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ニュースレターNo.26/2004年3月発行

JPNIC会員と語る●富士通株式会社
もっとアピール上手に!

対談の行われた東京・蒲田の富士通ソリューションスクエア

今回は、富士通株式会社です。ネットワークサービス事業においてインターネットに深く関わってこられた坂田信夫氏に、富士通のインターネットへの取り組み、ネットワークサービスのこれからの姿、およびJPNICに望むことをJPNIC会員企業の立場からお話いただきました。

ところで、対談を行った蒲田の富士通ソリューションスクエアは、スゴイの一言に尽きます! 一面ガラス張りの壮大な外観もさることながら、社内のどこでもデスクにいるのと同じように仕事ができるよう最新設備を備えたフリーのワークスペース、静脈パターン認証などの高度なセキュリティー、思い切りリラックスできそうな広々とした空間にウッドデッキのオープンエアスペースなどなど……。このような素晴らしい環境で約4,000人のSEの方々が勤務されているそうです。

[参加者紹介]
JPNIC会員
富士通株式会社
ネットワークサービス事業本部長代理◎坂田信夫氏
JPNICインターネット推進部門担当理事◎佐野晋
JPNIC事務局長◎成田伸一

「Everything on the Internet」
~富士通のインターネットへの取り組み

成田 システム、ソフト、ハード、デバイスなど、貴社の事業分野は多岐にわたっていらっしゃいますが、インターネットの位置付けとこれまでの取組みについてお聞かせ下さい。

図1:バリューチェーン

坂田 最初に富士通の事業を説明しますと、わが社の事業は大きく三つに分類できます。まずLSIに代表される電子デバイスを中心とする「テクノロジー」分野、サーバ、パソコン、ルータといった「プラットフォーム」分野、そして、私が所属しているネットワークサービス事業本部で行っているような「サービス」分野。このサービスとソフトウェアを含めてソフトサービス部門と呼んでいますが、こちらが今会社の成長を支えている、かつこれからも支えていかなくてはならない部門です。「テクノロジー」「プラットフォーム」は製品単価も下がり利幅も薄くなったので、今後の富士通の成長はやはり高収益の期待できるソフトサービス部門が担わなくてはなりません。今年度の予想では、全社売り上げの45%くらいをソフトサービス部門が占めることになりそうです。

この三つのコア事業をそれぞれまわしつつ、その間の連携をとりながら全体の「バリューチェーン」を形成することが会社のミッションとなっています。そして最終的にはこの「バリューチェーン」をサービス化しお客様へ提供することを考えていかなくてはなりません。例えば、デバイスチップに周辺ソフトをつけてソリューションという形でお客様に提供したり、プラットフォームも機器単体の販売ではなく、いわゆるユーティリティーサービス = 機器を貸して使った分だけの料金をお支払いいただくといったようなサービスの形などです。この「バリューチェーン」の形成にあたって、わが社はインターネットの積極活用を進めています。(図1)

1999年、インターネットが本格的にビジネスの場面で利用されるようになるという時期に、会社の事業方針として「Everything on the Internet」というスローガンを掲げました。これはすべての事業をインターネットにフォーカスしていくということで、基本的には現在もこの考え方は踏襲されています。このスローガンを掲げた際、富士通は三つの分野でナンバーワンになるという宣言もしました。一つ目は先ほどお話した三つの事業分野のバリューチェーンを生かしてナンバーワンインターネットソリューションプロバイダになること。二つ目はナンバーワンISPになること。1999年にニフティ(株)を100%子会社化し、富士通本体のISP事業であったInfoWebとマージして@niftyを立ち上げましたが、これを日本のナンバーワンISPにすることです。三つ目は富士通自身がナンバーワンインターネットユーザーになること。この三つの分野に徹底的に取り組むという決意表明をしました。

さらに、富士通の事業戦略としては、お客様のIT資産のLCM(Life Cycle Management)、つまりコンサルテーション、システム設計、構築、運用等、お客様のITシステムのライフサイクル全般をサポートできるよう努めるということを挙げています。お客様とのつきあいを永続的なものとし、かつお客様のビジネスに幅広く貢献できるようにしていきたいと考えています。これにはプロダクトのみならず、周辺にあるサービス事業を強化していく必要があるわけですが、これを遂行していくのが、先ほどお話したソフトサービス部門のミッションと言えます。

