◆◆【 3 】News & Views Column
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◇ バランス感覚
JPNIC IPアドレス検討委員会委員長/(株)インターネット総合研究所
江面 祥行
私がJPNICとかかわるようになったのは、今から6年ほど前に遡ります。当時は、
某通信キャリアに勤めていて、ISPサービスの立ち上げに躍起になっていた時
期でした。そこで私に与えられたミッションは、JPNICからサービス開始に必
要となるIPアドレスの割り振りを受けること(当時は、業務委任ブロックの取
得などとも言っていましたが)でした。社内のプレッシャーも受けながら、ど
うにかサービス開始に間に合い、一安心したのも束の間、そこからは、社内ア
ドレスの枯渇対応との格闘の日々の始まりでした。言い換えれば、JPNICへの
アドレス申請との格闘の始まりです。
インターネットの業界にかかわり始めて大部分の時間を、社内のアドレス管理
とJPNICへのアドレス申請というJPNICからするとユーザ側の立場で関わってき
ました。しかし気が付けば、ユーザ側でもJPNIC側でもない立場のIPアドレス
検討委員会委員長という立場を仰せつかっています。
そんな今日、アドレス資源分配で大切なのはバランス感覚だと思っています。
IPv4アドレスは有限な資源だとよくいわれますが、それでも、石油などの資源
と異なるのは、元々が人間が作り出したものだという点です。「無くなれば、
作り直せばいい」それが、できるところではないでしょうか。もちろん、作り
直すことも、作り直したものに置き換えていくことも並大抵の努力ではできな
いことですが。
グローバルアドレス節約に目が向きすぎると、ビジネスを阻害し、経済に悪影
響を及ぼすかも知れませんし、逆に大判振る舞いで、供給にばかり目が向いて
しまうと、想像以上に早くアドレス枯渇がやって来て、混乱を招いてしまうで
しょう。そんな今、JPNICに求められているのは、ビジネスの障害とならない
ように適切にアドレス分配を行っていく、そんなバランス感覚なのではないで
しょうか。