今後のIPアドレスを考える会
日時:2002年1月15日(火) 15:00‐18:00
場所:中央大学駿河台記念館520号室 (御茶ノ水)
議題:各テーマを元にディスカッションを行なう
~主なテーマ~
1. IPアドレスレジストリシステムへのご意見について
2. JPNICのIPアドレス管理
- ポリシー決定から実施まで
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■荻野理事より挨拶
JPNICは決定したものを公表するだけで、指定事業者が意見を言っても変わら
ないと思われているかもしれないが、それは違う。日本の中でのIPアドレス管
理のあり方について皆さんの意見を伺いたい。アドレス管理という公共の仕事
を誰かがやらねばならず、JPNICはそれを行っていると自負している。IPアド
レス管理の一意性を確保するために、JPNICが何をすればよいのか、指定事業
者が何をすればよいのかに関して、日本のIPアドレスに携わっている方々と話
し合いたい。
本日は取り立てて何かを決定する、あるいはJPNICから新しい情報を提供する
場ではなく、意見交換の場である。日本のインターネットをよい方向へもって
いくために、今後どうしていったらいいか忌憚のない意見を聞きたい。
■IPレジストリシステム変更について
JPNIC近藤慎一より、資料”IPレジストリシステムへのご意見について”
に基づき報告が行われた。
[説明]
‐「意見1:メールでの申請を残して欲しい」について;
検討結果、セキュリティの確保のため、メールは廃止することにした。
メールで出来ていたことはWebでもできることが大切なので、テキスト
形式に落とす機能をつける。メールでの文面をWebにアップする変換ツー
ル。
‐「意見2:トランザクション申請をサポートする機能が欲しい」について;
完全なサポート機能は難しい。しかしインターフェイスのテスト用とし
て、送り手側のデモ用ソフトも作っており、トランザクション申請のテ
ストインターフェイス公開時に、その送り手側のデモソフトも同時に提
供する。それを雛型として各指定事業者でカスタマイズしていただけれ
ば簡単に出来ると思う。
‐「意見3:リナンバ時に指定事業者間の連絡がうまく取れない」について;
前回の説明会でも同じ意見があった。返却するほうへの技術連絡窓口の
メールアドレスへの通知に統一する。
‐「意見4:一般申請の認証は?」について;
ワンタイムパスワードを提供して認証する。
‐アドレス表記の統一について:
新システムではプレフィックス表記に統一したい。変換はJPNICで行う
が、一つのネットワークでも複数に分かれて表示される場合がある。
(/28と/29 のデータは現在も同一申請でも分割されて表記される。ただ、
/24以上の場合は、一緒に表示される場合と分割される場合もある。)
[質問/意見]
‐リナンバで、Webとメールがあるときいたが、回答したところのアンバッチ
などをどのように考えているか。
→Webとメールでというのは、指定事業者がリナンバ申請をすると、返却さ
れる側の指定事業者当てにメールの通知が届き、その他にWeb上でも返却が
されているというステイタスが表示されるという意味である。返却された
ら困る等で返却を指しとめたい場合は、メールで回答を返すのではなく、
IP指定事業者のWebに入って、そこから取り下げをおこなう。取り下げは
Webからしかできない。(JPNIC)
- 個人情報、担当者情報、PIのネットワーク情報などのOne time passwordに
ついて
→ネットワーク情報の変更は技術連絡担当者と運用責任者しか変更できな
いので、申請者のメールアドレスがネットワーク情報に登録されている
技術連絡担当者か運用責任者のアドレスと一致していれば、申請者宛に
パスワードが送られる。そのパスワードを用いて変更手続きをWebから行
うと、申請者および通知アドレスに変更の通知メールが届く。担当者情
報では担当者のみにパスワードが届く。担当グループ情報では技術連絡
担当者か運用責任者宛にのみパスワードが届く。
担当者グループ情報やASなどの新規登録の場合、申請者にパスワードが
送られる。その際、登録する権限を持つ人が決まっているのでメールア
ドレスをキー項目として認証する。ただし技術連絡担当者のアドレスは
whoisでも見られるため、メール爆弾等を配慮し、同時に大量の申請があっ
た場合の対応についても検討している。(JPNIC)
- Webの申請インターフェイスは人間が1項目ずつ入力するのには適している
が、システムから自動で処理、バッチ処理などを行う場合非常に不便であ
