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ニュースレターNo.14/1999年8月発行

5.JPNICとインターネット English Page

中国訪問記

JPNIC 副理事長 丸山 直昌

1. 序

 去る5月18日から20日にかけて北京で開催されたChina Inet99に出席し、併せて清華大学(Tsinghua University)及びCNNICを訪問しました。この時の様子を紹介します。

 China Inetは、私の知る限り今回95年、97年に続いて今回が3回目で、私自身の参加は97年11月の前回に続いて2回目です。会の実際の運営は北京インターネット研究所(北京英納特網絡研究所, BII)が行なっていますが、公式の主催者は中国政府、今回は情報産業部(中華人民共和国信息産業部、Ministry of Information Industry)でした。この MIIは最近、郵電部(Minisitry of Post and Telecommunication, MPT)、電子工業部(Ministry of Electronics)、それに、正式の名前は知らないのですが、放送関係の政府機関(Broadcasting)の一部が合併してできたとのことですので、前回が新生MIIの初めての主催ということになり、MIIとしてもかなり力を入れたようです。しかし大変残念なことに、直前にユーゴスラビア駐在中国大使館がNATO軍によって誤爆される事件があり、これが会の運営に結果として悪い影響を与えてしまいました。中国側としては誤爆事件はChina Inetには影響しないという立場だったようですが、折悪しくも反米デモが中国国内で起こってしまったために、主要なアメリカ企業が過敏になり、出展の中止、社員の訪中禁止などの措置を取ってしまいました。この為、Vint Cerfを始めとして多くのアメリカ人が出席できず、プログラムの確定が開催の直前までできないという、異常な事態になってしまいました。しかし、実際には北京市内は極めて平穏でした。

2. China Inet

 初日18日の朝には、MII部長(大臣に相当)を主要な参加者がお迎えするという儀式がありました。プログラムの組み方は、上記アメリカ人の大量キャンセルの影響もあってか、かなりの無理があり、私自身、ドメイン名の紛争対処手順の話しをすると事前に予告していたにも関わらず、19日午後の「ネットワーク応用技術」(網絡応用技術専題)のセッションに入れられてしまいました。私の講演の一つ前は、プログラムでは「CERNETの次世代IPv6計画」(CERNET的下一代Ipv6計画)の題目で清華大学の李星(Li Xing)教授が講演することになっていました。この人は中国のインターネットの草分け的な存在の人で、今年の3月のAPNICの総会でAPNICのExecutive Council Memberに当選した人であり、また私が今回清華大学の案内をお願いした人でもあるのですが、しかし講演会場に行ってみると、実際にIPv6に関する講演をやっていたのはLi Xing教授ではなく、彼の大学院生の陳 茂科(Chen Maoke)さんという青年でした。この講演は300席ほどの会場のかなりの部分が埋まっており、盛況でした。IPv6に対する中国の関心の高さと、Chenさんの講演の熱意が、中国語が解らない私にも感じられました。

 私の講演は、上にも書いたようにセッションのテーマとは少し離れた内容となっていたため、残念ながらChenさんの講演と時に比べると数分の一に聴衆が減ってしまいましたが、それでも一部の人は熱心に聞いて下さいました。

3. 清華大学訪問

 3日間のコンフェレンスが終り、5月21日(金)には清華大学とCNNICを訪問しました。両者はともに北京の北西部にあり、さほど遠くないとのことで、清華大学を先に見て、その後CNNICを見ることにしました。前回97年のChina Inetの時には、私はCNNICの方は訪問してますが、清華大学の方は今回が始めてです。IPv6の講演をしたChen Maokeさんが私をホテルから清華大学までタクシーを使って案内してくれました。まず李教授の部屋を訪問し、続いて彼の案内で清華大学が運営するCERNET(中国教育和科計算机網)の施設を見せて頂きました。見学中に李教授の先生にあたるWu(「口」の下に「天」を書く)教授とも1分ほど挨拶をする機会がありました。

 CERNETは中国の4つの大きなプロバイダの一つであり、中国国内の大学、学術研究機関のネットワーク接続を手掛け、また .edu.cn の管理運営もやっています。CERNETの施設は、清華大学では李教授の部屋がある建物の中にあり、そこにはネットワークのオペレーションをする人達とともに .edu.cn の登録管理を行なう人達がおりました。 .edu.cn の方の部署の部屋には5、6名の職員がいました。また、これらの部屋に隣接して、清華大学自身の計算機センターの機能もありました。学生のための端末室も見せて貰いましたが、出入口にはパソコンに接続されたバーコード読み取り機があり、入退室の時間を記録し、課金の管理に使うということでした。

