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【 1 】特集1 「第21回APNICオープンポリシーミーティングレポート」
                                                JPNIC IP事業部  奥谷泉
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今回のAPNICミーティングは2006年2月27日(月)~3月3日(金)の5日間、オース
トラリアのパースで開催されました。気温39度という情報に覚悟をしながら出
発しましたが、パースは湿気が少ないので日陰にいれば過ごしやすく、緑の多
いリラックスしたよい街でした。見知らぬ街でありながらひとりで散歩ができ
るような安心感があり、アジア系移民が多いのも納得できます。

この度のミーティングでの決定事項はAPNIC EC(the Executive Council:理事
会)の選挙と、提案1点に対するコンセンサスの確認のみでしたが、その他国内
に影響を及ぼす発表もいくつか紹介されていましたので、そちらとあわせてご
報告したいと思います。

◆APNIC EC選挙
  現職EC3名の任期満了に伴い、2006年3月から2年という新たな任期に対する
  APNIC EC選挙が行われました。候補者6名のうち、1位当選となったJPNIC IP 
  分野担当理事/IP事業部 部長 前村昌紀を含め、当選者3名とも現職ECという
  結果になりました。前村をご支援いただいたみなさま、本当にどうもありが
  とうございました。

 当選者:
    前村昌紀(JPNIC)
    Che-Hoo Cheng(FLAG Telecom) 
    Vinh Ngo(CSC (Computer Science Corp))

 参考:http://www.apnic.net/meetings/21/ec/index.html
 
◆提案事項の決議
  4バイトAS番号への移行に関する提案(Geoff Huston)
  4-byte AS number policy proposal
  http://www.apnic.net/docs/policy/proposals/prop-032-v001.html

 [提案概要]
    RIRによる現行の2バイトAS番号の割り当てから、4バイトAS番号の割り当
    てへの移行スケジュールが提案された。RIRによる4バイトAS番号の割り当
    て開始日を明確にすることにより、ベンダーやネットワークオペレーター
    が移管の準備を進め、混乱を軽減することを目的としている。

    スケジュール案では、RIRからのAS番号の割り当てについて、3段階の時期
    に分けて4バイトAS番号への準備を行い、最終的には2010年1月以降は、2 
    バイトと4バイトのAS番号を区別して分配することを停止する。従って、
    この時点から2バイトAS番号を指定してRIRから割り当てを受けることはで
    きなくなる。

 [議論]
  ・国内からいただいた“移行の日付は柔軟に対応してほしい”との要望を
    JPNICから紹介。
  ・「開始日を明確にすることにより混乱を軽減する」ことが提案の目的で 
    あるため、移行の日付を柔軟に対応することはこの目的に合致しないと
    いうのが提案者のスタンスである。また、2009年から2010年の間には2バ
    イトAS番号が必要であれば柔軟に対応できるようになっていると回答。
  ・提案に対するその他コメントはなし。

 [ミーティングでの決議]
  ・参加者によるコンセンサスが得られた。
  ・今後policy-sig@apnic.netのMLで最終確認を行い、大きな反対がなければ
    施行される。

 [影響]
  ・ベンダーは4バイトAS番号に対応した機器の開発が必要となる。
  ・ネットワークオペレーターは上記機器を手配し、スムーズな移行に向けて
    準備を進めることが必要となる。

◆その他主な議論・発表

  ◇APNICによる会費見直し
     APNICから提示された案をもとにNIRに対する課金に限定せずに、APNIC会
     費全体を見直す議論が進められている。今回は提案ではなく、議論のた
     たき台というかたちで提示された。

     資料:http://www.apnic.net/meetings/21/docs/other/wilson-fees.pdf

  ◇ip6.intの廃止
     2006年6月1日よりip6.int方式による逆引きの委譲を完全に廃止すること
     をAPNICが発表。JPNICからもip6.int方式で逆引きの登録を行っている
     IPアドレス事業者へ個々にお知らせを実施予定。

     資料:http://www.apnic.net/meetings/21/docs/sigs/dns/dns-pres-sanjaya-ip6int-dep.pdf

 ◇IPv4におけるHD-ratioの適用
     現在activeなステータスに留まっている提案は、IPv4アドレスの消費を
     現在の4倍に加速するとして、完全に廃止しようとミーティングで決定。
     その後1ヶ月以内にpolicy-sig@apnic.netのMLで反対意見がなければ
     Policy SIG Chairの判断で廃止する。

 その他、PlenaryでもPSTN・IP・MPLS等の異種サービスの統合や、ルーティ
  ングセキュリティに向けたPKIの導入等について興味深い発表が行われて
  いました。また、各SIGでは、JPNICおよびJPNIC関係者から、前回のJPNICオー
  プンポリシーミーティングでの発表/議論をもとに、AP地域全体に対して国
  内の状況を紹介しました。JPからの発表については別の号でまた改めてご紹
 介します。

  APRICOT opening plenary:
  http://www.apricot2006.net/index.php/fuseaction/home.programconference#keynote

