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ニュースレターNo.25/2003年11月発行

JPNIC会員と語る/<特別編>座談会
インターネットの今後、そしてJPNICの未来とは

[参加者紹介] ※50音順
JPNIC会員
(株)アイテックジャパン 代表取締役◎飯田幸彦氏
(株)ディーネット 代表取締役社長◎高橋一男氏
ファーストサーバ(株) 代表取締役社長◎岡田良介氏
JPNIC理事長◎村井純
JPNIC事務局長◎成田伸一
いつもの対談とは趣きを変えて、 今回はJPNIC会員の皆様がJPNIC理事長 村井純を囲むスタイルでの座談会を行いました。 インターネットの今後について、 またその中でインターネットに携わる事業者、 そしてJPNICが果たすべき役割について、話し合っていただきました。 普段会員の皆様とJPNIC理事長が直接話をする機会というのはなかなか少ないのですが、 インターネットへの想いは同じとあって、 非常に熱いトークが繰り広げられました。

インターネットのもたらした変化

成田 本日はお越しいただきありがとうございます。また皆様には日頃JPNICの活動をサポートいただきありがとうございます。ここ数年の日本のインターネットの発展は著しいものがありますが、本日は、こうした状況の中で事業を推進してきておられる会員の皆様の中から3名の方々、具体的には、JPドメイン名登録数が大きく伸びた2000年、それ以前、それ以降にJPNIC会員に加入された会員の中から、それぞれ1会員の皆様にお集まりいただきました。

村井 さて、昔はインターネットというと専門家の間でやっているという印象がありましたが、最近は利用者が激増し、インターネットに対する世の中の見方も大きく変化してきています。その点についてはどのように思われますか?

(株)アイテックジャパン 飯田 私の会社は教育関係からインターネットに入ったのですが、子供がインターネットについて学んでいくにあたって、今はあまりにも情報量が多くなりすぎたと感じます。そして、知りたい情報がどこにあるのかということばかりに関心が行き、インターネットのもともとのボランティア精神というような基本の部分はどこかに行ってしまっているように感じます。5、6年前まではそんなことはなかったんですけどね。

村井 確かにそういう印象はありますね。でもボトムアップで支えていくとか、自律的なシステムの集合であるというような本質的な部分は消えたわけではないんですよね。たとえば子供が宿題でインターネットを使うところなどを見ていると、個人でやっているWebページを見ている場合が多く、道を聞いたら親切に教えてくれるというのと同じようなレベルのことをインターネット上でも同じようにやってくれている。こういう個人レベルの情報共有の輪が、インターネットのものすごいコアなバリューを作ってくれている。マスコミなんかはとかくインターネットの刺激的なところばかりをとりあげますが、本当はそのコアなバリューは失われていないんじゃないかなと僕は思っています。

写真:高橋一男氏
(株)ディーネット代表取締役社長 高橋一男氏

(株)ディーネット 高橋 情報共有の場がボランタリーで出来るのは、私は道徳の世界とも関係していると思います。基本的な人格教育がきちんと行われているから成り立っている。たとえばインターネットゲームでは、個人レベルでお互いがフォローし合うような、ボランタリーなコミュニケーションがとれていますが、悪意があったらめちゃくちゃになるだろうなと思います。

村井 なるほど。技術的な変化についてはどうですか? 足回り回線などだいぶ変わっていますが。

ファーストサーバ(株) 岡田 レンタルサーバのユーザーは、90年代は大手企業のインターネットをよく分かっている人が中心でした。2001、2002年にかけて裾野が広がり、サーバを借りて情報発信する人が増えてきました。同時に見る方も増え、2003年になってADSLの常時接続がユーザー層の変化をもたらした。単にダイヤルアップ時代にホームページをたてて企業広告をするというのではなく、常時接続によって、これまで技術的な制約があってできなかったこと、たとえばサーバとサーバでなにかの仕組みを動かすというようなことを、中小の企業も考えるという機運がでてきました。

飯田 DBサーバだけはプライベートIPアドレスで置いてくれというように、セキュリティを第一条件で考えるお客様も増えてきましたね。顧客のレベルもあがってきたのだと思います。

