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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.2112【定期号】2024.10.15 ◆
_/NIC
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◆ News & Views vol.2112 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい
ます。
本号の特集では、2024年8月30日(金)~9月6日(金)にニュージーランド・ウェ
リントンで開催された、APNIC 58カンファレンスの概要を、選挙やアドレス
ポリシー関連の議論を中心にお届けします。ブログのフォトレポートでは、
テクニカルセッションの内容などもお伝えしておりますので、あわせてお読
みください。
APNIC 58 フォトレポート
https://blog.nic.ad.jp/2024/10156/
APNIC 58 テクニカルセッション フォトレポート
https://blog.nic.ad.jp/2024/10057/
News & Views Columnでは、Internet Week 2024を開催するにあたり、プログ
ラム委員としてプログラム作りなどにご協力いただいている、前田典彦さん
(株式会社FFRIセキュリティ)のコラムをご紹介します。ヒトも、OSやソフト
ウェアも、基本を押さえた絶え間ないメンテナンスが必要であることを痛感
します。
また、インターネット用語1分解説では、意外と知られていない?「ドメイン
名の登録回復」について解説しています。
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◆ 目次
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【 1 】特集 「APNIC 58カンファレンス報告
全体概要およびアドレスポリシー関連報告」
【 2 】News & Views Column
「ヒトとマルウェアとインターネット」
株式会社FFRIセキュリティ 前田典彦氏
【 3 】インターネット用語1分解説
「ドメイン名の登録回復とは」
【 4 】統計資料
1. JPドメイン名
2. IPアドレス
3. 会員数
4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー
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【 1 】特集 「APNIC 58カンファレンス報告
全体概要およびアドレスポリシー関連報告」
JPNIC IP事業部 中川香基
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APNIC 58カンファレンス(以下、APNIC 58)が2024年8月30日(金)~9月6日(金)
にかけて、ニュージーランド・ウェリントンにて開催されました。本稿では、
APNIC 58の開催概要と、アドレスポリシーに関する議論の動向についてご紹
介します。
■ APNIC 58開催概要
APNIC 58では8月30日(金)~9月2日(月)をワークショップウィークとして、
Network Security、Network Automationなどをテーマとしたワークショップ
を行い、9月3日(火)はAPIX、AP Star、Pacific IGFなどの関連イベントを、
9月4日(水)~6日(金)は議論の場となるカンファレンスウィークが行われまし
た。
カンファレンスウィークでは、アドレスポリシーやルーティングセキュリ
ティ、NIR (National Internet Registry; 国別インターネットレジストリ)、
ソーシャルな課題など特定分野に関心を持つ人達が議論を行う「SIG
(Special Interest Group)」や、カンファレンスの総括および全体報告が行
われる「AMM (APNIC Member Meeting)」、その他各種技術に関する講演等が
開催されました。
主催者報告によると、今回のAPNIC 58では世界47の国と地域から、オンサイ
