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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.2036【定期号】2023.11.15 ◆
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◆ News & Views vol.2036 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい
ます。

本号の特集では、2023年10月8日(日)から12日(木)までの5日間、京都国際会
館で開催された、インターネットガバナンスフォーラム(IGF)京都2023
(IGF 2023)を取り上げます。IGFは国際連合が主催、各国政府がローカルホス
トとなる会合で、今回は総務省がローカルホストの日本初開催となりました。
この貴重な機会となったIGF 2023について、詳しくお伝えしたく、2号に分け
てお届けします。今回の前編では、全体概要や開会式の様子などとともに、
ユーストラック、ハイレベル会合、議会トラックといったIGFならではのセッ
ションの模様を中心にお伝えします。後編では、さまざまなテーマで行われ
た数多くのセッションの様子やレビューをお伝えしますので、そちらもご期
待ください。

またNews & Views Columnでは、本日開幕したInternet Week 2023を開催する
にあたり、プログラム委員としてプログラム作りなどにご協力いただいてい
る、NTTセキュリティ・ジャパン株式会社の林郁也さんにお書きいただいたコ
ラムを載せています。人との関わり・つながりなしには、インターネットも
成り立たない、ということを再確認する内容です。

また、インターネット用語1分解説では、Webサイトを検索していると時折目
にする「ドメイン名パーキング」について解説しています。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「IGF 2023(第18回インターネットガバナンスフォーラム)報告
              [前編]」
【 2 】News & Views Column
       「立ち飲み屋とインターネットのポリフォニー」
         NTTセキュリティ・ジャパン株式会社  林郁也氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「ドメイン名パーキングとは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「IGF 2023(第18回インターネットガバナンスフォーラム)報告
              [前編]」
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2023年10月8日(日)から12日(木)にかけての計5日間にわたり、IGF (Internet 
Governance Forum) 2023が、国立京都国際会館(京都府京都市左京区)および
オンラインのハイブリッドにて開催されました。本会合については、既に
JPNICブログ「IGF京都2023フォトレポート」(*1)にて一部概要をお伝えして
います。

(*1) IGF京都2023フォトレポート
     https://blog.nic.ad.jp/2023/9306/


■ 全体概要

○参加者数統計

国連によれば、参加申込者数は11,145名に達しました。参加者数は、現地参
加が178ヶ国より6,279名で、オンライン参加者は3,000名以上とのことです。
IGF 2022との比較では、民間部門の参加者が11%増えたこと、およびアジア太
平洋地域からの参加者が32%増えたことが特筆すべき点であると国連の報告
(*2)ではなっています。

ステークホルダー別割合(百分率)

政府                16%
政府間組織(IGO)      6%
市民社会            24%
民間部門            37%
技術コミュニティ    14%
報道機関             2%
児童                 1%

地域別割合(百分率)

アフリカ                             8%
アジア太平洋                        57%
東欧                                 3%
ラテンアメリカ・カリブ海(GRULAC)     7%
西欧その他(北米、イスラエル、豪州   20%
およびニュージーランド)(WEOG)
IGO                                  5%

性別(百分率)

女性           38%
男性           61%
その他      1%未満

他に初参加者の割合が67%に上ること、ユース(30歳未満)の割合が18%である
こと、各国(38ヶ国)国会議員の参加者の割合は3%であることが報告されまし
た。グローバルサウスからの参加者へは、旅費支援が125名を対象に行われ、
五つのリモートハブおよび15のNRIを対象に助成が行われました。リモートハ
ブ自体は24ヶ国に34のリモートハブが設置され、その60%がアフリカから、
23%がアジア太平洋からとなっていました。

(*2) IGF 2023の統計
     https://www.intgovforum.org/en/content/igf-2023-participation-and-programme-statistics


