告
              全体概要およびアドレスポリシー関連報告」
                                               JPNIC IP事業部 中川香基
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APNIC 54カンファレンス(以下、APNIC 54)が2022年9月8日(木)~9月15日(木)
にかけて、シンガポールにて開催されました。今回は、2020年2月にオースト
ラリア・メルボルンで開催されたAPRICOT 2020/APNIC 49カンファレンス以来
のオンサイト開催となりました。本稿では、APNIC 54の開催概要とアドレス
ポリシーに関する議論の動向についてご紹介します。


■ APNIC 54開催概要

APNIC 54は実に2年半ぶりのオンサイト開催となりましたが、通常の開催地
ローテーションから外れ、シンガポールで開催される運びとなりました。ま
た、Asia Pacific Regional Internet Governance Forum (APrIGF)、Asia 
Pacific School on Internet Governance (APSIG)、Singapore Network 
Operators' Group (SGNOG)等のイベントと共同開催となりました。ただし、
いまだコロナ禍において渡航困難な参加者がいることが考慮され、オンライ
ンでの参加ツール(Zoom、YouTube Live)も用意されました。

9月8日(木)~9月11日(日)の間は、ネットワーク管理や監視、SDN、IPv6など
をテーマとしたワークショップが行われ、9月12日(月)~9月15日(木)は議論
の場となるカンファレンスセッションが行われました。カンファレンスセッ
ションでは、従来と同じく、アドレスポリシーやルーティングセキュリティ、
NIR (National Internet Registry; 国別インターネットレジストリ)、ソー
シャルな課題など特定分野に関心を持つ人達で議論が行われる「SIG (Special 
Interest Group)」、カンファレンスの総括および全体報告が行われる「AMM 
(APNIC Member Meeting)」、その他各種技術に関する講演等が行われました。

主催者報告によると、今回のAPNIC 54では世界69の国と地域から、オンサイ
トで558名、オンラインで635名が参加しました。オンラインのみだったAPNIC 
52の参加者は473名であったことを考えると、オンサイト開催の再開やポリ
シー提案の内容が強く影響したものだと考えられます。

会期中のセッションについては、動画、資料および発言録がWebで公開されて
います。もし興味のある内容がありましたらぜひご確認ください。また、
JPNICの現地参加者によるフォトレポートもJPNIC Blogで公開しておりますの
で、ぜひご覧ください。

  APNIC 54プログラム
  https://conference.apnic.net/54/program/schedule/

  APNIC54フォトレポート
  https://blog.nic.ad.jp/2022/8010/


■ 選挙結果のご紹介

APNIC 54ではNRO NC (The Number Resource Organization Number Council)
を選出する選挙が行われました。

NRO NCは、ICANN理事会がグローバルポリシーを承認する上で、アドバイスを
行う役割を担います。ポリシーフォーラムより選出された2名と、RIR
(Regional Internet Registry; 地域インターネットレジストリ)の理事会が
指名する1名の合計3名を、各RIR地域の代表者としています。五つのRIRから
合計15名で、NRO NCを構成しています。

今回は、Shubham Saran氏(インド/NIXI)の任期満了に伴い、選挙が行われま
した。今回の選挙では現職のShubham氏と新人のGaurav Kansal氏(インド/
National Knowledge Network)が立候補しました。

選挙結果は最終日に開催されるAMMで行われる予定でしたが、集計過程で不正
投票の疑いが発生したため、投票プロセスのチェックを行い、正当な選挙結
果を確認でき次第、コミュニティでの公表を行うことになりました。10月11
日(火)に選挙結果の公表が行われ、新人のGaurav氏が当選となりました。不
正投票の疑いについては調査レポートが発表され、疑わしい登録はあるもの
の、選挙結果に影響を与えるものではないと結論付けています。

  APNIC事務局からの調査完了報告
  https://blog.apnic.net/2022/10/11/apnic-54-election-analysis-completed/