トで349名、オンラインで74名が参加しました。一昨年のAPNIC 54(シンガポー
ル)はオンサイト開催再開後初のカンファレンスの影響で、APNIC 56(日本・
京都)はAPNIC 30周年の節目の回だったというところも重なり、500人以上と
いう参加者数となっていましたが、今回は例年並みの水準に落ち着きました。
国/地域別の参加者数データは公表されていませんが、ニュージーランドと
いう開催地の影響もあってか、オセアニア地域の島しょ部からの参加者も多
く見られたように思われます。
会期中のセッションについては、動画、資料および発言録がWebで公開され
ています。もし興味のある内容がありましたらぜひご確認ください。
APNIC 58プログラム
https://conference.apnic.net/58/program/program/index.html
■ 選挙結果のご紹介
APNIC 58では、NRO NC (The Number Resource Organization Number Council)
を選出する選挙が行われました。
NRO NCは、ICANN理事会がグローバルポリシーを承認する上で、アドバイスを
行う役割を担います。コミュニティでの選挙により選出された2名と、RIR
(Regional Internet Registry; 地域インターネットレジストリ)の理事会が
指名する1名の合計3名を、各RIR地域の代表者としています。五つのRIRから
選出された合計15名で、NRO NCを構成しています。(現在はAFRINICの機能不
全に伴い、四つのRIRで構成。)
今回は、Gaurav Kansal氏(インド/National Knowledge Network)の任期満了
に伴い、選挙が行われました。今回の選挙では現職のGaurav氏は立候補せず、
現在APNIC理事会指名枠としてNRO NCを務めるNicole Chan氏(台湾/TWNIC)と
新人のKarl Kloppenborg氏(オーストラリア/ResetData Pty Ltd)が立候補し、
Nicole氏が当選を果たしました。Nicole氏の任期は、現在のAPNIC理事会指
名枠としてが2024年12月まで、今回の選挙による選出任期が2025年1月~
2026年12月の2年間となります。Nicole氏はAPNIC理事会指名枠で3年間NRO NC
を務めており、現在NRO NCのVice Chairも務められています。経験豊富な
Nicole氏のさらなる活躍に期待が寄せられています。
■ オープンポリシーミーティング(OPM、ポリシーSIG)での議論とその結果
今回のAPNIC 58では4件のポリシー提案について議論が予定されていました。
しかし、最終的に今回コンセンサス確認に至った提案は2件となっています。
以下では、各提案の状況および議論結果をご紹介いたします。
コンセンサス形成の意思表示は、参加者の挙手で行います。サポートとして
Confer (https://confer.apnic.net/)と呼ばれるリアルタイムに意思表明を
視覚化するツールが利用されています。ポリシーSIGチェアはこれらの様子を
総合的に判断し、ポリシー提案がコンセンサスを得ているかどうか、判断し
ます。
提案の内容や事前情報に関しては、JPNIC Blogにまとめていますので併せて
ご確認ください。また、IP-USERSメーリングリストでは、カンファレンス開
始前にJPOPF運営チームによって、日本語での提案紹介および意見募集が行
われています。今後の動向把握には、IP-USERSメーリングリストの登録をぜ
ひお願いします。
APNIC 58でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案のご紹介
https://blog.nic.ad.jp/2024/10000/
IP-USERSメーリングリスト
https://www.nic.ad.jp/ja/profile/ml/mailman.html#join-ip-users
○prop-157:「一時的なIPv4アドレス移転」
提案者:Jordi Palet Martinez氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-157/
概要:一時的なIPv4アドレス移転を以下のように定義する
・本移転申請では移転日と終了日を記録する。
