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ニュースレターNo.16/2000年4月発行

3 特集: IPv6 English Page

3-1 IPv6 sub-TLAアドレス割り振り申請窓口サービスの開始について

JPNICでは、2000年1月20日から、IPv6のsub-TLAアドレス割り振り申請の受け付けを開始しました。また、3月1日よりIPv6アドレスを持つネームサーバをJPドメインのDNSに登録することができるようになりました。

ここでは、IPv6とそのアドレス構造に関する簡単な解説と、JPNICが提供するサービスの背景と内容について説明します。

IPv6とは

IP (Internet Protocol)とは、インターネットの基礎となっているプロトコル(通信を行うための手順を決めたもの)で、現在のインターネットではIP version 4(以下IPv4)というものが使われています。IPv4は、インターネット黎明期から現在に至るまで、その歴史を支えてきた基盤技術と言えます。

ご存じのようにインターネットの利用者は爆発的に増加し、その応用分野も非常に多岐にわたっています。このような状況の中で、IPv4ではこれからのインターネットを支えていくことができないのではないかという問題点がいくつか議論されてきました。IPv4が抱える問題としては、利用できるIPアドレスの数の制限や、経路制御上の問題、ルータに対する負荷が高いことなどがあげられます。また、新しい分野のサービスに対応するために、さまざまな機能追加要求もあります。

IPv4に対するこれらの問題を解決し、機能的な要求を満たすために、新しく設計されたプロトコルがIPv6 (IP version 6)です。

IPv6 アドレスの構造と割り振り

IPv6のアドレスは、IPv4の32bitから128bitへと、長さにして4倍、アドレス空間の広さで実に2の96乗倍という広大な空間へと拡張されました。IPv4では、ネットワーク部はクラス、またはCIDRという技術により可変長でしたが、IPv6では64bitの固定長となっています。下位64bitがホスト(正確にはインタフェース)固有のアドレスとなります。

この128bitのアドレスは、次の図のように構造化されています。このうち、TLA ID (Top-Level Aggregation Identifier:最上位集約子)とNLA ID (Next-Level Aggregation Identifier:次階層集約子)を用いてアドレスの割り振りが行われます。そして、エンドサイトへは /48(先頭から48bitが上位プロバイダから指定される)を最小単位として割り当てが行われます。エンドサイトは残る16bitのSLA ID (Site-Level Aggregation:サイト階層集約子)を用いて組織内のサブネットを構築することができます。

図:IPv6 アドレス構造
図:IPv6 アドレス構造

アドレスの割り振り階層は、RIR[*1]からインターネットの基幹を構成する組織にTLAが割り振られ、TLA組織からそこに接続している組織に対してNLAが割り振られます。

NLAは24bitの中でさらに階層構造を取ることが可能で、TLAからNLA1、NLA1からNLA2といった割り振りができます。最上位NLAに何ビットを用いて割り振りを行うかはTLA組織の裁量に任され、割り振られたNLA領域の残りの部分をどのように利用するかはNLA組織に任されています。

図:TLA と sub-TLA
図:NLAの階層的な割り振り

IPv6のsub-TLAとは

IPv6の最上位割り振り単位はTLAですが、TLAは /16という非常に大きな割り振り単位です。IPv6ネットワークの運用はまだ始まったばかりです。そこで、このような状況の中ではアドレスの割り振りを慎重に行うべきであるという考えによって、TLAの下にそれよりも少し小さな割り振り単位として /29のsub-TLA(以下sTLA)が作られました。実際にsTLAとして割り振られるのは予約領域を含めた /35となっています。

図:TLA と sub-TLA
図:TLA と sub-TLA

なお、前節で述べたように、IPv6アドレスを利用するにあたってsTLAの取得は必須条件ではありません。sTLAは経路集約の最上位に位置し、下位層のNLAへとアドレス割り振りを行います。NLAは複数階層を持つことができるので、NLA組織はさらに下位のNLA2へとアドレス割り振りを行う場合もあります。sTLA組織やNLA組織はエンドサイトにアドレスの割り当てを行います。

sTLAの割り振りについてはRIRによる基準が定められており、割り振りの可否は各RIRが審査します。詳しくはIPv6の割り振り・割り当てに関するポリシードキュメント[*2]、およびJPNICのWEBなどを参照してください。

IPv6 sTLA申請受付サービス開始の背景

IPv6のsTLAを割り振るのはRIRであり、sTLAを取得してIPv6を利用しようとする組織はRIRに申請を行う必要があります。我々の地域ではAPNICということになりますが、APNICはAPNIC会員となっている組織に対してのみ割り振りを行っています。JPNICはAPNIC会員であるため、JPNICの会員組織がsTLAの申請を行うためにAPNIC会員になると会員構造の二重化になってしまいます。