■ ポリシーSIGでの議論とその結果

今回のAPNIC 54では4件の提案が行われました。最近のAPNICカンファレンス
ではオンラインでおよそ120名がポリシーSIGに参加していましたが、今回の
ポリシーSIGではオンラインだけで250名ほど、オンサイトもあわせると300名
近くが参加していました。

コンセンサス形成のための意思表示方法としては、オンサイトの参加者は挙
手で行い、オンラインの参加者はZoom PollとConfer (https://confer.apnic.net)
を利用する形式でした。これら3種類の投票の結果をチェアが吟味して、判断
が行われました。

以下では、4件のポリシー提案の議論結果についてご紹介します。提案の内容
や事前情報に関しては、JPNICブログにまとめていますので併せてご確認くだ
さい。また、IP-USERSメーリングリストでは、カンファレンス開始前にJPOPF
運営チームによって、日本語での提案紹介および意見募集が行われていま
す。今後の動向把握には、IP-USERSメーリングリストの登録をぜひお願いし
ます。

  APNIC 54でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案のご紹介
  https://blog.nic.ad.jp/2022/7899/

  IP-USERSメーリングリスト
  https://www.nic.ad.jp/ja/profile/ml/mailman.html#join-ip-users


○prop-145:「ポリシー文書における用語定義の集約・統一」
  提案者:Anupam Agrawal氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-145/

  概要:現在有効なドキュメントで、ドキュメントごとに行われている用語
        定義を集約する。

  結果:コンセンサス

現在のAPNICのドキュメントでは、ドキュメントごとに用語定義が行われてい
ます。ドキュメント間の相互参照関係は正しく規定されておらず、片方のみ
参照関係が示されているものが多々存在しています。例として「エンドサイ
ト」という用語は、APNIC-127 (APNIC Internet Number Resource Policies; 
ポリシー文書)とAPNIC-114 (APNIC guidelines for IPv6 allocation and 
assignment requests; IPv6ガイドライン)で用語定義がされており、
APNIC-114ではAPNIC-127の参照関係が明記されているものの、APNIC-127側で
はその参照関係が明記されていません。このような曖昧な参照関係からあら
ぬ誤解や、間違った解釈を引き起こさないために、これらの用語定義を集約
し、一つのドキュメントにしようというのが本提案となります。

APNICには既に用語定義を行うドキュメントとして、APNIC-080 (APNIC 
Definition Document)が存在しています。今回の提案ではこのAPNIC-080にま
とめる形で記載すると提案されました。

現在のドキュメント内容から意味的な変更は無く、より簡潔で明確な文章と
なるものであることから、反対意見は出ず、賛成多数でコンセンサスに至り
ました。


○prop-146:「見出しとコンテンツの整合性確保」
  提案者:Anupam Agrawal氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-146/

  概要:各項のタイトルを以下の通り変更する。
  3.1.4
 “No Guarantee of contiguous delegation(連続した委譲の非保証)”
            ↓
 “Contiguous Delegation(連続した委譲)”

  3.1.6
 “Conflict of Goals(目標の相反)”
            ↓
 “Balancing the goals(目標のバランス)”

  結果:コンセンサス

ポリシー文書の3.1項では番号資源管理における「APNICの目標」を示してい
ます。そのうちの3.1.4項では、割り振り/割り当て先組織への連続した委譲
に関して最大限に務めることを記載しています。一方、3.1.4項のタイトルは
「連続した委譲の非保証」となっており、ネガティブに捉えると、APNICは連
続した委譲に関して何も努力をしないような、相反するタイトルに見えてし
まいます。また、3.1.8項では、申請者とコミュニティ全体とのニーズについ
て、バランス調整を図る役割を記載していますが、タイトルは“Conflict of 
Goals(目標の相反)”となっており、内容とかみ合っていないように見えま
す。

本提案で提案者は3.1.4項のタイトルを“Contiguous Delegation(連続した委
譲)”、3.1.8項を“Balancing the goals(目標のバランス)”と変え、実際の
認識に近いタイトルに近づけようという提案でした。