る。トランザクション処理を代替案として検討中とのことだが、プロトコ
ル等の情報が欲しい。メールをWebに変換するツールについても具体的に教
えて欲しい。
→セキュリティ確保のためメールでの申請を廃止、Webインターフェイスの
採用を決定した。よってメールの利便性をWebでどのように生かすかを検
討し、Webインターフェイスには自動処理、バッチ処理できるトランザク
ション機能を設けようと考えている。このインターフェイスはJPRSとの
整合性も考慮されたもので、2月初旬に公開予定。早く公開することも重
要だが、意見徴収をした上での公開をと考えている。仮に2月初旬に公開
されて、5月初旬の実装が無理なようであれば、ご相談ベースで対応する
ことが可能であると思う。イメージとしてはWebが1画面増え、カットア
ンドペーストで入力したものがボタンを押すと各項目に分かれるような
ものである。(JPNIC)
- 人間が入力するならメールでもWebでも変わらないかと思うが、現在申請フォー
マットを自動で整形して提出するシステムを採用しているため、メールで
の申請を自動で受け付けるインターフェイスを準備してほしい。
→検討委員会でもこの件に関して検討し、システムを変えていただくこと
の手間は承知しているが、それでもWebをベースとした場合のメリットを
取り、事業部に対して答申した。インターフェイスの公開は早く行うべ
きであると思っている。(JPNIC)
- JPNIC、LIRがそれぞれ何をすべきかをはっきりさせる必要がある。JPNICと
APNICでも同じ問題を抱えている。APリージョン内で他のNIR(台湾、韓国)
と比べてもJPNICの運用ポリシは若干ずれていたり、poorなシステムで管理
をしていたりするので、そこを合わせていかないといけない。IP指定事業
者が一緒にやらないと、JPNICだけで変わることは不可能である。IP指定事
業者によるエンドユーザーへの均一なアドレス割り当てをどのようにした
ら達成できるかや、AWSの上げ方など、ビジネスに直結する話なので、皆さ
んの率直な意見を伺いたい。(JPNIC)
‐メールの到達性も問題だからメールでの申請を廃止するとのことだが、
JPNICからの通知メールや、リナンバ時の返却される指定事業者側からのメー
ル等の到達性に関してはどう考えているのか。
→すべての申請に関して、Web上で何らかの登録があったら通知メールを出
す予定である。メールサーバーのトラブル等が生じた場合は、指定事業
者用Webでステータス画面をチェックしていただければ、そのようなトラ
ブルは回避できるのではないかと考えている。(JPNIC)
‐リナンバの際の通知が技術連絡窓口になるのはいつからか。
→システムにあわせて5月開始を考えている。ただ、現状でもリナンバの窓
口は技術連絡窓口になっているので随時変えていって欲しい。技術連絡
窓口のそれぞれの項目で定義されていない部分があったので、今回のシ
ステムの改訂にあわせ、窓口については明確な定義づけを行う。(JPNIC)
‐sys-opinionに寄せられた意見や質問のWeb公開はいつになるのか?
→早急に公開します。(JPNIC)
- 本日、主なものとして4つの質問とその回答の説明があったが、それ以外
の個々の細かい質問や意見についても回答してほしい。
→回答します。(JPNIC)
■IPアドレス管理について
□JPNICにおけるポリシ策定と実装のプロセスについて
JPNIC事務局奥谷より、JPNICにおけるポリシ策定と実装のプロセスについ
て資料に基づき説明があった。
□JPNIC OPMでのコンセンサスについて
IPアドレス検討委員長前村氏より、昨年12月に行われたJPNICオープンポリ
シミーティングで得られたコンセンサスについて、またそのコンセンサス
に基づくポリシ実装について、資料に基づき報告があった。
[説明]
APNIC OPMはAPNICの方針決定のベースとなるコンセンサス形成の場であり、
メンバーでもメンバーでなくてもポリシの提案が出来る。そこでのコンセ
ンサスを最大限尊重しルールを決定する、ボトムアッププロセスである。
JPNICでも同じ仕組みを作ろうということになり、JPNIC OPMを開催するこ
とにした。以前のip-usersと大きく変わっているところは、JPNIC、メンバー、
非メンバーの3者でコンセンサスを形成していこうというところである。
検討委員会はエンドユーザーと事務局の間に立つような立場に来つつあり、
JPNIC OPMのチェアは検討委員会のチェアが努めるのがふさわしいのでは、
ということになっている。