○セッション数

IGF 2023では800以上のセッションが提案され、選定の結果、セッションの総
数は355となりました。そのうち、主なものの内訳は以下の通りです。

Main Sessions                        6
Workshops                           78
Open Forums                         58
Town Halls                          20
Launches and Awards                 21
Lightning Talks                     44
Networking Sessions                 23
Dynamic Coalition (DC) Sessions     24
NRI Collaborative Sessions           3
Pre-Events (Day 0 Sessions)         45
High-level Leaders Track             5
Parliamentary Track sessions         4
Best Practice Forum (BPF) Sessions   1
Policy Network (PN) Sessions         3


■ 開会式

国連事務総長アントニオ・グテーレス氏からのビデオメッセージ(全文(*3))
では、主に次の内容が披露されました。

持続可能な開発目標(SDGs)を達成し、気候変動対策を講じ、より良い世界を
築くために、インターネットが可能にするデジタル技術を活用し続ける必要
があり、次の三つの分野で行動を起こすべきと考えている

1. 接続性のギャップを埋め、残りの26億人、特に後発開発途上国の女性と女
   児をオンライン化するために協力しなければならない。

2. 我々はガバナンスのギャップを埋めるために協力しなければならない。IGF
   やその他のデジタル関連組織体の活動を、国連システム全体、そしてそれ
   以外のものへと高め、よりよく連携させることもその一つ。

3. 我々はデジタル協力に対し、人権と人間中心のアプローチを再度実施する
   必要がある。

他には、次の内容が主に語られました。

・IGFリーダーシップパネルは、戦略的ガイダンスを提供し、安定した資金調
  達を支援し、重要な活動の影響力を増すことを目的としている

・人工知能に関するハイレベル諮問機関の委員を任命する

・2024年の未来サミットで採択が提案されているグローバル・デジタル・コ
  ンパクト(GDC)は、人間中心のデジタルの未来を確保するための原則、目
  標、行動を定めることを目的としており、政府、民間セクター、市民社会
  は、GDCに明記されたコミットメントの確実な実行のため、定期的に協力し
  合わなければならない

(*3) https://www.un.org/sg/en/content/sg/statement/2023-10-09/secretary-generals-video-message-the-internet-governance-forum


岸田文雄内閣総理大臣からは、主に以下の点について語られました(全文
(*4))。

・IGFの、オープンかつ民主的、包摂的なプロセスを重視するという基本理念
  は、我が国の基本的な価値観と一致する。

・自由で分断のないインターネットは、開発、保健、安全保障といった、我々
  が直面するさまざまな課題の解決や、人類の更なる発展のために不可欠で
  ある。

・偽情報を含む違法有害情報の拡散、サイバー攻撃、サイバー犯罪などの負
  の側面にも目を背けることなく、世界中から、さまざまな立場の参加者が
  一堂に会し、マルチステークホルダー・アプローチの議論により英知を結
  集することで、リスクを低減しつつ、インターネットの恩恵を最大化でき
  ると確信している。インターネットが、信頼性のある自由なデータ流通
  (DFFT)を促進し、引き続き人類の発展に貢献するためには、オープン、自
  由、グローバル、相互運用可能、安全かつ信頼できるインターネットを維
  持することが必要であると確信している。

・我が国は、さまざまな立場のマルチステークホルダーによるインターネッ
  トガバナンスを支持し、引き続きコミットする。

(*4) https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202310/09igf_opening.html


岸田首相からは、開会式に引き続き開催された、AIに関するハイレベルリー
ダーセッションにおいてもスピーチがありました(全文(*5))。

(*5) https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202310/09igf_ai.html


■ ユーストラックおよびサミット

IGF 2023のユーストラックでは、サイバーセキュリティと信頼の問題を取り
上げました。具体的には以下をめざすこととなりました。

・デジタル技術が政策形成者や政策立案者にもたらす機会と課題に焦点を当
  てながら、サイバーセキュリティと信頼の政策分野の全体的な概念に関す
  る能力を開発

・世界中の若者のネットワークを構築

・世界中のインターネットガバナンスに関わる、あるいは関心を持つ若者を
  中心としたイニシアティブ間の協力を支援

ユーストラックは、サイバーセキュリティと信頼という包括的テーマの下、
さまざまな側面に関する専門家による能力開発ワークショップで構成され、
これらのワークショップは地域IGF会合のセッションとして開催されました。