当日の議論やメーリングリストの中では、わざわざ変更しなくても意味が通
じるのではないかと考える人たちも多くいました。一方で、理解を示す人も
一定数いたので、最終投票は積極的に変更したい賛成派と、積極的に変える
必要は無いという中立派に分かれました。投票結果としては中立派が半分近
くを占めましたが、チェアの判断により、コンセンサスが宣言されました。


○prop-147:「歴史的PIアドレスの管理方法について」
  提案者:Jordi Palet Martinez氏, Anupam Agrawal氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-147/

  概要:4.2.1項"未使用の歴史的リソースの回収"を削除
        新たに4.3"歴史的リソースの管理"を追加し、以下のようにする。

        元の保有者である組織が手続きを踏まない場合、2023年1月1日以降
        対象のアドレスをAPNIC Whoisデータベースから削除し、予約済みア
        ドレスとして扱われる。この後1年間は、元の保有者は手続きを踏む
        ことでリソースを取り戻すことができる。1年が経過したリソースに
        関しては、再利用可能なアドレスプールへ移り、再びメンバーへの
        委任が可能となる。

  結果:コンセンサスに至らず

APNICでは、2005年に実装されたprop-017(未使用アドレススペースの回収)を
受け、使用されていない歴史的PIアドレスの回収に取り組んでいます。デー
タベースに存在するコンタクト先はもちろんのこと、コミュニティから入手
した連絡先を含め、さまざまな手法でコンタクトを図ってきました。そして、
APNIC EC (理事会)は、2022年12月末日までに手続きが完了しない組織に関し
て、対象のアドレスを未割り当てアドレスとして扱う旨を決定しました。こ
れは歴史的PIアドレスホルダーがAPNICと何らかの形で契約を持つことによ
り、RPKI等のAPNICのサービスを享受できるようになり、インターネット全体
の保全を図ることを目的としています。

APNIC事務局は、コンタクト結果としていくつかのデータを提示しましたが、
ルーティングテーブル上で確認できる885プリフィクスのうち、コンタクトに
反応が無い組織が600近くに及んでおり、こんな状態でこの提案を実施すれば
大きな混乱を招くのではないか、取り組み自体は理解できるが、早ければ
2024年には再利用されることになるので、時期尚早ではないかといった懸念
が挙げられました。

参加者の多くも意図として理解しているだけに、反対票は多くありませんで
したが、中立が多くを占め、提案はコンセンサスには至らず、一度提案者に
返されることになりました。

なお、本提案の対象はAPNICから直接割り当てられている歴史的PIアドレスで
す。JPNIC管理下で各組織に割り当てられている歴史的PIアドレスは、既に割
り当て先組織の明確化が完了しているため、このたびの対象には含まれませ
ん。


○prop-148:「IPアドレスのリース禁止」
  提案者:Jordi Palet Martinez氏, Amrita Choudhury氏, Fernando Frediani氏
  https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-148/

  概要:以下項目をポリシーに追加する。
        5.8項 "インターネット番号リソースのリース"
        ・いかなるIPアドレスリースを認めないことを明記する。
        ・APNIC事務局はそれらのケースを調査し、フォームやメール等に
          よる通報体制の整備を行う。
        ・違反が確認できた場合は、アドレス委任の失効を行う

  結果:コンセンサスに至らず

本提案はリース禁止を明記することを主題とした提案でした。APNICおよび
JPNICでは、ポリシー文書において、メンバー(≒JPNICの指定事業者)のネッ
トワークと接続性の無い割り当てを認めない旨を明記しています。これらは
経路集成の観点から悪影響を及ぼすため、認められてきませんでした。しか
し昨今では、リース事業者を名乗る組織がいくつか現れています。本提案を
実装することで、曖昧さを排除し、リースを無くそうというのが提案者の趣
旨でした。