◆所感
 前回から引き続き提案が行われると予想されていたIPv6割り当てポリシーの
  変更が今回提案されなかったこともあり、ポリシー面では比較的静かなミー
  ティングでした。ただし、この提案については次回は再提案を行ってほしい
  と会場の要望が確認されましたので、引き続き議論が行われることが予想さ
  れます。

  また、ポリシー面ではありませんが、今回からNIRへの課金に限定しないか
  たちでAPNICから案が提示されたAPNIC会費全体の見直しについては、JPNIC 
  と指定事業者への影響やAP地域の動向を考慮しながら議論に参加していく必
  要があると考えています。

 それから、前回のJPNICオープンポリシーミーティングでポリシーに関する
  具体的な提案やフィードバックをいただけたおかげでJPの状況を会場でのコ
  メントに留まらず、発表として紹介する機会が多かったミーティングだった
  というのも個人的な印象です。国内特有の事情や細かいニュアンスまでを1
  回の発表で伝えきることは難しいところもありますが、短期的な結果だけを
  追い求めずに定期的に情報提供を行っていくことによって、国内そしてAP全
  体がお互いの状況がより理解できるようになっていくのではないかと思って
  ます。

◆参考
  21st APNIC Open Policy Meeting
  http://www.apnic.net/meetings/21/index.html

  次回のAPNICミーティング(APNIC22)は2006年9月に愛河の流れる台湾 高雄
 (Kaohsiung)で開催される予定です。


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【 2 】特集2 「APRICOT2006レポート」
                                         JPNIC IP分野担当理事 前村昌紀
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APRICOTを一言で言うと、Internet Weekのアジア太平洋地域版、と言ったとこ
ろでしょうか。アジア太平洋地域のさまざまな団体が集結して会合を行い、非
営利で行われるという点など、雰囲気が似ています。

パースは比較的小さな街です。会場となった Perth Convention Exhibition
Centre (PCEC)はパースのダウンタウンから近い、湾に面したところに位置し
ていて、窓からは湾の対岸のヨットハーバーが見えたりします。フェリー乗り
場へも、ダウンタウンへも、丘の上で眺望の素晴らしいKings Parkへも歩いて
行けるような位置で、夏空の開放的な雰囲気の下とても広々とした会場の中で
会は進んでいきました。

APRICOTは9日間にわたる長いカンファレンスです。初日水曜日から日曜日まで
はワークショップと呼ばれる5日間ぶっ通しのセッションで、5つのテーマに関
して、ベンダーから持ち込まれた機材を使って世界を第一線でリードする技術
者と一緒に、実際にネットワークを組み上げながら知識の習得が出来るように
なっています。次の月曜火曜は座学形式のチュートリアル、水曜木曜は事例を
議論するカンファレンスという形で、どれも毎年最新のテーマが選ばれます。

まだ正式な数字は公表されていませんが、南アジアからの参加者もたくさんい
て盛況だったように思います。ティーブレイクだけではなく、昼食もメインホー
ルの前のロビーで提供されました。これは出席者相互のネットワーキングに大
きく寄与したように思います。ロビーのいたるところに話の花が咲いていまし
た。日本からもここ数年では最大規模の20名を超える参加者がいらっしゃいま
した。

私は去年京都で開催したAPRICOT2005でプログラム委員長を仰せつかったこと
から、今年もプログラムに関わることになりました。そんな立場から
APRICOT2006を振り返ると、いくつかの問題意識にぶつかります。

一つ目は全体的なプログラムコーディネーションです。平行して3、4トラック
が取り持たれるところ、中には相当似通った内容があったり、直前に内容変更
が発生したり。APRICOTとAPOPMのセッションでのコーディネーションなど、い
くつか改善したほうがよい点があるように思います。

二つ目は非英語圏からの発表、地域内からの発表が少ないことです。日韓中台
を中心にブロードバンド浸透度は高く、世界的に進んだ技術的な取り組みがな
されている一方で、英語が公用語になっている国は少ないため、それが世界的
に共有される機会が少ないように思います。実際私も日本や韓国の先進事例の
紹介をお願いしてみたのですが、なかなかAPRICOTまでお金と時間を費やして
参加して、しかも英語で発表するというところまで行き着かないようです。個
人的には、今後もっともっと非英語圏の中からの発表を増やしていきたいもの
だと思います。

来年のAPRICOT2007はインドネシアのバリ島で開催されます。バリはヒンズー
教をベースとした独特の文化がたくさんの人を魅了する観光地でありながら、
2002年10月に起こったテロ以降セキュリティ勧告が発せられていることもあっ
て、敬遠される向きもありました。これに対して現地委員会は所管の省庁も一
丸となって精力的にセキュリティ対策に取り組み、ミーティング開催に関する
安全情報をたくさん示してくれています。APNICやAPRICOT実行委員会でもこれ
らを確認した上で積極的に提供していく動きになっています。
   http://www.nic.ad.jp/ja/enum/

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