・移転時にはアドレス利用計画を必要とする。
・移転時は以下の遵守事項を守る必要がある。従わない場合には移
転を取り消す。
- アドレスの不正利用時に移転取消が可能である旨を移転条件に
含む
- IPv6アドレスも広報すること
- 対象アドレスにRPKIを実装すること
- IRRとGeolocationを更新すること
- MANRSに準拠すること
結果:コンセンサスに至らず
前回のAPNIC 57から継続議論となっていた提案です。
短期間での利用を前提に接続性の無い組織へIPアドレスを貸与する「リース」
を規制しようという提案が近年議論されてきました。しかし、「リース」の
定義の曖昧さからなかなかコンセンサスには至っていません。本提案は「リー
ス」を禁止するアプローチを変え、「リース」をIPアドレスレジストリ構造
の中に取り込み、水面下での違法行為を排除しようという提案でした。
提案者の思想として、レジストリの見えないところで行われるアドレス分配
を無くしたい、というのは理解できるものの、遵守事項として掲げる項目の
うち、IPv6の広報義務は移転制度と直接的な関係が無いですし、MANRSの準
拠を掲げていますが、これはAPNICポリシーで規定・管理されるものではな
いため、ポリシーに組み込んでどこまで管理できるのかといった点で疑問視
されていました。
会場からのコメントでは、そもそも移転制度を否定するような考え方になり
ますが自身のインターネット接続サービスでアドレスを使用しないのなら、
それはレジストリに返却すべきであり、誰かに貸与したり・譲渡したりすべ
きでないとの考え方が示されました。また、歴史的PIアドレスについて、こ
の「一時移転」の制度が利用できるのか、利用できる場合にはどのようなス
テータスとなるのか(通常の移転の場合は歴史的PIアドレスは移転後、PAも
しくは特殊用途用PIとなり、歴史的PIアドレスのステータスに戻ることはあ
りません。しかし歴史的PIアドレスが一時移転可能とした場合は移転元の組
織に戻る際に元のステータスに戻ると考えるのか。)と提案者は問われまし
たが、明確な回答は得られませんでした。その他にもRPKIへの影響や、2者
間の係争が発生した場合のAPNICの対応策などを不安視する声が聞こえまし
た。
結果一部賛成票も見られましたが、反対多数でコンセンサスには至りません
でした。本提案は廃案となり、次回以降同提案を行う場合には新規提案が必
要となります。
○prop-159:「IPv6の最小割り振りサイズを/32から/36へ変更」
提案者:Christopher Munz-Michielin氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-159/
概要:現行のAPNICメンバーの料金計算上、/23のIPv4アドレスホルダーは
IPv4アドレスのみ割り振りを受けた場合とIPv6アドレス/32の割り
振りを受けた場合とで30%の料金差が出るという。IPv6実装の経済
的障壁を解消するため以下のように変更する。
IPv6の最小割り振りサイズを/32から/36へ変更し、IPv4の割り振り
を受けた事業者は/36のIPv6アドレス割り振りを受ける資格を持つ。
結果:提案者不在により議論なし
本提案は現在のメンバー料金制度上、IPv6を持つことでその費用が高くなり、
これが経済的障壁となっているとして、最小割り振りサイズを小さくしよう
という提案でした。事前のML上での議論では料金問題の解決アプローチとし
てアドレスの割り振りサイズを変えるなどポリシーを変更するのはおかしい、
料金制度側の変更を求めるべきであるなど否定的なコメントが見られました。
OPM当日を迎えましたが、提案者は現れず、カンファレンスへのレジストも
確認できなかったと発表されました。提案を議論するためには提案を説明し、
質問に答える提案者がいなければ成立しません。提案者は代理人を立てるこ
ともできておらず、事務局も提案書提出以降コンタクトが全く取れなくなっ
ていたとのことでした。
ポリシーメイキングとして成立しないため、本提案は議論なしで廃案扱いと
なりました。このような事例は過去にも無いようで、今後の対応策を考える
必要がありそうです。
○prop-160:「マルチホーム接続組織へのIPv6初期割り当てを/44に変更」