メーリングリストを含め、現地の議論はさまざまな意見が飛び交いました。
解釈上これまでも禁止されていた行為を明記するだけなので問題なく、コ
ミュニティへの認知も図れるという賛成派の意見、現行の文書でもリース禁
止と読み取れるのであれば変更は不要だろうという反対寄りの意見、同じく
反対寄りではあるものの、リース禁止によるエンドユーザーへの影響を懸念
する意見、ARIN等ではリースは容認されているとして、そもそも禁止するの
は理解できないといった意見が入り乱れる形となりました。また、話者に
よってリースの定義・認識にズレがあり、そこのすり合わせも含め、もう少
し時間が必要なのではないかと感じました。

コンセンサス確認では賛成派4割、反対派5割と意見は分かれたまま、チェア
はコンセンサスに至らずと判断しました。次回以降も継続して同様の議論が
行われる可能性が高いと見られます。本提案は日本にも影響するものですの
で、皆様もぜひ一度考えてみてください。


■ 次回以降のAPNICカンファレンスについて

次回のAPNIC 55は、2023年2月20日(月)~3月2日(木)、フィリピン・マニラで
の開催を予定しています。APNICカンファレンスは通常、サブリージョンを
ローテーションで回りながら開催されますが、コロナ禍で凍結となっていま
した。次回のフィリピン・マニラからローテーションが再開されます。そし
て次々回となるAPNIC 56では、日本にAPNICカンファレンスがやってくる予定
となっています。日本での開催は、2015年の福岡以来となります。APNICカン
ファレンスに関心のある方はマニラにも、そして日本ではぜひお越しいただ
ければと思います。開催地決定の仕組みは、JPNIC Blogの方で記事としてま
とめておりますので、こちらもご覧ください。

  APNICミーティングはどこで開催されるの?
  https://blog.nic.ad.jp/2021/5846/

APNICカンファレンスは、APNICメンバー以外の方にも広く門戸を開いていま
す。ポリシー動向はもちろん、世界での最新技術動向やトレンドトピック、
国際連携・国際交流に関心をお持ちの方は、ぜひ一度参加されてみてはいか
がでしょうか。英語でのカンファレンスですが、同時英語字幕等、初心者や
非ネイティブスピーカーへの配慮もなされています。また、YouTube Liveや
アーカイブの動画を見ることもできます。皆様と、APNICカンファレンスの場
でお会いできることを楽しみにしています。


 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃     ◆◇◆◇◆  本特集のご感想をお聞かせください  ◆◇◆◇◆     ┃
 ┃良かった                                                          ┃
 ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1954/a0aadb2373c52732cef96b7de2a7713d ┃
 ┃                                                                  ┃
 ┃悪かった                                                          ┃
 ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1954/1e8ca64c48601cb2b8b0d283fbf00c65 ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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【 2 】News & Views Column
       「インターネットの信頼とは」
                                               ニフティ株式会社 佐竹茂
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「父 母 兄 無事 叔父無事 親族A家全員行方不明 近所B家不明 (高台の)学校
破壊 市街地何も無し 生存感謝申し上げます」

発災から4日目の2011年3月14日朝6時24分、東京の自宅にあるテレビの前で憔
悴し切った私に、ezweb.ne.jpのアドレスからメールが届きました。メールは
何度か送受信できましたが、暫くして通じなくなりました。道路は寸断され
て市街地には入れないこと、家は土台から流され跡形も無いこと、このメー
ルは借りた車で峠をいくつか越え、内陸の街に向かっている途中アンテナが
立ったので送ったこと、市内は電話もメールもまったく通じないこと、とり
あえず衣食はなんとかなるが、ガソリンと現金がまったくないこと、などを
話しました。ガソリンを個人で送るのは無理なので、とりあえず当面の現金
を用意すると伝えました。ネットバンキングでいくばくかのお金を送り、
「当面は現地に入るのは無理だな。水もコメも送れないがネットがあればカ
ネは送れるものだな」と考えたりしました。

Twitterの発信で救助される例が報じられ、程なくLINEがサービスを開始し、
誰でも使えてスピード感があるインターネットは復興支援活動を大いに支え、
便利なツールとして認識されました。誰が言ったわけでもないでしょうが、
「インターネットというのは素晴らしいものだ」という意識が個人、社会に
醸成された契機であったように思えます。