・Workshop I:   子どものオンライン上の安全性とメンタルヘルスへの影響
                (EuroDIG)(*6)
・Workshop II:  サイバーセキュリティの能力開発:インターネットガバナ
                ンスの未来のために若者に活力を与える(LACIGF)(*7)
・Workshop III: デジタルの世界におけるプライバシー、セキュリティ、自
                由をナビゲートすることに関する若者の能力強化(APrIGF)
                (*8)
・Workshop IV:  Advancing ethical AI for an Inclusive and Innovative 
                digital landscape for Youth青少年のための包括的で革新
                的なデジタル・ランドスケープのための倫理的AIの推進
                (African IGF)(*9)

  ユーストラック概要
  https://www.intgovforum.org/en/content/igf-youth-track

(*7) https://www.intgovforum.org/en/content/igf-2023-youth-track-workshop-i
(*8) https://www.intgovforum.org/en/content/igf-2023-youth-track-workshop-ii-at-youth-lacigf
(*9) https://www.intgovforum.org/en/content/igf-2023-youth-track-workshop-iii-at-aprigf
(*10) https://www.intgovforum.org/en/content/igf-2023-youth-track-workshop-iv-at-african-igf

10月8日(Day 0)にIGF会場内で1時間半にわたり開催されたグローバルユース
サミットでは、「安全なデジタルの未来」と銘打って、次の四つの質問につ
いてそれぞれ大人と若者のペアによって議論されました。

1. 青少年のオンライン上のプライバシーと安全を保護し、同時にデジタルへ
   の関与と革新を促進するための政策を、どのように効果的に策定し、実施
   することができるのか。

2. 政策立案者は、個人のプライバシーを保護することと、進化し続けるデジ
   タル環境の中でサイバーセキュリティ対策が強固で効果的であることを保
    証することの間で、どのようにバランスを取ればよいのだろうか。

3. 若いユーザーをネットいじめやオンライン・ハラスメントから守るため
   に、アルゴリズムに基づくモデレーションを含め、ソーシャルメディア・
   プラットフォームをより効果的に管理すべきか?

4. サイバーセキュリティ政策やガバナンスの枠組みの形成に若者が積極的に
   参加し、意思決定プロセスにおいて若者の声が反映されるようにするには
   どうすればよいのだろうか。

  セッション概要
  https://www.intgovforum.org/en/content/igf-2023-global-youth-summit-safe-digital-future

セッションを受けて、ユースからのメッセージ案(*11)が公開されています。

(*11) https://www.intgovforum.org/en/filedepot_download/285/26597

この中で最も筆者が感銘を受けたのは、当たり前かもしれませんが、次の内
容です。

  若者への投資は、インターネット・ガバナンス空間とグローバル・
  コミュニティの未来への投資である。


■ ハイレベルリーダートラック

ホスト国日本の政府(総務省)と国連(経済社会局およびIGF事務局)が共催した
ハイレベルリーダートラックでは、あらゆるステークホルダーグループの専
門家や指導者が、一連の重要議題について10月8日(Day 0)および10月9日
(Day 1)に議論を行いました。具体的には次の5セッションが開催されました。


・ハイレベルパネル1:「信頼性のある自由なデータ流通」(DFFT)を理解する
                     (10月8日09:30 - 11:00 日本時間)

・ハイレベルパネル2:誤報・偽情報に関する、進化する傾向
                     (10月8日11:15 - 12:45 日本時間)

・ハイレベルパネル3:WSIS+20を見据えて:マルチステークホルダープロセ
                     スの加速 (10月8日 13:45 - 15:15 日本時間)

・ハイレベルパネル4:SDGsを活性化するアクセスとイノベーション
                     (10月8日 15:30 - 17:00 日本時間)

・ハイレベルパネル5:人工知能(AI)(10月9日 11:00 - 13:00 日本時間)

  ハイレベルパネルの概要
  https://www.intgovforum.org/en/content/igf-2023-high-level-sessions