岡田 インターネットとは何か? コミュニケーション革命だ、という話をよく社内でします。コミュニケーションのトポロジーという点で、間欠接続から常時接続に変わることによって何が変わるかというと、間欠接続のときは一時的双方向なのが常時接続になると恒常的双方向になるという点です。恒常的双方向接続はトポロジーの変化、コミュニケーションの飛躍をもたらします。コミュニケーションのベーシックなツールであった電話にもIPが変化をもたらしました。当初はどこの会社もIP電話はクオリティの面で使い物にならないという論調だったのが、ある点を境に急激に変わりました。

高橋 一気にきましたよね。私が思うのは、今までライバルとしての他社が脅威だったのが、常時接続になることによってコミュニケーションが飛躍し、その飛躍についていけないのではないかという自分自身に対する脅威に変わったということです。ASPの機材なども古すぎて数年後には使えなくなるという状態で、すごいスピードを出さないといろいろな技術に追い付いていけなくなることが一番怖いですね。

岡田 追い付いていけないような劇的な変化が何によってひきおこされているのか? 人と人とのコミュニケーション、意見交換のメッシュの数が、常時双方向接続に参加者が増えてくることによって爆発しているのではないでしょうか。また、この爆発している膨大なコミュニケーションからは、良いもの悪いもの含めて非常に雑多な情報が形成され、情報の新しい価値をも産み出しているように思います。

村井 僕も同じようなイメージをもっています。常時接続で誰もが使うようになるとさまざまな相乗効果が生まれる。そのエネルギーが蓄えられて爆発しましたが、その理由が何だったのかは専門家の自分にもよく分かりません。地震が起きる前の地中の圧力って、Webサーバの中身に似てると思いますよ。扱うデータの種類が変わってきて、動画データの割合がものすごい勢いで増えている。人間の欲望は果てしないから今度は動画をリアルタイムで扱うようになる。そうすると、著作権の問題や、サーバ運営者、コンテンツ提供者等、それぞれの立場の責任の切り分けの問題など、新しい創造性を必要とする問題が爆発的に発生します。こういった問題を考えていくことは並大抵のことではなく、ものすごい調査や勉強が必要です。そのための場や体制も今後は必要になってくるでしょう。いずれにせよ、そのエネルギーはとても楽しみ。怖いぐらい新しいことが起こるでしょうね。

飯田 そうですね、がらっと変わってくるんでしょう。僕はインターネットは人類の作り出した偉大なる環境だと考えています。地球という環境が与えられ、これまで我々は地球を壊すことはしてきたけれど、決して育ててはこなかった。我々の唯一作った環境はこれからきちんと育てていこうという考え方に立てば、インターネットが飛躍的な変化を遂げている今、インターネットという環境について考えるちょうどいいタイミングなのかなと思います。

「映像」 over IPの可能性

村井 人類の作り出した偉大な環境。まさにその通りですね。その環境に映像がのってきている訳ですが、今、PCの映像性能ってものすごく向上していて、日本のPCに限られますが、テレビとの融合感も強いですよね。

高橋 そうですね。その時代はやってきました。

村井 テレビに「over IP」の波が押し寄せる日も近い。

飯田 インターネットにかかわっている誰もがその予感をもっているのではないでしょうか

村井 ブロードキャストのメディアにIPをうまく流すという技術は結構難しいんですよ。今、僕たちは衛星で実験していますが、それが実現できるとモバイル機器でテレビが受信できるようになる。そうなると本当に世の中変わってきますね。映像をうまく使える人がどういうビジネスを始めるのか、とても楽しみです。皆さんは何が起こると思いますか?

岡田 非常に興味深いですね。インターネットは文字を中心としたコミュニケーション手段だったのが、Mosaic※1で文字以外のものを扱えるようになり、大いに普及、爆発していますよね。Mosaic※1が革命的に世の中に衝撃を与えたのは、まさに絵、ピクチャーが扱える点でした。インターネットは、既にIPに動画がのってくるステージに入りつつあります。そのことがコミュニケーションにどう意味をもってくるのか? 動画がリアルタイムに意思と意思を交換するコミュニケーションだけなのかというと私はそこから先は見えませんが、少なくとも電話の時よりはいろいろなものと激しく衝突するでしょう。放送法とストリームの著作権法とはかなり激しくぶつかると思います。

