2007/6/15 総会
資料 3
インターネットレジストリにおけるIPv4アドレスの在庫枯渇に関して
1) 最近10年間の急激なインターネットの発展によって、現在インター
ネットで利用されているIPv4アドレスについて、地域インターネット
レジストリ(*1)が分配可能なIPv4アドレスが残り少なくなってきてい
ます。本件に関して最も信頼されている枯渇時期予測(*2)によると、
地域インターネットレジストリにおける未分配IPv4アドレスの在庫は
2010年に無くなるとされています。
この在庫が無くなり、地域インターネットレジストリに新たなIPv4ア
ドレスが供給されなくなった場合にも、既存のインターネットが使え
なくなるわけではありません。しかし、中長期的なインターネットの
拡張、発展を考えた場合、分配可能なIPv4アドレスの枯渇(以下
「IPv4アドレス枯渇」と呼ぶ)は大きな制約になり、時間が経過すれ
ばするほど問題は深刻になることは確実、かつ、不可避な状況です。
2) IPv4アドレス枯渇を乗り越え、インターネットの拡張、発展を今後も
持続させるための根本的な解決方法は、IPv6(*3)を基礎とするイン
ターネットに移行することです。また、既存のIPv4を基礎とするイン
ターネットの機能を保持し、移行プロセスを円滑に遂行するために、
未使用IPv4アドレスの回収再利用を推進することも重要です。
3) インターネットは既に企業活動や市民生活に欠かせない基盤となって
います。IPv4アドレス枯渇を乗り越え、インターネットを円滑に運営
し続けるためには、インターネットのあらゆる関係者が連携し、解決
策を有効に実行することが不可欠です。
4) JPNICは、IPv4アドレス枯渇問題の解決に積極的に取り組んでまいり
ます。具体的には、まず以下の二つの作業に着手します。
i) 日本における国別インターネットレジストリ(*4)として、
IPv4アドレス枯渇に適切に対応するIPアドレス管理ルールの
制定に向け、国内でインターネットに関係するあらゆる方々
の声を反映した検討を行うとともに、国際的な調整を行いま
す。
ii) インターネットの円滑な運営に寄与する公益法人として、イ
ンターネットの円滑な運営の維持を実現するべく、国内外の
関係者・関係団体と連携して、IPv6の利用による対応施策の
検討と実施を促進するとともに、的確な情報提供を行いま
す。
以上
(*1) 世界を五つの地域に分け、IPアドレスの管理を行っている団体。
(*2) Geoff Huston氏による枯渇時期予測。 http://ipv4.potaroo.net/
(*3) IPv6は、アドレス領域の大幅な拡張を中心に、IPv4に対していくつかの
改善を加えて開発された、新しいバージョンのインターネットプロトコ
ル(IP)です。開発着手から既に10年以上が経過し、多数の機器で利用可
能となっています。
(*4) JPNICは、日本国内においてIPアドレス管理を行う、国別インターネット
レジストリです。