今後もポリシに関してはJPNICが勝手に決めるのではなく、IP指定事業者で
あるので、是非ip-usersのメーリングリストの議論に参加していただきたい。
[質問/意見]
- IPアドレスがもらえないという話は、実際にもらえないということではな
く、もらうために非常に手間がかかっているということだと思う。2次プ
ロバイダが上位プロバイダにアドレスをくれと言うと、審議によってはも
らえないこともあると言われることがある。IPアドレス取得のために審議
が必要な理由やJPNICでの作業を知らなければ、何でもらえないのかと
JPNICを悪者にするという悪循環を生んでいると思う。改善のためには、
指定事業者が経緯を説明することも必要だが、JPNICが対指定事業者だけ
でなく2次プロバイダに対しても審議の必要性をもっと広報をすべきだ。
またIP指定事業者間の格差というのはAWSの差だと思う。AWS以上だと
JPNICによる審議となり時間がかかるが、AWS以内だと、IP指定事業者とユー
ザーとで顔を突き合わせて話せるので審議時間が短い。それが格差となっ
ていると思う。
- JPNIC会員のアンケートで名指しで審議がきついと言われた。AWSの大きい
IP指定事業者からのリナンバだと、今までもらえたのに、何故こんなにう
るさいのかと言われたりする。AWSの格差によって、かなり不公平が生じ
ているのではと思う。
→それはある意味AWSがうまく機能していることを表している。IP指定事
業者が審議を行い自身で判断する基準としてAWSがある。JPNICとIP指定
事業者の基準が同一であれば、JPNICで減らされるような問題は起こら
ないはずだ。(JPNIC)
‐AWSを割り当てるだけでなく、抜き打ちで審議を行うなどはしてほしい。
AWSが大きなところは審議が甘くなるのではないだろうか。
→本来ならばお任せして、JPNICは見ないということにしたい。AWSを下げ
るというスキームは一応あるのだが、実際に行われたところはない。エ
ンドユーザーにとってはAWSが大きいところのほうが良いだろうし、
JPNICとしてもやはりAWが大きいほうがよい。JPNICは割り振りブロック
サイズをきちんと管理するだけでよいはず。またAWS以内の割り当てを
審議するような抜き打ちテストは出来ない。あとは追加割り振り申請時
に確認するだけである。皆さんに意見を伺いたいのは、同一組織でも担
当者が変更することがあるがAWSが担当者でなく組織にバインドしてい
ていいのかどうか。またAWS導入当初は/25からスタートしたが、現在
は0からスタートである。その差はどうすればよいか。
(JPNIC)
- 通常の会社であれば、1,2年で担当は代わるが、代わっても困らないよう
にしている。しかしAWSの基準が公開されていないので、次の担当者にど
のようなスキルを与えておけばAWSが維持されるのか分からない。客観的
に判断できるようなものが公開されていれば、公平感が出ると思う。
→問題がAWSによるものかどうか疑問。明確な基準が必要なのは確かだが、
割り当ての基準自体はAWSではなく同じはず。
→AWSの動き方は公開したほうがいいと思うか?(JPNIC)
→ASW基準が非公開であるのは、AWSは業務熟達度、ポリシ認識度、業務の
適切性によるものなので、基準を公開して、基準だけクリアすればAWS
が上がり割り当てができるというのは危険ではないかという理由からで
ある。(JPNIC)
→割り当ての基準が明確になっていれば、基本的にAWSの大小は審議にお
ける時間的な問題でしかないと思う。(JPNIC)
→指定事業者間が本当に同じ規則にのっとっているか。同じ事例であるの
に指定事業者で割り当てる大きさの判断に差が生じてはいけない。つま
りは、2次プロバイダに対するアナウンスも必要だが、IP指定事業者と
ISP集団を集め、アナウンス、セミナーを行ったほうがいいのかという
ことになるがどうか?(JPNIC)
→エンドユーザーや二次プロバイダがJPNICの現ポリシを理解していれば、
上位プロバイダに対しても意見を言えるので、IP指定事業者だけでなく、
末端のエンドユーザーにもポリシを理解してもらう場を提供してほしい。
そうすればユーザーも審議資料を作るもの難しくないと思う。
→指定事業者のみとするかエンドユーザの参加も受け付けるのかにより内
容が異なってくる。今回IP指定事業者に限定したのは、少なくとも契約
関係のあるとこからと思ったからである。オープンな場、システム変更
のような事務連絡の場、このような指定事業者での場の3種類があった
ほうがよい。エンドユーザーに対しては、IP指定事業者の今後のためで