村井 僕もその通りだと思います。動画を使ったビジネスモデル、サービス、アプリケーションは落としどころがまだよく分からないですね。 映像に関して一つおもしろい話があるんですが、今、中学や高校では、3年間の総括といったものをグループで作らせるとき、映像で提出しなさいというらしい。そうすると子供たちは昔の映像を引っ張り出してきて、それにかっこいい音楽をパソコン上でササッと入れてしまう。足りない映像は、その時のメンバーが集まって演技したものを撮って補うのだそうです。そうすると結構なクオリティのものが簡単にできてしまう。こういうことをやっているとどんな人間ができるのかなんて、僕たちは経験していないから全然分かりません。僕たちが教育を受けたときは、自分の意見を表現する機会は、作文か読書感想文しかなかった。話し方、ましてや演技なんて、日本の教育にはあり得なかった。それが映像を使ってやりなさいといった途端に、演技を通して自分の意見を言うことを、教育の中で皆やり始める。こんなことが社会の随所で起こって、映像は根本的に日本人の生き方やコミュニケーションの方法を変えてしまいますね。

岡田 アメリカの教育課程ではプレゼンテーションがありますよね。

飯田 イギリスでも論理的に考えるという授業がありますが、今までは言葉で考えるだけだったのが、この頃は体で表現するということも授業に入ってきています。これもインターネットで映像が広がることとの相乗効果で世の中に変化をもたらすかもしれませんね。

村井 コンピュータが広まっただけでこれだけのことが可能になってしまうんです。

岡田 私は98年頃に、学校のパソコン教室作りのお手伝いをしたことがあるんですが、その時のカリキュラムの中にパワーポイント・プレゼンテーションというクラスがありました。小学生や中学生にパワーポイントを使ってプレゼンテーションをさせてもおもしろくないから、動画を入れてみてはどうかと提案してみましたが、予算がないということでその当時は断られてしまいました。

村井 ほぅ、そんなことがあったんですか。

高橋 私の会社のことで恐縮ですが、e-Japanの計画の中で「いい町づくり交付金」というものがあります。それを箕面市の小学校で、当社がいただいたのですが、その際提案したのが、昔と今と未来の画像をとってそれを編集しましょうという教育でした。その時はこういう部分で学校に入っていける余地があるんだなと思いました。

村井 高橋さんの会社のような独立した事業会社に交付金がいくのは、提案内容がいいからで、それはいいことですよね。そういう経験の中から、これからなにが起こるだろうかということが分かってくると思います。

インターネットが産み出した情報価値

村井 ところで、ある会社が小学校のWebページのコンテストというのを行った際、全国の小学校のWebページを調べたのですが、ふたをあけてみたら、上位に選ばれたWebページはほとんどが東海から西方面でした。北と東京はあまりなし。トラフィックは明らかに東京が多いのに、このようなコンテンツは西なんですよね。

写真:岡田良介氏
ファーストサーバー(株)代表取締役社長 岡田良介氏

岡田 きちんとお金をかけてつくったビジネスに使うコンテンツは、東京で作ったものという一極集中の側面は確かに強いです。しかし、インターネットの本来の情報価値は、これまで流通しなかったような、地域に閉塞していたような情報にあるのではないでしょうか。一流のライターに書いてもらえば確かにいい情報ができますが、本当に価値があるのは、たとえば水茄子のおいしい食べ方といったような地域閉塞型の情報だと思います。インターネットの登場によってこれまで価値がないと見なされていた情報にまで、新たに価値が付け加えられた。そういったインターネットの新しい可能性に、地方は積極的に取り組み始めているのではないでしょうか。特に関西はそのような情報にセンシティブだと思います。これまでは消えるしかなかった地域の情報が、ネットワーク上のデジタルコンテンツとして残ることで歴史の1ページとして記録されることは、非常に夢のあることだと思います。また、地方でさまざまな活動を行った人の記録が残り、それを全国の人が参照して共有できることは、日本人の精神文化に大きな影響をもたらすのではないでしょうか。このようにインターネットは新しい文化を産み出していきますが、その中において我々はどういった役割を果たせるのか、レンタルサーバの会社として次の新しい仕組みにどうやって貢献していけるのか、ということは非常に大きなテーマだと思います。

飯田 今、岡田さんが言われたようなことは、「ドレミの功罪」と似た面がありますよね。ドレミは、民族音楽のようなドレミで表現できない音を殺してしまいましたが、一方でそれによって次世代に音楽を残すことを可能としました。インターネットによりデジタルコンテンツ化されることで中には消えるものもあるかもしれませんが、今後さらにそれが映像化されることにより、次世代に残すものが飛躍的に増えると思います。

