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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.2264【臨時号】2026.10.6 ◆
_/NIC
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◆ News & Views vol.2264 です
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2026年6月にスペイン・セビリアで開催された第86回ICANNセビリア会議につ
いては、先日発行したvol.2248でお伝えしたところですが、本稿ではそのセ
ビリア会議を受けて2026年7月31日(金)に開催した、第76回ICANN報告会につ
いてご報告します。
今回の報告会は新gTLDプログラムの申請受付が終わったタイミングというこ
とで新gTLD関連の報告が引き続き行われたほか、多くの話者からDNS Abuseに
関する報告がありました。
なお、報告会の資料はJPNIC Webで公開していますので、本稿と併せてご参照
ください。
第76回ICANN報告会
https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20260731-ICANN/
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◆ 第76回ICANN報告会レポート
JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2026年6月8日(月)から11日(木)にかけて、スペイン・アンダルシア州セビリ
アおよびオンラインのハイブリッドでICANN86会議が開催されました。その内
容の概要を国内向けに報告する、第76回ICANN報告会を2026年7月31日(金)に
オンラインで開催しましたので、その内容をお伝えします。
■ プログラム
今回のプログラムは次の通りでした(発表者敬称略)。
1. ICANN86会議概要報告
ICANNジャパン・リエゾン 大橋由美
2. 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
株式会社日本レジストリサービス 高松百合
3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
総務省 総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課 今尾和樹
4. 理事会とASOを中心とした活動の報告
JPNIC 前村昌紀
5. GNSOレジストリ・レジストラ部会報告
株式会社インターリンク ジェイコブ・ウィリアムズ
6. 2026年ラウンド新gTLD申請関連状況報告
GMOブランドセキュリティ株式会社 寺地裕樹
7. コンテンツ側からみたICANN86の報告
弁護士・弁理士 丸田憲和
■ ICANN86会議概要報告
ICANNジャパン・リエゾンの大橋由美氏より、ICANN86の概要について報告い
ただきました。
ICANN86には1,939名が参加し、現地参加は124の国と地域から1,374名、リモー
ト参加は111の国と地域から565名となっています。続いて、2026年の新gTLD
ラウンドに関しての報告では、4月30日から開始された申請受付が8月12日に
終了し、10月の申請文字列公開(Reveal Day)、11月の文字列確定、12月の優
先順位決定抽選を経て、2027年以降に文字列評価が行われる予定とのことで
す。
DNS不正利用(DNS Abuse)対策については、
・ある登録者のドメイン名が一つでも悪用された場合に、同一登録者の他の
ドメイン名もレジストラが調査する
・DNS不正利用軽減ポリシー策定プロセス(PDP)1(*1)=関連ドメイン名チェッ
ク(ADC)(*2)の最終勧告に向け、効果測定やトリガー要件、コンプライアン
スの観点からPDPが進行中であるAIの台頭がDNS不正利用の高速化や高度化
をもたらす懸念がある一方、防御側にとっても有効な分析・対応ツールに
なり得るという認識が共有されました。
レビュー制度の見直し(Review of Reviews)については、コミュニティの負担
を軽減するため、説明責任・組織構造に関するレビューのみを定期(5年また
は15年)とし、他を必要に応じた「オンデマンドレビュー」に整理する提案に
ついて2026年8月4日まで意見募集中との報告がありました。
(*1) DNS Abuseに関するPDPのうち、PDP1がADC(次項)、PDP2が新規顧客によ
るAPI経由の大量ドメイン名登録へのアクセス制限、PDP3がドメイン名
生成アルゴリズム(DGA)/ボットネットに関するものです。
(*2) 関連ドメイン名チェック (Associated Domain Checks, ADC):レジスト
ラに対し、特にDNS不正利用キャンペーンに利用される大量のドメイン
名登録が行われた場合において、悪意のある主体に関連するドメイン名
を調査するために、積極的に対応を転換することを義務付ける枠組み。
■ 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
JPRSの高松百合氏より、180のccTLD(国コードドメイン名レジストリ)が参加
しているccNSOに関する状況が報告されました。まずはIANAが業務を適切に遂
行する際に依拠すべきポリシー/ルールが不在であることの状況分析を行う
Policy Gap Analysis Working Groupが設立を提案した、以下二つのスタディ
グループの取り組みが紹介されました。
・IANA Public Records Study Group (IPR SG):
