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                JP-DRP改善の可能性についての検討報告書

                                                        DRP検討委員会
                                                        委員長   久保次三
                                                        担当理事 丸山直昌
                                                        2002年4月26日

1. はじめに

  2001年度DRP検討委員会は計7回の会合を行い、現行のJP-DRP改善の可能性に
ついて多くの時間を裂いて検討を行った。この文書では検討の概要を報告する。

  以下ではJPドメイン名紛争処理方針を「方針」と略記する。

2. 検討事項

  委員会で行われた検討は、内容的にみると、7つの事項に分類することがで
きる。以下それぞれの論点と出された主な意見を列挙する。

2.1 改正不正競争防止法との関係

[論点]

  2001年6月29日改正(2001年12月25日施行)の不正競争防止法では、ドメイ
ン名についての規定が盛り込まれ、JP-DRPの「不正の目的」とほぼ同等の判断
基準による処罰規定が定められたが、救済としてはドメイン名の移転は明示的
には盛り込まれなかった。そのため、従来の知的財産権法体系の慣例から判断
して、救済措置としてドメイン名移転を命ずる判決が出る可能性は極めて低く、
多くの場合ドメイン名の使用差止判決が出るものと思われ、JP-DRPでの裁定と
の不整合を生じる可能性が少なからずある。従って、JP-DRPの仕組みにおいて

  1) JP-DRPによる移転裁定後に出訴し、使用差止判決が出た場合
  2) JP-DRPを経ずに提訴し、使用差止判決が出た場合

を、今後どのように扱うべきか検討の必要がある。

[主な意見]

2.1a: 当該「使用差止」判決が、「移転は認めないという意味で使用差止のみ
    は認めた」ものなのか、法技術的な理由で「移転」と言えないだけであり
    実質的にはそのような意味も包含しているのか、二つの可能性がある。前
    者の場合ドメイン名の取消とすべきで、後者の場合はドメイン名移転を行
    うべきであるが、どちらの意味なのかを解釈する仕組みが必要。

2.1b: この問題は、方針第3条bの解釈の問題という枠組みで議論することもで
    きる。すなわち、使用差止判決が方針第3条bにおける「その旨の判決」に
    該当すると考えれば、同条により登録機関は「移転または取消」を実施し
    なければならず、実施に当たって「移転」と「取消」のうちの一方を選択
    する必要を生じる。

2.1c: 2.1aの解釈は、判決文を法律家が読めば簡単に判断できることなので、
    仲裁機関がこれを行うのであれば、通常のJP-DRPより安価で簡便な仕組み
    とするべき。

2.1d: 2.1aの解釈を、登録機関が行ったとしてもさほどの労力では無く、この
    解釈について後で登録機関が責任を問われる可能性は低いと思われる。
    2.1bに述べたように、この場合に実施される取消または移転を方針第3条b
    に基づいて行うのであれば、方針や手続き規則、登録規則などの変更は不
    要であるが、「方針第3条bの運用についてのお知らせ」といった形で文章
    化しておいた方が良い。なお、内部的な専門家委員会を登録機関が備え、
    そうした解釈を行わせるといったことも考えられる。

2.1e: 「ドメイン名の使用差止判決は、一律に移転と解釈して、実質的に移転
    を認める仕組みを作る」という案も検討されたが、支持が得られなかった。

2.1f: 登録機関が判決内容を解釈した上で救済内容を決定した場合に、その解
    釈を巡って訴訟に巻き込まれる可能性を少しでも排除したいということで
    あれば、使用差止判決は一律に取消の扱いとし、勝訴者に対する、当該ド
    メイン名取消後の優先登録制度を導入することも一つの選択であると考え
    られる。

以上の議論の背景にある一般論として、次の諸点が指摘された。

2.1g: DRPによる紛争解決システムは、もしも不満ならば裁判に持ち込んで最
    終決着できるという留保がついているからこそ可能な、簡易で迅速な紛争
    解決システムなのであり、およそ判決と矛盾することまで当事者に強制す
    ることができない。

2.1h: JP-DRPを含むADRは、迅速・安価な裁判の代替物というだけではなく、
    裁判では実現できないような内容の救済も可能にするところに意味がある。
    裁判では登録移転の判決が出せない以上は、JP-DRPには裁判では代替でき
    ない独自の存在意義がある。