提案者:Md. Rafeeun Noby Babir氏、Muhammad Redwanul Karim氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-160/
概要:現行のポリシーではAPNICからIPアドレスの割り当てを受ける組織
(PIアドレスホルダー)のIPv6アドレスの初期割り当てサイズは/48
となっている。現行の/48ではマルチホーム接続を想定するネット
ワークでは不足していると提案者は主張する。そこで以下のよう
に変更を行う。
IPv4アドレスのPI割り当てを受けており、マルチホーム接続を要
するものにおいてはIPv6の最小割り当てサイズを/44とする。
結果:コンセンサスに至らず
本提案はVer.1の段階では「マルチホーム接続」の言葉をつかっておらず、
IPv4アドレスの割り当てサイズを基準として、割り当てIPv4アドレスが/24
の場合は/48を、/23の場合には/44を割り当てるとしていました。IPv4アド
レスとIPv6アドレスではアドレス数のスケールが異なるため、尺度として設
定するのは不適当であるというのが当初のコミュニティの見立てでした。
しかしOPM5日前の9月1日に突如Ver.2が提出されると、Ver.1でのIPv4アドレ
スを基準としたものから、マルチホーム接続を要件として割り当てサイズを
変更する提案に変わりました。この変更は編集上の変更と呼ぶにはあまりに
クリティカルであり、ML上での議論期間も短いことから、コンセンサス確認
を行うには早すぎるのではないかと会場でコメントがありました。
また、IPv4アドレスを尺度とする点は解消したものの、マルチホーム接続を
行うのに/44というサイズが適当であると主張する点の根拠が曖昧なこと、
必要であれば追加割り当てや割り振りを受けてより大きなIPv6アドレスを入
手することが可能であること、IPv6のPI割り当てサイズを拡大することは経
路集成の観点から逸れてしまっていることが指摘されました。
結果、賛成はほとんど見られず、反対多数でコンセンサスには至りませんで
した。本提案はMLへの差し戻しとなっています。
○prop-161:「IoTへのIPv6アドレス使用」
提案者:Guangliang Pan (Benny)氏、Wei Wong (Wesley)氏
Qiang Li氏、Yaling Tan氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-161/
概要:現行のポリシーにはIoTに対応するポリシーは存在しない。
しかしIoTでは電子機器のみならず非電子機器へのIPv6アドレス割り
当てを行い、それらの情報をホストとして識別し、検証・トレース
を行おうとしている。LIRでない組織がこれらの活動のためにIPv6の
割り当てを要求しても明確な基準が無いため、今のままだと難しい。
本提案ではこのような事象に対応するためIoTへのIPv6利用について
以下のように定める。
IPv6アドレスは、インターネットに接続する電子機器および非電子
機器を含むIoTオブジェクトに割り当てることができる。デフォルト
の初期IPv6割り振りサイズは最小割り振りサイズに準拠する。
結果:提案取り下げ
OPM前のML上での議論では最も盛り上がった本提案でしたが、その中で現行の
ポリシー下でも実現不可能ではないことが明らかになったとして、8月31日
に提案者によって取り下げとなりました。OPMの場では提案者らによりIoT分
野におけるIPv6活用の具体例を示すなどして情報共有が行われました。提案
としては取り下げとなったため、コンセンサス確認は行われていません。結
果としては取り下げとなってしまいましたが、こういったこれまで深く想定
されていなかったフィールドに関する提案が、今後も出てくる可能性がある
のだと考えさせられる機会になったのではないかと思います。
■ 次回以降のAPNICカンファレンスについて
次回のAPRICOT 2025/APNIC 59は、2025年2月18日(火)~27日(木)に開催が予
定されています。開催地は当初バングラデシュ・ダッカの予定でしたが、昨
今の政情不安を背景に変更があり、代替開催地はマレーシアのプタリン・ジャ
ヤとなりました。開催地決定の仕組みは、JPNIC Blogで記事としてまとめて
おりますので、こちらもご覧ください。
APNICミーティングはどこで開催されるの?
