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                                                         2011年7月22日
                                                    第2回DRP検討委員会
                                                                 資料3

        Trademark Clearinghouse と Uniform Rapid Suspension(URS)

                                                           JPNIC事務局

1. Trademark Clearinghouse

1.1 内容、規定

文字商標の権利保有者が当該文字列を登録できる仕組みで、一箇所の
Trademark Clearinghouseに登録することで、すべての新gTLDで参照される。

これに関する規定は新gTLD申請者ガイドブック案 304~313ページにある。そ
のうちの第6節に、新gTLDのレジストリがTrademark Clearinghouseを使う義務
が書かれている。義務は「権利保護の仕組みとして、少なくとも"Trademark
Claims service"と"Sunrise process"を実施すること」とされているが、一方
第4節には、登録されている商標データの利用許諾について「"Trademark
Claims service"あるいは"Sunrise process"に関連する使用」に限定している
ため、実際には"Trademark Claims service"と"Sunrise process"だけしか
Trademark Clearinghouseの利用方法はないものと考えられる。

Trademark Clearinghouse に関しては、登録する文字列の商標としての正当性
の確認方法や、技術的な実現方法に関して、かなり未確定部分があるが、
「.jp」への適用可能性の議論にはあまり影響がないと判断したので、未確定
部分の説明は省略する。

1.1.1 Sunrise process

Trademark Clearinghouseに登録されている文字列の権利者が、それぞれの
gTLDの一般登録より前に優先的にドメイン名を登録できる仕組み。一つの文字
列の登録者が複数いる場合は、優先登録の申請があった文字列の他の登録者に
通知が届く。

1.1.2 Trademark Claims service

申請ドメイン名がTrademark Clearinghouseに登録されている文字列と一致す
る場合、ドメイン名申請者と文字列登録者の双方に通知が送られるサービス。
ドメイン名申請者にとっては申請を考え直すきっかけとなり得、文字列を登録
している商標権者は、ドメイン名が登録された場合には、対抗手段を考えるきっ
かけとなり得る。新gTLDの運用者は一般登録を開始してから少なくとも60日
間このサービスを行うことが義務付けられる。

1.2 「.jp 」に導入することのメリット・デメリット

"Sunrise process" 、"Trademark Claims service"ともに、新規に事業を開始
するgTLDを対象としており、既存のgTLDへの適用は議論されていない。特に
"Sunrise process"は、性質上新規のTLDだけのものであり、既存の.jpへの適
用は考えられない。

"Trademark Claims service"の方は、既存のTLDで行うことも理論的には可能
であるが、「.jp」だけのための独自の Clearinghouseの創設のコスト、既に
存在するドメイン名登録との公平感の問題、既存gTLDとの比較、実施した場合
の効果などを検討する必要があると思われる。




2. Uniform Rapid Suspension(URS)

2.1 内容、規定

商標権を侵害するドメイン名に対して、UDRPよりも迅速に対応できる手段を提
供するという趣旨で提案されているシステム。

規定は新gTLD申請者ガイドブック案

New gTLD Applicant Guidebook(May 30,2011)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/rfp-clean-30may11-en.pdf

の314~324ページにある。新gTLDに対しては義務化される。現行UDRPも義務化
されるので、新gTLDでは二つの仕組みが併存することになる。URSはUDRPと似
た仕組みであるが、相違点も多い。その中で特に目に付くものは、

a. 申立書の送付は、UDRPでは紛争処理機関と登録者に対して行うが、URSでは
   紛争処理機関のみ。(1.1節)
b. 手続きが開始されると、当該ドメイン名は、UDRPではレジストラデータベー
   ス上で変更禁止となるのに対して、URSではレジストリデータベース上で変
   更禁止となる。(4.1節)
c. URSでは、変更禁止措置が取られたとの通知をレジストリから受けた後に、
   紛争処理機関は登録者への通知を行う。(4.2節)
d. UDRPと違い、「移転」、「取消」の裁定は出ない。申立側優位の場合でも、
   ドメイン名の一定期間の凍結のみ。(10.2節)
e. URSでは、紛争処理機関に不服の申立ができる。(12節)

などである。UDRPでは登録者が申立を知ってから、レジストラデータベースが
変更禁止となるまでの間にレジストラを変更して手続きを逃れる手("Cyber
flight"と呼ばれる)が使えるが、a,b,cがあるため、URSではそれは不可能となっ
ている。一方、救済措置に関してはURSはUDRPよりも弱く、UDRPに先だって使
う「仮処分」の意味が強く感じられる。

URSは最初の裁定後一年後に評価を行うことになっており(14節)、その結果次
第では既存gTLDへの適用も考えられるであろう。

2.2 「.jp 」に導入することのメリット・デメリット

JP-DRPは、申立書の送付や手続き開始とデータベース変更禁止のタイミングの
設計はURSに近く、"Cyber flight"は不可能な仕組みになっている。これは.jp
が当初から "Thick Whois"の仕組みであった事、申立書の送付を日本の裁判制
度における送達の仕組みに習った事、などの歴史的事情による。このため、
URSを「.jp」に導入することのメリットはあまり期待できないと考えられるが、
URSを参考にしてJP-DRPの改良を考えることは意味があるかも知れない。

                                                                  以上
            

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