第4回JPNICオープンポリシーミーティング 議事録 [午前の部 9:30-12:00]
■本議事録について
- 開催概要、次第、決定事項は別途公開しています
- 次第5-7についての[午後の部]の議事録は別途公開しています
- 質疑応答ではJPNIC関係者および発表者の発言のみ、発言者を明記してい
ます。発言者の記名が無いものは参加者からの発言となります
- ここでLIR(ローカルインターネットレジストリ)として触れられている組
織は、日本ではIPアドレス管理指定事業者に該当します
■JPNIC IPアドレス検討委員長からのご挨拶(JPNIC IPアドレス検討委員長 近藤邦昭)
国内で議論が行われたポリシーはアジア太平洋地域、もしくはその他の地
域においても必要に応じて発表が行われることの説明を行った
■発表および質疑応答
1.JPNICアップデート(JPNIC IP事業部 穂坂俊之)
資料に基づき、JPNICの活動および統計情報の説明を行った
[質疑応答]
- IPv4、IPv6で申請の却下や差し戻しは発生しているのか
-> 結果的に承認されなかったというケースはない(JPNIC 穂坂)
-> 審議は却下するために存在しているわけではなく、必要な情報を提
出していただければ審議は通る(JPNIC 穂坂)
- 申請自体は却下されないとしても例えば/24の申請を行っていても、
/26と/27しか承認されない場合もある。そのため、審議で提出したサ
イズと実際に承認されたサイズの統計がいただきたい。また、業種別
に審議が承認されなかったケースについて統計を出していただきたい
- 本当に困ったときはJPNICの方にお客さんに対して説得するのを手伝っ
ていただけるのか。課金を行ってもよいのでエスカレーションのプロ
セスを設けてほしい
-> 審議の情報をわかりやすく提供するという方向で検討している
(JPNIC 穂坂)
- 指定事業者個別相談会で相談を行った事業者は応募ベースなのか、
JPNICが選定したのか
-> 応募ベースで10枠ご用意し、10指定事業者からの応募があった
(JPNIC 穂坂)
- 個別相談会で申し込みがあった指定事業者は申請件数が多い指定事業
者だったのか
-> 申請件数における特徴よりも、東京以外の方からの出席が多かっ
たことが特徴的であった。想定するに、東京の指定事業者の方は
イベント等でJPNIC担当者と顔をあわせる機会があることに対して
地方はそれほどないことが要因かと思われる(JPNIC 穂坂)
- 指定事業者数の全国の分布についての情報をいただきたい。また、イ
ベントも地方で開催していただきたい
-> 内部で地方開催について検討中である(JPNIC 穂坂)
⇒ 都道府県別LIR数は本議事録公開とあわせて以下にご提供いたします
(JPNIC IP事業部 2003.07.10)
都道府県別LIR数:合計 346
1.東京都 130 (37.6%)
2.愛知県 25 (7.2%)
3.大阪府 25 (7.2%)
4.神奈川県 16 (4.6%)
5.その他 150 (43.4%)
9: 岡山県、北海道
8: 三重県、兵庫県
7: 京都府、広島県、埼玉県、富山県
6: 茨城県、岐阜県、新潟県
5: 沖縄県、宮城県、長野県
4: 静岡県、石川県、福岡県
3: 愛媛県、宮崎県、香川県、山梨県、鹿児島県、青森県、徳島県
2: 群馬県、高知県、滋賀県、千葉県、長崎県、鳥取県、栃木県、和歌山県
1: 岩手県、熊本県、山口県、秋田県、大分県、福井県
0: 山形、福島、奈良、島根、佐賀
※「:」の前の数字は指定事業者数を表します
- 個別相談会には出席できなかったのだが、全員が情報を共有できるケー
ススタディを作っていただけるととてもありがたい。もちろん、ユー
ザの情報は伏せなければいけないと思うがJPNICの担当者も同じことを
何度も説明する手間が省けるのではないか
-> ニーズを認識したので今後の検討に活かしていきたい(JPNIC 穂坂)
- APNICとJPNICの審議の相違はポリシーに関する部分か、プロシージャ
に関するところなのか
-> ポリシーに大差はない。プロシージャに関わるところが異なる
(JPNIC 穂坂)
- 地域によって差異は発生するため、無理にAPNICにあわせる必要はない
のではないか
-> すべてをAPNICにあわせる必要はなく、地域性による差異であれば
尊重されるべきとは思う。また、同時にAPNICの運用で見習うべき
点は見習っていきたい(JPNIC 穂坂)
-> 本来であればAPNIC、JPNICを含めた配下のNIR、そしてLIRは均一
のポリシーを適用すべきであり、そのためにAWシステムを導入し
ている。
AWシステムの課題としては厳しい方向で実装する方向には制御され
るが、緩い方向ではなかなか現状を確認されにくい点であり、これ
はAPNIC-JPNIC間においても同じことが言える。今回のAPNIC派遣で
その点が判明した。ここ1年くらいでJPNICも1件の申請に対して/25
と/26のサイズを承認ということは行わないようにしている。
もちろん、APNICの運用とあえて変えているところもあるがAPNICの
ポリシーに反しない方向で緩められる点は緩めていきたい。
(JPNIC IP事業部長 前村)
- IP事業費の料金体系は金額が上がる方向なのか下がる方向なのか
-> 現時点ではどちらとも言えない。現在レジストリシステムの見直し
を行っているため、業務の見直しも発生する。そのなかで料金体
系の見直しも発生しているが、結果として現在と変更しない可能
性もある(JPNIC 佐藤晋)
-> 現状、IP事業単独の経費はTAOからの受託がなければ若干赤字。基本
的には指定事業者からいただいている収入をもとに収支をあわせ