https://blog.nic.ad.jp/2021/5846/
APNICカンファレンスは、APNICメンバー以外の方にも広く門戸を開いていま
す。ポリシー動向はもちろん、世界での最新技術動向やトレンドトピック、
国際連携・国際交流に関心をお持ちの方は、ぜひ一度参加されてみてはいか
がでしょうか。英語でのカンファレンスですが、同時英語字幕等、初心者や
非ネイティブスピーカーへの配慮もなされています。また、YouTube Liveや
アーカイブの動画を見ることもできます。皆様と、APNICカンファレンスの
場でお会いできることを楽しみにしています。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ◆◇◆◇◆ 本特集のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃
┃良かった ┃
┃ https://feedback.nic.ad.jp/2112/ea72dfa972eb7ec6ab31a97ef48be0fd ┃
┃ ┃
┃悪かった ┃
┃ https://feedback.nic.ad.jp/2112/2d45d7dbf8c12853749279a52394fac4 ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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【 2 】News & Views Column
「ヒトとマルウェアとインターネット」
株式会社FFRIセキュリティ 前田典彦
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数年前からランニングを始めました。コロナ禍の期間中、ほとんど体を動か
さない日々が続いたせいか、人生MAX体重を記録、所持しているスーツすべて
が入らなくなったことが端緒です。走り出すと、タイムや距離が気になるも
ので、iPhoneが勝手に記録してくれるデータを気にする日々が始まりました。
それまではまったく気にすらしなかったのに、1km歩くとだいたい10分、1km
走るとだいたい5-6分ということが分かり、その蓄積と継続が楽しくなりまし
た。一方で、移動という点では、車や電車、長距離移動なら新幹線や飛行機。
最も速い旅客機で、速度はおおよそ900km/hといったところでしょうか。
インターネット普及以前にもマルウェアは存在しました。その拡散速度は、
通信手段がなければ上記の速度を超えることができなかったはずです。フロッ
ピーディスクを介して感染を広げるタイプのマルウェアも実在しましたが、
拡散速度は人間や貨物が移動する速度を超えることはなかったでしょう。ま
た、マルウェアを検知・駆除するための対策ソフトに必要な定義ファイルも、
インターネット経由で更新できる仕組みが最初からあったわけではなく、当
初は例えばフロッピーがメーカーから郵送されてきたものだと聞きます。対
策側も、ヒト・モノが移動する速度を超えなくて済んでいたということです。
そうした今から思えば牧歌的な時代は去り、マルウェアとそれを使う攻撃者
は光に次ぐ速度で私たちが使う端末、そしてさまざまな機器にリーチしてき
ます。その数はすでに数えることに意味をなさないほど増え、対策ソフトも
既知のマルウェアを検出する手法から未知のマルウェアを検出する手法(代表
例は振る舞い検知型)、さらに最近は検知駆除よりも侵入・感染後にいかに対
処するかに重点を置く対策を組み合わせたものにシフトしています。ただ、
マルウェア個体数は爆発的に増えても、感染させる手法・手口は実はほぼ変
化がありません。OSやソフトウェアは、最新の状態に保つなど基本を押さえ
た対策を絶え間なく続けることが、マルウェア対策の肝であることはこのこ
とからも言えるはずです。
■筆者略歴
前田 典彦 (まえだ のりひこ)
ISPのサポートセンターで電話を受けるサポート要員として働き始め、その後
SIer→外資ウイルス対策ソフトウェアメーカーを経て、2019年から現職の
株式会社FFRIセキュリティ。社外では特定非営利活動法人日本ネットワーク
セキュリティ協会(JNSA)調査研究部会長・幹事、一般社団法人地域セキュリ
ティ協議会(ASC)常任理事など。今年からInternet Weekプログラム委員。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
「ドメイン名の登録回復とは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ドメイン名の登録回復とは、ドメイン名の更新手続きをうっかり忘れてしまっ
たなどの理由で登録期限が過ぎてしまいドメイン名が廃止されてしまった場
合に、所定の期間内に手続きを行えば登録状態を回復できることを指します。
例えばgTLDの場合は、「削除済ドメイン名のための請戻猶予期間(RGP:
Redemption Grace Period)」という仕組みがあり、廃止から一定期間内に手
続きをすることによって、ドメイン名の登録を回復して再び利用可能な状態
にすることができます。また、JPドメイン名の場合にも類似の制度があり、
廃止の状態となった日から一定期間「登録回復期間」が設けられています。
いずれの場合も、登録の回復ができる期間は限られていますので、具体的な
手続き方法など詳細についてはご利用になっているレジストラなどにお問い
合わせください。また、登録しているのがこれらのTLDでない場合は、ドメイ
ン名の登録回復が可能であるかをご利用のレジストラにお問い合わせくださ
い。
登録回復の制度があるとしても、対象期間を過ぎてしまった場合は、基本的
には再び先願登録が可能な状態になるのを待つしかありませんが、再び自ら
が登録できるとは限らないため、そもそも必要なドメイン名を失効させない
こと、万が一に備えて登録回復のしくみについて事前に十分理解しておくこ
とが重要です。
■参考
削除済ドメイン名のための「請戻猶予期間」
https://www.icann.org/resources/pages/errp-2017-01-24-ja
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【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. JPドメイン名