ルートゾーンデータベースの情報公開の目的や正確性について調査を実施。
国ごとに情報公開に対する政府事情や認識が異なることが確認されました。
・IANA's role in ccTLD Disaster Recovery Study Group (DR SG):
レバノン(.lb)の管理者が急逝した件などを契機に、災害発生時にIANAが
ccTLDに提供できる支援策についてシナリオ検討を行いました。事前におけ
る権限と役割分担の明確化が重要であるとの考察が示されています。
次いで、レジリエンスセッションについての紹介では、近年、各国の規制強
化や災害リスクが高まる中で、単なるDNS運用にとどまらず、「説明責任・証
明可能性」を含めた多角的なレジリエンスが求められている現状が共有され
ました。不正利用対応における連携についての紹介では、ccTLDごとに法律や
規則が異なるため一律のモデル適用は難しいこと、また登録者に連絡する際
はレジストラを飛び越えずに役割整理を行う必要があることが議論されたと
のことです。
■ ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
総務省の今尾和樹氏より、ICANN86開催時点では184の国・地域と41の国際機
関等で構成されているGAC関連について、DNS不正利用対策と登録情報の正確
性について主に報告いただきました。
DNS不正利用対策については、まずホスト国スペインの警察より、生成AIを用
いた詐欺対策などの実例発表が行われ、次いで、Interisle社がDNS不正利用
全体の20%(5件に1件)が不正利用目的の新規登録ドメイン名であり、一部の事
業者にDNS不正利用が集中している市場構造を指摘した報告が共有されました。
さらに、進行中の関連ドメイン名チェック(ADC)のPDP暫定勧告に対し、GACは
「過去に悪用されたドメイン名や、将来的に悪用される蓋然性が高いもの」
も対象にするよう意見を提出したとのことです。
登録情報の正確性(15日検証問題)については、WHOIS代替システム(SSAD/RDRS)
に関して、中央集権的で永続的な開示メカニズムを求める方針を再確認し、
ドメイン名の不正利用を防ぐため、「ドメイン名が登録後に有効化される前
に連絡先情報を検証する(事前検証)」プロセスの確立をGACとして引き続き目
指していくことを確認したとのことです。
■ 理事会とASOを中心とした活動の報告
JPNICの前村より、理事会およびASOを中心とした活動の報告を行いました。
併せてGNSO関連にも少し触れています。最近の理事会決議では、レビュー制
度の一時的な義務緩和、オンブズ(オンブズマンから改称)オフィスのプロセ
ス拡充、IDN(国際化ドメイン名)セカンドレベル管理に関するPDPフェーズ2の
全勧告受け入れなどが承認されたことが報告されました。
ASO AC(アドレス支持組織)の活動については、新しいRIR(地域インターネッ
トレジストリ)設立基準となる「ICP-2」の改定草案第3版について文言整理な
どの検討を重ね、ドラフティングを完了してNRO ECへ提出したとのことです。
さらに、ICANN86会期直前に逝去されたASO選出のアラン・バレット理事(元
AFRINIC CEO)の追悼セッションが昼休みに執り行われたことが報告されまし
た。
JPNICが参加しているGNSO ISPCP (ISP・接続事業者部会)の報告では、ISP特
有の課題やユーザー向けアウトリーチ活動などが話し合われたことを確認し
ました。レビュー制度全体の見直し(CCG)に関しては、パブリックコメント
中の報告書案を提示し、常設のレビュースコーピングコミッティ(RSC)を新設
して、重要レビューのみを定期的な実施とし、残りは必要に応じたオンデマ
ンド実施にすることでコミュニティの負担を大幅に削減する改革案が説明さ
れたということです。
■ GNSOレジストリ・レジストラ部会報告
株式会社インターリンクのジェイコブ・ウィリアムズ氏より、GNSOのレジス
トリ・レジストラ部会の動向について報告されました。
DNS不正利用PDP (=ADC)の進捗は、九つの検討課題(チャーター質問)をすべ
て検討し終えるなどポリシーの合意は順調に進み、残る論点は二つだけに絞
られたとのことです。SSAD(*3)/RDRS(*4)開示要請に関しては、レジストラは
各国のプライバシー法(GDPRなど)に抵触するリスクがあるため、システムに
よる自動開示には反対し、最終開示判断はレジストラが持つべきである点を
強調しました。次いで、現行のドメイン名登録後15日以内に検証を行わない
とドメイン名停止となる規則が、無関係な一般ユーザーのサイトを意図せず
ダウンさせている不利益が指摘されました。また事前検証に切り替えたとし
ても、不正利用減少に対する統計的な有意差はほぼないとするレジストラ側
の調査結果が紹介されました。
統一ドメイン名紛争解決(UDRP)について、UDRPプロバイダを偽装した詐欺メー
ルがレジストラの約25%で確認されている問題や、チリのccTLD (.cl)におけ
る登録者支援による紛争勝率向上の取り組みが共有されました。次期新gTLD
ラウンドについては、申請期間中のガイドブック変更や、システムテスト環
境の提供遅れなど、ICANNの直前・会期中の運用変更に懸念が示されました。
(*3) System for Standardized Access Disclosureの略。詳しくはJPNIC
ニュースレターNo.76の「SSADとは」をご参照ください。
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No76/0800.html
(*4) 登録者データ請求サービス(Registration Data Request Service)の略。
詳しくはICANNリリース文の和訳をご参照ください。
