1998/08/06
JPNIC DOM-WG
「ED.JPドメイン名新設に関するオフライン・ミーティング」議事メモ
1998年7月30日に東京ガーデンパレスにおいて開催されましたED.JPドメイン名
新設に関するオフライン・ミーティングでは、多数の御意見・御議論を頂きまし
て誠にありがとうございました。
さて、完全な議事録ではありませんが、当日議論された内容をお知らせするこ
とが重要と考えましたので、議事メモとして公開します。この点をお含みおき、
御参考にしていただきますようお願い致します。
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○開会の挨拶(DOM-WG 高田主査)
2003年までにすべての学校をインターネットに接続しようとする動きがあり、
ED.JP ドメイン名の新設を検討している。今までは学校のドメイン名は地域型ド
メイン名、ACドメイン名、NEドメイン名などばらばらに収容されており、混乱し
ていると言える。
技術者間ではED.JP ドメイン名下にフラットに収容した方が運用しやすいとの
意見が多いが、それぞれの関係者の状況により望まれる形はさまざまである。
ED.JP ドメイン名は使われる人のニーズにあった仕組みにする必要があり、
JPNIC としては、学校むけのドメイン名を整理し導入したい。
○プログラムの追加変更について
・JPNIC からの発表を「ED.JPドメイン名の行方」へ変更
・文部省からの発表を追加
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○「ED.JPドメイン名の行方」川崎基夫(JPNIC JPドメイン名登録検討部会)
詳細は資料参照。
・子供たちが幸せにインターネットに参加するために
・ED.JP ドメイン名をめぐる議論の論点について概要報告
[質疑応答]
特になし。
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○「情報通信ネットワーク拠点の整備」吉川晃氏(文部省学習情報課長)
詳細は資料参照。
・学校のインターネット接続の財源は、地方交付税で措置されている。年次
計画は、文部省/自治省合意のものである。
・平成14年度には、新しい教育課程に基づく教育がスタートする予定である。
その中で、情報教育も一段と充実すべく作業を進めている。
… 平成10年3月末で、約18.7%の学校がインターネット接続されている。
・学校の情報化にあたり県の拠点となる組織の整備を、補助金により進めている。
→ 現在では、教育センターを中心につながっている県が増えている。
[質疑応答]
Q.文部省がイメージしているインターネット接続はどのようなものであるか。
大学のような専用線接続であるかそれとも、使用する時だけ接続するダイア
ルアップ接続か。
A.地方交付税による計画については、ダイアルアップ接続をイメージしており、
実際も8割以上を占めている。通信料金の低減は、当面の重要課題と考えてお
り、郵政省、NTT等の通信事業者と相談して、できればイギリスのような方法
が実現できないかと思っている。
Q.ドメイン名の構造等については、文部省が決定できる問題ではないといってい
るが、文部省がED.JPドメイン名登録業務の委任先を整備し、推薦する考えは
ないのか。
A.御指摘のような登録業務の受け皿について検討することは可能と思う。
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○「国内のインターネット教育利用の動向」越桐國雄氏
(大阪教育大学教育学部理科教育講座)
詳細は資料参照。
・すべての学校についてのデータであるわけではなく、収集できたデータ以外
は資料の数値として含まれていない。
(85%くらいはデータを収集できている)
・ホームページを開設している学校はインターネット接続されている学校のほ
ぼ半分となっている。
・インターネット接続されているというが、実際設置されている端末は 1-3台
と非常にすくない。
[質疑応答]
Q. 今後の教育利用数の予測は行なっているか?
A. 立ち上がり時期の1~2年は指数関数的に増加したが、現在は一次関数的に
増加している。今後も一次関数的に伸びるものと思われる。
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○「ED.JP 問題に内在するドメイン名問題雑感」浅川倫之氏
(SEMSマリモインターネット事業部)
詳細は資料参照。
・JPNIC は明確にドメイン名のきまりを決めてから、新しい属性を新設するべ
きではないのか
→ どちらでもよいは判断に困るので強制的に決めてくれれば作業がしやすい。
→ 新設する時は他属性でとっていたドメイン名の移行を強制するべきである。
cf. OR->NE (移行をとりやめる)
・ユーザからすると学校により階層が違うと混乱するのではないか?また、選
択肢が多いと、混乱するのではないか?