o 登録ドメイン数(2024年5月~2024年10月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付| AD AC CO GO OR NE GR ED LG GEO GA GJ PA PJ TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
5/1 | 253 3841 480854 812 40701 12676 5297 6389 1915 2051 1114166 82680 9046 1309 1761990
6/1 | 253 3844 481649 820 40734 12737 5284 6396 1915 2045 1115248 82445 9012 1308 1763690
7/1 | 253 3850 482345 818 40759 12716 5270 6405 1915 2041 1115318 82106 9051 1342 1764189
8/1 | 253 3858 483236 826 40823 12719 5269 6417 1915 2040 1116243 81981 9038 1341 1765959
9/1 | 254 3861 483855 832 40861 12705 5264 6421 1915 2040 1116588 81805 9008 1337 1766746
10/1 | 254 3863 484609 835 40935 12658 5260 6430 1916 2038 1116959 81630 9019 1335 1767741
--------------------------------------------------------------------------------------------
GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
GJ:汎用ドメイン名 日本語
PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
PJ:都道府県型ドメイン名 日本語
2. IPアドレス
o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
(2024年4月~2024年9月)
------------------------------------------
月 | 割振 | 返却 | 現在の総量
------------------------------------------
4 | 512 | 0 | 91915400
5 | 2048 | 0 | 91917448
6 | 512 | 0 | 91917960
7 | 1536 | 0 | 91919496
8 | 0 | 0 | 91919496
9 | 332800 | 0 | 92252296
------------------------------------------
□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/
3. 会員数 ※2024年10月11日 現在
---------------------
会員分類 | 会員数 |
---------------------
S会員 | 3 |
A会員 | 0 |
B会員 | 1 |
C会員 | 4 |
D会員 | 92 |
非営利会員| 9 |
個人推薦 | 28 |
賛助会員 | 37 |
---------------------
合計 | 174 |
---------------------
□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/
4. 指定事業者数 ※2024年10月3日 現在
IPアドレス管理指定事業者数 522
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2024.10.16(水) DMARCハンズオン勉強会/意見交換会
(東京都、JPNIC会議室 + オンライン)
Security Days Fall 2024 [後援]
(大阪府、グランフロント大阪)
2024.10.21(月)~23(水) NANOG 92 (Toronto, Canada)
2024.10.21(月)~25(金) SANOG 42 (Islamabad, Islamic Republic
of Pakistan)
2024.10.22(火)~25(金) Security Days Fall 2024 [後援] (東京
都、JPタワーホール&カンファレンス)
2024.10.24(木)~25(金) ARIN 54 (Toronto, Canada)
2024.10.28(月)~11.1(金) RIPE 89 (Prague, Czech Republic)
2024.10.29(火) Security Days Fall 2024 [後援]
(愛知県、愛知県産業労働センター)
---------------------------------------------------------------------
2024.11.2(土)~8(金) IETF 121 (Dublin, Ireland)
2024.11.5(火)~7(木) APCERT 2024 (Taipei, Taiwan)
2024.11.9(土)~14(木) ICANN81 (Istanbul, Republic of
Turkiye)
2024.11.19(火) 第47回JPNICオープンポリシーミーティン
グ(東京都、アーバンネット神田カンファ
レンス + オンライン)
2024.11.19(火)~21(木) Internet Week 2024 オンラインWeek
(オンライン)
2024.11.20(水) 2024 Annual CENTR Meeting
2024.11.25(月)~27(水) Internet Week 2024 カンファレンスWeek
(東京都、浅草橋ヒューリックホール&カ
ンファレンス)
---------------------------------------------------------------------
2024.12.15(日)~19(木) IGF 2024 (Riyadh, Kingdom of Saudi
Arabia)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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