インターネットの未来のために~我々が果たすべき役割

写真:村井純
JPNIC理事長 村井純

村井 今、我々は何をすべきかということを少し考えてみたいと思います。僕は未来は「今」から連続していて、「今」からの変化の積み重ねだと思っています。その積み重ね、つまり僕たちが用意していく環境で、次の世代が何をしでかしてくれるかすごく楽しみにしています。インターネットって、それを使って人間が何をできるかが問題だから、次の世代の人たちが何かをやりやすい環境を作っていくことが大事だと思うし、それが我々の責任だと思います。こういう考えは昔はリアリティーがなかったけど、今はありますよね。我々の生活全てが変わるかもしれないほどの可能性を秘めたインターネットを皆さん担っているわけだから、ぜひ次の世代への環境づくりを念頭に、今できることをやってほしいと思います。また、今後は技術だけではなく、教育・文化・政治などさまざまな面で責任を持っていかなくてはなりません。以前アメリカでインターネットの専門家の集まりがあり、技術者は世界でどういう役割を担っていくべきかという議論があったんですが、社会基盤を支えている以上、技術だけに閉じずに法律家や政治家にもテクノロジーを分からせるという教育的な責任があるという結論になりました。日本の場合は、それ以外にもう1人、経営者もいると言われていますが……(笑)。

高橋 セミナーなどに出席すると、Webサイトを開設すれば絶対儲かるんでしょ、という経営者の方がいらっしゃるときがあります。そういう時は、経営がきちんと行われていないと、Webサイトを開設しただけではビジネスで大きく利益が出るというわけではないことをお伝えするようにしています。

村井 それはとても大切なことですね。ところで、インターネットはグローバルな性質のものですが、世界の中で皆さんはご自分の仕事をどう位置づけていらっしゃるんですか?

岡田 今、日本はブロードバンド大国と呼ばれていますが、Yahoo! BBさんが日本という保守的な風土において、ADSLに参入、そしてIP電話という効率的で低価格な電話網をつくりあげたということはすごい功績だと思うんですよ。ブロードバンド大国となって、コミュニケーション爆発の引金をひいたということは尊敬に値すると思います。このような環境の中で、我々が何をやっていくべきかを考えると、ビジネス上のしばりをとっていくことが非常に重要だと思います。現在は、著作権法、放送法にしても、あまりにもしばりが多すぎる。たとえば海外のホテルにいくと日本の衛星放送などが放映されていることがありますが、海外で受信したものをインターネットで配信し、それを日本国内で受信するなんていうビジネスを始める人がそのうち出てくるかもしれない。日本人がやらなければ、海外の人がやり始める可能性もあります。日本にはそういう実情とアンマッチになり始めている法律や制度などがあまりにも多いのではないでしょうか。しかもそれに対して、関係する経営陣が口を挟まないのはいけないことなのではないかと思います。

高橋 地上波デジタルの放送局や画像配信などの仕組みを検討していくと、必ずといっていいほどしばりにひっかかりますよね。

岡田 法律を考えると何もできないですよね。国策としてインターネットのストリームや、コミュニケーションの発展をどう考えるのかが、今問われているのではないでしょうか。JPNICがどういう役割を果たすのか、我々会員がどういう役割を果たしていかなくてはならないのかということが、未来ではなく現在進行形の話になってきてしまっていると感じます。

村井 そうですね。韓国では、国策でインターネットでテレビニュースを流していて、それによるトラフィックの増加からブロードバンドが発展しました。そのような何か全体的な方針のようなものが必要な時期になってきているのかもしれません。

JPNICに望むこと

成田 インターネットの今後について話をすると、皆さんきりがないようなので(笑)、最後に大事な質問を。今、インターネットは新しい局面を迎えていますが、そのような状況において、会員として今後のJPNICに望むことがあればぜひ教えてください。

高橋 JPNICがここ5年で目指すところは何かをお聞きしたい。私自身はENUMは非常に有用だと思っていて、今後5年、どのような動きがあるのかということに興味があります。

