2001/05/08 理事会
資料4-5
理事各位
新 体 制 提 案 書
企画検討部会
担当理事 丸山直昌
1.背景
2. 2000年度の体制の分析
3. 2001年度体制の方針
4.2001年度体制の骨子
5.2001年度体制
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1.背景
JPNICでは、1991年12月のJNIC発足以来、運営委員会を中核機関として、運営
方針の策定などを含め、各種の業務を行ってきました。この体制は最近まで基
本的には大きく変わらずに維持されています。しかし最近の状況を見ると、次
のような環境の変化が見られます:
・事務局が整備され業務が事務局主導でできるようになってきた。
・経営責任者としての理事会の機能が重要になってきた。
・JPNICが組織として大きくなってきたことと運営委員の入れ替わりにより、
JPNICの全体像を理解している運営委員が少なくなったため、会議での十
分な議論が困難になってきた。
結果として、理事会、運営委員会、事務局の権限や責任分担が実質的に曖昧に
なってきました。
このような傾向に対して1999年7月に行われた役員懇談会では、
・責任の所在の明確化
・効率的な業務
・高度化、専門化する状況の変化への迅速で適切な対応
・継続的な経営
を目的として、JPNICの今後の体制について、
・理事会が方針策定に関する責任をもつ
・事務局が業務の責任をもつ
・運営委員会/検討部会は、諮問委員会という位置づけとし専門的な立場から
理事会、事務局を助言する、
という方向性が確認され、これに沿って運営委員会の場などで、改革の具体的
な検討を行なってきました。その結果、昨年2000年度は、
・部会権限の強化、部会担当理事制の導入
高度で専門的な問題を速やかに解決するために、企画立案の権限を部会に
委任した。
・運営委員会の構成の変更
運営委員会を部会間の調整および承認の機関と位置づけた。
などの変更を行ないましたが、望ましい体制実現のためには更に多くの検討と
変更が必要とされていると考えらたため、企画検討部会では2001年2月~3月に
集中的に議論を重ねました。
本提案書では、この企画検討部会での議論を基礎として、2001年度のJPNICの
組織体制について、提案を行ないます。
2. 2000年度の体制の分析
2000年度の体制での活動は順調に行なわれましたが、活動を進めていく上で、
現状の体制に関しては、以下のデメリットがあることが、企画検討部会での議
論を通じて再確認されました。
<デメリット>
・実行上の権限や責任が不明確である。
現行の理事会、事務局担当理事会、運営委員会、部会での決定事項の切り
分けが明確ではない。
・意思決定構造が複雑でわかり難い。
検討部会、運営委員会、さらにテーマによっては事務局担当理事会で同じ
議論が重ねられるため時間がかかり、速やかに決定すべき事項までも時間
がかかる。職員から見ると、誰の指示に従って仕事をすれば良いのか不明瞭。
・登録規則などJPNICの重要な方針決定に関わることを、経営責任を持たない
運営委員会で決めることは難しいということが指摘されてきている。
・インターネットの公益に関わる政策(ポリシー)の決定から、JPNICの組織
運営(オペレーション)のような事まで、すべて運営委員会で審議するのは
効率が悪く、無理がある。
・予算の執行を伴うようなにポリシー決定が生じた場合に、運営委員会に予算執
行の権限がないため、不都合が生じていた。
・部会としての目標が不明確で、具体的にどのようなアウトプットを求めら
れているのかを部会構成員が理解しにくい場合があり、部会活動がやりに
くい場合も見受けられる。
その一方で、以下のメリットがあることも確認されました。
<メリット>
・運営委員会の傍聴や議事録の公開などにより対外的な透明性が確保できる。
・運営委員会や検討部会のメンバーより有能な人材の紹介を受けやすい。
・会議の場でさまざまな情報を交換できる。
・外部の優秀な人材との交流により社会との接点ができる。
3. 2001年度体制の方針
以上の分析に基づき、以下の諸点に重点を置いて体制改善の提案を作成しまし
た。
1. 意志決定の仕組みを整理統合し、責任の所在を明確化する。
2. インターネットの公益に関わる政策(ポリシー)に関する事項(例えばド
メイン名の登録規則など)に関しては、公平性、透明性を重視した意志
決定方式を堅持する。
3. 組織運営に関する事項の決定に関しては、敏速で効率的な意志決定方式
を取る。
4. 外部の協力を今後も充分に得られる体制とする。
4.2001年度体制の骨子
この方針に従って作成した提案内容の骨子および細目は以下のとおりです。
□提案内容の骨子(ポイント)
1.執行理事会制の導入
現行の事務局担当理事会、運営委員会の機能を統合した執行理事会を設置
します。この執行理事会制の導入により、意思決定構造が統一され、円滑
な業務遂行ができるものと考えています。
2.部門担当理事制の導入