それから10年ちょっと経ちました。インターネットは重要な基盤として、よ
り生活に欠かせないものになりました。ありがたさを意識することは少なく
なり、むしろ通信障害が発生したときには「叱咤激励」されたり、「ネット
があるから権利が侵害される」と言われたりするようになりました。学校で
配られるSNSについてのパンフレットや、駅貼りのインターネット詐欺の警告
ポスターを見ると「そんなリスクばかりを煽らなくてもいいのに」という気
になりもします。

この1~2年ほどを振り返ってみても、社会の不安が大きくなる事象が続いて
いるように思えます。それにつられて、インターネット上に流通する情報も、
根拠が怪しいもの、不安を煽るもの、攻撃的なものが増えてきているように
感じられます。インターネットの信頼は揺らいできているのでしょうか。

あの時僕たちは、何かを信じていたような気がするのですが、人が作り、人
が運用するものである以上、よくするのも悪くするのも人なのでしょう。イ
ンターネットに対して感じていた漠然としたあの信頼は、幻想だったのでしょ
うか。

飛行機がなぜ飛ぶのかを理解して乗る人は少ないでしょう。とはいえ、漠然
としたものであっても、何らかの信頼が無ければ飛行機に乗るのは躊躇(ため
ら)うでしょう。飛行機然り、原発然り、ワクチン然り。専門的に理解してい
るわけではないけれども、このような「漠然とした信頼」は社会をワークさ
せるために必要不可欠なもののように思えます。これは、技術がもたらすの
でしょうか。それとも、誰か権威ある人の言葉によるものでしょうか。

もうすぐ「Internet Week 2022」が開催されます。あらためてインターネッ
トの信頼とは何か、これからどうあるべきかを考える「羅針盤」になること
を期待します。


■筆者略歴

佐竹 茂 (さたけ しげる)

一級知的財産管理技能士(コンテンツ)、AIPE認定 知的財産アナリスト(コン
テンツ)。2018年、ニフティ株式会社入社。法務、権利侵害対応、プロバイダ
責任制限法等の業務に携わる。JAIPA行政法律部会員およびインターネット
ユーザー部会員、テレコムサービス協会サービス倫理委員会副委員長。
Internet Week 2021、2022プログラム委員。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
         「経路表とは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

経路表は、あるIPアドレスが与えられた時、どのネットワーク(ないしはネッ
トワークインタフェース)にデータを送れば与えられたIPアドレスに到達で
きるのかをまとめた表で、ルーティングテーブルともいいます。IPアドレス
を使ったパケット通信では、データをやりとりする際必ず参照することにな
ります。

経路表には最低限、自身が属するネットワークが明示的にリストされていま
す。ルータであれば、複数のネットワークにつながっているので、その分だ
けエントリが増えます。いずれにしても、IPv4で43億個以上、IPv6では2の
128乗個あるアドレスすべてを表に納めるのは現実的ではありませんので、
「宛先アドレスが明示的にリストされていない時の送り先」として「デフォ
ルトルート」があるのが一般的です。

例えば、とあるホストでnetstatというコマンドを実行すると、以下のような
結果が返ってきます。

% netstat -rn
Kernel IP routing table
Destination     Gateway         Genmask         Flags   MSS Window  irtt Iface
0.0.0.0         198.51.100.254  0.0.0.0         UG        0 0          0 eth0
198.51.100.0    0.0.0.0         255.255.255.0   U         0 0          0 eth0
192.0.2.0       0.0.0.0         255.255.255.0   U         0 0          0 eth1

Destinationが送り先で、198.51.100/24と192.0.2.0/24(Genmaskの項目から
ネットワークアドレス長を算出すると/24になります)というネットワークが
明示的にリストされています。Ifaceを見ると、それぞれeth0、eth1という
ネットワークインタフェースにつながっていることもわかります。これらの
明示的にリストされたネットワーク以外が送信先の場合、Destinationが
0.0.0.0の行を参照します。この行ではGatewayとしてeth0を経由する
198.51.100.254が指定されており、ここがデフォルトルートということにな
ります。(Flags、MSS、Window、irttの説明は割愛します。)