2.1i: JP-DRPで移転裁定が出て、その後登録者が裁判を起こす場合、どのよう
    な請求で裁判を起こすか考えてみると、ア)不正競争防止法上の差止請求
    権の不存在確認訴訟、イ)正当な登録者としての権利の確認請求訴訟(こ
    のような訴訟が登録機関相手ではなく、登録者相手にできるかどうか疑問
    があるが)の二つの可能性がある。ア)の場合、差止請求権があるかない
    かという判断がなされるだけで、この判断のためには、「移転の救済は行
    きすぎである」との判断は不要であり、判決文のどこかに「移転の救済は
    行きすぎである」と書いてあっても、それは傍論にすぎない。従って2.1a 
    の解釈をするに足る内容の判決文が出ること期待しにくい。

2.2 移転裁定後、移転手続きを行わない場合の扱いについて

[論点]

  現行規則では、裁定通知から11日以降15日以内に裁定結果を実施しなければ
ならないことになっている(手続規則第16条(a))が、そのために必要な手続
を移転の裁定を受けた申立人が期間内に行わなかった場合、どうするか。

[主な意見]

2.2a: このような場合に備えた規定が無い状態は改善すべき。

2.2b: 15日以内というのが適切かどうか、検討の余地はある。

2.2c: 当該期間内に申立人に対して移転手続きの案内、および期間内に移転手
    続きを行わなかった場合の扱いについての連絡は行うべき。

2.2d: 移転裁定の権利を行使しないのであれば、一定期間後、権利を失うとす
    るのが自然であり、登録機関は当該ドメイン名の取消を実施すべきである。

2.3 確定判決後のドメイン名の扱いについて

[論点]

  方針第8条(ii)により、裁判で係属中のドメイン名であれば、移転手続は停
止されるが、JP-DRPを経ずに裁判で争われたJPドメイン名紛争が登録者側の敗
訴で確定すると、登録規則(*)により移転または取消の請求が提出されるまで、
或はJP-DRPが申し立てられるまで、登録者側による移転或は廃止の手続きに対
して無防備の状態となる。これに対して何らかの手当てが必要か。

(*)汎用JPドメイン名登録等に関する規則 第25条3、第29条(4)、
   属性型(組織種別型)・地域型 JP ドメイン名登録等に関する規則
   第29条5、第31条(4)

これに関しては検討の時間が取れなかったが、関連して次の点が指摘された。

2.3a: JP-DRPを経ずに裁判で争われた場合に方針第8条(ii)の適用を受けるため、
    裁判係属中であることを登録機関に届け出る手続きが定められていない。

2.4 同一ドメイン名に対する申立が同時並行的に複数発生した場合の扱いにつ
    いて

[論点]

  同一のドメイン名に対する申立が同時並行的に複数発生した場合に、それら
の申立を併合できるかどうか。また、そのうちの何件かが裁判に持ち込まれた
場合の扱いをどうするか。

これに関しては、検討の必要性は認識されたが、今回は検討の時間が取れなかっ
た。

2.5 登録規則違反を根拠とした申立の扱いについて

[論点]

登録規則違反が認められる事案が、JP-DRPに申立てられた場合において、登録
規則違反を「不正の目的」と認定できるか否か。

  この点については、実際にそのような申し立てがあったために検討の必要性
が認識されたが、今回検討の時間は取れなかった。

2.6 中断について

[論点]

JP-DRPの手続きに「中断」の規定を新設する必要があるかどうか。

この検討事項は、実際に起った申立の処理過程で指摘された問題であるが、今
回検討の時間は取れなかった。

2.7 併合審理について

[論点]

同一登録者が複数のドメイン名を登録保有している場合、これら該当する複数
の利害関係者が1個の申立てができるようにする必要性はあるか、また、個別
の申立を併合審理できる規定を設ける必要はあるかどうか。

これに関しては、申立可能な複数人をどのように特定するのか、という問題点
が指摘されたが、それも含めて、充分な検討時間が取れなかった。

3. おわりに

  以上の検討事項について出された意見は、必ずしも委員会全体の合意となっ
たものばかりでは無い。また、合意となったものに関しても、具体的な対応策
を明文化する作業には至らなかった。JP-DRP改善に向けて、今後引き続き検討
作業を行う必要があること、また現在ICANN UDRP について見直し作業が行わ
れているため、その検討結果や国際動向を視野に入れつつ検討を行う必要があ
るとの点で、各委員の認識が一致した。

                                                        (以上)
            

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