この中から、ハイレベルパネル3を取り上げたいと思います。世界情報社会サ
ミット(WSIS)のチュニス会合が開催されたのが2005年であり、2025年には20
周年を迎えることと、2015年のWSIS+10で2025年までのIGF開催が決まってお
り、それ以降開催するかどうかを2025年に開催される予定のWSIS+20で議論さ
れることになります。

パネリストは次の通りです(敬称略)。

・Doreen Bogdan-Martin:国際電気通信連合(ITU)事務総局長
・村井 純:慶應義塾大学教授
・Tripti Sinha:ICANN理事会議長
・John Whittingdale:英国データ・デジタルインフラ大臣
・Maria Fernanda Garza:Orestia社CEO 兼 国際商業会議所(ICC)理事長
・Sigbjoern Gjelsvik:ノルウェー地方自治・地域開発大臣(2022-2023)
・Chat Garcia Ramilo:Executive Director, Association for Progressive 
  Communication (APC)

まず、過去20年間における世界情報社会サミット(WSIS)の主な成功は何か、
また、マルチステークホルダーという性質はそれにどのように貢献したかに
ついて、モデレーターからパネリストに問いかけました。それに対しては、
インターネットの利用者が6%から70%へ増えたことがWSISの第1の成功で、多
様なステークホルダーが参加するようになってきたことが第2の成功であるこ
と、マルチステークホルダー・アプローチがインターネットの発展において
基本的に重要であり、それがIGFの発展につながったことなどがパネリストよ
り述べられました。

一方で注意すべき点として、

・WSISで定義された参加原則はどこでも平等に適用されているわけではなく、
  我々が注意を払う必要があること

・マルチステークホルダー・アプローチの適用には格差があり、改善する必
  要があること

・インターネットガバナンスモデルがマルチステークホルダー主義によって
  健全であり続けることを保証することが重要であり、多国間主義の方向に
  進めば、多くの声を置き去りにしてしまうのではないかという懸念を持っ
  ていること

・26億人のユーザーはまだインターネットに接続できないままであること

・我々を取り巻く世界は大きく進化し、ガバナンスやインターネットに関す
  る新たな課題が、断片的な政策対応につながっているが、マルチステーク
  ホルダー・モデルは、あらゆるレベルのガバナンスで適切に活用されてお
  らず、このモデルを強化し、インターネットやデジタル技術をめぐる政策、
  規制、法的空間への取り組み方において、ルールとしていく必要があるこ
  と

などについて、パネリストから発言がありました。

WSIS+20のレビューでは、

・インターネットとデジタル技術がグローバルな公共資源であることをもっ
  と認識する必要があり、そのガバナンスは、国際的な人権基準と公益原則
  に基づくものでなければならないこと

・前項が、企業の説明責任、グローバルなデータ公共財の効果的なガバナン
  ス、公共デジタル・インフラへの資金提供を強制するメカニズムによって
  裏打ちされる必要があること

・WSIS+20を見据えるにあたり、サイバーセキュリティおよびデジタルデバイ
  ドが主な課題であること

・デジタルインクルージョン(包摂)は極めて重要かつ我々が直面する大きな
  課題の一つであり、その理由は、より多くの発展途上国がインターネット
  の技術を導入する中、我々が導入したガバナンス構造がインターネットの
  効果的な発展を保証する最善の方法であることを説明する必要があり、そ
  のためには、WSISのプロセスで策定された行動指針を、国連の持続可能な
  開発目標(SDGs)にリンクさせることも一つの方法であること

などが、パネリストより話されました。

次いで、WSISがどのように進化し、また進化すべきなのかを理解するために、
未来について考えてみるよう、モデレーターからパネリストに問いかけまし
た。パネリストからはAIや量子コンピューティングなどについて発言があり
ました。Bogdan-Martin氏からは、来年(2024年)に向けてITUと他国連機関と
合同でWSISフォーラムを開催し、約40の国連機関が一堂に会する「AI for
Goodサミット」と日程的に隣り合わせ(*12)とすることが紹介されました。