https://www.nic.ad.jp/ja/icann/topics/2023/20231208-01.html
■ 2026年ラウンド新gTLD申請関連状況報告
GMOブランドセキュリティ株式会社の寺地裕樹氏より、新gTLD申請の2026年ラ
ウンド関連の状況について報告されました。
まずは全体像および時系列の推移について説明がありました。全体像では全
部で4フェーズあるうち、報告会時点ではフェーズ1(申請フェーズ)であるこ
と、および今後の予定が示されました。申請期間は8月12日に終了し、支払い
期限は8月19日に設定されました。フェーズ2に含まれる、10月中旬に予定さ
れる申請文字列の公開(Reveal Day)後、フェーズ3となる11月の最終文字列確
定までの間に競合文字列を差し替える新プロセスが今回から適用されていま
す。
次にフェーズ4となる評価プロセスの解説として、申請者評価および文字列評
価について解説がありました。申請者評価では、信用調査(バックグラウンド
チェック)、RSP(レジストリサービスプロバイダ)制度を用いた技術力評価、
財務能力などの詳細を説明しました。文字列評価では、外観の視覚的類似性
や発音の同一性、名前衝突(Name Collision)(*5)に関する評価などが解説さ
れました。
文字列競合(コンテンション)解決について、文字列競合時はコミュニティ申
請優先評価(CPE)を行い、解決しない場合は最終的にオークションへと移行す
ることになります。
今回はブランドTLD申請に限定した新たな救済措置(文字列変更)が導入され、
同一ブランド名等で競合が発生した場合、自社の業態を示す一般的な単語を
後方に加えることで非類似(別文字列)として承認を受けることができるよう
になりました(仮定の例:「.asahi」の競合時に「.asahibeer」へ変更可能)。
(*5) ドメイン名として登録されず、組織の内部網でドメイン名やホスト名と
して利用される名前文字列が衝突する状況。
参考:
インターネット用語1分解説
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/name-collision.html
名前衝突(Name Collision)問題
https://www.nic.ad.jp/ja/dom/new-gtld/name-collision/
■ コンテンツ側からみたICANN86の報告
GNSO知的財産部会(IPC)メンバーであるJPMAC(出版5社マンガ海賊版サイト対
策会議)にて、マンガ海賊版サイト対策に関わる丸田憲和弁護士より、コンテ
ンツの権利保護を行う立場からの参加報告がありました。
まずADCへの課題と期待についてお話しいただきました。現行のADC検討にお
いて、異なるレジストラ間をまたぐ調査や、著作権侵害等のコンテンツ悪用
は対象外(ICANNの使命の範囲外)と判断されていますが、将来的にはADCが事
業者間の一般プラクティスとして定着し、コンテンツ悪用分野へも拡張され
ることへの期待が示されました。次いで、ドメイン名の新規登録の20%が悪意
ある行為(Abuse)である背景に、市場の競争激化で利益率が落ちた一部のレジ
ストラが、大量にドメイン名を購入してくれる「サイバー犯罪者」を優良顧
客として依存せざるを得ないインセンティブ構造があることへの危惧が表明
されました。データとエビデンスに基づく議論として、15日検証問題におけ
るAbuse削減効果のデータ不一致(レジストラと中立機関による研究の乖離)
に触れ、エビデンスに基づき適切に規制を設計するため、日本からも信頼で
きるAbuseに関する統計を輩出する必要性が主張されました。
AIによるDNS Abuseの変化に関する考察では、裁判所命令を取得してドメイン
名を差し押さえるには平均30日かかるのに対し、攻撃者は一瞬で新規ドメイ
ン名を使ってインフラを再構築してしまい、AIの台頭でその攻撃側優位がさ
らに加速するため、裁判命令に頼らない事業者による任意の対応(テイクダウ
ン)の重要性が増すとの考えが示されました。
マルチステークホルダーによるグローバルガバナンスに関する比較研究結果
の発表では、ICANNに時間と費用を割ける、資金力のある大企業等ばかりが意
思決定に影響を与えている現実が指摘され、リソースのない個人クリエイター
の声を届けるために、権利者側の努力や意見集約が今後さらに重要になると
の認識が語られました。
■ 最後に
今回の報告会の資料については、下記ページをご確認ください。
第76回ICANN報告会
https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20260731-ICANN/
次回ICANN87会議は、2026年10月17日からインドネシア・バリおよびオンライ
ンにて、第77回ICANN報告会は同12月1日に東京・神田およびオンラインにて
開催予定です。ICANN87開催の頃までには新gTLDの申請文字列が公開されると
思われますが(*6)、すでに9月22日には審査に進む申請件数が1,616であるこ
とが発表されており、前回の1,930件より少し少ないですが話題を提供するの
ではないかと思います。このあたりも含め、次回第77回ICANN報告会ではお伝
えできればと思います。
ICANN87 Annual General Meeting
https://meetings.icann.org/en/meetings/icann87/
(*6) その後、10月7日に公開予定であることがICANNから発表されました。
https://www.icann.org/en/announcements/details/icann-announces-date-for-reveal-day-and-other-2026-round-milestones-29-09-2026-en
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