執行理事会と事務局部門の調整および部門を統括する部門担当理事を置き
ます。この部門担当理事制の導入により、経営責任者としての理事が業務
に責任を持ち、執行理事会との調整をとれることから、事業を担う職員を
更にリードできるものと考えています。
3.検討委員会制の導入
執行理事会は、あるテーマに関してJPNIC内外の意見や力が必要であると
判断した場合に検討委員会を設置します。
検討委員会は随時検討結果を執行理事会へ報告し、執行理事会は検討委
員会の検討結果を尊重します。
なお、検討委員会の長は、執行理事会に出席するとともに意見を述べる
ことが出来ます。また、検討委員会の長は与えられたテーマに関して発
言するために、公開の執行理事会の開催を要請することが出来ます。こ
の検討委員会制の導入により、執行理事会は外部の協力を得てポリシー
を伴う決定を適切に判断できるものと考えています。
【透明性・公開性の確保】
・執行理事会の公開
- ポリシーに関する諮問に対する答申や公開するべき事項の報告・審議は、
2ヶ月に1度行なわれる定例執行理事会で行ないます。これは公開で行な
います。
- 公開執行理事会では傍聴者とのコミュニケーションの時間を最後に設け
ます。
・一般からの意見の募集
- 政策決定に重要な影響がある事項に関しては、執行理事会は一般から
意見を募集します。
□提案内容の細目
【体制の変更】
・執行理事会制の導入
- 執行理事(理事長、副理事長、各部門担当理事(後述)、その他の理事の
合計で6~8名)からなる執行理事会を設けます。
- 事務局長は事務局の代表として執行理事会に出席し、議案を提出したり
意見を述べることができます。
- 執行理事以外の理事及び監事は、必要に応じ執行理事会に出席し、意見
を述べることができます。
- 執行理事が必要と認めたものは、執行理事会の承認を得て執行理事会に
出席し、意見を述べることが出来ます。
- 執行理事会では、理事会から委嘱された、事業、業務に関する判断およ
び決定、また各部門間の調整を行ないます。現段階で想定されている
委嘱事項は下記の通りです。(ただし、委嘱事項については状況に応じ
て流動的になる可能性があるため、理事会において適宜見直しを行なう
こととします)
- 理事会・総会で承認されている予算と事業計画の範囲内での業務の
執行(現事務局担当理事会の機能)
- ポリシーの議論および理事会への提案
- 一般からの意見募集の実施の承認
- 検討委員会(後述)の設置および廃止
.... など
- 執行理事会は事務局担当理事会、運営委員会の機能を統合したものであ
るため、執行理事会制の導入に伴いこれらの会は廃止します。
・人事委員会の構成の変更
- 執行理事会制導入に伴い、人事委員会の構成を執行理事会のメンバーお
よび監事1名に変更します。
・部門担当理事制の導入
- 事務局の各部門(ドメイン業務部、IP業務部、インターネット基盤事業
部)には1名の部門担当理事を置きます。部門担当理事は理事会において
理事のなかから互選します。
- 部門担当理事は部門の統括を行ないます。また、部門担当理事は執行理
事会で決定された内容を担当している部門に伝達し、部門から提出され
た企画・立案を執行理事会に諮ります。
・検討委員会制の導入
- 執行理事会は、あるテーマに関して、JPNIC の内外の意見や力を借りる
べきであると判断した場合には、そのための担当の理事を決め、そのテー
マを審議する検討委員会の長を任命し、担当理事と委員長の意見を参考
にして検討委員会のメンバーを決めます。
- 検討委員会は与えられたテーマに関して検討および執行理事会への答申
を作成することとします。
- 各検討委員会での検討内容は適宜執行理事会へ報告することとします。
- 検討委員会のテーマが、いずれかの部門に深い関係がある場合はその部
会の担当理事が委員会の担当理事を兼ねることが望ましいと考えられま
す。
- 検討委員会設置の際には執行理事会が目的・内容に応じた謝金単価およ
び予算を設定します(それに備えた柔軟性のある謝金規程を別途用意す
ることとします)。
- 検討委員会のメンバーは事前に守秘義務の覚書を交わすこととします。
- 検討委員会のメンバーは複数の委員会のメンバーを兼任することができ
ます。
- 現段階で設置が適当と考えられている検討委員会は下記の通りです。
(名称は仮称)
- IP検討委員会 (現IP-WGの機能)
- ドメイン名検討委員会 (現DOM-WGの機能)
- DRP検討委員会 (現DRP-TFの機能)
- iDN検討委員会 (現iDN-TFの機能)
- 国際関係検討委員会(現INTL-WGの機能)
.. など
これらの構成を整理し、図示したものは下記の通りです。
(理事会)
+-------------------------------------+
| 報告 +------------+ |
| +----------- | 人事委員会 | |
| | +------------+ |
| ↓ 設置・依頼 +----+