成田 なるほど。「Everything on the Internet」のスローガンは1999年とのことですが、インターネット自体への関わりはもっと早かったですよね。

坂田 はい、そうです。歴史的には、富士通はインターネットが学術研究ネットワークであった時代から活動に参加していました。商用プロバイダとしては、IIJ、JENSに続く3番目で、メーカー系としては先陣をきっていました。

佐野 メーカー系プロバイダの老舗ですよね。

坂田 そうですね。富士通は社内でも早くからイントラネットを利用したり、WebブラウザのMosaic※1を日本語化したInfomosaicをリリースしたりと、割と早くからインターネットとの接点があり、先頭をきって事業化してきました。今は事業戦略の中で敢えて「インターネット」とは言っていません。裏返せば、インターネットを使うのが大前提の時代に既に突入したということだと思います。

その上の付加価値の時代へ
~ネットワークサービス事業のこれから

成田 ところで、坂田さんのいらっしゃるネットワークサービス事業本部はどのような業務を行っているのですか?

富士通(株) 坂田信夫氏

坂田 少々歴史を遡りますが、1985年に通信が自由化され、民間企業も通信事業に参入できるようになりました。いわゆるVAN※2事業が開放され、そこにメーカー系もこぞって参入し、富士通はFENICSという名前で事業を開始しましたが、この事業を私たちの部署は行っています。事業そのものは通信キャリアの事業とよく似ています。参入当初は専用線やパケット交換の時代で、各社独自のネットワークを作って提供していました。一種事業者※3がキャリア、二種事業者※3がメーカーなどという形で、ビジネス的にもある程度うまくすみ分けができていました。その後1990年代に入ってフレームリレーが主流となった頃から一種と二種が同じ土俵で競争する時代になり、さらにインターネットが始まり料金競争に拍車がかかるようになると、二種は一種から回線を借りてやっているという構造上、一種と体力勝負をするのはかなり厳しくなってきました。そこで二種は一種のリセラーに事業転換するか、もしくは付加価値をつけて差別化するかのいずれかを選択せざるを得ない状況になりました。

ここ数年ブロードバンドが進展し、料金も大幅に下がったので、ネットワークサービスはコネクティビティの提供だけではつらい局面を迎えています。我々の事業では付加価値をどうやってつけていくかがポイントとなっています。ユビキタス社会も付加価値の一環と言えるかも知れませんが、この社会を実現するための仕組みを検討していくことが全社的な課題であり、富士通が総合力を活かせる分野だと考えています。例えば、従業員が会社、外出先でシームレスにアクセスできるような仕組みを、固定、移動など複数のキャリアのサービスをベースに我々独自のサービスを付加してインテグレイトしお客様に提供することで、ユビキタス社会実現の一端を担っていけたらと思っています。現在はその具体化に向けた検討段階です。

佐野 今度一種と二種の区別がなくなりますね。

坂田 そう、4月からですよね。一種の足枷が外れてしまうのが我々にとっては影響が大きいです。この規制緩和によってさらに通信事業者間の競争が激しくなることでしょう。ユーザー側は価格交渉がしやすくなりますが、ネットワーク提供者側としてはかなり厳しくなります。

佐野 パソコンがどんどん安くなるのと同じようにIPサービスもどんどん安くなっている状態で、さらにその上の付加サービスをどうやって展開していくが重要な問題になってきますね。

坂田 私は付加価値で日本のお客様からお金を払ってもらうのはなかなか難しいことだと思うんです。日本にはチップの習慣がありませんが、他人から受けるサービスへの対価を払うカルチャーに乏しい面がありますね。昔はお客様が大型コンピュータを購入するとSEが無料でついてきたりしたくらいですから。まあ、この辺のハードとソフトのアンバンドル化は富士通を始めコンピュータメーカー各社が取り組んできた結果、市場に定着してきていますが。お客様にとっての付加価値とは何か、それに対してお金を払っていいと思うか、またいくらなら払ってくれるのか、このような点がサービス、事業を設計する上で難しく、かつ真剣に考えていかなければならないところだと思います。世の中全体のサービスに対する認識が変わってくれるともっといいんですけどね。