一般に、組織内であれば経路表はそれほど変化しない、もしくは変化がすぐ
にわかるため、あらかじめすべての情報を人手で列挙することも不可能では
ありません。しかし組織間を結ぶようになると、接続する組織が増えるほど
手間が増え、経路表のサイズ自体も大きくなって人手で保守するのが難しく
なります。従って、経路情報を互いに交換して動的かつ自動的に経路表を更
新する、経路交換という機能も必要になります。

2022年時点では、インターネットにおけるISP間の経路交換にはBGP (Border
Gateway Protocol)というプロトコルが使われており、すべての経路情報を
数えると100万件以上にもなります。なお、ここで間違った経路情報が流れ
るとインターネット上での通信が不可能になるため、RPKI (Resource
Public Key Infrastructure)やROA (Route Origin Authorization)などで正
確性を担保する仕組みが普及しつつあります。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2022年5月~2022年10月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO    GA    GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
  5/1|250 3802 461059 726 39363 12735 5485 6292 1898 2105 1065008 86963 10122 1589 1697397
  6/1|250 3800 461908 723 39436 12729 5465 6305 1897 2103 1067768 86641 10049 1637 1700711
  7/1|250 3798 463414 732 39497 12690 5448 6304 1898 2099 1070203 86533  9906 1591 1704363
  8/1|250 3799 463801 741 39535 12690 5436 6308 1898 2097 1072161 86436  9733 1586 1706471
  9/1|249 3803 464624 750 39604 12673 5430 6330 1898 2096 1075252 86080  9533 1493 1709815
 10/1|250 3805 465470 754 39638 12860 5561 6340 1898 2093 1077904 85908  9438 1484 1713403
--------------------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語
 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
 PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
  (2022年4月~2022年9月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
   4 |        0 |        0 |   92231816
   5 |     1024 |        0 |   92232840
   6 |      512 |        0 |   92233352
   7 |        0 |        0 |   92233352
   8 |     1536 |      512 |   92234376
   9 |     2560 |        0 |   92236936
------------------------------------------

□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2022年10月14日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      0 |
  B会員     |      1 |
  C会員     |      3 |
  D会員     |     92 |
  非営利会員|      9 |
  個人推薦  |     28 |
  賛助会員  |     42 |
 ---------------------
  合計      |    178 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2022年10月7日 現在

   IPアドレス管理指定事業者数           485


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2022.10.17(月)~19(水)        NANOG 86 (Hollywood, U.S.A.)
  2022.10.20(木)                第65回ICANN報告会 (オンライン)
  2022.10.20(木)~21(金)        ARIN 50 (Hollywood, U.S.A.)
  2022.10.26(水)~28(金)        APTLD82 (Muscat, Sultanate of Oman)
  2022.10.27(木)~28(金)        日本インターネットガバナンスフォーラ
                                ム2022 (東京 + オンライン)
 ---------------------------------------------------------------------
  2022.11.5(土)~11(金)         IETF 115 (London, U.K.)
  2022.11.7(月)~8(火)          第22回迷惑メール対策カンファレンス 
                                [後援] (長崎、出島メッセ長崎+オンラ
                                イン)
  2022.11.14(月)                2022 Annual CENTR Meeting
  2022.11.21(月)~30(水)        Internet Week 2022 (東京大学伊藤謝恩
                                ホール+オンライン)
  2022.11.29(月)~12.2(金)      IGF 2022 (Addis Ababa, Federal 
                                Democratic Republic of Ethiopia)
 ---------------------------------------------------------------------
  2022.12.2(金)                 第43回JPNICオープンポリシーミーティン
                                グ (オンライン)
  2022.12.14(水)~16(金)        NCA Annual Conference 2022 [後援] (東
                                京、東京コンファレンスセンター・品川
                                +オンライン)


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
                  ◇              ◇              ◇
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