  AI for Goodサミット:2024/5/30-31
  https://aiforgood.itu.int/

(*12) WSIS+20フォーラムハイレベルイベント:2024/5/27-31
      https://www.itu.int/net4/wsis/forum/2024/


その次に、IGFはWSISの主要な成果の一つであり、 WSISの枠組みにおけるIGF
の役割と特別な価値をどのように考えるかについて、モデレーターからパネ
リストへ問いかけました。Gjelsvik氏は、2025年以降のWSISを構想する際、
私たちは新たなテクノロジーを予測し、持続可能性を提供しなければならな
いこと、WSIS+20以降におけるIGFの役割は、インターネットガバナンスの課
題と機会について、オープンで包括的、かつ情報に基づいた議論を促進する
ことであること、ノルウェーは、IGFを重要かつ包括的なフォーマットとし
て、またすべてのステークホルダーのための会議の場として維持発展させる
ことに貢献すべく、今年初め、2025年のIGF開催への招致を発表したと述べま
した。

  ハイレベルパネル3の概要
  https://intgovforum.org/en/content/high-level-panel-iii-looking-ahead-to-wsis20-accelerating-the-multistakeholder-process


■ 議会トラック

IGFでは、インターネットと関連するデジタル技術の利用、進化、ガバナンス
に関連する喫緊の課題に関する議論への国会議員の参加を強化しようとして
きており、2019年と2020年には、IGF年次総会に関連して議員円卓会議が開催
されました。2021年と2022年には、IGF年次総会に先立ち、また年次総会にお
いて国会議員を対象とした一連の活動を含む、拡張された議会トラックが導
入されました。

2023年にはトラックは世界的な活動に拡大され、2023年6月の欧州インター
ネットガバナンス対話(European Dialogue on Internet Governance,
EuroDIG)、同8月のアジア太平洋地域IGF (APrIGF)、9月のアフリカIGFで地域
セッションが開催されました。京都で開催されたIGF 2023では、議会トラッ
クとして、「我々が望むインターネットのためのデジタル・トラストの形成
(Shaping Digital Trust for the Internet We Want)」をテーマに、次のセッ
ションが開催されました。

・[Day 0イベント] DNS: 安全、セキュアで相互運用可能なインターネット
                  の基盤

・[議会セッション1] データを統治する:信頼できるオンライン空間を支援
                    するために国会議員は何ができるか?

・[議会セッション2] 信頼できるイノベーションの促進:AIの安全な開発と
                    利用を可能にするガバナンスの枠組みとは?

・[議会セッション3] デジタル空間を再び信頼できるものにするための偽情
                    報対策

・[円卓会議] すべての人々に力を与え、信頼できるインターネットの形成に
             おける国会議員の役割

円卓会議には衆議院議員(IGF 2023開催時は総務委員長)浮島 智子氏が登壇し、
G7広島サミットの結果に基づき広島AIプロセスを開始し、本年末にはすべて
のAI関係者のための国際的な指導原則の策定に着手する予定であることなど
について話されました。

議会トラックの結果は、成果文書にまとめられて公開されています。

  https://www.intgovforum.org/en/filedepot_download/295/26580

  議会トラック全体概要
  https://www.intgovforum.org/en/content/igf-2023-parliamentary-track

(内容は、後編に続きます。)


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 ┃     ◆◇◆◇◆  本特集のご感想をお聞かせください  ◆◇◆◇◆     ┃
 ┃良かった                                                          ┃
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 ┃悪かった                                                          ┃
 ┃ https://feedback.nic.ad.jp/2036/390fa16d7d7af569143b681a6999324d ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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【 2 】News & Views Column
       「立ち飲み屋とインターネットのポリフォニー」
                              NTTセキュリティ・ジャパン株式会社 林郁也
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