村井 5年も先のことは全然分からないけれど、僕は技術は移り変わるものだと思っています。技術には失敗もリスクもあるのだから、それは皆で共有して改善していくべきだし、そのために必要な場や体制をつくるのにJPNICとしてお役にたてればと考えています。ENUMがどういうビジネスになるかはまだ見えないけれど、電話に関していえば、この前学生と話をした時、ダイヤルを「回す」という言葉が通じないのに驚いた(笑)。さらに、最近の学生は携帯の電話帳を使うので、電話番号は直接入力しないんだよね。このように、番号をダイヤルすることから、携帯のような番号登録型に移行していき、今後は番号に頼ったソリューションというものも洗練された方法に収斂されていくと思う。あと、これからおもしろいのは今度は携帯電話がどうVoIPと絡んでくるか。今年、来年くらいで動きがあるんじゃないかな。

飯田 当社は携帯についてはASPの開発がメインなんですが、その部分に一番興味があります。

村井 VoIPと絡んで、デバイスと回線の性能があがったらコンテンツがものすごくリッチになってくるでしょうから、飯田さんの会社はやることが沢山ありそうですね。

写真:飯田幸彦氏
(株)アイテックジャパン代表取締役 飯田幸彦氏

飯田 私は、最近ボランティアというインターネットの基本の部分が忘れられていることが非常に深刻な問題だと認識しています。このような状況だからこそ、インターネットの仕組みや歴史などの基本的な情報をJPNICが発信することへの期待が高いと思うんです。インターネットの基本を知りたかったらJPNIC、というふうになってほしい。JPNICの会員になったのも、そういう期待があったからこそです。

村井 そういう形になると非常にいいですね。JPNICは今までは非常に大きなオペレーション(JPドメイン名の登録管理)をかかえていましたが、今は軽くなったので、飯田さんがおっしゃったような部分にも貢献していかなくてはならないと思います。

岡田 私は2点ほどお願いしたいことがあります。まずは、先ほどお話したような動画コミュニケーション分野における法律に関しての、政府への働きかけです。このままでは既得権益の衝突で必ずしも正しい方向に進まないのではないかという気がするので、方向づけの部分でJPNICにリーダーシップをとってほしいと思います。もう1つは、非ASCII※2圏でのインターネットの活用が加速度的に広がりつつありますが、非ASCII環境下での電子メールの正常な稼働に向けて、国際的なリーダーシップをJPNICは果たしていくべきだと思います。

村井 非ASCII圏の中でも、韓国・中国・台湾は国際化ドメイン名に関してはいわゆる先進国ですが、こういった国との連携、ビジネスや人的交流も考えていかなくてはならないと感じています。彼らと組んでICANNなどの世界の場でリーダーシップを確立し、世界に対する力をもつことも大切です。また、たとえば東南アジアなどで求められているものは、昔は橋や道だったのが、最近は光ファイバーつきの橋、道、そしてやっぱり情報なんですよね。そういった地域が情報化に向けて立ち上がってくるときに、インターネットの発展に携わってきた我々は何ができるのか。そういうことも中長期的には考えていかなくてはならない。インターネットのエクスパートとしてどうかかわっていくか、ということを議論できる場所を作っていきたいし、皆さんと一緒にやっていけるような体制も作っていきたい。

高橋 ところで、あの……今後もJPNICの理事長は続けていただけるのでしょうか?

村井 理事長というのは、理事全員で決めることだからいつ首になるかは分かりませんが(笑)、選んで下さる限り、ご期待に添えるよう努めていくつもりです。

活発な議論のうちに座談会は終了しました。インターネットの明日を切り開こうとする会員の真剣な取り組み、インターネットの可能性にチャレンジし続ける村井理事長の熱いスピリットが共有できた、有意義な1時間半となりました。

写真:参加者一同
左から、成田、高橋氏、村井、岡田氏、飯田氏

会員企業紹介

会社名:株式会社ディーネット
所在地:大阪市中央区北浜2-6-11北浜エクセルビル5F
設立:1999年2月
資本金:5000万円
URL:http://www.denet.ad.jp/

会社名:ファーストサーバ株式会社
所在地:大阪市中央区安土町1-8-15野村不動産大阪ビル3F
営業開始:2000年6月
資本金:2億9385万円
URL:http://www.fsv.jp/

会社名:株式会社アイテックジャパン
所在地:東京都港区東新橋1-10-1 L701
設立:1987年10月
資本金:1000万円
URL:http://www.itecjapan.ne.jp/


※1 Mosaic:
米イリノイ大学のNCSA(National Center of Super computing Applications)が1993年に開発した、Webブラウザ。
※2 ASCII:
英数字による文字データを異なるコンピュータ間で交換できるように規定された文字コード体系。ASCIIコードは、1文字を7bitで表現します。

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