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ニュースレターNo.21/2002年7月発行

インターネット10分講座:ENUM

ENUM(イーナム:Telephone Number Mapping)はインターネット電話を実現するための技術の一つで、電話番号とインターネットアドレスの対応付けを行う、電話番号案内のようなサービスです。

電話とインターネット

今日のインターネットの普及には、電話網の存在は欠かせないものでした。インターネット接続といえば、電話網を利用してISPにダイヤルアップするのが最も簡単な方法だったからです。また、Webの閲覧やメールの交換といった、間欠的で低速な接続環境でも十分実用的なアプリケーション利用が中心だったことも一因です。

電話は音声の伝達に適した回線交換方式、インターネットはデータ通信に適したパケット交換方式のネットワークですから、そもそも目的も方式も異なるものです。したがって、回線交換のネットワーク上でパケット交換を行うことや、その逆は、さまざまな障壁がありました。しかし、技術の進歩や制度の見直しによってその障壁は低くなり、一般利用者が意識しなくとも済むバックボーンから徐々に、音声の伝達もパケット交換のネットワークを利用するようになってきています。

昨今のADSLやCATVインターネットの急速な普及にともない、インターネットも常時接続が一般的になりつつあります。一般利用者が、インターネットを使って電話(リアルタイムな音声通信)ができる環境は、整いつつあります。

電話番号とIPアドレスの対応付け

電話でもインターネットでも、誰かと通信するためには、相手が持つネットワーク上での一意な識別番号(物理アドレス)を指定しなければなりません。電話では、当たり前のことですが電話番号がその物理アドレスになります。一方、インターネットの物理アドレスはIPアドレスです。つまり、電話網に接続されている電話機と、インターネットに接続されている電話機の間で通信が行われるためには、音声信号の変換だけではなく、電話番号とIPアドレスの対応付けが必要になるのです。その対応付けの一部を行うのが、今回説明するENUMなのです。

なお、ここで「一部」とあるのは、ENUMは電話番号をURI(Uniform Resource Identifiers)※1に対応付けるものだからです。URIを実際のIPアドレスと対応付け、通信を行うのはさらに別のサービス(SIP(Session Initiation Protocol)※2やIM(Instant Messenger)※3など)になります。

通常、電話をかける手順は

  1. 通話したい相手の電話番号を、電話帳から探す、電話番号案内に問い合わせるなどして調べる
  2. 電話機に電話番号を入力し、回線を接続して通話する

となります。インターネット電話では、電話番号は物理アドレスではありませんので、利用者からは見えないところで2.は

2-1. 電話機に電話番号を入力する
2-2. ENUMで電話番号をURIに変換する
2-3. URIで指定されるサービスに接続して通話する

という順序で処理されることになります。インターネットに接続された端末同士のインターネット電話では電話番号は必要ではありませんので、1.と2-1.および2-2.が、2.と2-3.が概念的には同等の作業となります。

インターネットではDNS(Domain Name System)がドメイン名(論理アドレス)と物理アドレスの対応付けを行っています。実は、ENUMはこのDNSの仕組みの一部として実現されています。より正しくは、ENUMはDNSで電話番号をURIに対応付けるための方式を定義しているのです。

DNSはインターネット利用者の誰もが、どこからでも参照できて、同一の回答が得られるサービスです。これは、問い合わせのための形式が決まっているから可能なのです。ENUMはRFC2916で、DNSの問い合わせにおける電話番号の表現形式と、その回答の表現形式を定義しています。

ENUMでは、電話番号はE.164というITU(Inter-national Telecommunication Union)で規定された国際標準形式で扱います。E.164形式の電話番号をENUMで参照する場合は、すべての番号を1桁ずつ区切り、逆順にピリオドで区切って並べ、最後にe164.arpaを付けた表現形式に変換します。例えばJPNICの代表番号である

 03-5297-2311

はE.164形式だと

 +81-3-5297-2311(81は日本の国番号)