もあるから、皆さんからの要望が多ければやるが、その場合は皆さんか
らも講師を出して欲しい。(JPNIC)
→セミナーほどでななくとも、資料を公開するなどの方法はあるのではな
いか。現状では資料がうまく活用されていないように思う。
→情報の置き場がわかりにくいという意見があるので、Webの改訂を検討
中である。(JPNIC)
→情報が足りないということではなく、その情報があることを知らない人
が多いので、そういう人に対する努力は必要ではないか。
→指定事業者説明会をやっているが、それですべてを網羅できているとは
思っていない。審議に関する勉強会などの要望があるかどうかお聞きし
たい。(JPNIC)
→実際の事業者同士でポリシ的な理解を深め、考え方を統一する場が必要
だと思う。実例を見ながら話し合ったり、新しい割り当て方針の意見交
換を行う場が欲しい。エンドユーザに対してはIP指定事業者が営業する
なかでユーザーに広告するように努力する。新しいサービスだと、新し
い資料をJPNICから求めらるなどJPNICとのやりとりが発生してまう。必
要な資料の種類があらかじめ広告されていれば、時間の短縮という解決
策につながるのではないか。
→IP指定事業者間で勉強会/意見交換会の音頭をとっていただきたい。単
なるセミナーをするよりは事例を見たほうが良いので、例えばJPNICか
ら10題くらい出して、IP指定事業者に回答してもらい、後日IP指定事業
者にのみ公開するというのはどうか。
==>挙手にて、そのようなものがあったら参加するかどうかを聞いた。
・参加しても良い;半分程度
==>挙手にて次の勉強会のどちらを先にやったほうがより効果的かを聞いた。
(二者択一)
・指定事業者のみ:30(大多数)
・エンドユーザー含む:0
‐人を集めるというのは大変なので、Webの中で「割り当てを受ける人のた
めに」というような簡単にサマライズされたものがあればいいのではない
か。
→一般に対して、割り当てをより深く理解していただくために、Webを充
実するというのは、JPNICのWeb改訂計画の中で進んでいる。情報のあり
かの周知にも努める。(JPNIC)
- JPNICがアドレスを出さない、ポリシーを勝手に作っているというのクレー
ムは解決してきている。またIP指定事業者間の格差については、これで解
決していきそうだ。残るクレームはIP指定事業者とJPNICとのメールのや
り取りの多さである。最後の切り札としてはAWSをあげることがある。そ
のためには指定事業者とJPNICが協力しなくてはならない。勉強会やトレー
ニング、研修を行い、認定試験をクリアすればAWSを上げるというスキー
ムはどうか。(JPNIC)
==>挙手にてこのようなスキームについての意見を聞いた。
・検討の余地あり:大多数
→JPNICで検討して案を出します。
‐1年間の需要を満たすようにとアドレスを出すとポリシには書いてあるに
も関わらず、最後になって当面半年で間に合う分だけのIPアドレスでいか
がですかと言われることがある。これはポリシとは違う判断ではないか。
→スロースタートの概念により、予測が見えない場合など、追加申請で
あっても半年分で承認を行う場合がある。予測が見えれば1年分で出す。
(JPNIC)
→説得力ある資料をつくるためには、どのような資料を準備すればよい
かというのを出して欲しい。
→3ヶ月出すか、6ヶ月出すかというのは、勉強会をすればより明確にな
るだろう。出来るだけJPNICのプールアドレスに余裕があるようにする
ために、ダイレクトメンバーアロケーションも導入した。(JPNIC)
→JPNICの割り当ての妥当性の判断と指定事業者の判断とが食い違ってい
るために、AWSに影響しているのではないか。もし食い違っているとこ
ろををJPNICに教えてもらえれば改善するのだが、基準が公開されない
ため、改善できない。先ほどAWSの基準を公開すると基準だけをクリア
するようなずるをすることが懸念されるとあったが、具体的には何を
懸念しているのか。
→基準を守りさえすれば信用できるかというのは難しい部分であり、な
かなか明文化できない。(JPNIC)
- Webが見づらいのだが、Webの改訂も5月を予定しているか?
→JPNIC全体のWebを変更することは検討中だが、これはIP事業部内だけで
結論できないことなので日程についてはお答えできない。しかしIPの中
の部分だけでもきちんとしようと思っている。(JPNIC)
18:00 終了
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