| 理 報告・提案 +------------+-------------------------->| ? |
| 事 <---------- | | +--------+ 支出決裁 | 検 |
| 会 ---------> | 執行理事会 |======|委員会 |---------->| 討 |
| ↑ 承認 | |<-----|担当理事|<----------| 委 |
| | +------------+ 議案 +--------+ 検討結果・| 員 |
| | 提出 | 答申提出 | 会 |
| | +------------+ | +----+
| +----------- | ドメイン名 | |
| 報告 |審査小委員会| |
| +------------+ |
+-------------------------------------+
(事務局) ||
+--------------------------------+
| (部門担当理事(執行理事)) |
| +-IP業務部------------------+ |
| | 部長 | |
| | 事務局員 | |
| +---------------------------+ |
| (部門担当理事(執行理事)) |
| +-DOM業務部-----------------+ |
| | 部長 | |
| | 事務局員 | |
| +---------------------------+ |
| (部門担当理事(執行理事)) |
| +-インターネット基盤事業部--+ |
| | 部長 | |
| | 事務局員 | |
| +---------------------------+ |
| (事務局長) |
| +-総務部--------------------+ |
| | 事務局員 | |
| +---------------------------+ |
+--------------------------------+
5.2001年度体制
□理事会
現在の役員は下記の通りです。(任期は2002年3月末日)
理事長 村井 純 慶応義塾大学環境情報学部教授
副理事長 丸山 直昌 統計数理研究所調査実験解析系助教授
副理事長 野村 純一 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)
グローバルIP事業部 事業戦略部長
淺野 正一郎 国立情報学研究所教授
飯塚 久夫 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)
取締役ビジネスユーザ事業部長
岡田 智雄 グローバルセンター・ジャパン株式会社
代表取締役社長
荻野 司 ファストネット(株)取締役 インターネット事業部
インターネット開発部長
後藤 滋樹 早稲田大学理工学部情報学科教授
小西 和憲 (株)KDD研究所 主席研究員
坂田 信夫 富士通(株)ネットワークサービス本部
ネットワーク統括部長
佐野 晋 (株)日本レジストリサービス代表取締役副社長
鈴木 幸一 (株)インターネットイニシアティブ代表取締役社長
田代 務 株式会社ディーディーアイ
IP事業統括本部 IP事業企画部
海外事業グループリーダー
坪 俊宏 グローバルコモンズ(株)代表取締役社長
則近 憲佑 (財) ソフトウェア情報センター 専務理事
東田 幸樹 (株)日本レジストリサービス代表取締役社長
松本 敏文 コンサート・ジャパン(株)代表取締役社長
吉村 伸 メディアエクスチェンジ(株) 代表取締役社長
高橋 徹 (株)インターネット戦略研究所 代表取締役会長
林 英輔 麗澤大学情報システムセンター長
国際経済学部教授
監事 加藤 義文 日本電気(株) NECソリューションズ
BIGLOBEサービス事業本部 統括マネージャー
進藤 秀一 (株)NTTドコモ 常務取締役MM事業本部長 工学博士
□執行理事会
5月の理事会で執行理事会を選定することを検討しております。執行理事会の
メンバーは、理事長(1名)、副理事長(2名)、部門担当理事(各1名)、その他の
理事(2~3名)の6~8名と考えています。
□人事委員会
5月の理事会で執行理事選任後、執行理事および監事1名からなる人事委員を選
任することを考えています。
□検討委員会
検討委員会の設置は執行理事会メンバーの任命後できるだけすみやかに行ない
ます。
□事務局の体制
2001年度の体制としては下記を検討しています。全体の体制および事務局の体
制については調整が必要です。
各部門の職員が各部門の事業において積極的な役割を果たすことが必要です。
事務局
|
+--- 事務局長(専任を想定)
|
+--- 総務部
| +--- 総務部長(事務局員)
| +--- 事務局員
|
| (部門担当理事)
+--- IP業務部
| +--- 部長
| +--- 事務局員
|
| (部門担当理事)
+--- DOM業務部
| +--- 部長
| +--- 事務局員
|
| (部門担当理事)
+--- インターネット基盤事業部
+--- 部長
+--- 事務局員