立ち飲み屋で飲んでいると、いろんな人に会います。

「僕はアメリカ育ちだったんで、今の多感な時期の子供への過度な詰め込み
教育には疑問があります。でも、それを妻に言うと発狂するんです……」と
腕時計を気にしながら塾に子供を迎えに行く父親。「詰め込み?いいじゃな
いですか。どうせ時間あっても、動画眺めるかゲームしかしないでしょう?
だったら勉強させたほうがいいんですよ」とあっけらかんと割り切る母親。
田舎育ちで、遊びといえば近所の原っぱで野球ごっこみたいな原体験を持つ
筆者は、一度は父親に共感したものの、母親の物言いにも共感してしまった。
昔のように遊べるところなんて、今はないのかもしれない。

共通の前提やモノの見方の方向が違っていたりすると、一つの事柄にもそれ
ぞれ異なる解釈が成り立つものですが、そこに発見があると楽しいですよね。
そんなわけで、いろいろな人が出入りして、思ってもみない情報が、ぽんっ、
と耳に入ってくることがある立ち飲み屋に、つい足を運んでしまうのです。

さて、筆者はWebアプリケーションの脆弱性ハンティング企画やASM(外形監視
を用いたセキュリティ対策マネジメント)という、インターネットからやって
くる脅威の影響を低減する営みをやっていたことがありますが、これらも
モノの見方と深くかかわるものだと思っています。

守り手は、つい自分の気になるところを堅牢にしようと動きがちですが(それ
が悪いと言っているわけではありません)、攻撃者の視点で対象をインター
ネットから眺めなおしてみると、攻撃者にとってターゲットとなるのは、攻
撃者から「見えて」「低コストで攻略できそう」なところ、という景色が浮
かんできます。すると、そこがより危ないので優先的に対策していきましょ
う、という理屈が浮かび上がってくるわけです。もちろん対策のためには、
見えているものが確かに自分のものであるかを判別するため、IT資産をしっ
かり把握していないとならないですけれど。

対策を考えていく上では、攻撃者の視点のほかにも、信頼できる他者の視点
を得る、というやり方もあります。他者と交流することで、自分が十分と思っ
ていた対策が十分でないと知ることになったり、逆に、自分はまだまだと思っ
ていたことが、とても進んでいることだと気づくことも気づくこともあった
りするのです。仲間うちでWebアプリケーションの脆弱性を発見してもらう取
り組みもあって、最近だと複数の企業が学生さんに脆弱性を発見してもらう
コンテストを催したりと、面白い仕掛けも出てきています。

そして、さらにこの延長線上の、多視点と集合知の成果として、優れたフレー
ムワークが作られていたりもします。筆者がよく参照させてもらっている
X.1060 (日本発のサイバーリスク対応のための組織フレームワーク)も、きっ
とそういう成り立ちなんじゃないだろうかと思います。こうしたフレームワー
クは、標準という視点で対象を評価することを可能とします。

こうして思いを馳せると、人が集まるって、すごいことだ!と改めて思える
のです。

おっと、そういえば、この11月「集まれ!インターネットワーキング!」と
いうテーマでInternet Week 2023が開催されます。なんて素晴らしいテーマ
なんでしょう。ここで集まって気づきを得、帰りに仲間と立ち飲み屋に寄っ
てみるのもオツかもしれませんよ。

  ■Internet Week 2023
    https://internetweek.jp/2023/


■筆者略歴

林 郁也(はやし いくや)

CISSP、情報処理安全確保支援士。1998年日本電信電話株式会社入社後、同社
研究所およびグループ会社でのCSIRT運営を経て、NTTセキュリティ・ジャパン
株式会社に勤務。日本シーサート協議会副運営委員長、TRANSITS(NCA)講師、
東京電機大学CySec講師、情報セキュリティワークショップin越後湯沢実行委
員、Internet Week 2023プログラム委員。


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【 3 】インターネット用語1分解説
         「ドメイン名パーキングとは」
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ドメイン名パーキングとは、ドメイン名の登録だけを行いWebサイトなどで利
用せずに保持する行為や、そのようなドメイン名の保持だけを望むユーザー
向けにレジストラ(登録事業者)やリセラ(再販事業者)などが提供しているサー
ビスを指します。

