メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索

ニュースレターNo.22/2002年12月発行

JPNIC会員と語る●株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)
インターネット変革期。JPNICの使命とは?

今回の対談は日本のインターネット業界の草分け的存在、 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)です。 今年で設立10年を迎えたIIJの代表取締役社長 鈴木幸一氏に、 日本のインターネットサービスの10年を振り返ってもらうとともに、 今後の展望、またJPNICに望むことを、JPNIC会員企業の立場から語っていただきました。
鈴木社長は今回の対談に参加したJPNIC松本副理事長、 佐野理事とは旧知の間柄でもあり、対談はカジュアルなムードで進められました。

写真:対談の様子
左よりJPNIC松本副理事長、IIJ鈴木社長、JPNIC佐野理事

対談者紹介: 株式会社インターネットイニシアティブ 代表取締役社長◎鈴木幸一
JPNIC副理事長◎松本敏文
JPNICインターネット基盤事業担当理事◎佐野 晋

これまでの10年、これからの10年

10年を振り返って

松本 この10年間、 IIJは独立系事業者としてインターネット業界を引っ張ってきました。 特に技術的な貢献は絶大です。 満10年を迎えられた現在、 鈴木社長がこれまでの事業展開とこれからの10年間をどう捉えているのか聞かせてください。
鈴木 利用者数の成長は10年前の予測通り。 でも低価格競争がここまで進行するとは考えていなかったなあ。 ブロードバンド化の普及も、思いの外早かった。 それから通信品質に対する消費者側の姿勢もずいぶん変わってしまったから、 戸惑いを覚えることも正直多い。 携帯電話サービスが普及して通信が途中で切れても怒らない利用者層というのが主流になったし、 またインターネットの世界でもベストエフォート型の低価格サービスが市場を席捲している。 世界一の品質の高さを誇っていた日本の通信サービスはどこに行くのだろうと、 時々考えてしまいますね。
 約10年前からIIJのお客様は品質に対して非常にナーバスだった。 今でも当時の品質に対するナーバスさが、IIJサービスの基準になっていますよ。 ユーザーがプロだというところが、 今日に至るまでIIJという会社を形づくっているんじゃないですかね。
松本 IIJは一貫してインターネットサービスの品質や技術革新に対する世論を引っ張ってきたわけですが、 それを支えてきたのがユーザーの品質に対するこだわりということですね。
鈴木 この10年、思い通りに行くことばかりでは決してなかったけど、 新しい情報通信をつくってきたという自負がある。 「昔はね、電話網を使ってインターネットをやってたんだよ」という未来をイメージしたTVコマーシャルをやろうなんて話も数年前にあったんだけど、 いまや僕らが取って代わろうとした電話が本当にIPの上に乗ってきてしまう時代になった。
 つまり通信業という概念そのものがバーチャルになってしまったんですよ。 今後はコンピュータシステムとネットワークが両輪になって、 新しい情報通信をつくっていくことになるでしょう。 IIJグループは96年からネットワーク・インテグレーションを提供する事業会社を立ち上げているのだけど、 2002年3月期の売上構成をみると、 このインテグレーション事業からの売上規模が、 すでに接続サービスと均衡しているんです。
 企業顧客の契約帯域も、急激に広帯域化していますよ。 専用線接続サービスでは1Gbpsを越えるお客さんもでてきているし、 1顧客当たり平均契約帯域も10.45Mbpsまで伸びているんです。
松本 平均で、10.45Mbpsですか!
鈴木 一方で、昔のほうが儲かったけどね(笑)。 1994年頃は、64kbpsの専用線接続サービスで40万円位だったから。
松本 儲かったというより、健全な経営、 健全な投資ができていたということですよね。
鈴木 1997年ごろまでは、その先の10年を考えて技術屋を育てていた。 その時の蓄積が、今のサービス開発に生きている。 あの健全で平和な時代がなかったら、 技術的にここまで先頭に立ち続けることができなかったかもしれないなあ。