JPNICはJPNIC会員を代表してAPNIC会員となっている(これをconfederationといいます)ので、JPNICを通すことでJPNIC会員組織がAPNICにsTLAの申請を行えるようにJPNIC-APNIC間で調整を行ってきました。

1999年の12月までに調整を終え、12月に開催されたInternet Week 99においてサービスの内容を発表することができました。そして2000年1月20日よりsTLA割り振り申請の受け付けを開始しました。

IPv6 sTLA申請受付サービスの内容

sTLAの割り振りはRIRが行うものなので、JPNICはJPNIC会員から申請を受け付けてAPNICに取り次ぐエージェントサービスを提供します。JPNIC会員がsTLA申請を行う際の手続きの流れは次のようになります。

  1. APNICハンドルの取得およびメンテナオブジェクトの登録。
  2. JPNICの提供するsTLA申請WEBに必要事項を記入する。
  3. 記入内容が申請者にメールで送られるので、内容を確認してJPNICの申請受付窓口に送る。
  4. JPNICから申請の意思と内容の確認メールが送られるので、それに返答する。

以上を行うことでsTLA申請が受理されます。この際の注意事項がいくつかあります。まず(1)ですが、sTLA申請を行う際には、APNICのデータベースに登録されるIPv6ネットワーク情報の "admin-c"、"tech-c" となる人物をあらかじめAPNICデータベースに登録しておく必要があるということです。また、IPv6ネットワーク情報を管理するためのメンテナオブジェクトも登録しておかなければなりません。手続きの詳細についてはAPNICのWEBを参照してください。次に、(2)において申請内容を記述する際には必ずすべて英語で記入をしてください。JPNICでは申請内容の翻訳は行いません。これは、翻訳によって意味の取り違いが起こることを防ぐためです。そして(4)の意思確認が行われてはじめてsTLA申請がJPNIC窓口で受理されたことになります。

JPNICは会員組織からsTLA申請を受け付けると、それをAPNICへ送ります。APNICは内容を審査し、必要があれば質問を行います。JPNICはこの質問と回答の取り次ぎも行います。この際のやりとりはすべて英語で行われます。

申請内容がsTLAの割り振り基準を満たしていると判断されると割り振りが行われます。申請内容に基づきAPNICデータベースに割り振り情報が登録され、JPNICから会員組織に対して割り振り通知が行われます。

割り振りが行われると、JPNICから会員組織に対して手数料の課金が行われます。申請が不承認となった場合には課金されません。/35のsTLAの割り振りに対する課金金額は2000年3月現在で5万円となっています。この金額はAPNICの手数料やサービス範囲の変更などにより今後改訂される可能性もありますので、あらかじめその旨ご了承ください。

sTLAの申請手数料は2か月に一度の業務委任手数料の請求書の中の1項目として請求されます。

手続きの詳細については「IPv6 sub-TLA 割り振り申請 WEB」[*4]をご覧ください。

IPv6アドレスを持つネームサーバの登録サービスの開始

3月1日より、JPNICデータベースの[ホスト情報]へIPv6アドレスを持つネームサーバの情報を登録することができるようになりました。これにより、WHOISにおいて[ホスト情報]の[IPv6アドレス]項目が表示されるようになります。また、このIPv6アドレスは、JPNICが管理するネームサーバにAAAA資源レコードとして設定されます。詳しくは登録ガイド[*5]をご覧ください。

現在はJPのプライマリDNSはIPv4のみの接続となっており、直接IPv6で接続することはできませんが、JPNICではDNSへのIPv6接続性を提供するための検討を進めています。

おわりに

IPv6に関するJPNICの問い合わせ窓口は次のアドレスとなっています。ご意見・ご要望などがありましたらお気軽にお問い合わせください。

ipv6-support@nic.ad.jp


[*1] RIR (Regional Internet Registry):地域レジストリと訳される。2000年3月現在、APNIC、RIPE-NCC、ARINの3組織が地域レジストリとして承認されている。

[*2] 「PROVISIONAL IPv6 ASSIGNMENT AND ALLOCATION POLICY DOCUMENT」
http://www.apnic.net/docs/ipv6-policy.html
JPNIC による翻訳文も公開しています。
「IPv6 の割り振りと割り当てに関するポリシードキュメント」
http://www.nic.ad.jp/jp/internet/doc-j/ipv6/v6-rir-policy.html
ftp://ftp.nic.ad.jp/jpnic/translation/v6-rir-policy.txt

[*4] http://www.nic.ad.jp/jp/regist/ipv6/index.html

[*5] http://www.nic.ad.jp/jp/regist/db/doc/db-guide-v6.html

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