通常、ドメイン名を登録した後は、ネームサーバの設定をしてWebサイトや
メールアドレスなどで用いることが一般的ですが、登録後もしばらく利用し
ない場合や、ドメイン名を保持することだけを目的に登録される場合もあり
ます。

そのような場合、登録管理に利用しているレジストラやリセラによっては、
管理ページなどから設定をすることで、当該ドメイン名にWebブラウザでアク
セスした際に、あらかじめ用意された広告を表示したり、特定のページを表
示したりできるサービスを提供しているところがあります。主な目的は、広
告などの収入により、ドメイン名の登録料をまかなうためなどです。

なお、ドメイン名の登録だけをする行為自体は問題ありませんが、登録や使
用にあたって商標権利者の権利侵害などを目的とするような「不正の目的」
が認められた場合は、ドメイン名紛争処理方針(DRP)に基づく申立ての対象
となることがありますので注意が必要です。

また、ドメイン名パーキングの対象となっているドメイン名については、
パークドメイン名などと呼ばれます。


■ 参考

   ドメイン名紛争処理方針(DRP)
   https://www.nic.ad.jp/ja/drp/


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【 4 】統計資料
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1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2023年6月~2023年11月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO    GA    GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
  6/1|251 3830 471955 791 40079 12815 5483 6409 1901 2077 1097611 84451  9258 1336 1738247
  7/1|251 3831 472710 796 40109 12828 5473 6414 1901 2073 1101001 84289  9249 1336 1742261
  8/1|251 3827 473259 795 40190 12801 5456 6408 1901 2070 1103866 84090  9251 1333 1745498
  9/1|251 3827 473975 794 40231 12814 5452 6417 1901 2068 1106482 84028  9251 1333 1748824
 10/1|251 3824 474756 794 40286 12719 5346 6430 1902 2064 1108106 83854  9222 1333 1750887
 11/1|251 3833 475645 800 40350 12746 5341 6438 1903 2063 1110012 83704  9200 1332 1753618
--------------------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語
 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
 PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
  (2023年5月~2023年10月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
   5 |     1024 |        0 |   91592072
   6 |     1024 |    13312 |   91579784
   7 |   330752 |     1024 |   91909512
   8 |     2048 |     2048 |   91909512
   9 |     1024 |        0 |   91910536
  10 |     2048 |      512 |   91912072
------------------------------------------

□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2023年11月13日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      0 |
  B会員     |      1 |
  C会員     |      3 |
  D会員     |     92 |
  非営利会員|      9 |
  個人推薦  |     28 |
  賛助会員  |     40 |
 ---------------------
  合計      |    176 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2023年11月8日 現在

   IPアドレス管理指定事業者数           508


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【 5 】イベントカレンダー
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  2023.11.4(土)~10(金)         IETF 118 (Prague, Czech Republic)
  2023.11.14(火)                2023 Annual CENTR meeting
  2023.11.15(水)~22(水)        Internet Week 2023
  2023.11.24(金)                「IoTセキュリティシンポジウム 2023 in 
                                沖縄」~生成AIの行く末とセキュリティ~
                                [後援](沖縄県、沖縄県立博物館・美術館)
  2023.11.27(月)~12.1(金)      RIPE 87 (Rome, Italian Republic)
  2023.11.29(水)                第45回JPNICオープンポリシーミーティン
                                グ(オンライン)
  2023.11.30(木)                第68回ICANN報告会 (東京都、JPNIC会議
                                室 + オンライン)
 ---------------------------------------------------------------------
  2024.1.17(水)~19(金)         JANOG53 (福岡県、博多国際展示場&カン
                                ファレンスセンター)
  2024.1.29(月)~2.2(金)        APAN57 (Bangkok, Thailand)
 ---------------------------------------------------------------------
  2024.2.12(月)~14(水)         NANOG 90 (Charlotte, U.S.A.)
  2024.2.19(月)~22(木)         APTLD85 (Goa, Republic of India)
  2024.2.21(水)~3.1(金)        APRICOT 2024/APNIC 57 (Bangkok, 
                                Thailand)
  2024.2.26(月)                 AP* Retreat (Bangkok, Thailand)


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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