2002/02/14 評議委員会
資料 3-1-1
DRP検討委員会からの審議依頼事項
DRP-COM委員長、久保次三
1.審議案件
ドメイン名事業のJPRS移管に伴い、JP-DRP方針、同手続規則、および認定紛争
処理機関(日本知的財産仲裁センター)との協定書を改正すること。
2.改正の背景
2000年12月22日に開催された JPNIC 総会で、JPドメイン名登録管理業務を株
式会社日本レジストリサービス(JPRS)へ移管することが承認された。また、
2001年12月8日の JPNIC 総会で、JPドメイン名登録管理業務をJPNICから JPRS
へ移管するための移管計画が承認された。
現在の計画では、2002年4月1日をもって移管する予定で準備が進められており、
これに伴って、これまで JPNIC が担ってきた JPドメイン名の紛争処理に関す
る業務・役割が、次のような形で2つの組織に分かれることになった。今回の
改正は、主にこれらの組織機能的な変更を反映させるものである。
・JPNICの業務・役割
- JPドメイン名紛争処理方針、手続規則の策定
- JPドメイン名紛争処理機関の認定
・JPRSの業務・役割
- JPNIC の策定するJPドメイン名紛争処理方針を採用し、その紛争
処理手順を実施
・日本知的財産仲裁センターとの協定書を、三者間契約となるよう改正
3.改正の趣旨・ポイント
1) 方針・手続規則については、現行規定中の「当センター」(61箇所)の
表現を、今回の移管の考え方に沿って、適宜「JPNIC」(17箇所)、「JPRS」
(28箇所)、「JPNICおよびJPRS」(15箇所)ならびに「それぞれ」(1箇所)
に、修正する。
さらに、DRP-COMにおける現在までの見直し・改善作業(合計6回の会合)に
おいて、今後「要改正」とメモしてきた事柄で、主に表現が曖昧と思われる項
目11箇所を改正したい。なお、現在ICANN、WIPO等で行われているレビュー
作業の検討結果を見守るべきと思われる諸項目については、国際動向を十二分
に踏まえ、次年度の改正の検討事項としたい。
●11項目の改正ポイント:
①処理方針 第1条
現行:「(以下「登録規則」という)」
改訂:「(以下総称して「登録規則」という)」
※既存・汎用の二つのJPドメイン名登録規則のことを指しているため。
②処理方針 第2条
現行:「ドメイン名の移転または取消」
改訂:「ドメイン名登録の移転または取消」
※他の条文における表現と合致させるため。
③処理方針 第4条(h)
現行:「パネルが下すいかなる裁定結果にも、その責任を負わない。」
改訂:「パネルが下す裁定それ自体については、その責任を負わない。」
※裁定結果の実施については、JPRSに責任があることを明示的に表現。
④処理方針 第4条(i)
現行:「パネルの手続による申立人に対する救済は」
改訂:「申立人がパネルに対して求めることのできる救済は」
※分かりやすい平易な表現に変更。
⑤処理方針 第4条(j)
現行:「その全文がインターネットで公表されるものとする。」
改訂:「その全文を紛争処理機関がインターネットで公表するものとす
る。」
※現在の運用形態・責任を的確に表現。
⑥処理方針 第4条(k)、手続規則 第16条(a)
現行:「当センターの主たる事務所所在地の営業日」
改訂:「JPRS の本店の営業日」
※株式会社に即した表現に変更。
⑦処理方針 第4条(k)
現行:「当該訴訟を棄却する」
改訂:「当該訴訟を却下もしくは棄却する」
※UDRP の「dismiss」を「棄却」とのみ訳出したが、「棄却」以外に
「却下」の場合もありうるため、疑義を生じさせない表現に変更。
(sonybank事件の東京地裁判決では「却下」という結果になっている。)
⑧処理方針 第8条
現行:「当センターは、本条の規定に反するドメイン名移転手続を取り
消すことができる権利を留保する。」
改訂:「JPRSは、本条の規定に反するドメイン名移転登録を抹消、また
は移転登録申請を不承認とすることができる権利を留保する。」
※登録規則の規定に沿って、よりクリアな表現に変更
⑨処理方針 第9条
現行:「その改訂内容に異議があるとき、登録者が当センターに対して
求めることができるのは、当該ドメイン名登録の廃止のみであ
る。」
改訂:「登録者がその改訂内容に異議があるときの唯一の救済措置は、
登録者がJPRSに当該ドメイン名登録の廃止を求めることのみで
ある。」
※前後の文脈の関係上、表現を変更。
⑩手続規則 第1条(h)
現行:「のことをいう。」
改訂:「をいう。」
※前後の規定振りと平仄を合わせるため。
⑪手続規則 第19条(e)
現行:「移転の裁定を受けた申立人は、当該ドメイン名の移転登録に当
たって登録規則に定める所定の登録料を支払うものとする。」
改訂:「移転の裁定を受けた申立人は、当該ドメイン名の移転登録およ
び登録更新に当たって登録規則に定める所定の登録料または維
持料を支払うものとする。」
※移転を受けた後使用されていないドメイン名であっても、登録更新を
する場合には維持料の支払いが必要となることを明記。
JP-DRP方針・手続規則の改正(案)項目数は、合計72箇所となる。
2)協定書の改正
JPNIC、JPRS、日本知的財産仲裁センターの三者間協定とすべく、見直し案を
作成した。権利・義務関係について、実質的な変更を加えるものではなく、表
現振りを変更しているに止まっている。
4.改正案全文
・JP-DRP方針(現行規定と改正案を併記)
・JP-DRP手続規則(現行規定と改正案を併記)
・協定書(改正案)
5.現在までの審議過程と承認手順
1)JP-DRPの改正にあたっては、現行協定書の規定により日本知的財産仲裁セ
ンターと事前協議することになっており、JPRS関係者も交え、2月1日に第一回
協議会を開催した。今回の改正の趣旨・項目を説明したところ、先方からは、
実体的な内容変更を伴うものではないので、以後のwordingの詰めについては、
JPNIC・JPRSに一任するとの回答を得た。
なお、協定書改正(案)については、先方の出資母体である日本弁護士会、日
本弁理士会の承認が必要であるが、日本弁理士会からは問題なしとの回答を得
ているが、日本弁護士会については現在検討中であり、今後若干の変更を求め
られる可能性がある。
2)2月7日の理事会では、改正趣旨・項目が承認された。なお、DRP検討委員
会、評議委員会にて表現上の変更があった場合、その変更については、ドメイ
ン名担当理事に一任するとの諒解を得た。
3)2月8日のDRP検討委員会では、4点のwording変更が提案され承認された。
上記改正(案)に織り込み済。
4)以上の経緯であるが、計画日程の関係で、承認手順が逆転しているが、評
議員各位のご審議を賜り、ご承認を頂きたい。なお、今後さらなるwordingの
推敲・変更が指摘されたときには、DRP検討委員長等と相談のうえ、坪執行担
当理事が最終決定できるとの一括ご一任を賜りたい。
以上