第1回 ドメイン名と知的財産権に関する研究会 議事要旨
日時: 1999年7月13日 10:00~12:00
場所: 日本ネットワークインフォメーションセンター 会議室
出席者(申込順):
久保 次三 (前)日産自動車(株) 知的財産部 特許主管
丸橋 透 ニフティ(株) 管理部法務課
堀田 博文 NTT 第三部門
土屋 智敬 郵政省電気通信局電気通信事業部データ通信課
山本 泰智 郵政省電気通信局電気通信事業部データ通信課
井岡 賢一 特許庁総務部国際課
則近 憲佑 (財)ソフトウエア情報センター[SOFTIC] 専務理事
長尾 麻美 NTTコミュニケーションズ(株) ビジネスユーザー事業部
飯田 恭久 NTT 知的財産センタ 権利化担当
松尾 和子 弁護士(中村合同特許法律事務所)
萩原 恒昭 凸版印刷(株)
鈴木 修 弁護士(ユアサハラ法律特許事務所)
押本 泰彦 弁理士(押本特許商標事務所)
小田 久司 富士通(株) 法務・知的財産権本部 法務部
島並 良 東京大学法学部助手
金目 茂 NTTソフトウェア(株)
山口 晴久 (株)東芝 知的財産部 商標・意匠担当
苗村 正一 三菱電機(株) 知的財産渉外部 総合グループ
牧野 信雄 (株)ケンウッド 知的財産部
野田 容朗 日本知的財産協会 商標委員会
内海 正人 富士通(株) 特許業務部
佐藤 明夫 弁護士(三井安田法律事務所)
猪木 俊宏 弁護士(三井安田法律事務所)
鳥井 厚夫 (株)日立製作所 知的所有権本部
北嶋 勝 (株)ケンウッド 情報システム部 システム企画S
小川 宗一 特許庁商標課
鈴木 雅也 特許庁商標課
竹市 博美 ソニー(株) 法務・知的財産 商標意匠部
渡邉 修 新潟大学法学部
松本 泰典 通産省知的財産政策室
野原 諭 通産省情報処理振興課
水谷 直樹 弁護士
高橋 徹 東京インターネット(株)
丸山 直昌 JPNIC 副理事長
坪 俊宏 JPNIC DOM-WG(本研究会世話人)
高田 広章 JPNIC DOM-WG(本研究会世話人)
河北 隆生 JPNIC DOM-WG
川崎 基夫 JPNIC DOM-WG
佐野 晋 JPNIC DOM-WG
下野 隆生 JPNIC DOM-WG
吉澤 文代 JPNIC事務局総務部
箱田 雅彦 JPNIC事務局業務部第1課
草場 明子 JPNIC事務局業務部第1課
松丸 真紀子 JPNIC事務局業務部第1課
近藤 美菜子 JPNIC事務局業務部第2課
大橋 由美 JPNIC事務局国際部国際課/企画室
宇井 隆晴 JPNIC事務局システム部 開発課
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議題:
1. 開催趣旨説明(坪、高田(JPNIC DOM-WG))
- 研究会開催の趣旨・目的
- ICANNの最新動向(特に、ドメイン名と知的財産権に関する動き)を
伝え、日本からの発言を促進
- JPドメイン名空間を拡張していくに当たって、インターネット関係者
と知的財産権関係者との情報交換を促進
- 研究会として報告書、提言などは出さない
2. 講演 「WIPO インターネット・ドメインネーム・プロセス」最終レポート
の概要とその成立過程について
(前)日産自動車株式会社 知的財産部 特許主管 久保 次三 氏
○講演概要
配布資料に基づいて「WIPO インターネット・ドメインネーム・プロセス」
最終レポートの概要について説明があった.
- Panel of Expert の 雰囲気
・参加者のほとんどが米国の弁護士および学者
・判例の多くは米国で,欧州・日本では判例はほとんどない.
→ 判例をベースにした議論のため米国主導となっている
- 最終レポートの提案内容(45項目)についての説明
サイバースペースとその他の世界との乖離の防止(17項目)
紛争解決手続(20項目)
有名・周知商標の保護(7項目)
新 gTLDs の導入(1項目)
→ バランスのとれたレポートになっていると思う
- 日米財界人会議の声明案
WIPOの決定に従う、との記載
○質疑応答・討議
- 目立たない cybersquatter すなわち warehouse の防止が不十分ではないか?