 学生のインターネット利用に関して聞いてみたところ、一般学生には国外到達できないセグメント上のマシンのアカウトが交付されるそうで、指導教官の許可を得た学生だけが国外到達できるセグメント上のマシンのアカウントを貰えるということでした。コンピュータ上の中国語の利用に関しては、意外に普及が遅れているようで、電子掲示板システムをインストールしたが、中国語の扱いが問題になっているとか、政府は中国語専用端末の利用を奨励しているなどの話しを聞きました。専用端末はちょっと時代錯誤と思いましたが、これにはWindowsのソフトの価格の異常な高さが背景にあるようでした。中国語版Windows98とOffice97の価格は定価でそれぞれ1998元と7400元で、その日の夕方立ち寄った安売りショップでは20%引きで出てましたが、1元が15~16円、北京市内のバスが市内均一0.5元の国で、この値段は目の玉が飛び出るほどの値段といわざるを得ないでしょう。もっとも私は最終的に両方合わせて5900元で買うことができました。あまり高くて数が出ないので、数少ない購入者を逃したくなくて破格の安売りに応じたようです。また私が外国人で、領収証が中国国内の企業や役所の会計に回る心配がないということも関係あったかも知れません。

4. CNNIC訪問

 21日午後はCNNICを訪問しました。近くの中華料理店で昼食後、会議室で張 文輝(Zhang Wen-hui)さんとドメイン名の紛争対処手順の話しや、IPアドレスの割り当ての話しをしました。彼女はCNNICの事務局長の毛偉(Mao Wei)さんの義妹で、CNNICでは主にIPアドレスを担当しているとのことでした。IPアドレスの担当者は彼女を含めて2人で、もう一人はその日はIPアドレスの申請者のところに実地検分に行なっているとのことでした。

 CNNICは中国科学院の中にあり、前回97年の時も訪問していますが、前回よりかなり人数が増えていました。CNNIC訪問で驚いたことは、中国科学院の門の横にある案内表示の中に「NEC公司」というのがありました。どうやら空いている部屋を民間企業に貸して賃料を稼いでいる様子です。国家の機関がこういうことをやっているというのは日本的感覚では理解に苦しみます。

5. 中国プロバイダ事情

 さて、ここで中国のプロバイダ事情について触れておきましょう。これはLi Xingや、その他CNNICの人にも聞いた話しを元にしています。

 市場経済が導入されつつある中国では今やISPの数もかなりに上っているようですが、国際回線を持つことは従来郵電部(MPT)の許可制になっていて、China Net, China GBN(China Golden Bridge Network), CSTNET(China Science and Technology Network, 中国科技網絡), CERNET(China Education and Research Network, 中国教育和科研計算机網)の4つだけでした。China NetとChina GBNはそれぞれChina TelecomとJi-Tong(吉通)という通信キャリア会社が運営しており、これらの会社は過去はそれぞれ郵電部(MPT)と電子工業部(Ministry of Electronics, MOE)の傘下であったそうですが、現在は民営化されているそうです。またCSTNETは中国科学院(China Academy of Science)が、CERNETは国家教育委員会が運営していますが、最後のCERNETは実際上は清華大学が運営の中心となっています。

6. 最近の変化

 ここまでは97年の訪問の時にも聞いた話しですが、最近この状況に大きな転機がやって来たようです。一つは5番目の国際回線プロバイダとしてUninetがこの4月に許可されたこと。このUninetを運営するUnicomは、鉄道部(Ministry of Railway)、電力部(Ministry of Electricity)、それに電子工業部(Ministry of Electronics, MOE)の支援によって出来たということです。もう一つの変化は情報産業部(Ministry of Information Industry, MII)の誕生です。MIIはMPTとMOE、それに正確な名前は聞き損なったのですが、放送関係の政府機関の一部が合併してできたということです。

7. CNNICの将来

 このような状況下でCNNICの行く末がどうなるか、非常に興味がある問題です。と言うのは、CNNICは1997年7月1日に、China Net, China GBN, CSTNET, CERNETの協力によって成立し、四者から出た担当者が構成するCNNIC工作委員会で運用方針が決定されることになっていました。つまり発足当初は4つの主要プロバイダの支持、言い替えれば、郵電部(MPT)、電子工業部(Ministry of Electronics, MOE)、中国科学院、それに国家教育委員会という4つの役所の共同支援によって成り立っていたわけですが、今ではその支持構造が根本的に変化してしまったということになります。この点をCNNICの張 文輝(Zhang Wen-hui)さんとWalter Wuさんに聞いてみたところ、MIIの中にはCNNIC取り潰し論を唱える人も擁護する人もおり、将来は全くわからないということでした。また、当初は定期的に開催されていたCNNIC工作委員会は、昨年秋以来開かれていないということです。

8. 国際互聯網、英納特網絡、因徳網

 インターネットを示す中国語として「国際互聯網」はご存知の方も多いと思います。これはChina Inetのプログラム冊子などにも随所に見られます。ところが、このChina Inet99の開催を実質任されているBeijing Internet-networking Instituteの名刺を見ると、「北京英納特網絡研究所」と書いてあるので、どうやら「英納特網絡」というのもインターネットを意味ようでうす。さらに今回の北京滞在中にたまたまホテル近くの郵便局を通りかかったら、壁に 代収Internet因徳網服務費 と書いてあって、興味をそそられました。「因徳網」もまたインターネットを表すようです。またこのことは、北京ではインターネットが序々に市民にも浸透し始めていることを伺わせる事実として、印象深く感じました。

 今後もアジアの大国中国のインターネット事情については、機会あるごとに情報を集めておきたいと考えております。

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