JPNIC理事 佐野晋

佐野 インターネットの普及に伴い、お客様、すなわちインターネット利用者の層も広がっていますが、利用者層によっても付加価値の付け方は異なるかもしれませんね。

坂田 そう言えるでしょうね。一例としてあげると、私の子供たちは小学生の時からインターネットに接していますし、自宅にはADSLや無線LANで常時インターネットに接続できる環境ができているので、子供たちにとってはもうすっかりインターネットが当たり前の世界になっています。私はインターネットをメールやWebなど、仕事の延長線上で使いますが、子供はもっぱら音楽や映像コンテンツのダウンロードに使って、メールは携帯というように使い分けたりしています。また、私の80才になる父親もインターネットでWebを見たりしていますし、このように世代によってもインターネットの使い方は千差万別です。事業者の立場でいうと、このような子供からシニアまでバラエティに富んだ顧客相手にそれぞれどのような付加価値をつけ、ビジネス化していくかが非常に難しいところですね。インターネットそのものは易しくなったけれどパソコンそのものの操作はまだ難しいし、お年寄りはポップアップのメッセージが出ただけでドキッとしてしまうみたいです(笑)。そういうシルバー層に向けてのサービスを考えたりと、エンドユーザーを見据えたきめ細かい対応をしていかなければならないですね。

佐野 そういったバリアフリーもインターネットの一つの付加価値といえるでしょうね。インターネットがないと普通の生活ができない状況になりつつある中で、誰もが使えるというのは大事なキーワードかもしれません。

坂田 そう思います。

さらに一歩先のインターネットへ

成田 インターネットが商用化して10年あまりが経過し、今ちょうど節目の時期とも言えるでしょう。道具としては誰もが使える一般的なものになりましたが、もう一段階、生活に欠かせないものとして踏み込んだ存在になるためには、なにが必要だと思われますか?

坂田 私が子供の頃は、家庭にきているネットワークといえば電話回線しかありませんでした。最近はCATV、ADSL、光ファイバーなど、さまざまな形で家庭とネットワークがつながっています。そうすると、最終的に誰がユーザーにとってのサービスプロバイダになるのか。以前は疑いもなくNTTでしたが、今は複数ある時代です。そういった意味で誰が家庭に対しての「通信コンセント」、ひいては「情報コンセント」になっていくかが興味深いと思います。単にコネクティビティを買うのがこれまでで、これからはネットワークから流れてくる情報に対価を払うというビジネスモデルに変わってくるのではないかという気がします。このようなビジネスモデルへの移行がさらに生活に欠かせない存在としてのインターネットへとつながるのではないでしょうか?

JPNIC事務局長 成田伸一

成田 そういうビジネスモデルが想定できないでこれまで広がってきたというのもあるでしょうね。さらにいえば、家庭へのサービス提供が必ずしも大会社ではないという状況が今後も継続するかどうかも、興味深いところです。

坂田 10年の歴史を振り返ってみると、大会社が消えていくこともあれば、異業種からの参入で全く新しいビジネスモデルが生まれることもあったし、淘汰の激しい時代で、ほんとに何が起こるか分からないですからね。

成田 全くその通りですね。今はJPNIC会員はISPというイメージがありますが、それが変わってくる可能性もあるかもしれません。

佐野 ISPの定義そのものも変わってきていて、IPキャリアなのか、コンテンツも含まれるのか、プラットフォームからその上のものまで含めるのか……。

坂田 ISPといえば、ネットワークの品質も一つの付加価値となり得ると思うんです。インターネットといえばベストエフォートで、昔の専用線のようなサービスと比べると信頼性が見劣りするのは事実です。それでも、企業ユーザーでのベストエフォート型のサービス利用は増えており、さらにそこにミッションクリティカルなアプリケーションや重要な情報をのせているユーザーもたくさんいます。そこでトラブルが起こるとベストエフォートとはいうものの、お客様からはきついクレームを頂戴することになります。お客様はベストエフォート型の安いサービスと承知の上で使われていても、結果的に要求はギャランティ型になってしまうんですから。日本のユーザーは、ネットワークは切れないことが大前提で、一方アメリカなどは切れて当たり前。日本は一番品質面の要求が高いユーザーなので、その辺の要求にどのように応えていくのかをうまく付加価値化していけるといいと思います。