→ たとえば、教育センターは ED.JP でないドメイン名を登録する。
地域型であったものは移行を強制してみるなど
・小学校・中学校・高校・その他の4個の第2レベルドメイン名を作ってもよい
のではないか。
[質疑応答]
特になし。
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○「教育機関のドメイン名における衝突頻度の試算」山根健氏
(慶応義塾大学 SFC研究所)他
詳細は資料参照。
・学校名のリスト(約5万校)をもとに組織ラベル部分の衝突の頻度を調査する
とともに、なるべく衝突が起きないアルゴリズムを考察した。この結果、99%
以上の学校で衝突を回避するアルゴリズムがある事が分かった。
[質疑応答]
Q.試算のなかで市町村と県名と種別のすべてのパターンは試算したのか
A.特に行なわなかった。
Q.AC.JP ドメインとの関係を含めた試算は行なっていただくことは可能か
A.可能だとおもいますので、前向きに検討させていただきます。
Q.試算はフルネームですか?文字数の長さのデータはないか?
A.キーまで含めて 12 文字以上となっている、アルゴリズム2では 14 文字以上
となってしまっている。
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○「ED.JPドメイン名新設議論の三つの課題」小川清氏(名古屋市工業研究所)
詳細は資料参照。
・電気通信事業者のやっていることを JPNIC がやっているのではないか?
→ もっとインターネットに必要な議論を行なっていただきたい
[質疑応答]
Q.資料にあるJPNIC の3つの課題のなかで「JPNIC は登録業務をやめれるように
する」ということはどういうことを意味しているのか?
A. 電気通信事業者など他の団体に移管することを意味している。
[意見]
・ED.JP 以外にもセカンドレベルドメイン名を設立される提案は大歓迎である。
ただし、多数のコンセンサスを得てからにしてほしい。(JPNIC)
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○「学校ドメインについて」本間誠治氏(新発田ネットワークサービス)
内容は資料参照。
・新発田ネットワークサービスの紹介
教育割り引きを行い普及に努力
教育関係MLを無料提供
・現行規則なら地域型、ACで運用可能
・EDは優遇料金制度のために必要なのか?
優遇料金制度への反論
・他に委任したとして、公平の問題は生じないのか
・機関をJPNIC関係者が設立する…公平に問題
外部機関ならば競争が働く
・省略はかえって混乱を招く。従来の地域型ドメイン名を利用すべき
・現実
教育委員会が実際に権限を持っていることが多い。(予算等)
ドメイン名は教育委員会に小中高毎(es,jhs,hs等)予約する。
(各学校はその中のサブドメインとして収容する)
従来の地域型ドメインで対応可能、ドメイン調整不要、料金優遇が不要
[質疑応答]
Q.教育委員会の下に収容した場合、私立学校、塾などの扱いは??
A.私立、大学附属などは管轄先がわからない。これから扱いを検討してほしい。
学校名に地域名を冠しているところも多い。
JPNIC からのコメント
事実誤認がある。
・公平性について。EDだけ安くするとは言っていない。
優遇措置として、補助金などを導入せざるを得ないが、JPNIC が補助金を受け
るよりは外部機関に委任する。
・省庁の分担にひきずられる必要はない
教育委員会に権限を持たせた場合、私立、外国人学校の扱いに問題
外国人学校には別の識別子を作れば良い。
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○「初等中等教育のインターネット利用の現状と、ドメインネームの取得に
関わる課題について」古井雅子氏(東海スクールネット研究会)
詳細は資料参照。
・現在県内すべての学校が接続できる環境を整えている県はわずか
・現在の接続形態 教育センターや教育委員会のNOC 地元のプロバイダ
・教育センターにつながるため地域でまとまっていた方がよいという誤解
実際は地域による差が大きい
全都道府県がその都道府県内の公立私立合わせてすべての学校の接続先と
なるわけでは無いからすべての学校のドメイン名に都道府県名が必要とは
言えない。
ED早期新設が必要 予算編成に間に合うように
・今後の接続形態
教育センター/教育委員会NOCは重要な位置を占めるが、
全ての学校を含めることは難しいかも
・接続方式にかかわらず利用できるドメイン名にすべき
学校名.ed.jp を基本に
・ドメイン名の要件
児童生徒にとって分かり易いもの
県名は、衝突している場合以外不要
県名は他国には馴染みない。学校名が認識されれば十分
調整ができればEDでよい
・費用
外国で検討されているe-rateのように、教育機関対象の低額料金設定を
高額な手数料をとらないようJPNICが指導すべき
[質疑応答]
Q.県名が知られていないからこそ波及のために地域名を入れるべきではないか?
