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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1965【臨時号】2022.12.13 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1965 です
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先日発行したvol.1963にて、マレーシア・クアラルンプールで開催された第
75回ICANN会議のレポートをお届けしましたが、2016年から2期6年にわたって
ICANN理事を務めていた当センターの前村昌紀が、同会議をもって任期を終了
して理事を退任いたしました。

本号ではその前村本人から、理事在任中の振り返りと、みなさまへのメッセー
ジをお届けいたします。

なお、クアラルンプール会議のレポートについては、下記のバックナンバー
をご覧ください。

  第75回ICANN会議報告
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2022/vol1963.html

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◆ ICANN理事在任の6年間を振り返って
                                               JPNIC 政策主幹 前村昌紀
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JPNIC政策主幹の前村です。私は、2016年にアドレス支持組織(ASO)の指名に
よってICANN理事を拝命しましたが、2022年9月にマレーシアで開催された
第75回ICANNクアラルンプール会議(ICANN75)の年次会合において、2期6年間
の任期を終えて退任いたしました。本稿では、この6年間を振り返りたいと思
います。


■ どうしてICANN理事に挑戦したか

私は2000年から2016年2月まで、APNICの理事を務めていました。2003年から
は理事会議長も拝命し、APNIC内部の仕事だけでなく、他の地域インターネッ
トレジストリ(RIR)との連携や、NRO (Number Resource Organization)として
の方針検討、そしてそれ以外の関連団体とのやり取りにも関わって、このよ
うなグローバルなインターネットの運営調整の仕事にやりがいを感じていま
した。しかし、16年というのは極めて長い期間であり、ポジションを後進に
渡すことを考え始めた頃、当時ASO選出でICANN理事を務めていたKuo Wei Wu
氏が退任すると伺いました。ICANN理事会は、グローバルなインターネットの
運営調整における最要所の一つであり、遠い存在のように感じていたのです
が、Wu氏の後任をめざすということで、少しだけ現実味を持って考え始めま
した。JPNICでの機関決定も経て、2016年のASOアドレス評議会によるICANN理
事会第10議席の選挙に推薦していただきました。その選挙は熾烈なものとな
りましたが、2016年6月に当選の報を受けました。任期は同年11月の年次総会
である第57回ハイデラバード会議からでしたが、6月に開催された第56回ICANN
ヘルシンキ会議から、いわば見習いとしてICANN理事会の活動に参加し始めま
した。


■ ICANN理事会の文化と顔ぶれ

最初は、理事の誰もが先輩であるだけでなく、インターネット業界でよく名
の通った方ばかりということで、駆け出し理事としては恐縮するばかりでし
たが、それはすぐに解消しました。当時の理事会議長Steve Crocker氏は、言
うまでもなくインターネットの父と呼ばれる1人であり、神格化されていると
言っても過言ではないのですが、そのCrocker氏がたびたび口にした、ICANN
理事会の文化を表す言葉が、Colleagiality(コリジャリティ)です。調べると
合議制などの訳語にもあたりますが、Colleague(同僚)からの派生語で、同僚
のように、つまり、どちらかが偉いとかいうことなく、仲間として接する、
ということです。私はCrocker氏から見ると子供のような歳ですが、常に仲間
のように接してくださいました。もちろん他の理事もです。最初は駆け出し
であった私も、最後の年には最長任期になったのですが、このColleagiality
については、いつも心掛けたことでもありました。

もちろん闊達な、時には激しい議論も辞さないですし、口頭の議論とは別に
チャットでも別の議論が起こるなど、頭をフル回転させての思考が要求され
ます。理事会のメンバーは、インターネットの最要所を担うプロフェッショ
ナルの集団でもあります。Crocker氏の次に議長となったCherine Charaby氏
をはじめとして、インターネットに関係のないビジネス界のエグゼクティブ
も、推薦委員会指名で参画します。彼らは他の業界にないインターネットの
文化を素早く吸収し、専門である経営や財務の専門性を遺憾なく発揮します。