佐野 そうですね。ベストエフォートの中でもランクをつけることができますよね。一つのランクだけにしてしまうと危険なので、例えば「ある程度保証されたベストエフォート」みたいなランクがあるといい。

坂田 SLA(Service Level Agreement)でお金をもらうという形もアウトソーシングなどの分野では定着し始めていますが、ネットワークサービスにおいてはまだ十分浸透していないようです。佐野さんのお話通り、ベストエフォートの中にも松竹梅の格付けがあってもいい話ですよね。

佐野 そう思います。インターネットをベストエフォートで十把一絡げで見てしまう方も最近多いので、品質を区分するなりしてうまく見せていかないと、インターネットの正しい理解は広がらないと思います。

成田 確かに90%と95%と98%では全然違いますからね(笑)。

坂田 サービス品質を定量化し、お客様と契約を結んで、それに基づき対価を支払う形にしていけるのが健全な形ですよね。

成田 企業ユーザーの場合はそういう方向に動くと思いますが、これが個人ユーザーの場合だと浸透するのは少々時間がかかりそうですね。

JPNICに望むこと

佐野 さて、インターネットを誰もが当たり前のように使える状況になる一方、手当てしなくてはならないいろいろな問題もなおざりになっている部分があります。そのような中でJPNICが中心となって行うべきこと、社会に伝えていかなくてはならないこともあると思いますが、この点で坂田さんはJPNICにどのような役割を期待されますか?

坂田 JPNICは昔はドメイン名の登録管理を行っていてエンドユーザーに割と近い部分がありましたが、今はドメイン名事業はJPRSへ移管され、またIPアドレス割り当ても間に指定事業者としてISPが入るため、エンドユーザーからは見えづらくなっています。JPNICを世の中へアピールすることを相当意識していかないとエンドユーザーから離れた遠い存在になってしまうと思います。

また、インターネットが当たり前の世の中になったがために、インターネットの仕組みといった基本的な事項が分からない人も多いと思います。そのような人たちにインターネットの本質的な部分を理解してもらえるようにするというところにも、JPNICが果たせる役割があるように思います。

国内のみならず、世界に向けたアピールや活動も必要ではないでしょうか。国際的な活動への参加や、国際動向のフォローなど、一企業が行っていくのは大変なことなので、JPNICに代表してやっていただき、それを会員にフィードバックするような活動も行ってほしいですね。

あと、JPNICはさまざまな事業に真摯に取り組んでいるのはよく分かりますし、会計の透明性にも努力されているのは非常に評価できると思いますが、投資効果がどう出ているか、会員から預かった会費をどう使い、どう効果がでているかをもう少しうまく表現していただけるとうれしいですね。会費を払う企業の立場から言うと、支払った会費がどう効率的に使われたかということをもっとアピールをしていただいた方が、今後の会員獲得にも有効だと思います。会費という出費を社内で認めてもらうには費用対効果の説明が必要ですから。

それと、JPNICは未だにボランティア的な側面が大きいとも感じます。例えば理事の方なども本業を持ちながら理事として時間を割いて活動をしています。ミッションを継続的に行うにはボランティアベースではやはり限界があるので、そういった面をクリアできるよう、運営体制を強化していただけるといいと思います。 成田:いろいろなご意見をありがとうございます。特に会費の費用対効果については全くその通りで、費用対効果の分析や説明を早い時期に実践していきたいと思います。本日は大変興味深いお話をお聞かせいただきありがとうございました。

会員企業紹介
会社名:富士通株式会社
所在地:
本社事務所
〒105-7123 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
富士通ソリューションスクエア
〒144-8588 東京都大田区新蒲田1-17-25
設立:1935年6月20日
資本金:3246億2407万6169円(2003年12月末現在)
URL:http://jp.fujitsu.com/

※1 Mosaic
米イリノイ大学のNCSA(National Center of Super Computing Applications)が1993年に開発した、Webブラウザ
※2 VAN
Value Added Network。基本的なネットワーク接続サービスにプロトコル変換、蓄積交換、運用管理などの付加価値を加えたサービス
※3 一種事業者、二種事業者
正確には第一種電気通信事業者、第二種電気通信事業者。自ら回線設備を保有して通信サービスを行う事業者を第一種電気通信事業者といい、第一種電気通信事業者から回線を借りて通信サービスを行う事業者は第二種電気通信事業者という

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