A.地域名は地域としての波及効果はあるが学校の波及効果と関係ないのではない
か。県名を入れなくても地域コミュニティとの接触は成立可能
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○「政令指定都市での学校関係ネットワークの状況と今後の方向など」
山口健太郎氏(横浜市企画局高度情報化推進室)
詳細は資料参照。
・自治体と学校の関係を整理
・自治体での構成等に関するポリシー
学校ドメインは市のドメインに収容。当面ED利用予定なし
政令市の場合、地域型ドメイン収容型が主流との意見多し。
[質疑応答]
Q.EDの使用が始まり、横浜のみが地域型を採用し他地域と異なる状況になったら
どうするか?
A.特に対策を考えていない。ダイヤルアップを接続と考えるならばドメイン名に
コミットしなくても運用可能
学校も地域コミュニティの一部と考えている。→地域型
EDが主流になれば話し合いをし、良い方向を選択する
Q.私立学校参加について検討は
A.まだ。まず行政として責任もつ部分(公立学校)について結論を出したい
Q.全ての児童生徒を県のセンターなどに収容できるか
A.少なくとも市についてはそのつもり
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議論 16:00-
JPNIC からの論点のまとめ
・ユニフォームがわかりやすい or 短い方がわかりやすい
・学校の管理構造が違うものを別のドメイン属性に収容する or
子どもにとってはわかりやすければ別にしない
・地域重視 or 地域に拘らない
・初等中等教育をACと区別する or 区別しない
フィルタリング期待して分けたいとの意見ある
・全員が納得することはできない。しかし意見を広く聞くためにアンケート
の実施は必要。
・決着するまでインターネット接続中断している学校の存在もある。
インターネット発展を却って阻害している。この状況はもっとも回避したい
JPNIC からのコメント
・現時点では、可能な選択肢をあげるのではなく、選択肢から選ぶ必要。
・これが必要という意見がほしい
アンケートについて
・母集団が少ない。プロバイダに依頼してプロバイダから客に送れば母集団増え
る → 会員にも流している。回答の依頼は検討する
・JPNICの立場を明確にした上でアンケートすべき
・各学校が現状やドメイン名について理解した上でアンケート答えるためには
理解を促進する文書を用意する必要がある → 時間がかかる
・学校では稟議し、書類回すのに時間がかかる
・教員の意見形成までもっていくのは困難
・ある程度の意見収集したら JPNIC が 最終判断すべき
・最終判断をするのは十分なインプットがあってから。アンケートは判断を助ける
インプットを効率的に増やすため。(JPNIC)
・JPNICはグランドデザインを十分に行なうべき
・部会での議論や挙げられた選択肢等をドメイントークにわかりやすく公開すべき
・決定過程が透明なら部会が最終決断してよい
・代案があれば私にメールを。できるだけ原案にある選択肢の形で。(JPNIC)
ドメイン名調整の仕組み必要が不要かについて
・先に決めてしまった方が公平。推奨ではなく決定リストを出す
・推奨ではなく決定リストでは学校の不満が出る
・地域型ならバッティングもない。調整の議論も必要ない
・学校当事者が見ただけでわかるドメイン名を決めればよい
・予約し、ニックネーム等は先願としてはどうか
学校に対して費用負担軽減あるいは優遇措置が必要か不要かについて
・EDの費用軽減措置がなければ岡山県はED使わないとの方針
県の予算負担重いため
・委任先が無料で登録行なえばJPNIC が関与せずにすむ。委任先を公共性ある組
織にすべき。
