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【 1 】特集 「IDN-adminとは何か?」
JPNIC ドメイン名事業部 是枝祐
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IDN-admin(中国語、日本語、韓国語のための国際化ドメイン名登録管理ガイ
ドライン)とは、国際化ドメイン名(IDN:Internationalized Domain Name)
の運用において、複数のドメイン名を等価なものとして扱えるようにするため
に、漢字圏を中心とした国や地域から提案されている管理方法です。
IDNの導入に際しては、意味や表記が似通った文字の存在により混乱が発生す
る可能性があると言われていますが、このIDN-adminはそういった混乱をIDNの
プロトコル自体に手を加えることなく、管理方法によって最小限に抑えること
を目的としています。
たとえば中国語圏では、繁体字と簡体字(例:國と国)などは見た目は異なっ
ていても文字としては同一のものとしてみなされるという事情があるため、こ
れらの文字をドメイン名に利用する際に別々の文字として扱ってしまうと、中
国語圏の人にとっては混乱の元となる可能性があると言われています。このよ
うな問題を解決するためには、IDN-adminのような、異なる文字コードを持っ
た文字を同一のものとして扱うための仕組みを検討する必要が出てきます。
ただ、どのような文字を同一の文字として扱うかについては言語ごとに固有の
事情があるため、このIDN-adminにおいては、言語ごとに同一のものとして扱
いたい文字を定義した表を用意することにより、上記のような言語ごとの事情
に対応するようにしています。
具体的な例を挙げると次のようになります。
例A) 例B)
文字 等価とみなす文字 文字 等価とみなす文字
---------------------- ---------------------
国 国、國 国 国
國 國、国 國 國
沢 沢、澤 沢 沢
澤 澤、沢 澤 澤
例Aは異体字を定義する場合の表の典型的な例で、このような表を採用した場
合は、「国沢、国澤、國沢、國澤」の文字列は全て同一のものとして扱われる
ことになります。IDN-adminでは、このような文字列がドメイン名として登録
される際、あるひとつの組み合わせが登録されることによって、他の組み合わ
せが予約されるという仕組みが提案されています。
一方、例Bのように、ある文字の異体字としてその文字自身しか定義しない表
を採用した場合には、文字コードが異なる文字は全て別の文字として扱われる
ことになり、それらの文字を組み合わせたドメイン名についてもそれぞれ独立
したものとして扱うことが可能となります。
なお、JPドメイン名におけるIDN-adminの扱いに関しては、汎用JPドメイン名
の導入時に「異なる文字コードを持つ文字は異なる文字として扱う」という方
針が定められたという経緯があることから、この方針を出発点として検討が進
められています。