■ 起こったこと、取り組んだこと

ICANN理事会で初めて経験したビッグイベントは、IANA監督権限移管でした。
2014年4月に米国商務省電気通信情報局が公表した監督権限移管の意向から2
年半の営みが集結し、私が見習いを始めた時には移管後体制提案が米国政府
によって承認された後でした。しかし、その後共和党の移管反対運動が起こ
り、移管予定日の前日までもつれ込んだ問題を、ICANNの立場で見守ったの
は、得難い経験でした。

GDPR (EUの一般データ保護規則)に準拠するためのgTLD登録データの暫定仕様
書をICANN理事会が承認したのは2018年5月ですが、それまでの間GDPR対応に
向けた議論に分野別ドメイン名支持組織(GNSO)や事務局とともに取り組みま
した。今も暫定状態を脱する本処置としてSSAD (System for Standardized 
Access Disclosure)の検討が進んでいますので、6年間の任期中は常にGDPR対
応を検討していたことになります。

2019年から2020年には、ISOCが.orgのレジストリであるPIR (Public Interest
Registry)を投資会社に売却する案が、インターネットコミュニティで大きな
話題となりました。ICANNは、.org運営の継続性保全の観点を確認する必要が
ありましたが、.orgが果たしていた公益的な役割の保全に関する懸念から、
カリフォルニア州司法長官からの召喚令状を受け、それが売却を伴う体制変
更の拒絶という結果に影響を及ぼしたこともありました。2022年には、ウク
ライナ政府からロシアのccTLDの切り離しを要請され、これを拒絶したわけで
すが、これと同様、インターネット基盤運営と政府の関係を考えさせられる
出来事でした。

DNS Abuseの議論も、最後の2年ほど本格化しました。理事会の中でもコーカ
スを作って議論の動向の把握に努めました。こちらはDNSセキュリティ脅威に
関するものに絞った、狭義のDNS Abuseとして議論するのがICANNにおける主
流で、それも重要ではありますが、GACを中心に議論されている、公共安全、
つまり犯罪抑止の観点の議論が、これから重要になっていくように思います。

私個人としては、技術委員会が設立されて2年目に同委員会のチェアとなり、
運営体制を改めて安定的な活動を実現したことや、この立場で名前衝突分析
プロジェクト(NCAP)の始動やルートサーバシステムガバナンスに関するワー
キンググループ(RSSGWG)の発足を承認し、インターネット基盤運営における
歴史的な変革の検討を始動しました。これらはまだ検討が続いていますが、
引き続き動向を追おうと思います。もう一つチェアをやったのは、IDN・ユニ
バーサルアクセプタンスワーキンググループ(IDN-UA WG)です。こちらでは、
2019年に国際化トップレベルドメイン(IDN TLD)の異体字管理に関する勧告文
書を承認したこと、ルートゾーンラベル生成ルール(LGR)の第5版を2022年5月
に公開し、作業に掛かっていたすべての言語のLGRについて、完成を見ること
ができたのは印象深い出来事でした。

また、これは理事としての仕事ではないのですが、理事任期中、2019年3月
に、第64回神戸会議をローカルホストとして開催できたことも、嬉しい思い
出です。


■ おわりに

ICANNの話題のほとんどすべてはドメイン名のことで、ASO選出理事としては
少し離れた立場で取り組むのかなと、着任の前は想像していました。しかし、
GDPR対応は、レジストリデータベースというものがそもそも何を保持して、
何をいかに公開するかという識別子管理の本質を突いた問題ですし、PIR問
題、ウクライナ紛争に関すること、DNS Abuse、RSSガバナンスは、それぞれ
インターネット基盤運営の本質を見つめなおす作業でもあり、最初の印象よ
りもはるかに、私の中心的な関心で関わることができました。

ICANNは2023年で設立から25年を迎えますが、IANA監督権限移管を経て機構が
成熟してきている一方で、SSADや次ラウンドgTLDの検討をはじめ、いたると
ころで検討過程が複雑を極め、この傾向は強まることはあっても弱まること
はないように思われます。ボトムアップを標榜するコミュニティの総取りま
とめ役であるICANN理事会が、今後どのようにコミュニティを導いていくの
か、これからも注視してまいりたいと考えています。

最後となりましたが、ICANN理事会で過ごした6年間、たくさんの方々の支援、
声援があって、はじめて務め上げることができたと思います。応援してくだ
さったすべての皆様に御礼を申し上げます。


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