→ 使用意図の表明によって、warehouse を防止
self regulation で排除システムなどを決定
米国の商標登録では使用意図を表明させることによって,
悪意の登録の防止を行なっている.
- ADRの決定から発行までの7日間に裁判などになったら?
→ ADRでの決定は一時凍結
裁判にするための猶予期間
- ADRでの決定の登録機関に対する拘束は?
→ 取消決定が出たら取り消す
取消に対する登録機関の責任を防止するために,登録時の
登録機関と申請者との間での契約を行なう必要がある.
- 161節の「同一または類似(誤認混同を惹起するもの)」は客観的?
→ 個々のケースにより判断
- 各ADRサービスプロバイダはレジストラに設定?
→ 運用についてはこれからICANNなどで討議して決定
- Administrative の意味は?
→ 「行政」と訳すのは不適切
民間による管理、ということで良いのではないか
- 119条「重大な契約違反」
→ 登録者がコンタクト情報を更新しないと取り消す可能性も
- 何を持って知的財産権の侵害と判断するのか?
→ 自主申告
- 第4章の「排除」の意味は?
→ 具体論までは言及していない
受付時点での排除、第三者からの申し立てによる排除も
含むかもしれない
- ADRの存在意義は?
→ 濫用・悪用登録の範囲のみにADRを設定
- 企業側から見て著名商標の保護にADRは有効だと思うか?
→ 選択肢が増えることはいいことだと思う
裁判に持ち込むと高額の費用がかかるため、ADRが十分に低価格で
あれば利用するだろう
- 法律側から見てADRサービスプロバイダは魅力的か?
→ 裁判所に行くのはいやだが仲裁や調停なら受け入れる人が増加
やれるのではないかと思う
ADRは、非拘束ということで良いかもしれない
- ADRが受け入れられるかは登録側としても重要
- ADRの費用を負けた側に負担させることもできるようになっているので、
ADRの値段が高いとペナルティとしての効果もでるのではないか。
- 遡及項はあるのか?
→ ADRを実施するに当たっては遡及項があってもおかしくはない
- 162節
→ 契約によるADRの義務づけ
3. 報告 ICANN 最新情報
○ICANN 最新情報
- ICANN 動向について(大橋 (JPNIC事務局国際課))
- WIPO レポート関連(堀田 (NTT))
○質疑応答・討議(全体を通じて)
- 配布された資料の構成は?
→ 賛成も反対も含めたWGとしての意見
- 利害関係の異なる立場の組織とICANNとの関係は?
→ gTLDのCOREの主メンバはICANNのDNSO の Names Council のメンバと
なっていおり,ICANNの枠組で検討することで 合意がとれている.
→ NSI については当初は感情的な対立もあったが,現在では,
ICANNの検討にも参加しており,協力の姿勢になりつつある.
NSIは、ICANNを正式には認めていない。NSIは、レジストリ業務と
レジストラ業務を分離し、レジストラ業務の部分はICANNの認定を
受けなければいけないが、まだその申込をしていない。
- (WIPO関連)単なる著名商標の保護には該当しない?
→ とりあえずは悪意の登録に関して保護
- (WIPO関連)登録後の異議申し立ては?
→ 現状では触れていない
- WG に米国以外の弁護士の方も参加してほしい(J. Cohen)
4. 事務連絡
- 今後の研究会の日程
1999年
8月 4日(水) 10:00-12:00 第2回研究会
9月 1日(水) 10:00-12:00 第3回研究会
10月 6日(水) 10:00-12:00 第4回研究会
11月17日(水) 10:00-12:00 第5回研究会
12月 8日(水) 10:00-12:00 第6回研究会
2000年
1月12日(水) 10:00-12:00 第7回研究会
2月16日(水) 10:00-12:00 第8回研究会
3月15日(水) 10:00-12:00 第9回研究会
- 第2回研究会の予定
テーマ:
「我が国不正競争防止法における著名表示の保護とドメインネーム」
通商産業省 産業政策局 知的財産政策室 松本 泰典氏
「WIPO・SCT「周知商標の保護に関する勧告決議案」について(仮称)」
特許庁審査第1部審査長(雑貨) 柴田 昭夫氏
報告: ICANN 最新情報
- メンバー登録
研究会世話人より,配布資料のフォーマットに基づき,メンバー登録を
お願いした.
- 議事録の公開について
この研究会の議事要旨および出席者のリストについて公開することについて,
参加者の了承を得た.
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