1000人の技術者集団をめざして

松本 そう言う意味では、 この10年間で最も人材を育成されたのはやはりIIJさんですよね。 事業もさることながら、そういう点での業界への貢献度も高いですよね
鈴木 設立当初の厳しかったときのIIJカルチャーを残していきたいというのが、 僕の野望なんですよ。 先駆者としての思いとプライドを、若手にどのように継承していくか。 今、開発の主流は30代半ばくらいの社員が中心になっているんだけど、 「売れるサービスを作ろう」とか「コストを考えた運用をしよう」とか、 バランスがとれてしまっていることに時々違和感を覚えますよ。 昔は檻のない動物園みたいだったのに(笑)。
佐野 インターネットそのものがそういう世の中でしたからね。 檻の定義さえもない状態ですから。
鈴木 そうそう。そういうカルチャーに対する非常に強い思いを、 残していったほうが面白いよね。
松本 そういう思いを力にしていくという意味では、 鈴木さんの存在が大きいですよ。
鈴木 いや、やっぱりエンジニア達が自ら伸びていくことですよ。 僕には、1000人単位のエンジニアを育てたいという夢があるんです。 技術競争を前面にださないと生き残っていけないので、 技術面で頑張り抜けるというカルチャーは維持したいですね。
松本 1000人の技術者集団を作るというのはまだ、 on the way なんですね?
鈴木 熱意を持った技術者を、今でも集め続けていますよ。 IIJを大会社だと思って入ってくる人もたまにいて、困ることもあるけどね。
松本 創成期のことを分からない人もいますからねえ。
鈴木 まあ、IIJは孤立してやってきたというのがありますよね。
松本 孤立というよりも、 独自のストラテジーをずっと持っていらっしゃったから。 例えばアメリカにもいち早く行かれてピアリングなど、どんどんされてましたよね。 そういうことをしないとISPとして本当のビジネスができないんだという、 そんなストラテジーがあったのでは?
鈴木 他にやる人がいなかったから、IIJがやらなくてはという自負はあった。 確かにアジアやアメリカは一所懸命やったかなあ。
松本 全部独自にされましたからね。 日本の他のISPでそれをやったところはないですから。
鈴木 松本さんの紹介でAT&T行ったのも早かったね。 メトロポリタンネットワーク、今の広域イーサネットみたいなものが流行り始めて、 ATMではなくてもおもしろいことができることを知った。 その時から物理的な「線」により近い事業領域まで踏み込まないと、 巨大な電話事業者には対抗できないという気持ちを抱き始めたんですよ。
松本 新しい技術をとりこむのは、 アメリカに拠点を持った方が早いですしね。 (株)クロスウェイブ コミュニケーションズ(以下、クロスウェイブ)を作られたのは、 線を持たないISP(補足:IIJは特別第二種電気通信事業者であり、 第一種電気通信事業者のように自前の回線を持たない)がどうなるのだろう、 という問題意識からですか?
鈴木 先進的なサービス形態をアメリカでたくさん見ているうちに、 新しい通信サービスをつくるためには自分たちで線を保有しなければならないという結論に達したんです。 それで第一種電気通信事業者であるクロスウェイブを98年に設立しました。

写真:松本理事、佐野理事
左/JPNIC副理事長 松本敏文
右/JPNIC理事 佐野晋

ブロードバンドは日本がリードする

鈴木 今の日本は、世界からみるとブロードバンドの実験場になってます。 次の10年、日本はもしかしたら世界トップクラスの通信コンセプトを掲げているかもしれない。 国土が狭いからインフラ投資も小さくて済むし、 教育レベルが高いから新しいツールの浸透が早い。 あと、すぐやってみようかという気になる国だから、ある流れにみんなのってくる。
 一方、日本のブロードバンド爆発に対応できる機器の開発は遅れているんですよ。 例えば東京エリアのIX(インターネット相互接続拠点)なんて、 今や40Gbpsを越えるトラフィックがあるけど、 現時点で10Gbpsを扱える機器自体は少ないし、あってもべらぼうに高いんだよね。
松本 日本での機器開発が遅れているという意味ですか?
鈴木 遅れています。 アメリカも遅れているけど、アメリカではブロードバンド自体やっていないからね。 IIJでもいろいろ研究しているけれど、なかなかいいモノがない。 ベータ版以前というレベルですよ。
松本 ネットワークはこれまでアメリカが先端的な開発拠点でしたが、 ブロードバンド化を睨んだら、 日本が引っ張っていくことになるシナリオもありますか?
鈴木 可能性は、大いにあると思ってます。 日本はブロードバンド需要があり、既にそのマーケットができている。 インダストリーとしてみれば、 アメリカが80年代末から90年代にさまざまな新しいネットワーク機器で業界を席捲したようなことを、 日本がこれから再現できると思うんですよ。 ただこのトレンドを、日本の通信機器メーカーはまだ捉えきれていない。 残念ながら不況だし。だけどこれは千載一遇のチャンス。 ぜひ日本のメーカーにも真剣に取り組んでいただきたいと思っているし、 その時はIIJも積極的にノウハウを出していけるんじゃないかと考えています。
 あと今、ブロードバンドだといって、 トラフィック制御もしないようなサービスが安いということだけ爆発的に売れている。 だけどそれは、 日本が将来のネットワーク社会を考えていく上ではどこかで軌道修正しなければいけないでしょう。 高品質にかける姿勢は、やはり世界的に生きていく上で日本にとっては重要です。 僕たちにも、価格を下げてより多くの人に使って欲しいという気持ちもあるけれど、 サービス開始当初から掲げている「高品質」「高信頼性」「高速性」は今後も守っていきたいんです。 まあそうはいっても最近は儲けようとか言い始めて、少し品が悪くなったけど(笑)。
松本 いえいえ。儲けなきゃ企業としてはよくないですよ。
鈴木 高品質や高信頼性というのを失わずにやっていけば、 日本はインダストリーとして世界的なポジションを、 もう1回とれるような気がしますね。
松本 これから10年、 日本がリーダーシップをとっていくためには課題がたくさんあるはずですが、 その重要な部分をIIJさんがリードしていくわけですね。
鈴木 僕らだけでなく、いろいろな協力関係のなかで、 IIJがためたノウハウを外に出していきたいと思ってますよ。
松本 なるほど。それがこれから取組んでいかれる課題なんですね。
鈴木 僕らが貢献できるとしたら、今まで10年ためこんだ技術を使って、 インターネットを良くしていくということだと思ってます。 インターネットがビジネス・ライフラインになった今、 例えばセキュリティ一つとっても、深刻に対応が迫られてますよね。
松本 そういう観点からも、 電力系通信会社とのコラボレーションもあったわけですか?
鈴木 やはり競争が、未来をつくっていくんですよ。 IIJには、 今一番強い会社に対して対抗できるようなインフラを構築するだけの技術的蓄積がある。 僕は将来、アクセスはイーサネット接続で、 バックボーンはIPになると思っているんです。 インターネットをやりたいお客さんはイーサネットに接続するだけ、 ということを実現したいんですよね。
松本 なるほど。 IIJさんには技術面でのアドバンテージがあるので、 それでリーダーシップを発揮していただきたいですね。 ところで1000人の技術屋集団の達成時期というのはいつ頃になりそうですか?
鈴木 まあ、数年で達成できたらいいなあ。 IIJの人員構成は4分の1が営業部門で、 管理部門は10%弱。残りは全部エンジニア関連部門になってます。