となりますので、ENUMで参照する場合には

 1.1.3.2.7.9.2.5.3.1.8.e164.arpa

という表現形式となります。このような変換は、IPアドレスの逆引きでも使われており、階層構造を持つ名前空間の構成要素を左から右に並べるというのは、インターネットではおなじみの方法です。

 上記のENUMの形式に変換された電話番号でDNSに問い合わせると、例えば

 sip:info@nic.ad.jp

という回答が得られ、この回答にしたがってnic.ad.jpのSIPサーバに接続を要求することになります。(図1)

図1
図1 固定電話からインターネット電話への着信
総務省「IPネットワーク技術に関する研究会報告書」2002年2月を元に作成

ENUMの課題

ENUMの名前空間の管理は、電話番号の管理と対応付けられます。一方で、ENUMはDNSの一部ですから、ドメイン名の管理とも対応付けられます。従来まったく異なる管理が行われてきた電話番号とインターネットのドメイン名が、一つの空間として管理されることになるわけです。そのため、国際協調のもとでのガバナンスが、ますます重要となります。

ENUMのアドレスを示すe164.arpaという空間はTier0と呼ばれ、国際組織が管理することになっています。また、1.8.e164.arpaという国番号を持つ空間はTier1と呼ばれ、その国番号を持つ国(の中の組織)が管理することになっています。さらに、その下の名前空間はその国内での管理となりますが、事業者に割り当てられる空間はTier2と呼ばれます。通常のドメイン名空間の管理構造と対比させるなら、Tier0がICANN、Tier1がccTLD、Tier2がISPということになります。(図2)

図2
図2 ENUM DNSサーバの階層構造
総務省「IPネットワーク技術に関する研究会報告書」2002年2月を元に作成

日本では、050という番号で始まる電話番号がインターネット電話のために割り当てられることとなりましたが、ENUM的にはこれは0.5.1.8.e164.arpaという空間にインターネット電話の番号が配置されることを意味します。従来の電話からインターネット電話に電話をかける場合は050で始まる番号を使えばよいのですが、さて、インターネット電話から従来の電話に電話をかける場合はどうすればよいでしょうか。ENUMはインターネットの標準ですから、世界中どこでも共通のE.164形式で8150から始まる番号でのみ入れるべきだという考え方もありますし、慣れ親しんでいる形式の050でも入れられるべきだという考え方もあります。あるいは、110番や119番のような特別番号はどうすればよいでしょうか。

インターネット電話への期待は高まっており、同時にそれを支えるENUMの早急な実用化も期待されていますが、実はまだENUMの運用に関しては、上記のようにわかっていること、また安定性や性能指標などよくわかっていないことを含めて、少なからず課題が残っています。Tier0のドメイン名としてe164.arpa は適切ではないという意見もあります。ENUMはDNSの一部であり、DNSはインターネットのインフラですし、電話は社会のインフラですから、その課題解決法の検討は、社会全体で議論していくことが必要なのです。

参考URL

IETF ENUM WG
http://www.ietf.org/html.charters/enum-charter.html
ITU ENUM activities
http://www.itu.int/osg/spu/enum/index.html
総務省「IPネットワーク技術に関する研究会」報告書
http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020222_3.html
総務省「電気通信番号規則一部改正(案)に対する意見の募集」
http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020513_1.html

※1 URI(Uniform Resource Identifiers)
アクセスプロトコルとアドレス情報のセットを表したもので、インターネット上の住所にあたる。おなじみのhttpプロトコルで使用するURLもURIの一種。
※2 SIP(Session Initiation Protocol)
通話制御プロトコルの一つ。音声通話以外にもボイスメール、インターネットファックス等が利用可能。
※3 IM(Instant Messenger)
インターネット上で同じソフトを利用している仲間がオンラインかどうかを調べ、オンラインであればチャットやファイル転送などを行うことができるアプリケーションソフト。

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