るようにしてきいたい。今後2、3年で取り組んでいきたいと考え
ている(JPNIC IP事業部長 前村)
2. APNICからのアップデート(APNIC Training Department 藤井美和)
以下それぞれの資料に基づき、APNICを含めたRIRの活動、アジア太平
洋地域におけるインターネット番号資源についての統計の紹介等を行っ
た
『Regional Internet Registries 統計 & ポリシーアップデート』
『APNIC Status Report』
[質疑応答]
- 実際に使用されていないIPアドレスについては、保持者自身が認識し
ていない場合があるので、当該アドレスをML等で大々的に広告を行え
ば認知が高まるのではないか
-> 持ち帰って検討し、ご回答する(APNIC 藤井)
- NIRの設立にあたり、なぜ政府の認定が必要なのか、また、レジストリ
もビジネスとして考えるのであれば1カ国複数NIRの設立も可能なのか
-> 国を代表する組織として現状は1カ国1NIRとなっているが、今後につ
いては持ち帰ったうえでご回答する(APNIC 藤井)
-> 1国1NIRの理由はそもそも有限な資源の管理を行っており、競争が発
生するとアドレス管理の緩和につながる可能性等から利潤を追求
することにはそぐわないモデルだと思われる。日本以外の国で、
どの組織が適切なNIRであるのかを判断することが難しいケースも
あるので政府の認定としたという経緯がある(APNIC ECチェア 前村)
- MyAPNICの実装についてJPNICとも情報を共有してほしい
-> MyAPNICの実装についてはJPNICでも検討中(JPNIC IP事業部長 前村)
- APNICがNIRを持たない国においてサービスを行っている場合、ISP以外
にIPアドレスの潜在的需要を持つ産業に対するアドレス利用の働きか
け等は行っているのか
-> 例えばオープンミーティングのように議論、検討を行う場は提供して
いる。しかし、APNICから能動的にISP以外の産業で今後アドレス
の需要が発生するものへの働きかけは行っていない(APNIC 藤井)
- APNICはISP以外の産業への働きかけによるインターネットの啓蒙は行っ
ておらず、アドレス管理のみを行っているのか
- その通りである(APNIC 藤井)
- ERX(Early Registration Transfer Project)の対象となる判断基準を
教えてほしい
-> 登録されている情報の国を識別するコードがアジア太平洋地域に
国となっていればAPNICに移管される(APNIC 藤井)
- 歴史的な経緯を持つアドレスの場合、どの程度のサイズまでフィルタ
リングされないのか
-> フィルタリングを行うサイズについてレジストリで規定を設けてい
るわけではなく、ISPの判断による(JPNIC IP事業部長 前村)
3. JPIRRアップデート(JPNIC IRR企画策定チーム Co-Chair 吉田友哉)
資料に基づき、JPIRRの説明と企画策定チームの活動の紹介を行った
[質疑応答]
特になし
4.特殊用途PIの割り当てサービス提供の検討状況(JPNIC IP事業部 鈴木由佳)
資料に基づき、今後JPNICで提供を検討している特殊用途PIの割り当てサービス
の説明を行った
[質疑応答]
- APNICはPIアドレスの割当てをひとつのまとまったブロックから行って
いるのか
-> 202/8、203/8のブロックから割当てを行っている。理由としては、
参考情報として各/8単位のブロックの最小のポータブルなアドレ
スサイズをWebで告知しており、202と203のブロックは最小割り当
てサイズを/24として告知しているため。そのほかのブロックを利
用して/24の割り当てを行うと、他のブロックの最小割り当てサイ
ズも小さくなってしまう(APNIC Resource Services Manager Son Tran)
- 小さな割り当ては歴史的な経緯のあるブロックからの割り当てを行う
べきであり、新しいブロックを使用することは反対である
-> できるだけ有効に利用できるよう割り振り、割り当てを行うブロッ
クを選定している(APNIC Resource Services Manager Son Tran)
- マルチホームとクリティカルインフラというかたちでPIアドレスの申
請種別を分けている理由を教えてほしい。クリティカルインフラスト
ラクチャでもマルチホームを行うので結果的にマルチホームの申請と
して包括されるのではないか
-> クリティカルインフラストラクチャはインターネットにおいて重要
と言われているネットワークが対象となっており、マルチホームと
は別の用途である。また、クリティカルインフラストラクチャーの
ネットワークは例えマルチホーム接続を行っていなくても申請資格
がある。用途が違うため、申請が分かれている(JPNIC 鈴木)
- PIアドレスが小さいのでルーティングが届くとは限らないといわれて
いることについてはどう考えるか。例えばクリティカルに利用するに
も関わらずルーティングは保障されないと支障があるのではないか
-> インターネットレジストリはルーティングに関与しないことを公言
しているが、クリティカルインフラストラクチャで利用している
IPアドレスは公開している。従って、参考情報を提供し、その情
報をもとに判断するのは個々のISPに任せるというスタンスである
(JPNIC IP事業部長 前村)
-> 実際の運用についてはJANOG等ルーティングコミュニティで議論を行っ
てほしい(JPNIC IPアドレス検討委員長 近藤)
■午前の部終了
引き続き午後の部で議論を行いました
以上