JPNICに望むこと

JPNICの使命とは?

松本 さあ、JPNICも11年経ったんですけども、 ドメイン事業を切り出して(株)日本レジストリサービス(以下、JPRS)を作りました。 インターネットもブロードバンドへと環境が変化しており、 JPNICも新しい方向に進まなくてはなりませんが、 それに対して鈴木社長はどう思われますか?
鈴木 社団法人は、使命がなくなったらやめたほうがいい。 これは僕の教訓です。 だから今の使命が何かということを絶えず考えていく必要がある。 僕が前に勤めていた社団法人は、 環境の変化に伴い本来の使命をがらりと変えて存続しました。 JPNICはそこまではいかなくても、 インターネット全体を見据えてニュートラルに提言をしていくことで、 インターネットをいい方向に導いていくという使命がある。 JPNICでなくてはできないものは何かという意識を、 常に強くもっていただきたいなあと思いますね。
松本 今、使命がなくなったら社団はなくなったほうがいい、 またよい方向へもっていくとおっしゃいましたが、よい方向とは?
鈴木 まずはインターネットで現実に起こっていることを、 今のJPNICはもっと知った方がいいと思いますね。
松本 JPNICが?
鈴木 例えば僕らは、ネットワークの洪水とか、機器開発の遅れとか、 アジアから流入してくるトラフィックをどうしようかということを一所懸命考えているんです。 インターネットがライフライン化している状況を考えると、 例えば爆発しているトラフィック対応一つとっても、 考えなくてはならない問題はたくさんある。
 あるいはJPRSの事例のように、先駆的に何かをやって、 それが形になりそうなときに民営化していく場所としてのJPNICという意味もありますね。 いずれにしても今後のJPNICについては、 現状ある問題を踏まえた上で作りだしていかなくてはならないと思います。
松本 おっしゃるとおり、JPNICは今完全に転換期ですから、 ある程度短時間で変革をしなくてはならないと思うんですよね。 そういう意味で今いただいたアドバイスは非常に重要だと思います。 ところで、ポリシーメイキングなんていうのは使命の一つになるのでしょうか?
鈴木 なりそうですよね。 社会的な使命を常に自分で探し、 日本の流れを作っていくという行為はすごく大変です。 その意味で、 専従の理事がきちんと考えるようにしたほうがやはりいいんじゃないですか。
松本 そうですね。やっぱり専従理事が必要ですね。
鈴木 インターネットという通信のイノベーションにおいて、JPNICが今、 何をやっていくべきなのかを真剣に議論したほうがいい。 100年に1回というような大きな革新期に、 社団法人として使命を果たしていくことは適当な思いではできないと思ってます。 今まではJPNICにはドメイン管理があって、 それがないと世の中まわらないと思っていた。 JPRSができて、ドメイン管理は外に出た。 じゃあ次に、 JPNICがないと世の中まわらないというようなものは何かということじゃないかなあ。
松本 本日いただいたご意見を胸に、 JPNICの使命というものを真剣に考えていきたいと思います。 本日はどうもありがとうございました。

写真:鈴木社長
「JPNICにはインターネットをいい方向に導いていくという使命がある」
会員企業紹介
会社名: 株式会社インターネットイニシアティブ
所在地: 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-13竹橋安田ビル
設立: 1992年12月3日
資本金: 7,082百万円
主な事業: 主な事業:インターネット等のネットワークサービスの提供、 ネットワーク・システムの構築および保守・運用、通信機器の開発および販売
URL: http://www.iij.ad.jp/

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

このフォームをご利用した場合、ご連絡先の記入がないと、 回答を差し上げられません。 回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2020 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.