・費用は取得費用と維持費用の2種。プロバイダは月1万、2万とる。そこを解
決すべき。
・接続承認費用が不明瞭。接続承認制度自体を廃止すればよい
→接続承認問題は部会だけでは解決できない(JPNIC)
・属性ごとに審査方法が異なる。ED審査を簡単にして安価にすればよい
→可能かもしれない(JPNIC)
・地域型に教育関係である識別子をつけて収めれば必然的に割り引きになる
・しかし地域型ドメイン名で収容できる自治体は多くない。すべての学校が独自
にドメイン登録できる方が良い。
・EDを学校群で管理すれば安くなる
・問題はコスト分担。コスト分担の仕組みとしての委譲(JPNIC)
・ボリュームディスカウントをルール化すべき。教育だからではなく、単にまと
まった数の申請者への割り引きが可能という意味で
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○閉会の挨拶(JPNIC 丸山副理事長) 17:55
・ドメイン名決定についてはJPNIC の責任だが、インターネットの健全な発展の
ため多くの意見をいただきたい。
・bottom-up coordinationを重視したい。まとまりにくいが、協力してほしい。
・アンケートは実施する。それをもとに判断を行なうつもり。
・アンケートは意見を欲しい人なら誰にでも配ってほしい。
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「ED.JPドメイン名新設に関するオフライン・ミーティング」アンケート結果
=== オフラインミーティング(98/07/30)の評価 ===
(1)時間の配分は適切だったか
適切(5点)・・・・・・・ 7
まずまず(4点)・・・・・ 9
普通(3点)・・・・・・・ 2
やや不適(2点)・・・・・ 7
不適切(1点)・・・・・・ 3
合計28票・平均評価 3.4
(2)発表内容は満足のいくものだったか
満足(5点)・・・・・・・ 3
まずまず(4点)・・・・・10
普通(3点)・・・・・・・ 7
やや不満(2点)・・・・・ 6
不満(1点)・・・・・・・ 1
合計27票・平均評価 3.3
(3)オフラインミーティングのタイミング・頻度は適切だったか
[時期について]
早過ぎ(5点)・・・・・・ 1
やや早過ぎ(4点)・・・・ 1
適切(3点)・・・・・・・10
やや遅い(2点)・・・・・10
遅い(1点)・・・・・・・ 6
合計28票・平均評価 2.3
[頻度について]
多過ぎ(5点)・・・・・・ 0
やや多過ぎ(4点)・・・・ 2
適切(3点)・・・・・・・18
やや少ない(2点)・・・・ 4
少ない(1点)・・・・・・ 4
合計27票・平均評価 2.6
(4)議論の内容は適切だったか
深過ぎ(5点)・・・・・・ 0
やや深過ぎ(4点)・・・・ 1
適切(3点)・・・・・・・16
やや浅過ぎ(2点)・・・・ 6
浅過ぎ(1点)・・・・・・ 3
無回答・・・・・・ 2
合計26票・平均評価 2.6
多過ぎ(5点)・・・・・・ 2
やや多過ぎ(4点)・・・・ 3
適切(3点)・・・・・・・15
やや少ない(2点)・・・・ 3
少ない(1点)・・・・・・ 3
無回答・・・・・・ 2
合計26票・平均評価 2.9
(5)今日の結論はあなたにとって満足・不満
満足(5点)・・・・・・・ 0
まずまず(4点)・・・・・ 9
普通(3点)・・・・・・・ 6
やや不満(2点)・・・・・ 9
不満(1点)・・・・・・・ 3
無回答・・・・・・ 1
合計27票・平均評価 2.8
(6)このオフラインミーティングの総合評価は
絶賛(5点)・・・・・・・ 1
良い(4点)・・・・・・・13
普通(3点)・・・・・・・10
悪い(2点)・・・・・・・ 2
最悪(1点)・・・・・・・ 2
合計28票・平均評価 3.3